EDEN ─ その5人は《楽園》を動かす。─   作:キャメル16世

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EDEN(エデン)
そこは、嘘で固められた街
この街は、私を認めてはくれない…



File.5「心、燃える(エデン)

「……この、クスリがあればなぁ!」

「…クスリ?」

ガリアはそう言うと、注射器を右腕に刺し、中の液体を注入させた

 

「…これがあれば…もっと…もっと…」

すると、ガリアの右腕がどんどん膨張し、顔周りまでブクブクし始めた

 

「…もっと…もっともっともっとぉぉぉぉ!」

完全に自我を喪ったガリアは物凄いスピードで私に向かってきた

 

「…っ!」

「…ぐらぁぁあ!」

右腕を構えて、攻撃をしてくる

 

私はそれをギリギリで避ける

 

「……はぁっ!?」

しかし驚いた

ガリアは勢い余って地面を殴った

地面がえぐれ、クレーターが出来上がっていた

 

並の男のパワーじゃない!

 

「ぐらぁあ!」

「…くっ!」

私はガリアの攻撃を避け続けた

 

「ふんっ!ぬぅん!」

「…くっ…ふっ…」

後退りをしながら、避けたが

 

「……っ!」

後ろに壁がある事に気付いた

ガリアの圧にやられて追い込まれてしまった

 

「うらぁぁあ!」

「…くっ!」

ガリアは傷だらけの右腕を構える

私は目を瞑り、覚悟を決めた所だった

 

「……?」

攻撃は待っても来ず、ゆっくり目を開けると

ガリアが静止していた

 

ガリアは倒れ、動かなくなった

 

「……なんだったんだ…」

謎が残る事件だった

すると、左側から走ってくる足音が聞こえた

 

「レイン君!なんですかこれは!?」

「先生!」

私の先輩であるオリバー・エバンスだった

 

すると、先生の後ろから2人の人影が見えた

 

「…こりゃ、派手にやったな」

「…っ」

赤髪の青年と黒髪の青年

黒髪の青年はガリアに近付き、首に指を置く

 

赤髪の青年はガリアが作ったクレーターを見ていた

 

「…先生、あの二人は?」

「僕の仲間ですよ、後で君にも紹介します。ところで、何があったのですか?」

「…この間依頼を受けた人の相手の殺し屋の奴らだよ。それに奴ら…」

「……それに?」

「ローレン!」

黒髪の青年は赤髪の青年に呼びかけた

 

「…どうした?」

「…この人、死んでる」

「…え!?」

私は思わず驚いてしまう

 

「…それにしても、なんだこの腕」

「筋肉が異常に発達してるね」

「……」

ガリアの事を考察する2人

黒髪の青年は他の4人の脈も測りに行った

 

「…そいつ、変な薬使ってた」

「…薬?」

赤髪の青年が答える

 

「……」

そばに落ちている注射器を拾う

 

「…これを打った瞬間に、理性が崩壊して…暴れ始めた。腕はその時に発達したんだ」

「……」

「…その4人も、ゾンビみたいに迫って来た。倒しても倒しても這い上がって…」

「……」

「…ローレン、この4人は微かに残ってる!生きてるよ!」

黒髪の青年が叫ぶ

 

「…どうしますか?トドメを刺しますか?」

「…マフィア思考やめぃ…」

先生の一言に、ナチュラルに返す赤髪の青年

今先生なんて言った?

しかも笑顔だったぞ?

 

「……逮捕する」

赤髪の青年は左手に手錠を持って言う

4人を拘束し、警察に連絡しているようだ

どうやら彼は警察らしい

 

「…きっとあの4人も、既に薬を投与していたんでしょうね」

先生が切り出した

 

「そして死んでしまった彼は、既に投与していた上から更に投与したことによって、身体が限界を迎えたんでしょう」

「……」

先生の言葉に、何も言えなかった

 

「…君は悪くありません。君は自身を守っただけなのですから…」

「…ありがとう、先生」

数年ぶりにあった先生は変わらず優しかった

ただ、その笑顔にはまだ裏があるように感じた

 

「…エバさん、その薬について何か知ってるか?」

「……う~ん…」

考え込む先生

 

しばらくして、呟いた

 

「…『ピース』…かもしれませんね」

「…ピース?」

「ルシファーが開発する、新兵器のひとつですよ。その薬を投与すると、身体能力の一時的向上が見受けられるんです」

「…そんな薬があるのか…」

赤髪の青年が答える

 

「…でもその副作用として、精神麻痺などが見受けられます」

「…その結果がこいつらか…」

 

って言うか、さっきからこの人達

何の話してるんだ?

 

私があたふたしていると、先生が私の反応に気付いたようだ

 

「そうそう、君にも話しておきます。今この街で、何が起こってるのか」

私は『EDEN補完計画』の事や、『ルシファー』について先生から聞かせてもらった

 

「…そんな計画が…知らなかった…」

「…そして、その事件を追って僕達は捜査してるんです」

「……警備部隊所属のローレン・イロアスだ」

「機動歩兵部隊のアクシア・クローネです!」

ローレン・イロアスと名乗った赤髪の青年は手を差し出す

 

「…あんたにも、手伝って欲しいんだ」

「…手伝う?」

「…あんたの噂は聞いてる。それに、男5人相手にほぼ無傷で済むなんて、並の女の実力じゃねぇ…」

「……」

「…俺達と一緒に、この街を救ってくれねぇか?」

「……」

正直、今は頭が混乱している

 

情報量が多すぎて、処理しきれていない

 

「……」

でも、私には分かる

この青年が、どれだけ本気なのかを

 

「…それは、依頼って事で良いかな?」

少しして、私は切り出した

 

「…え?」

「私は依頼人の依頼しか受けないんだ。これでもビジネスでやってるんだよ」

「…そうだが…」

「…それに、今月は負け額が凄くてカツカツなんだ…」

爪をかじりながら言う

 

「…分かった、それじゃあ依頼だ。レイン・パターソン」

「…あぁ。報酬は弾んでおけよ!」

「あぁ、分かった分かった…」

 

この日から私は、この3人と共に行動する事となった

 

「……ふぅ」

朝起きて、荷物をまとめる

拠点となる場所を確保したらしいから、今日からそこで住むこととなった

 

「……」

大事なサメのぬいぐるみのホオジロさんを抱える

 

「…行ってきます」

まだ荷物が散乱する部屋にしばしのお別れを告げる

 

「……んんっ」

ドアを開けて、背伸びをする

晴れた空に向かって大きく叫んだ

 

「…任務開始!」

今日も私の一日が始まった

 

 

「パタ姐〜ちょっといい?」

「…あぁ、いいぞ…」

 

「パタ姐、ちょっと良いか?」

「…え?…あぁ、うん」

 

「パタ姐〜」

「パタ姐」

「…ちょ、ちょっと待ってくれ君達!」

「…?」

「…?」

拠点に住み始めて約一週間

最初は「レインさん」「パタさん」

なんて読んでいたローレン、アクシアが

いつの間にか「パタ姐」と読んでいることに気付いた私

 

「…どうした?パタ姐」

「それだよそれ!なんだよ「パタ姐」って!」

「…だってパタ姐、姐御気質じゃん」

「それに、年上だしな」

ローレン、アクシアは22歳

私は25歳なので3歳差ではあるが…

 

「…じゃあおれはパタさんでいいっかぁ…」

アクシアはボソッと言った

 

「ははは、随分と懐かれてますね、レイン君」

「先生〜、何とか言ってよぉ」

「いいじゃないですか…君のような人とでも仲良く出来る…」

テレビに向かってゲームをし始めた2人を見ながら先生は私に言う

 

「…彼らのいい所は、そういう所ですよ」

「……」

「…それにしても、昔はあんなにヤンチャな性格だったのに…人は変わるものですね」

「…私も色々あったんだ…」

あの一件以来、私は人を守りたいと思った

 

ここまで私を導いてくれた先生には感謝してる

でも…

 

「……ん?」

やっぱり私は、この人にはまだ裏があるようにしか見えない

本人から元マフィアのボスである事を告白されたが、それ以外にも、何かが引っかかる…

 

「…いや…なんでもない…」

「…そうですか…そうだ、レイン君にお土産を買ってきたんです」

すると、手に持っていたビニール袋に手を伸ばす先生

お酒、つまみ

そして…

 

「…エバさん、ぺろぺろキャンディって…パタ姐は大人だぞ?」

「そうだよ、この年でそんなもの…」

そんなことを言っていた2人は驚いていた

 

「え!?ぺろぺろキャンディだァ!やったぁ!」

迷わず先生のお土産に手を伸ばす私

ラッピングを剥がし、ぺろぺろと舐め進めた

 

「……」

「……」

「……幼女だ」

「…幼女、だな…」

「……?」

何故か私に引いている2人を放っときながら、キャンディを舐め進めた

 

「…さて、本題に入ろうか」

暫くして、ローレンが切り出す

私達3人は机に座り、ローレンを見る

 

「…この間起きた、『クリーチャー事件』について話そう」

ガリアが暴走した事件

それは、世間で『クリーチャー事件』と呼ばれ、しかもその事件は多発していた

謎の薬『ピース』を投与し、奇行に走った者を

『クリーチャー』と呼ぶ流行がこの街に起きていた

 

「…今回の事件も、ピースによって引き起こされたと思われますよ」

先生が資料を見ながら言う

 

「一時的の身体能力向上、そして過剰投与による神経麻痺と身体崩壊…間違いなく『ピース』です」

「…ピース…平和?」

アクシアも資料を見ながら言う

 

「…くそっ…何が平和だ…」

「……」

机を叩きつけるローレン

ココ最近で出たクリーチャーの数は十を超える

そしてその全ての人が、重症や死亡している

無事に生きてる人なんて誰もいなかった

 

「…そこで、いきなりだが」

ローレンは顔を上げて私達の顔を見た

 

「…ルシファーのアジトに潜入しようと思う」

「え!?」

驚く私

あとの二人も少しだけ驚いていた

 

「…いよいよですか…」

「パタ姐の実力が発揮できるね!」

「…え?」

「…そうだ、頼りにしてるぜ。パタ姐」

「…うん、私も1人のボディーガードだ、この街は絶対に守りたい…」

私はローレンの真剣な目を見る

 

「…行くよ、私も」

「僕も、何か出来る事があれば受けますよ?」

「…ありがとう、それじゃあ…」

私達は準備を始めた

 

そして、今回の潜入の目的は決まっていた

 

とある人物に会う事だ

その人物については、先生が教えてくれた

 

「…ローレン君、あの先かと…」

「…あぁ」

私達4人は1つのドアの目の前に立った

ドアには「研究室1」と書かれている

 

「…行くぞ」

小声でそう言うと、ローレンはドアを思いっきり開けた

 

そして、私が前線に立つ

走って行き、目の前にたっていた青髪の男の口を塞ぐ

 

「…むぐっ!」

「…ふっ!」

後ろに倒しこみ、絞め技を決め込む

 

「いでででで!なんですかあなたは!」

私の絞め技に苦しみながらも、男は手を伸ばす

その伸ばした手に、ローレンは手錠を掛けた

 

「…へ?」

「…あんたがレオス・ヴィンセントだな」

青髪で眼鏡をかけ、白衣を羽織った男

レオス・ヴィンセントはローレンに問いかけた

 

「……あなたは?」

「…ローレン・イロアス…あんたの作ってる薬について話がしたい…」

 

To Be Continued...




次回

  File.6「嘘、蔓延る(エデン)
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