書きたい部分を思いついたのでちょっとだけ続きます。
いやあついにこの日が来ちゃったなあ。
朝からずっと思ってることが、パドックに入ることでなお一層強く感じる。
URAファイナルズは荒天なんかもあったけれど無事に開催にこぎつけ、私は中距離部門の予選と準決勝をなんとか突破してここに立っている。
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☆☆☆☆☆
[]サラブレッド 絶好調
スピード D[349/349]
スタミナ C [549/549]
パワー D [321/499]
根性 D [300/300]
賢さ SS+ [1200/1200]
バ場適性 芝 A ダート D
距離適性 短距離 G マイル B 中距離 A 長距離 B
脚質適性 逃 げ B 先 行 B 差 し A 追 込 C
*ウマ娘巧者
不思議な洞察力によってウマ娘のことがすごく分かる
*鋼の意志
*逃げ焦り
*先行ためらい
*逃げけん制
*差しためらい
*八方にらみ
*先行焦り
*逃げためらい
*先行けん制
*追込焦り
*トリック(後)
*スタミナイーター
*先行駆け引き
*先行けんせい
*コーナー回復
*独占力
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この一年でさらにステータスが減った。根性と賢さに変動は無いけどスタミナが削れるのは本当に勘弁して欲しかったなあ。スタミナの量は最高速をどれだけキープ出来るかに関わるステータスで、私みたいに最高速であるスピードがどうしようもないウマ娘でスタミナも無いってなるとめちゃくちゃキツイ。
ただドリームリーグで走ってるスーパークリークに死ぬ気で頼み込んだおかげでコーナー回復が取れたのは本当にありがたい。私に出来ることは他の全員ペースを乱してスタミナを削って抜きん出てる娘をバ群に埋もらせるしかないのでラップタイムは遅くなりがちだし、中距離の中では一番短い2000mになったのも恵まれてる。
うん、私は恵まれてる。だから絶対今日は勝つ。
いつものことだけど、今回は一人も私よりステータスが劣ってる娘はいない。中でもキツイのが秋シニア三冠を達成したオペラオーちゃんとテイオー世代でまだ現役を続けてるネイちゃんだなあ。二人ともスタミナ賢さがS、パワーがA+あって生半可な削りじゃ体力を残されちゃうしバ群から抜け出せないこともないだろう。
とりあえずあの二人が固有発動出来ちゃったら勝つ見込みゼロだなあ。あの二人が特にヤバイだけでマーベラスもカフェちゃんもヤバイしいつもどおりほっそい勝ち筋しか残ってないんだよね。
でも、この冠を被ったことがある娘はいない。対等だ。
じゃあ私が勝ってもおかしくないじゃん。最高だよ今日は。
『────、──、さあここで──番人気、大外18番サラブレッド! トゥインクル・シリーズメイクデビューから九年間、数多くの名レースを時代も場所もライバルも超えてターフの上で作り続けた生きる伝説! 今回のレース後の引退を表明しているウマ娘である彼女のラストランをひと目見ようと駆けつけたファンも多いのではないでしょうか!』
『いやあ、私達からしてもこんなにも長くG1戦線で戦い続けてるウマ娘ははじめてですから、私情が入ってしまいそうになりますね。ピークを過ぎて最盛期からすると身体能力に衰えは見えますが、予選準決勝と勝ち進んだのを見ると、もしかして、を期待してしまいますね』
『はい、さあ彼女の長い長い旅路の果てを待つのは何なのか! URAファイナルズ決勝戦、いよいよ開幕です!』
ぱぱぱぱー、とファンファーレが鳴らされる。今私何番人気って言われたんだろ、まあこの世界ではステータスの高さじゃなくて普通に人気度で何番人気か言われるから指標には使えないからどうでもいいんだけど。
それぞれのウマ娘がゲートインしていく。少し立ち尽くし、皆の後ろ姿を見てから私もゲートに向かう。もう何度目になるかな、この景色。メイクデビューから、それこそ50戦くらいしたのかな? 戦績なんてあんまり覚えてないけど、このターフの上で、まっすぐ前に視界が狭めれるこのゲートインという瞬間は嫌いじゃない。
これで最後になるのかあ。
『さあ、各バゲートに収まりまして』
いかんいかん、ぼぅっとしてるぞ私。さあ、泣いても笑っても、
ゲートが拓く。最後の挑戦だ!!
『スタートしました! さあするするっと抜け出したのは一番ダイワスカーレット、単身飛ばしていきます。
そこから二バ身離れて十三番テイエムオペラオー、そこからさらに二バ身程離れた場所でバ群が形成されています。やや縦長のレース展開になっていますが、どうでしょうこの展開?』
『テイエムオペラオーがかなり前めにつけて来ていますね。彼女に限って無いとは思いますが、この大一番、もしかしたらかかっているかもしれません』
『なるほど、さあ第一コーナーを回って直線へ向かう。一番十三番に続きバ群の先頭に立つのは三番ナイスネイチャ、あっと十五番メイショウドトウも上がってきた、バ群の位置が上がってきていますバ群の先頭にテイエムオペラオーが立つ形となって進んでいきます!』
『ハイペースなレースになってきていますね、スタミナが持つと良いのですが』
『逃げるダイワスカーレット、テイエムオペラオーがバ群を率いて進んでいきます外からメイショウドトウが上がってきた! サラブレッドはバ群後方最後尾から三番手にて控えたままだ、ここから誰が仕掛けるのか! さあ直線が終わり最終コーナーへと進んでいきます!』
いいね、想定通り。
スカーレットちゃんはまだクラシック級だしバ群に呑まれるくらいなら逃げを打つっていう選択肢で逃げの作戦1人だけ、他の娘はオペラオーちゃんをマークするための先行10人、差しが私含めて5人、追込が2人。
オペラオーちゃんは自慢のスタミナにかこつけて先行から抜け出そうとしてくると、周りの娘はそりゃペース上げて前に立とうとするよ。ただ最終直線で競り合いになったら止められないってみんな分かってるでしょ? コーナーに入る前になんとしてでもブロックしようとしてくるだろうね。
いやあネイちゃん怖いわその八方にらみ。皆外から前に出ようとしてる時にそんなことしたら冷静にはいられないでしょほんと怖い。コーナーに入る前に前方のドトウちゃんオペラオーちゃんに囁いてたよね? 全部使う、っていう本気の本気で来てくれてる気迫、かっこいいよなあ本当。
ネイちゃんのが一番効いてると思うけど、カフェちゃんやマーベラスからも気を抜いてたら刺すっていうプレッシャーがビリビリ感じる。それすらも高揚に変えるのが世紀末覇王たる所以なんだろうけどね。かっこいいなあ本当、最高だよやっぱり。
でもどけよ。ここは私の道だ。
ネイちゃんには遠く及ばないだろうけど私も八方にらむ。どれくらい効果があるかはわかんないけど、オペラオーちゃんの前に行こうとして外に意識が寄っている皆の内、内、さらに内。
スピードも遅ければスタミナも無い私は少しでも走る距離を短くしなきゃいけない。だからまあ同期のハードバージの猿真似、理想にするのはゴルシワープ、コーナーを回る時に一切膨らまないようにする。前にどれだけ内を走ってる娘がいたとしても関係ない、だって私達ウマ娘だぜ?
ステータスが低い私の狡いやり方。コーナーを無理矢理最内を通り最短距離で前へ、前へ!
視界が拓ける。コーナーの外ではかなりの攻防があったみたい、スカーレットを抜かしてオペラオーちゃんが先頭へ。汗も酷いし簡単に抜けれたわけじゃなさそうだ。二番手にネイちゃんがつけてる。こっちも前にオペラオーちゃんのブロックに回ってた沢山の娘を躱してきたはずで、最終直線に入ったばかり、残り500mはあるはずなのに二人ともかなり疲労しているように見える。
がひゅ、と息が一瞬詰まる。くそ、めちゃくちゃ楽して走ってたのに私のスタミナもつきかけか。本当にクソザコだなあ私。
でも、ここから前の二人は加速出来ない。先頭を走るうちはオペラオーちゃんの固有は発動しないし二着になってるネイちゃんもしかり。だから、全力でためらわせる。
私がいるぞ。私がいるぞ、私がいるぞ!
コーナーが終わる瞬間、息を入れる。コーナー回復、してるのかなこれでも少しだけ楽になった。あとは私はもう速くなれない、けど、けど、勝つ!
走る。もう何も小細工出来ない、ステータスの勝負。でも私は息を入れれた、二人は苦しい展開がずっと続いてたはず、これで、私がスタミナが尽きるまで、二人の根性が尽きるまで。走るんだ!
走る。背中が遠い。
走る。少しだけ近づいた。
走る。まだ近づける、まだゴール板は来ない。
走る、走る、走る────
並んだ。
「あ」
瞬間、がくんと膝から力が抜ける。そんなわけない、走る、ああ足が重い、嘘だ嘘だ、走れバカ。
「ああ」
スタミナ切れだ。ああ、嘘でしょほんと何だって私の身体はこんなに弱いんだ。
もうゴール板は見えてるんだよ。残り200も切ってるんだよ。なんでこの距離を走れないんだよ!
スタミナが切れてるなら根性で走れよ。なんだよ根性300って、私の「勝ちたい」がこんな少ない訳がないだろ!
ねえ頼むよ、神様、三女神様、ここだけでいい。ここだけでいいから、お願いだから私を、私を────
『────、今一着でゴールイン! URAファイナルズ決勝を制しました! 今ここに優駿たちの頂点が誕生です!』
『二着────、三着────、────が四着五着と続きました、18番サラブレッドは惜しくも入着出来ず、────』