西住家のOUTSIDER〜〜愛を知らない少年の物語 作:ボノぼん
妹達の嫌がらせから一週間が過ぎた時俺の体に異変が起きた。普段聴こえる物が
聴こえなくなった。嫌、聴こえるのは聴こえるが、左耳の方だけだった。右耳の方は少しも、
嫌ほとんど聴こえないと言っていいだろう。でも俺はその事を話すことが出来なかった。
だって信じてくれないのだから。一度母親に話しかけられた時に右耳から話しかけられたので、
ほとんど無視の状態で歩いていた時に肩を掴まれながら言ったが、
まるっきり相手にしてくれなかった。何度も何度も繰り返して言うのに、
言い訳をするなと言われる日々だった。
後右目の事だがまだ眼帯を外す事はしなかった。外そうとすると、何故か痛みが走るからだ。
当分は外すことは出来ないと思う。そんなことを考えながら今日も学校へ行く。
今日もいじめられるのだろう。何をやられるのだろう。馬乗りで殴られるのか。
それともバケツの水をかけられるのか。そう考えるだけで虚しい気持ちになる。
元々虚しいが。そう思いながら教室のドアを開けた。
ドアを開けると、皆一斉に見るもすぐさま視線を元に戻した。よく見ると今日は石田が
いなかった。太田と江藤しかいない。2人は俺を見るとニヤっとしながら俺の方へやって来た。
一体なんだろう。
「おい彰ー!何だよその眼帯」
「東京喰種の金木研か?」
「・・・・・・・・・」
「おい聞いてんのかよ!」
「無視すんじゃねぇよ!!」
「・・・・・・・・・」
俺は無視を続けた。コイツらは石田がいなければ暴力など振るう度胸も無いと知っていたからだ。
そうコイツらは石田がいる時しか暴力を振るわなかった。
太田と江藤を無視して机に荷物を置こうとした瞬間、
バキッ
「!?」
「彰・・・俺ら2人を無視するお前が悪いんだからな」ブルブル
「そうだ!テ、テメェが悪いんだからな・・・」ブルブル
2人は体を震わせながら俺を見つめていた。よく見ると手には特殊警棒を持っている。
その瞬間俺の頭からすーっと血が流れていた。そしてゆっくりと意識を失った。
意識が無くなる前に2人の顔を見ると2人は顔を青ざめながら俺を見て笑っていた。
次の瞬間俺が目を覚ました場所は保健室だった。
よく見るとベッドで寝かされていたのか体が横になっていた。
俺は保健室の先生を探そうと起き上がった瞬間突如頭に電気が流れた様な痛みが走った。
慌てて頭を触ると包帯が巻かれていた。そんなことをしていると、
起きたのねっと先生がやって来てくれた。俺は先生に何があったのかと聞くと
先生は優しく頬を緩ませながら落ち着いた声で伝えてくれた。
俺がここに運ばんで来たのは太田と江藤だったらしい。俺はそれを聞いて耳を疑った。
だって俺を殴った奴らだったからだ。しかし、先生が言うにはこうだった。
「西住君が机の角に頭をぶつけったって太田君と江藤君が言っていたわ」
「!!?」
そう聞いた瞬間俺はベッドのシーツを思い切り掴んだ。奴らがどこまでも糞だったというのも
よく分かった。自分がやったことを違うことに塗り替えるような奴らに俺は感情を出した。
そして決意した。アイツらを“殺す”ことを。
■
「おい彰!!俺達をこんなとこに呼び出すとはいい度胸してんな」
「いい度胸してんのはお前らだろ・・・」
「あ!何だ!小さ過ぎて聞こえねぇーぞ」
「お前らだろって言ってんだよ・・・」
俺は保健室で安静しておけと言われたがこっそりと抜け太田と江藤2人を昼休み中体育館裏に
2人は最初何を言ってんだっと言わんばかりの顔をしていたがすぐさまあの憎い顔をしてついて
来た。俺はここに来る前にポケットにハサミを入れた。コイツらの顔に傷をつけてやろうと
思って。
「お前ら・・・保健室の先生に嘘ついただろ?」
「あー!当たり前だろ。わざわざ自首する奴がどこにいる」
「保健室に連れて行ってあげたぐらい感謝しろよ!」
「感謝しろだと・・・!」
やっぱり許せない。コイツらには謝罪という言葉すらない。もういい。コイツらを殺してやる。
そう思っていた瞬間俺は2人に突っ込んでいてポケットからハサミを出していた。
2人は俺がハサミを出した瞬間あの憎い顔が一気に青ざめた。俺はまず太田に標的に捉えた。
そして太田を殺した後に江藤をやろうと考えた。
「死ね!!!!」
顔が青ざめている太田の懐に入りハサミをグッと握って刺そうとした。
この距離なら必ず腹に刺さる。やった!殺せる。そう頭の中で思って力を入れた瞬間、
「おい!!何やってる西住!!」
「え!?」
「先生!!」
何と目を向けた先には先生達がやってきたのだ。何でだ。姿は目眩ませてはずなのに。
それなのに先生達は太田と江藤の身を確保した後突如俺の頬に1発拳を入った。
「ガハァァ!!」ドサッ
まともに入った後よろめいてしまい、尻餅をついてしまった。
その隙を逃さず先生は俺を拘束した。
「このバカ野郎が!!殺す気か!?」
「くっ!!」
「先生怖かったよ!!」
「本当に殺されると思ったよ!」
「そうかい。もう安心していいからね」
「「はいっ!!」」
何がはいっだよ!俺のこと警棒で殴ったくせに何でアイツらのこと守ってんだよ!
おかしいじゃないか!
「離せよ!俺はアイツらに警棒で殴られたんだよ!!」
「貴様せっかく保健室に連れて行ってくれた太田と江藤に何を訳の分からんことを言うんだ!!」
「ぐっ!!」
先生はそう言うと更に拘束を強めた。すると、段々意識が霞んでいった。
嗚呼、この世は不安定だ。何で皆俺だけにこんな事をするんのだろう。
嗚呼、憎い。何もかもが。そう思って太田と江藤の顔を見ていた。
その時俺は絶対忘れなかった。2人の顔に僅かに俺に対しての笑顔を見せたことを・・・。
■
家に帰ると日が落ちるまで自分の左耳には怒声と罵声しか響かなかった。
「彰!やっていいことと駄目なことぐらい分からないの!?」
「違うよ!・・・その前にアイツらが俺を警棒で・・・」
「彰!嘘をついたって助かると思うなよ!!」パチン
「痛っ!!」
父親から平手打ちをされた。それに続くばかりに母親からの平手打ち。何で・・・おかしいよ!
自分の息子の言う事が信じられないの!信じてよ!
「もういいわ。あなたにはもう言っても無駄の様ね。今日の夕飯は食べなくていいわ」
「え!?」
「え!?じゃないだろう!!」バキッ
「グハァッッ!!」ドサッ
父親が俺に対してフックを入れた瞬間説教は終わった。おかげで今日の夕飯無しになった。
殴られた場所を両手で抑えながら廊下を歩いていると、
「相変わらず痛がるのは上手だな」ドゴッ
「痛っ!!」
突如誰かが後ろから蹴りを入れて来た。振り返ると俺の右耳を潰した妹がいた。
あからさまに俺を軽蔑している。
「お兄ちゃんボコみたいだよ!」
「・・・うるせぇよ」
その後ろにはもう1人立っていた。俺がボコだと・・・。コイツふざけてやがる。
そう思っていると後ろから、
「おい。私の妹に向かってなんていう口の聞き方をしているんだ。このおじろくが!!」バキッ
「ッ・・・」ドサッ
思い切り腕を振られたパンチが鼻に入った。鼻から鼻血が出ている。
そして続け様に馬乗りで数発殴られた。殴り終えるとまるでお決まりの様に俺の頭を踏みつけた。
「お前みたいなおじろくの分際は、“生きる価値”もないんだ。
お前は一生私とみほのおじろくとして生きていろ」
そう言うと俺の腹を蹴った後妹を連れて夕飯を食べにいった。
たまに聞こえてくる嬉しそうな声を聞いていると思わず目から涙が溢れていた。
分からない。何度も拭っても溢れる。
「坊ちゃん・・・」
菊代さんは遠い所から俺を見ていた。多分どう声をかければいいか分からなかったのだろう。
顔を引きずっていたから。
もう寝るまで何もすることが無かった俺は風呂に入り、上がった後自分の部屋に障子を開けた。
布団を敷いた後俺は意識が無くなったように倒れ、死んだ様に眠った。
■
眠っている間俺は恐ろしい夢を見ていた。
「消えろ」
「ゴミ」
「厄介者」
俺は両手で耳を塞ぎながら座っていた。そして俺を囲んでいるかの様に家族を始め、
学校の先生や石田達が俺に向かって口々に暴言を吐いていた。
「何でこれが出来ないんだ!!このゴミめが!!」
やめて。
「あなたの様な最後まで嘘をつき続ける子など私は知らないわ」
やめて。やめて。
「お前には戦車の整備の仕方を口が酸っぱくなるまで言ってやった。
それなのに分からないなんて・・・お前は病気か?」
何で俺だけ・・・。
「雑魚彰は一生私たちの飼い犬だ」
「お兄ちゃんってホント迷惑しかかけないんだね」
うるさい・・・黙れ。
「先生はお前みたいな屑なんかと一緒に授業なんてしたくないんだ!少しは石田君を見習え!!」
何でそんなこと言うの・・・。
「やーい!お前は底辺。俺は頂点だ!」
「彰!!テメェは一生俺らの子分だ」
「しっかりとよく命令を聞いていろよ」
嫌だ。子分なんかじゃない。俺は・・・。
「彰」
やめて。
「彰」
やめて。
「彰」
やめて。
「雑魚彰」
「お兄ちゃん」
やめろ。
「西住!」
やめてくれ。
「おい子分!」
「子分!」
「返事しろよ!」
やめて・・・。
「「「「「「「「「彰」」」」」」」」」
やめてくれ!!!!!!
「う・・・うわぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!」
突如俺じゃない男のうめき声と悲鳴が俺の口から出た。あり得ないぐらい大きな声を出しながら。
■
「はっ!!はぁはぁはぁはぁはぁ」
次の瞬間俺が目を覚ました場所は真っ黒な部屋ではなく太陽の光によって照らされた
自分の部屋だった。
「くっ!!!」
今日は土曜日だ。ゆっくり起き上がって絵を描こうと思い起き上がっただけなのに
体中に電気が走った様に痛みが響く。が、すぐに何事もなかったかの様に痛みが無くなった。
障子を開け、廊下に出て俺は洗面所に向かっていった。でもこの時違和感に気づいた。
「あれ?右目が見えない」
前まではまだ眼帯を外してもぼんやりとしか見えなかった右目がまるで絵の具の黒色で
塗りつぶされたかの様に全く見えないのだ。どう言う事だと思い少し早歩きに動く。
早歩きの間俺は幾度も家の女中とすれ違った。女中は俺を見ると、皆驚いて顔をして俺に
バレないようすぐさま表情を変える。一体何が起きてるんだ・・・。
そう思っていると前から菊代さんがやってきた。
「おはよう御座います。坊ちゃん」
菊代さんはいつも通りに挨拶をしてくれる。じゃあ何で皆驚いていたんだろう。
「朝食の用意が出来ていますが、どうなさいます・・・・・・・・・え?」
突如菊代さん顔が優しい微笑みから驚きの顔に変わった。
「ど、どうしたの?」
「え・・・坊ちゃん・・髪が・・・・・・髪の毛が・・・」
髪の毛?髪の毛がどうかしたのかなぁ。
「髪の毛が・・・・・・いつもの黒色と違って“真っ白”に・・・」
「え!?」
髪の毛が・・・真っ白?ねぇふざけてるんでしょ・・・。でも菊代さんの顔からは驚きが隠せていない。
その直後もう1人女中がやって来た。菊代さんはもう1人の女中がやって来るのを見ると
急に走りながら女中の肩を持って、
「ねぇ!鏡を持ってきて頂戴!!坊ちゃんの!彰坊ちゃんの髪が!!」
「え・・・あ、はい!」
女中は菊代さんの言う通りにして鏡を取って来てくれた。数分経つと先ほどの女中が鏡を
持ってきて、やって来た。女中から鏡をもらった菊代さんは恐る恐る俺を鏡に写した。
俺も一体何が起きてるのか全く分からないのでゆっくりと目を開けた。すると、
「え・・・・・・」
何とそこには昨日まで黒かった俺の髪が雪の様に白い白髪になっていた。しかし俺は髪だけに
驚いていなかった。右目の網膜が赤くなっていてまるで化け物の目の様になっていた。
俺は鏡に映る自分を受け入れることが出来なかった。そしてゆっくりと息をしていたのが
段々と早くなり過呼吸へと変わっていった。過呼吸になった俺は目を真っ白にして意識が飛んだ。
「坊ちゃん!!」
菊代さんは俺の肩を何度も叩くも俺の意識が戻らない。
「ちょっと!!救急車を呼んで頂戴!急いで!!早く!」
菊代さんの焦りに皆驚いたのかすぐさま行動に動いた。
「坊ちゃん!しっかりして下さい!!今救急車を呼んだので」
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
菊代さんの声を遮る様に俺は過呼吸を荒くしていた。俺は心の中でしきりに呟いていた。
《絶望》
絶望。それは、希望を失うこと。全く何かに期待出来なくなることだと略されるが、
今の俺にふさわしい言葉だった。
だって・・・戻ると信じていた左目があんなグロテスクの目になっていたのだから
俺にとって絶望の淵だった。
その後救急隊が大急ぎで駆けつけて俺を運び病院へと運び込んだ。
如何でしたか?今回は、まず最初の伏線を回収しました。
次の朝に髪が真っ白になるなんて私なんか幽体離脱してしまいますよ・・・。
次回は4月に投稿予定です。もしかしたら遅れるかもしれません。
ではその時までお楽しみに。。
!!See you!!