EDEN ─ その5人は《楽園》を動かす。─ 作:キャメル16世
そこは、誰かが待っている街
この街は、誰かの居場所となる…
時刻 23:42
「……さぁ、抗え……EDENの英雄達よ…!」
「…くっ…はぁぁあ!」
俺は拳を構え、ネディに突っ込んだ
「…っ!」
「……」
その攻撃を受けてもビクともしないネディ
「…たっ!やっ!はぁっ!」
「……」
「…ハァ…ハァ」
「……」
「…やぁぁぁあ!」
拳を受け止めるネディ
片手で抑えられた
「……やっぱり無駄だったかな……君に期待した私が馬鹿だったよ…」
「…何を言ってるんだァ!」
俺は続いてキックを2発繰り出し、銃でも攻撃した
しかしその全ての攻撃はネディにはちっとも効いていなかった
なんて力だ…
「……くっ…!」
「…君は言っていたね…自分に立ち向かうって…」
「…あぁ、おれは今まで自分を信じて生きる事が出来なかった……でも、信頼出来る仲間が出来て…みんなはおれを信じてくれた…そのみんなの思いに応えたい…だからおれは自分を信じられるようにするんだ!」
「…自分を信じたところで、何になるのさ」
「…え?」
「確かに自分を信じるというのは素晴らしい事だと思うよ?だけど、ある日自分が自分を裏切るような行為をしたら…?」
「……」
「…その自分を受け止めるしかないよね?」
「……それは…!」
「君は甘いんだよ…自分の利に適っていないものは排除すべきなんだ…」
すると、ネディは左手を出して右手を引き、まるで弓矢を構えるようなポーズをとった
すると、それに合うように光の弓矢が出現し、ネディはおれを狙ってきた
「…っ!」
「…さぁ、最期の
ネディは弦から指を話そうとした、その時
「…やめろ」
「…っ!?」
「……ガル…?」
林の中から、ガルーシュが歩いて来た
少し窶れた彼の顔は何かを物語っていた
「……もういいだろ、ネディ」
「…どうしたんだいガル…?勝負はここからじゃないかー?それより、ローレンはどうしたんだい?まさか逃げてきたのか?情けないな〜そんなんじゃ私のバディなんて務まら……」
「ローレン・イロアスは……死んだ…」
「…っ!?」
「……」
ネディはその言葉を静かに聞いた
おれは気が気じゃなった
膝から崩れ落ち、現実を受け止められなかった
ローレンが…死んだ…?
嘘だろ…?
「……そう…かい…」
「……」
「……」
ネディはこちらに振り向き、荒んだ目をこちらに向けて来た
「……もういいだろ…終わりにしよう」
「……え?」
「…君の仲間が1人死んだ…もしかしたら他にもいるかもしれない…そんな状態のまま、君は戦うのかい?」
「……っ」
「…君たちが素直にこの街を引き渡すなら、この街の人々の命までは奪わない…元々無駄な争いは好きじゃない」
「……」
「…ローレンは死んだ!もう君たちには何も残って無いじゃないか!戦っても無駄だ!これ以上無駄な争いはよそう!」
「……それでも…おれは戦う」
おれは立ち膝で答える
「…なんでっ」
「…ローレンはそんな事望んでない!例え自分の命が守れなくても…この街を守る為に戦い続ける!言ったよな…どれだけ怖くても、立ち向かわなきゃいけないって!」
「……」
「……くっ…!」
「……来い…おれは屈しない!」
「……」
ネディは拳の力を緩み、今度は天に手を掲げた
「……そこまで言うなら、いいだろう…!」
「……っ!」
ネディは手から光弾を出現させる
「…だったら…この街ごと消えて無くなれぇ!」
「俺は絶対に諦めない!」
何故だか全身に力が入るような気がした
最後の力を振り絞っているからだろうか…
まるで、皮膚がピリピリするような…
時刻 23:58
「……っ!?」
「来い!ネディ!」
なんだ…!?
彼の後ろに、もうひとつの影が…!?
「はぁぁぁあ!」
「…まさか…!?」
彼はまさか…!?
彼は全身の皮膚からピリピリとスパークを放っている
そしてもうひとつの影、これは正しく…
「……ガンバーさん…!?」
「……アクシア…よく耐えたな、偉いぞ」
「…なんでガンバーさんが…!」
「細かい事は気にするな、今は目の前の敵に集中しろ」
「…う、うん!」
「……まさか…そんな…」
私は驚いていた
こんな事は、普通の人間では出来ない筈だ…
そう、私のような力がない限り…
「……『覚醒』か」
「……え…!?」
ガルがそんなことを言う
「……まさか…彼が…」
「…アクシア!息を合わせるぞ!」
「うん!ガンバーさん!」
「…っ」
「……対よろぉ!」
時刻 23:38
「……さらばだ、英雄よ」
「……」
「……フッ」
やはり時間の問題か…
ここで無駄な労力を使うよりマシだな
「……ネ…ディ…」
「……」
「…俺は…お前を…」
「……」
さて、あいつの元に戻るとしよう
時刻 23:40
「…………ネ…ディ…」
「…………レ…ン…」
「……」
「……ロー…レン」
「……」
「……ローレン…!」
「…っ!?ネディ…!なんで…!?」
「…はぁ〜…やっと起きたぁ…」
「……俺は確か……ってかここは?」
「…は?寮の中だけど…大丈夫か?」
「…え?…あ、あぁ悪い……そうだ…そうだよな…」
「……?」
「…なんだか、悪い夢でも見てたみたいだ」
「ははは!私が死んで君も死ぬ夢か!傑作だな!」
「笑い事じゃねぇ…マジで焦ったわ」
「ははは!君は優しいね〜」
俺はさっきまで見てた夢の話をネディにした
「…それにしても、君と私が出会ってもうすぐ1年かぁ」
「早いもんだな」
「…どうだ?ローレン…あの件、考えてくれたかい?」
「……警察官になろうって話だろ?俺とお前で」
「あぁ、この街は何かと治安が悪いからね〜私たちの手でこの街を守ろう!…なんちゃって」
「…そんな事してなんになる」
「…え?」
「…俺はそんなにくだらない事するより、もっと楽しい生き方をするよ。警察官なんてただ命を張って無駄死にするだけの職業だからな」
「……じゃあさ、君には夢はないの?」
「……夢、かぁ…」
俺たちは同じ高校に入った同級生だった
もう次期進路を決めなくてはならない
ネディはそんな路頭に迷う俺に、警察官になろうと話を持ち掛けて来た
俺はひとりで渡り廊下を歩いていた
今日の街は少しだけ曇っていた
みゃ〜お
「…っ?」
猫?
しかも黒猫だ
「……フッ…お前可愛いな……アクシアが喜びそうだ……」
……みゃ〜お
「……」
誰だよ、アクシアって…
「…ローレン!次の授業遅れちゃうよ〜!」
「…あぁ!今行く!」
俺は廊下の奥にいたネディに返事をし、再び視線を黒猫に移そうとした
「……あれ?……居ねぇや…」
黒猫は既にいなくなっていた
黒猫が不吉だというのは迷信だと分かっている
しかし、現に今の俺達はピンチに陥っていた
「少しでも怪しい行動してみろ!?この銃が貴様らの頭をぶち抜くぞ!」
「……」
突如授業中に入ってきた強盗犯
俺たち生徒を人質に教室に盾籠っていた
「……どうする?ローレン」
「…どうするって…助けを待つしかないだろ…」
「そんなっ……殺されるかもしれないのに?」
「…もし殺されても、それもまた運命だな」
そう、全ては必然
ここで仮に俺が死んだとしても
受け入れるべきなんだ
そして同時に思うだろう
この世に神様なんていないと…
《……またそうやって…逃げるのか…?》
「……え?」
頭の中に声が流れてきた
《……思い出せ…お前が警察官になった理由を…!》
「…?」
何を言っている…?
俺は警察官なんかには……
《この街の涙が見たいのか…!?》
「……」
嫌だ……そんなのは嫌だ…
《ならお前がするべき事はなんだ!?》
「……」
俺の……するべき事…
「……なぁ、ネディ…」
「…ん?どうしたローレン…」
「…お前の命、一旦俺に預からしてくれ」
「…おい、貴様殺されてぇのか!?」
「……」
「クソガキ!この銃が見えねぇのか!?」
「……」
「……てめぇ…!」
「……雑魚、DOWN…!」
「…君も無茶するね」
「…まぁな、俺もびっくりだ」
「……どういう風の吹き回しだい?」
「……俺は今まで自分が良ければそれでいいと思ってた」
「……」
「…だけど、違ぇわ……俺はこの街が好きなんだ」
「……ローレン…」
「…この街を守れるなら、俺は命も懸ける…」
「……」
「…ネディ…俺、警察になるよ…」
警察になる事を決意した俺はネディと警察学校に入学した
「ローレン!君に誕生日プレゼントだ!」
「……鍵のアクセサリー?」
「君にピッタリだろ?」
それでも、その日はやってくる
あの日、ネディが死んで
俺は警察に復帰した
「……ローレン…」
「…レオポルド隊長」
「……大丈夫か?」
「…まぁなんとか…」
「…これからどうするつもりだ?」
「……俺は俺らしく生きます。あいつの分も…」
俺は隊長の傍を離れようとした
「…ローレン…ネディの事、許すつもりか?」
「……」
俺はゆっくりと振り返り、口を開いた
「……許しませんよ、絶対に…」
「……ネ…ディ……俺は…お前を…」
《……お前の底力はそんな程度か?》
「……」
またあんたか…一体何者なんだ…?
《そんな事はどうでもいい…お前はその程度かと聞いている》
「……」
今回は相手が悪すぎた…
俺はこんな程度だったんだ…
《…お前の相棒は今も戦っているぞ…》
「……」
相棒…?
誰の事だ…?
《……》
「……」
俺の、相棒……
「……」
俺の、バディ……
「……ア…」
《……》
「……アクシア…」
《…戦え、ローレン…お前の本当の力を見せてみろ》
俺の、本当の力…?
《内なる魂を『覚醒』させろ……さすればお前はこの街の…》
この街の……?
《……英雄になれる…!》
「……うぉぉおおぉぉぉおおおおぉぉぉぉ!」
時刻 00:00
「……っ」
「…っ!?」
「…っ!」
次の瞬間、辺り一体に鳥のような甲高い鳴き声が轟いた
一瞬雷かとも思ったが、そうではないようだ…
俺がさっきまでいた位置
丁度そこにはローレン・イロアスが倒れていたであろう場所から
翼を広げた鳥、基不死鳥のようなシルエットの火柱が立っていた
「……どうやら生きていたようだな…」
「…っ」
「…ローレン・イロアス…!」
火柱の中、背中から紅蓮の翼を広げたローレン・イロアスが血相を変えて飛んでいた
どうやら奴も『覚醒』したようだ
「…ローレン…!」
すかさずアクシア・クローネが反応する
「……ローレン…」
「……」
ネディは、どんな表情をしているのか分からなかった
だが、少なくとも…
「……ハハ…」
「……」
その表情からは、喜びが感じられた
「…ガル…彼等の相手を頼む。私はローレンを…」
「…分かっている……決着を着けてこい」
「……あぁ、恩に着る!」
ネディは翼を広げてローレン・イロアスの方に飛んで行った
「……っ」
「…さて、本来ならばお前たちを秒で丸焦げにしていたところだが…気が変わった」
「……」
「…っ」
「……貴様らの死に様を堪能した後で、ゆっくりと火炙りにしてやる」
「……っ」
「日和るな!アクシア!」
「ウッ……うん、わかってる!」
アクシア・クローネ、そしてガンバー・スカイビットは横に並んで構える
「……来い…!」
俺は再び手袋を外し、ロングコートも脱いだ
「……今日はもう少しだけ…熱くなれそうだ」
「……まさか生きていたなんてね…」
「…あぁ、俺もびっくりだ」
「…訊かなくても分かるよ…君は選ばれたんだね、この街に」
「……いいや、この街じゃねぇ…」
「……ん?」
「……この街の…みんなにだ…!」
「……フッ……君らしいね…それでこそローレンだ」
「……行くぞ…ネディ…!」
「…あぁ、ローレン…!」
「……」
「……」
「「これで最後だ!」」
To Be Continued...
次回
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