「気持ち悪い」
「そうやっていじけていたって、何にも楽しいことないよ」
「好きって、何?」
「そんなの嘘だ!」
あの時からずっと、やり直せたらいいと思っていた。
トウジの制服、赤で染まった大地、地上にのさばるエヴァ・インフィニティ、S-DAT。嘘だったらいいのに。
犯した間違いを全てなかったことにして、みんなが幸せな世界にしたかった。
十全に幸せでなかったとしても、僕の手で不幸になった事実が許せなかった。
「償えない罪はないさ、希望は残っているよどんな時にもね」
どうして、僕なんだ
なんで、僕じゃなきゃいけないんだ
使徒と戦うのも、彼女を裏切ったのも、彼女を助けられなかったのも、みんなを不幸にしたのも
なんで...僕なんだ...
無関係でいればそれで良かったのに
なんでみんな構うんだ、なんで僕に押し付けるんだ、なんで僕じゃないとだめなんだ!!!
もう嫌だ、もう...嫌だ...
「バカじゃなくて、ガキね...」
なんなんだよ...勝手ばっかり...! もういいじゃないか...ほうっておいてくれよ...
「あなたはもう、何もしないで」
「............」
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エントリープラグの中から引きずり出されてから、どれだけ時間が経ったのだろう。
ずっと、赤く染まったアスファルトの上を歩いている。俯いて見える世界は赤く染まった何かばかりで代わり映えがない。
最初は前を歩くアスカとの気まずさもあってか時間がとてつもなく長く感じた。
そのうち段々と気まずさが漂うその感覚が普通になっていった。
一度溝ができるとお互いに歩み寄らなくなって、それからずっと溝以上に踏み込まなくなる。相手が嫌いで、勇気がなくて、声がかけられなくて。
そうやって歩き続けた。時間はもう気にならなくなっていた。
揺れる赤い視界と、不揃いな足音。
頭の中では嫌なことばかり浮かんでくる。カヲルくんのこと、トウジたちのこと。
思い出して、立ち止まりたくなる。けれど、足は止まらない。
「自分で歩け!」
動けない。もう放っておいてほしかった。
「自分で歩けってのッ!!!!!」
アスカに引きずられてかろうじて僕は前へ進んでいた。
『なんで僕は歩いているんだろう。僕が歩かなければ進まないのに。』
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もうガキのお守りは懲り懲りだ。
ずっとグズってばっかで、14歳のときから何も変わってない!ほんとにッ...はぁ、こんなことも考え飽きた。
このガキシンジが悪気がなかったことくらいわかってる。
ただエコヒイキを助けたかっただけなんてこともわかってる。
それで、世界をぶっ壊してメンタルがボロボロなのも分かってる。
あれだけ一緒にいれば嫌でもわかる。
...でもそんなことどうでもいい。
けれど、何度考えたって、結論と気持ちは変わらない。
あいつは私を救うことも殺すことも選ばなかった。
私のことを背負ってくれなかった。
エコヒイキのことは世界をぶっ壊しても、自分がどうなっても救おうとした。それだけ。
分かってくれてると思った。
全てを投げ売ってくれたのかもしれないと思った。
...これは勝手な期待。期待してた私が悪い。
こういうヤツだったことも知ってて、それでも期待してる私が、嫌い。
掴んでいるコイツの腕に力を込めた。彼の腕は昔と変わらない弾力があって、ほのかな肉の暖かさがあった。