EDEN ─ その5人は《楽園》を動かす。─   作:キャメル16世

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EDEN(エデン)
そこは、みんなが笑う街
この街は、きっと笑顔が絶えない…



File.24「白、霞む(エデン)

ガルーシュの力は圧倒的だった

 

「…はぁっ!」

「ぐっ…!」

腕に纏う青い炎

俺がじわじわとおれの体力を蝕んでいく

 

「…アクシア…まだ行けるか!?」

「…うん、もちろんだよガンバーさん!」

「……っ」

だがおれたちも負けてはいない

 

息の合ったおれたちの攻撃にガルーシュは困惑していた

 

「……チッ」

「…どうだ!」

「…舐めるな!」

ガルーシュは炎を更に燃え滾らせる

 

「はァァァ!」

「…うっ…あっつ…!」

「なんて熱い炎なんだ…これでは火傷ではすまないぞ…」

「どうするの?ガンバーさん!」

「……アクシア…お前は今覚醒状態にある」

「…え?」

何を言ってるんだろう、ガンバーさん

 

「お前がその気になれば、もっと凄い力が使える筈だ。今俺がこうして具現化しているようにな」

「…え?ガンバーさんがここにいるのって、おれの力なの!?」

「さぁな、俺はただ呼ばれただけで…詳しくは知らん」

「…呼ばれたって、誰に?」

「……それは…」

「はァァァ!」

「…っ!」

「…っ!」

そうこうしているうちにガルーシュは力を解き放った

 

「…アクシア、俺が時間を稼ぐ。お前は自分を信じて願い続けろ!内なる魂を『覚醒』させるんだ!」

「…なんだかよく分からないけど…やってみるよ!」

「……あぁ!」

ガンバーさんはガルーシュに向かって走って行く

 

「……願う…おれはおれを信じる…」

おれはガンバーさんの言葉の意味を考えた

『覚醒』というのは、おれがもっと凄い力が使えるという事

今のガルーシュやネディと同じ状態になれるって事か…?

 

だったら……さっきのあの感覚…

 

「……もしかして…!」

おれは全身に力を込めた

さっきのビリビリ…

もしかしたらあれがおれの力なのかも…!

 

「……ビリビリ…ビリビリ…!」

おれの皮膚からピリピリしたような感覚が伝わって来る

 

この調子で……!

 

 

 

「……くっ…邪魔だ!」

「それはこっちのセリフだ!今アクシアが頑張ってるんだ!俺がもっと頑張らないでどうする!?」

「……知るか!」

「……くっ…!」

服が焦げちまった……お気に入りだったのに

 

「俺は貴様らとは違う!俺は独りで強くなった…この力は俺にしか使えない、唯一無二の力だ!」

「…それがどうした!」

「…なにっ…!?」

俺はガルーシュのパンチを入れ込みつけ離す

 

「確かに俺も昔は独りだったよ……独りの方が楽だった。気を使わなくていいし、何より自分の事を見れたからな」

「……なら…」

「…だが?今となっては俺はアクシアと出会って良かったと思ってる……あいつが居たから、俺の人生は大いに輝けた…あいつが俺を照らしてくれたんだ…」

「……」

「他人は自分を映す鏡、と言うが…全くその通りだ。俺はアクシアと関わって自分の愚かさに気付けた…孤独でいることは、決して誇れることではない」

「……」

「……良いもんだぜ?他人を信じるってのはな…!」

距離を縮めて発勁を繰り出す

 

「……ぬっ…」

「……」

「俺は俺しか信じない……そうやって生きて来た…今更変えられるか!」

「ぬおっ!」

こいつの炎…どんどん熱くなっている…!

 

「…俺はガルーシュ・ハラゼラニウム…又の名を『漆黒の神狼(フィンリル)』…貴様らには負けん!」

 

『漆黒の神狼(フィンリル):ガルーシュ』

 

「…『漆黒の神狼(フィンリル)』か…なら、アクシアの事はこう呼ぼうではないか……」

 

「…ビリビリ……ビリビリ……!」

 

「……『群青の双狼(オルトロス)』…!」

 

「……ビリビリィ!」

 

『群青の双狼(オルトロス):アクシア』

 

アクシアから大量の電気が流れる

 

「……ガンバーさん…おれ…!」

「……あぁ、これがお前の力だ…!」

「…馬鹿な…こんな短時間で…!?」

「…オルトロスはギリシャ神話に登場する双頭の狼だ…つまり、お前の力は俺と共に戦うことで発揮される」

「……うん……よくわかんないけど」

「…アクシア……そこはビシッと決めろ」

俺はアクシアの背を叩く

本当に身体に電気が流れているようだ

一瞬手が痺れた

 

「……ふふっ」

「…ん?何がおかしい?」

「…またこうしてガンバーさんと話せたのが、嬉しくて嬉しくて…」

アクシアの目頭に雫が溜まる

 

「……でもきっと…」

「……アクシア…」

「ガンバーさん…」

「……」

「……最期まで、よろしくね」

アクシアは俺に微笑んだ

本当はこの戦いの結末を分かっているのに…

それでも涙を堪えて……

 

「……成長したな、アクシア」

あの頃とは大違いだ

 

「……おしゃべりは済んだか?」

「…あぁ!おれたちは今からお前を倒す!」

「後悔しな!」

俺とアクシアは横に並んで体制を組む

 

「「対よろぉ!」」

 

 

「…ふっ!」

「はっ!……はぁっ!」

私の光の矢を避けるローレン

そのままこちらに突っ込んで来た

 

「……クッ…!」

「オラオラオラァ!」

「…図に…乗るなぁ!」

「うおっ!」

光を纏わせた足で蹴り込む

ローレンは紅蓮の翼を羽ばたかせながら体制を建て直した

 

「……ペッ!」

血が混じった痰を吐くローレン

ガルにやられた攻撃で外傷は大きいように見えるが、彼自身は平気に見える

 

「……一体何があったんだい?君の身体に…」

「そんなのこっちが知りたい、お前でも分からないのか?」

「……さぁ」

「ホントか?こっちは変な翼まで生えてるんだぞ?普通考えておかしいだろ」

「変なって言わないでくれ、私にだって翼はある……それに、ただ1つ分かるのは…君が人智を超えた力を手に入れたって事だけ、つまり私と渡り合える存在になれたんだよ」

あえてローレンが嫌がりそうな言葉を掛けてみる

 

「……へっ…嬉しいね」

「……え?」

予想外の反応だ

 

「……また昔に戻ったみてぇでよ…」

「っ!」

ローレンの何気ない一言が、私の身体を強ばらせた

 

「……ローレン…幾つか質問がある…」

「……」

「……私の事、恨んでいるか?」

「……あぁ」

「…私の事、嫌いか?」

「…あぁ」

「……では…」

「……」

「……私の事を、許しているか?」

「……」

「……だよね…そりゃそうだよね…ハハ…」

「……ネディ…俺は──」

ローレンは言葉を詰まらせた

 

「……いいや、なんでもねぇ…今言うべきことじゃねぇ」

「……?」

「…でもまぁ、その時が来たら言うさ」

「…その時って?」

「……俺がお前を倒す瞬間(とき)だ…!」

ローレンは私に迫り拳を構える

 

「…遅い!」

「なにっ…!」

私は一瞬でローレンの背後に回り込む

私の力の源は光であり、自身も光のように早く移動出来る

 

「はぁぁ!」

「ぐわぁ!」

背中に光弾を受けるローレン

 

「……っ」

「…そんな程度か?」

なにっ…!?

攻撃が効いていない!?

 

強がっているだけか…?

 

いや、違う……

 

「……っ」

私が本気を出せていないんだ…

 

「……ネディ…俺からも質問だ」

「……なんだい?」

「…なんで蘇った?なんで俺の元に来た?」

「…っ」

「大人しくあの世で待っていれば、俺がいずれ…」

「それだけは!……答えられない…ごめん」

「……分かった…なら質問を変える」

「……」

「…何故本気を出さない…?」

「…っ!」

気付いてたのか……ローレンも…

 

「…本気で来い、全て受け止めてやる…!」

「……分かったよ、ローレン…」

私は両手を掲げて巨大な光弾を生み出した

 

「…っ」

「……喰らえぇ!はぁ!」

「…フッ!はァァァ…!」

それを両手で受け止めるローレン

 

「はぁぁ!」

「うがァァァァ!」

光弾に手がくい込んでいく

ローレンの表情も大分キツそうだ…

 

だがこれで応える訳にはいかない

ローレンの覚悟を目の当たりにして、黙って見ているわけも出来ない!

 

それならせめて、私も全身全霊で彼と戦う!

 

「…クッ……ククッ…!」

「爆ぜろぉ!ローレン!」

「…はァァァ!」

次の瞬間、爆発が起き辺りが煙や炎で覆われた

 

やったか…?

 

「……」

「……っ!?」

煙が晴れた向こうにローレンが空に仁王立ちで浮いている

私の光弾の残党をローレンの身体が吸い込んでいる

 

まさか、光を吸収出来るのか…!?

 

「……見えたぜ…こーれ、勝ちです」

「…なっ…!」

ローレンは全身に炎を纏わした

ガルとは違う、真っ赤な炎

 

「……どうやら、ここからみたいだね」

私も同様に全身を光らせる

神々しい光が私を包んだ

 

「……底知れぬ力…これこそが…!」

 

『純白の(ルシファー):ネディ』

 

 

「……ワッサー」

 

『紅蓮の不死鳥(フェニックス):ローレン』

 

 

「…ビリビリパンチ!」

「…クッ…!」

「ビリビリキック!」

「…ぬっ…!」

「アクシア!微妙にダサいぞ!」

「えぇ!?」

当然か

 

「…仕返しだ!」

「うわっ!?」

「……フゥ…」

髪の毛がガルーシュの炎によってチリチリになるおれ

ガルーシュはそんなおれを睨む

 

「……やはりここまでか…」

「……?」

「…俺は今から己の殻を破る!もう誰にも止められん!」

「…なっ!?」

「え!?」

「はぁぁぁぁ!」

すると、ガルーシュは全身から青い炎を吹き出した

服が焦げて上半身が裸になる

 

「…っ!?」

「……フッ…驚いたか…?」

「…あ、あぁ…!」

ガルーシュの上半身は殆どが火傷の痕になっていた

一体何があったんだ…?

 

「…俺は昔火事に遭ってな、全身大火傷の重症を負った」

「……」

「皮膚は固くなり、血の巡りも悪くなった……せめて血の巡りを良くしようとよく動くようになると、今度は上がった体温が下がらなくてな」

「……」

「…そしてある日から遂に身体から炎が出るようになった、そして今それが俺の体温調節をする唯一の方法となった」

「……その力は、ネディから授かったんじゃないのか?」

「いいや…この力は俺が手に入れ、俺が極めた力だ。だがそろそろ限界だ…俺は身体が燃え尽きるまで戦う!貴様らを倒すまで!」

ガルーシュは両手に炎を纏わせる

 

「……お前の覚悟は感じられた…なら、俺もその思いに応えよう」

「……ガンバーさん…?」

ガンバーさんはおれの前に出て少しだけ振り返った

 

「アクシア、俺の魂を使え。一気に勝負を付けるぞ」

「…ガンバーさんの魂…!?それって…!」

「…あぁ…俺の魂が消滅すれば、俺の存在そのものが消える」

「そんなの嫌だよ!おれは絶対に…!」

「アクシア!」

「…っ!」

ガンバーさんは俺の両肩を掴んだ

 

「……人との出会いには、必ず別れがある。お前が1番それを分かっている筈だ」

「……で、でも…!」

「……大丈夫だ!たとえ俺が消えても、俺の事を覚えてくれる奴が居るだけで、俺は充分だ!」

「……ガンバーさん…」

ガンバーさんは最高の笑顔をおれにみせた

 

「……うん、おれガンバーさんの事忘れない、絶対に」

「…あぁ」

ガンバーさんは魂となっておれの中に入って来た

今おれの中には2つの魂がある

こんなに心強いと思ったのは、久しぶりだ

 

「……はぁぁぁ…!」

ガルーシュは力を溜め始めた

 

「…感じるよ、ガンバーさんの全てが…」

「……行くぞぉ!」

「……はぁっ!」

向かってくるガルーシュに突っ込むおれ

 

電撃攻撃を食らわせながらも、ガルーシュも猛攻撃をする

両者1歩も引かない戦いが起こった

 

 

 

「……クッ…!」

「…はぁぁ!」

「…っ!」

一撃が重い……

これがこいつの全力……面白い!

 

「……ガンバーさん…一緒に行くよ!」

「…っ!?」

あれは…アサルトライフル!?

アクシアはシアンカラーのアサルトライフルを出現させ、俺に標準を合わせた

 

「……喰らえ…」

銃口に電気の弾が生成されそれが大きくなっていく

そして、トリガーが引かれた

 

「…はぁぁぁぁ!」

「…ぐっ…!?」

物凄い威力とスピード…!

受け止めるのも、避ける事も不可能…!

 

「……フッ…俺もここまでか」

俺は大人しく攻撃を受け、大爆発が起きる

そしてその場に倒れ込んだ

 

 

 

「……ガンバーさん…」

「……」

ガンバーさんが淡い光に包まれながら振り向いた

 

「……アクシア、お前とはもっと一緒に居たかった」

「…おれもだよ、ガンバーさん」

「…だがな、別れはやってくる。分かってくれるな?」

「……うん、もう分かったよ」

「……アクシア…」

「…なに?ガンバーさん…っ」

おれには涙が零れるのが分かった

でも最期は笑顔で送ろうと思った

 

「……やっぱりお前は、笑顔が1番だ!」

ガンバーさんはそれだけ言うと、光に包まれて消えてしまった

 

「……ありがとう…ガンバーさん……対あり」

 

 

 

アクシア・クローネ(覚醒状態)

 

ガルーシュ・ハラゼラニウム(覚醒状態)を撃沈

 

ガンバー・スカイビットは戦いの末、消滅

 

To Be Continued...




次回

File.25「紅、染まる(エデン)
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