EDEN ─ その5人は《楽園》を動かす。─   作:キャメル16世

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EDEN(エデン)
そこは、始まりを知らせ
この街は、終わりを告げる…



File.15「破、終わりの(エデン)

「……準備出来たよ、ローレン」

「…あぁ、ちょっと待っててくれ……はい、あぁ…よろしく頼みます。失礼します」ピッ

「誰と話してたの?」

「まぁな、風の導きって奴だよ。お前はどうだ?墓参りは済んだか?」

「うん、みんなも準備出来たってよ」

「……よし、行くぞ」

 

「作戦はこうだ、時間になればネディは屍人(しびと)たちを一気に解き放つだろう。だからその前に突っ込む」

「突っ込む!?」

「あぁ……作戦は以上だ」

「えぇ!?」

「ほぼ無策じゃないですかぁ〜!?」

「大丈夫だ、問題ない」

「それ死亡フラグになってません!?」

「まぁまぁヴィンさん、いざとなれば私のロケラン貸すから」

「そんなの持ってるんですか!?何処に!?」

「ホオジロさんの中」

「えぇ!?四次元ポケットかなんかですか!?」

「敵の幹部は4人……何とかして僕たちでローレン君を大ボスの元に連れていきましょう」

「うん!」

「了解!」

「…仕方ありませんねぇ〜…」

「みんなありがとう……それじゃあ、行こう」

 

 

「いよいよこの時が来た!」

「現在時刻19時49分…少し気が早いのでは?」

「いいえ…相手が何の策も弄さず待つ訳ないわ。きっと勝負を仕掛けてくるのは向こうよ」

「だったらァ!待ち伏せして叩き潰せば良いんだろぉ!」

「…無策で突っ込んで来るとも思えない…念の為、俺はネディのそばに居よう」

「そんなに心配しなくてもいいんだよ?ガル」

「……念の為だ」

「とにかく、ここからは各々別行動となる。皆さんには苦労かけるが、我らが楽園の未来の為……共に死力を尽くそう」

「……もう後戻りは出来ません。ここまで来たからにはやりますよ」

「…そうねぇ〜まぁ、私達が負ける筈がないのだけれど」

「やってやろうぜェ!アイツらの負け顔が目に浮かぶ!」

「……」

 

さぁ…勝負だローレン!!

 

 

時刻 20:19

 

「…アクシア!街の様子はどうだ!?」

『変わりないよ!目立った変化は無い!』

「了解…こっちはアジトの中に潜入した」

『了解!後でまた会おう!』

「あぁ、無事にな」ピッ

無線での会話を終えて、他の三人に指示を送ろうと顔を向けると、全員が保護者みたいな目でこっちを見ていた

 

「改めて君たちが《スローンズ》と言われる実感を持てましたよ」

「スローンズ…王座か、良いな!」

「……さて、ここからが本番ですよ、皆さん」

「…っ!」

通路を見ると、屍人(しびと)と思われる奴らが何体か彷徨いていた

 

「…街には解き放ってないけど、腕試しってとこか…?」

「どうやら相手もこちらには気付いているようですね…」

「だったら隠れる必要もねぇ……強行突破だ!パタ姐!ロケラン!」

「はいよっ!」

パタ姐はホオジロさんの口から大きなロケランを取り出した

 

「ろけっとらんちぁ〜〜!」

「……ネコ型ロボットか何かですか?」

「え?おヴィン何言ってるの?」

「おヴィン!?」

「喰らえっ!」

俺はロケランのトリガーを引き、弾丸を発射させた

弾丸は通路の奥で大爆発

近くにいた屍人(しびと)たちが巻き込まれる

 

「容赦ないですねぇ〜」

「相手は人間のように見えるが、もう死んでる身だ。殺しても問題ない!」

「なんなら元の場所に戻してるくらいですから。感謝して欲しいくらいです」ニコッ

「……オリバー先生怖いよ?」

「オラオラ!どんどん行くぜ!」

 

「……ローレンテンション高いな〜…緊張感が全く感じられないよ…」

「そんな事ありませんよ?彼はとても緊張しています。少なくとも、この場の誰よりも」

「…え?なんで?」

「……かつての相棒との殺し合い…彼が無理するのには充分な状況です。彼は見栄を張るのが得意ですからね」

「……ローレン…」

「…でも大丈夫」

「……」

「…今の彼には、僕たちがいます」

「…っ…そうだね!」

 

 

時刻 20:52

 

次々と現れる屍人(しびと)たち

アジトの中にいるのでも相当な数だ

キリがねぇ…

 

「ローレン!後ろ!」

「…くっ!」

集中力も切れてきた

 

 

「…ゴクッ…ゴクッ……ぷはぁ~!」

「だいぶ落ち着いてきましたね。敵の気配も段々と遠くなっている気がします」

「きっと彼らも私たちに怖気ずいて逃げたんじゃありませぇ~ん?」

「…ん?彼ら()?彼らもって何?ヴィン博士」

「……え?……あ…」

「…だといいがな……もう21時…時間がねぇ…」

「全くその通りだなぁ!」

「…っ!?」

「…っ!」

「…っ!」

「…っ!」

俺たちの目の前に突如として現れた大男

上半身裸で白いズボンを履いてる

 

「……へっ!」

大男は不敵に笑う

俺の目を見て…

 

どこから来た…?

どうやってきた…?

 

全く気配が感じられなかった……

まさかこいつが…!

 

「……ふん!」

「ぐっ!」

大男はその太い腕で俺を裏拳で殴った

俺は壁に激突し、壁にはヒビが割れる

 

「悪ぃな…兄ちゃんよぉ……これも命令……いや…」

「……くっ…!」

「……あいつの願いなんでね」

大男は再び腕を振りかざす

振り下ろされた腕

俺は思わず目を瞑った

 

「……くっ…」

「…っ!?エバさん!?」

「…大丈夫ですか…?ローレン君…?」

エバさんは大男の腕を受け止め、両手でガードしていた

 

「…………ちっ…!」

 

「ここは僕が相手をします。ローレン君…先を急いでください」

「…で、でも!」

「ご安心を…これでも鍛えてましたから」

「……」

 

エバさん…!

 

俺はその場をエバさんに託す事にした

 

「パタ姐!ヴィンさん!行くぞ!」

「…あ、あぁ!」

「オリバーくん!危なくなったら逃げるんですよ!!」

「……」

 

 

 

「……やってくれたなぁ…」

「……この1年で…随分と変わったようですね…バンデル」

この男は「バンデル・カイブドウ」

かつての『エヴァ』の仲間であり

僕に1番仕えていた人間

まさかこいつが……『ルシファー』の幹部の1人だったなんて…

 

「……まーなぁ…あんた程じゃないが…俺も鍛えてるんだ……Livie(リヴィー)

「…その名を二度と口にするなと言ったはずだ…!」

「ハッハッハ!冗談だろ!?……マフィアから足を洗ったと思ったら…まさか慈善活動をしてたなんてなぁ…呆れたぜ〜?」

「……僕は…今まで沢山の人たちを傷付けて来ました…その報いをしたい…!彼と出会って、やっとそう思えるようになったんです!」

「……まだそんな事言ってんのか…?いいか?あんたがどれだけ罪滅ぼしをしようと、その過去は消えることは無い。あんたはいつまでもその過去を背負って生きていくしかないんだ……あんたは一生、闇の中で生きるんだよ」

「……」

何も言い返せなかった

ご最もな意見だったからだ

 

「…『エヴァ』に俺を勧誘してくれた事…感謝してるんだ。あんたがいなければ、今の俺はいなかっただろうよ…」

「……」

「……だからこそ、あんたにはまだ夢を見てもらいてぇんだ。いつまでもあんなイカれた街にいるよりかは、俺たちと一緒にいた方が得策だと思うぜ?これはあんたの為を思って言ってるんだ、乗らねぇ手はねぇよな?」

「…… turn down.

「……あ?今なんて?」

「……そういえば貴方は英語が苦手でしたね…だったらはっきり言ってあげますよ…!」

「……っ!」

僕は彼に向かって中指を立てながら言い放った

 

「Turn down !…断る、と言ったんだ!」

 

 

時刻 21:14

 

「……ハァ…ハァ…」

「…なぁローレン!」

「…なんだ?」

「……オリバー先生…大丈夫かな!?」

「……今は信じるしかない!俺たちは前に進むだけだ!」

「…うん!」

「……っ!前方注意!」

「…っ!?」

ヴィンさんの声掛けにより、俺たちは前方から飛んで来た何かを避ける事に成功

したのも束の間、その何かは大爆発を起こし俺たちは前方に吹き飛ばされた

 

「……く…くくっ…!」

「…一体なんなんだ…?」

「……奴らの攻撃ですよ…この感じは…!」

 

「……ほぅ、あれを避けるとは…いい動体視力の持ち主のようだな…お前たち」

今度は白スーツの男

丸メガネをかけているせいかガリ勉に見える

 

「……貴方は…!」

「久しぶりだな、レオス」

「……知り合いなのか?ヴィンさん」

「……彼は『ルシファー』の科学者の一人…マディ・ガイローズ」

「……」

「紹介どうもありがとう。だがお前たちはすぐに消える事となる……私の科学(ちから)でな…!」

すると、マディの背後から無数の屍人(しびと)たちが現れた

するとマディはその内の先頭に立っていた屍人の銃型のデバイスで何かを打ち込んだ

 

「……う…うぅうううぅぅ!!」

屍人の身体はみるみるうちに変化し、ゴリラに…いや、ビックフットに近い見た目へと変貌した

 

「うあおああうあおおおうあう!!」

「……ふっ…」

メガネをクイッとあげるマディ

 

「…な、なんだよあれ…!」

「今までとははるかに様子が違うぞ!?」

「……まさか…「ピース」とはまた別の薬を投与したのか!?」

「ご名答…これは「ピース」を新たに改造し、更なる生物兵器を生み出す薬品…「バース」!」

「……バース……誕生か…!?」

「その通りだ。「バース」を打ち込んだ人間やここにいる者たちは、新たな生物へと誕生…進化出来るのだ!」

「……何が──」

「何が進化だ…!人の命をなんだと思ってるんだ…!」

俺が発言しようとしたその時

ヴィンさんかがそれを防いだ

 

「……ヴィンさん…」

「かつての私は自分の事しか考えていませんでした……でも、彼は違ったんです。顔も知らない誰かの為に、彼は日々戦い続け、葛藤して、時には傷付いて……そんな彼が羨ましかった…」

「……ヴィン博士…」

「……ローレンくん、レインくん。先に行ってください」

「ヴィンさん…!」

「これは私のケジメでもあります。私の願い、叶えてくれますか?」

「……願い?」

「この後の結果がどんな事になろうと、私はきっと後悔することはないでしょう……だって私は…」

「……」

「……君と出会う事が出来た」

「……っ!」

「……」

「……死ぬなよ、ヴィンさん」

「……はい!」

「……っ!」

俺は走った

パタ姐も涙を流しながら着いてきていた

 

 

 

「……感動の別れ…ですか…?」

「……いいや…」

「……?」

「…ここから始まるんですよ……」

「……ふっ…面白い…!」

「……まめねこ、ひと暴れしましょうか!!」

これが本当の死亡フラグですか…

悪くないですね!

 

 

「……」

「…どうやら、奴らも行動に出たようだな」

「…仕方ないよ、相手はあのローレンだ」

「……どうする?奴らがここに辿り着くのも時間の問題だぞ」

「……そうだねぇ…」

「……」

「……ねぇガル」

「…なんだ?」

「…約束って、何の為にあると思う?」

「…約束か……考えた事もなかったな…」

「…答えは簡単だよ」

「……」

「……約束は、破る為にあるんだ…」

「……まさか…?」

「……本当は明日の零時に解き放つ予定だったけど……これは争いだ、この争いに倫理なんてものは通用しない」

「……」

「……『彼ら』を街に解き放つ。EDENの街は地獄絵図になるだろうね」

 

To Be Continued...




次回

File.16「無、ここに有る(エデン)
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