西住家のOUTSIDER〜〜愛を知らない少年の物語   作:ボノぼん

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どうもボノぼんです!
今回でこの作品が大きく動きます。
彰を変える男が現れる・・・。

それでは3,2,1どうぞ。


再闘(リベンジ)

明日から2学期が始まる前日、俺は特訓をしていた。

 

 

「ふっ・・・!はぁっ・・・!ふっ・・・!」

 

流石に腕立て100回を休まずにするのはとても苦しい。それも拳立てとなると更にだ。

これが終わると次は腹筋100回、ランニング30分、そして、打ち込みだ。

 

俺は、鑑別所を出所した日と比べてかなり筋肉がついた。

以前は棒切れの様な腕が今は塊を付けているのかと思うぐらいの筋肉がついた腕になった。

それは腹筋も変わらない。でも、腕と腹筋よりもよく変わったのが、拳だ。

 

どう変わったかというとまずとても分厚くなった。

そして、以前よりも強くて破壊力があるパンチが打てる様になった。

一応ランニング中にわざとぶつかって悶着が起きた時も

たった1発顔に拳をぶつけただけで相手は鼻血を出していた。

 

殴るたびに・・・血が・・・疼いてたまらない・・・!!

 

そんな心を持った俺だが、明日からいよいよ学校へ復帰となる。

 

もう誰も俺の邪魔をする奴はいない・・・。思う存分にイジメてやる。

そうと思いつつ拳立てを終えた後、腹筋に移った俺だった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんっ!・・・ごくんっ!・・・あむっ!!」

 

今日全ての特訓を終えた俺は用意された夕飯を食べていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

両親に凝視されている事に気づかずに俺は箸を止めなかった。

もちろん妹共も俺の食い意地に気が引いている事も気づかずに。

 

「ふー・・・・・・」

 

そして、おかわり3回した後俺は手を合わせて自分の部屋へと向かった。

母親じゃない。作ってくれた家政婦の人達に。

あんな奴らでも作ってくれた事には感謝している。上辺だけだが。

 

自分の部屋に着いた俺は、小さく息をしてゆっくりとうつ伏せに倒れた。

最初はうつ伏せだったが、途中から仰向けになり、天井を見上げた。

 

(明日から学校か・・・)

 

本当何ヶ月ぶりだろう。最後に行った日は4月だったはず。だとしたら、5ヶ月ぶりだ。

 

(フフッ・・・どうイジメてやろうかなぁ・・・・・・!)

 

まぁそんなことはどうでも良い。明日、クラスの奴らをどうイジメてやるか楽しみだ。

不敵に笑いながら俺は、待ち遠しい気持ちを持ちながら目をゆっくり閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふはぁ〜〜!あぁ眠てぇ」

 

翌朝、俺は珍しく朝1番に身支度をして妹共より先に家を出た。

理由は分からない。もしかしたら早く学校に行きたかったのかもしれない。

 

まあ、そんなことどうでもいいか。しばらく歩くと見覚えのある建物が見えて来た。

俺はその建物の入り口をくぐりゆっくりと中へ入っていた。

 

コッコッコっと音を鳴らしながら階段を登っていく。

途中何人かの教師達とすれ違う度に2度見された。

そして、目的の階に着くとそこからは教室に向かって歩いた。

とは言っても目の前なんだが。

 

教室に着いた俺は目の前の戸をガラガラと音を立てながらゆっくりと開けた。

 

戸を開けた瞬間、賑やかだったクラスが一瞬にして静かになった。

以前は騒ついていた癖に今度は黙り込みやかったか。情けないカス共だ。

俺は自分の席へと進んで行く。生憎俺の席は変わっていなかった。

ランドセルを下ろして、椅子に座った俺はランドセルから

教科書などを取り出して中に入れ始めた。

 

「ねぇ・・・何で西住が学校に来てるのよ・・・!」

「知らない知らない!意味分かんないわよ・・・!!」

 

途中、2人の女が俺に向かって何かボソボソと呟いていた。

ギロッと睨むと奴らは面白くヒッ!っと声を上げやがった。面白い。

 

教科書をしまい終えたと同時にガラガラと誰かが戸を開けた。

先生だ。先生は、チラッと皆の顔を見た時に偶然と俺と目が合ったのか、一瞬びっくりしていた。

 

しかし、すぐさま顔色を変えて教壇の前に立った。

 

「えー・・・皆おはよう!!今日から2学期が始まりまるね。

 夏休みも直ぐに終わっちゃったな!先生は、

 夏はバテてかき氷100杯食べちゃってお腹壊しちゃったよ笑」

「「・・・・・・・・・」」

 

多分、皆笑っている場面だったかもしれない。

でも、誰1人とも笑った奴はいなかった。俺というモノが教室にいるからだろう。

 

(早く終われよ・・・)

 

俺は椅子を傾けながら、そう思っていた。

 

「さて、挨拶はここらにして今日は重大な発表があるんだ」

「何と、今日からこのクラスに転校生がやってくることになった」

「!?」

 

何、転校生?何処から来た奴なんだ。急な発表に俺はびっくりした。

もちろん周りの奴らも騒ついていた。

 

「じゃあ、今から転校生から挨拶をしてもらおうか!どうぞ入って来て」

 

先生は戸に目を向けた喋った。皆も戸に一点張りなった。

俺も少しは気になる為、ジッと見つめていた。

 

「失礼しまーす!!」

 

すると、大きな声が響いた。そして、ガラガラと音を立てながらゆっくりとその姿を現した。

 

(どんな奴だ・・・)

 

俺をジッと今から入ってくる転校生を見つめていた。

しかし、次の瞬間俺は衝撃的な事を知った。

 

何と目の前にいたのは、

 

「シシッ・・・学校なんて何ヶ月ぶりかな笑」

 

髪は金髪で、片耳に「暴」ともう片耳に「愛」と描かれた太極図の耳飾り・・・。

俺はそれだけで直ぐに分かった。

 

(429番・・・・・・!!!)

 

そう、俺が鑑別所に居た時に唯一負けた相手だった。

奴の姿を見た途端俺の中の赤黒いモノがぐつぐつと煮え始めた。

 

「えー今日からうちのクラスに転校して来た黒田明宏君だ」

「チワッス!!今日から転校して来ました黒田明宏って言います!

 好きなスポーツは野球です!よろしくお願いします!!」

 

そう言うと、429番は頭を90度に下げた。

皆少し騒ついている。まぁ、無理もない。

金髪で耳飾り付けた奴が転校して来たんだからな。

 

「じゃあ黒田君、君は・・・あそこの席に座って」

「はい!!」

「!!」

 

先生は429番に座る場所を指差した。何と、俺の右斜め前の席。

俺は、こちらに向かってくる429番をジッと見つめていた。

すると、奴も誰かに見られているのに気づいたのかこっちと目が合った。

 

「うん?」

(気づきやがった・・・)

「何だよ・・・・・・ってもしかしてお前・・・」

「よう、久しぶりだな」

 

その瞬間、俺は椅子から立ち上がって奴に近づいた。

無論、奴も近づいて来た。来るなら来い。今の俺はあの時とは違う。あの時とは・・・

 

「やっぱり!!お前あん時喧嘩した奴じゃんか!!!」

 

ガシッ!

 

「!!」

「お前ここの学校の野郎だったのかよ!?それだったら最初から言えよー!!」

(は・・・・・・・・・??)

 

何と奴は俺の肩を掴んできた。それは攻撃ではなく普通に親しみを込めての・・・。

俺は429番が何をしているのか全く分からなかった。

 

「おい!何してる西住!!席につかないか!!!」

 

それを見ていた先生は何故か俺だけに叱責して来た。

 

「大ー丈夫ですよ先生!俺こういうの慣れてるんで!」

「イヤ、しかし・・・」

「大丈夫って言ったら大丈夫っすよ!!」

 

しかし、429番が先生を宥めた。コイツ・・・いちいち鼻に付く野郎だ。

俺は429番が先生に何か言ってる時そっと奴の耳にこう呟いた。

 

「今日の放課後・・・俺とついて来い」

 

そう呟いた後俺は奴の腕を肩から引き剥がし、自分の椅子に座った。

 

(今に見てろ・・・・・・・・・必ずぶっ殺してやる・・・)

 

そう心の中で呟いた後、体中が赤黒いモノに包まれていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

その日の放課後、俺はじっと校門の前で429番を待っていた。

今日は新学期初日ということもあってか、午前中で授業は終了した。

他の奴らは早く帰りたいのか焦って帰っていた奴らや

ガヤガヤと大勢になって帰って行った奴らもいた。

 

しかし、俺は違う。なぜなら、

 

「ん?」

「悪りぃー・・・・・・小便かましてたわーー笑笑」

 

コイツとケリを着けなければいけないからだ。

 

「お前・・・ちゃんと聞いていたんだな」

「当たり前じゃん。で、何か用?」

「ここじゃ場が悪い。ついて来い」

 

そう言うと、俺は歩き始めた。429番も俺の後を追って歩き始めた。

 

 

しばらく歩きようやく目的地に到着した。

 

「おい・・・ここって・・・」

「工場だ。もう何十年も前に潰れたけどな」

 

そう言い、俺は工場の中へと入って行った。

中は殆ど何も無く広々とした空間だけが取り残されていた。

俺は、そこにランドセルを下ろして429番の方へと体からを向けた。

向こうもランドセルを下ろして俺の方を向いていた。

 

「あのさ、今からここで何すんの?俺早く帰りてぇんだけど」

「今からテメェを殺すんだよ。429番・・・・・・」

「殺す?俺をか?笑わせんなって・・・それに・・・」

「何だよ?」

「もうとっくの前に勝負は決まっただろう?」

 

欠伸をしながら429番は俺を見つめてそう言った。

その時、得体を知れない何かが俺の頭の中に入って来た。

そして、次の瞬間、

 

「それに俺は、お前と仲良」

 

バギッ!!

 

「グハァッッ!!?」

 

ドサッ

 

俺は目にも止まらぬ踏み込みで429番の顔面に拳をぶつけていた。

 

「諄いんだよ・・・さっきからよ・・・・・・」

 

俺は拳の骨を鳴らしながら、429番に詰め寄った。

すると、向こうもようやく理解したのか反動をきかせて立ち上がった。

 

「・・・・・・分かったよ。この喧嘩買ってやるよ・・・行くぜっ!!!」

 

そう言うと、429番は俺よりも更に速い踏み込みを見せた。

 

「来いっ!!!!」

 

俺は奴の攻撃に備えてクロスガードした。

 

「うおおりゃーーーー!!!!」

 

ドガッ!!!

 

「くっ!!」

「全力で行くぜ!」

 

バギッ!!!

 

「カハァッッ!!!??」

「もう一丁!!」

 

バギッ!!!

 

「カハァッッ!!!!!」

 

くっ、やっぱりコイツ強い。最初の飛び蹴りは耐えれたが、

後からのボディ2発は交わしきれなかった。

 

でも、このまま殴られてままじゃ前と変わらない。

 

「これでも喰らえっ!!!」

 

バギッ!!!!

 

「くっ!!!」

「くたばるにはまだ速ぇーよっ!!!」

 

ドガッ!!!

 

「ブフッッ!!!」

 

俺は、奴の顔面目掛けて膝蹴りを喰らわせた。途端に奴の鼻から血が垂れてきた。

それを見た俺は黒い笑みを浮かべたが、突如腹に激痛が走った。

 

「うっ!!!!?」

「ヘヘッお前に膝蹴り貰った時にボディに1発入れてやったぜ」

「ちっ!!糞っ・・・・・・」

 

腹を押さえながら、俺は429番を睨みつけた。

 

「・・・・・・・・・まさか鼻血が出るとは・・・お前少しはあん時と違うじゃないか?笑」

「うるせぇ・・・知った様な口使うんじゃねぇよ。俺はテメェには負けない」

「そっか・・・・・・まぁさっきの1発を凄かったよ。でも、それもいつまで続けられるかな!!」

 

突如、アイツが今まで以上の踏み込みを見せた。

 

「俺は負けない・・・・・・負けたらダメだ・・・・・・・・・絶対・・・負けるかよ!!!!」

 

俺も負けじと奴と変わらない速さで踏み込みを見せた。

 

「うおおおおおーーーーー!!!!!!!」

「うおおおおりゃーーーー!!!!!!」

 

互いに叫びながら、俺達はぶつかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから何十分殴り蹴り続けたか。

俺達互いに殴っては倒れてを繰り返し、殴られては反撃と延々と続いた。

 

そして、

 

「ハァハァハァ・・・・・・お前まだ立つのかよ・・・・・・ハァハァ」

「そっちこそ・・・早くくたばれよ・・・・・・ゲホッゲホッ!!」

 

お互い顔が腫れあがり、血まみれになった姿で立っていた。

さっきまでペラペラと喋っり合っていたのにも関わらず、今は2人共無言で見つめ合っていた。

 

(もう後がない・・・・・・こうなったら1発アレに賭けてみるか・・・)

 

はっきり言ってもう殴る力も無い・・・。それはアイツも同じだろう。

そう考えた俺はゆっくりと深呼吸し始めた。少しでも楽になるために。

一方429番は俯きながら、深呼吸をしていた。

 

(スーーッ・・・ハァーーッ・・・ハハッまさかこの俺がここまで

 追い詰められちゃうなんて・・・・・・アイツマジでスゲェや・・・!!)

(でも、こっちだって負ける訳にはいかない・・・・・・こうなったらアレに賭けてやるぞ・・・)

 

そう心の中で呟くと、奴は顔を上げて俺の方へ向き直した。

俺も深呼吸を終えて奴と向き直した。

そして、数分の沈黙の間俺達は睨み合った。

 

(負ける訳にはいかない・・・絶対負ける訳には・・・)

(果たして上手くいくかな?・・・・・・)

 

お互い何かを考えた後・・・一呼吸入れた直後だった。

 

「行くぞーーーー!!!!!!!!」

「うおおおおーーーーー!!!!!!」

 

俺達はほぼ同時に踏み込みを見せた。

しかし、そんなこと関係ない。

 

「うおおおーーー!!!!!!!」

「これでも喰らえーーーー!!!!!!!」

 

俺は右拳を構え始めた。それと同時に429番からの右フックが来た。

 

(よし!!今だ!!!!)

 

しかし、俺はそれを待っていた。近づいてくる右フックを紙一重に避ける。

 

「何!!!!????」

 

これには奴も驚きを隠しきれなかった。

俺は右フックを避けた後素早く奴の懐に入り、

 

「死ねっーーーーー!!!!!!」

 

バギッ!!!!!!!

 

全体重を乗せた右拳を思い切り429番の顔面にぶつけた。

 

「グハァッッッ!!!!!!!!!!」

 

俺の渾身の右拳を喰らった429番は、面白く吹っ飛んでいきくたばった。

それと同時に俺も両膝を下ろした。

 

「き、決まった・・・・・・俺のジョルトカウンターが・・・・・・」

 

雑誌で読んで知ったカウンターがまさか成功するとは思ってもいなかった。

それぐらい俺は追い詰められた。

 

「くっ!!!・・・・・・・・・」

 

何とか立ち上がれたもののやはりダメージが酷い。

 

(早く帰ってシャワーでも浴びて寝よう・・・・・・)

 

そう考えていた俺は、ランドセルを下ろした場所に戻ろうとしていた。

 

そう、正にその時だった。

 

 

 

ダッダッダッ!!!!!

 

「?」

 

突如誰かが走っている足音が聞こえた。まさかとは思い後ろを振り返ると、

 

「オイオイ・・・・・・まだ勝負は決まってねぇよ!!!」

「!!!????」

 

何とあの429番だった。何でだ。さっきくたばった奴が何で___

 

「うおりゃーーー!!!!!!!」

 

俺がぼーっとしている間に奴はジャンプして両足を突き出し、

 

「喰らえーーー!!!!!ドロップキックじゃ!!!!!!!」

 

ドガッ!!!!!!!!

 

「ブフッッッ!!!!!!?????」

 

429番のドロップキックをまともに顔面で受け取ってしまった。

全体重が乗っているのか、顔面が深く沈んでいく。

 

「ガハァッッ!!!!!!!」

 

ドロップキックを喰らった俺は激しく吹っ飛び、奴から数m離れた所に転がり込んだ。

 

 

 

 

 

 

そこで、俺の意識はシャットダウンした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい!今回はここで終わります!!
再会と同時にリベンジに臨んだ彰。

しかし、結局は油断していた所を狙われてしまいました。
次回はその後の話から始めたいと思います。

黒田明宏・・・一体彼は何者なんでしょうね笑笑。
どうして彰に興味を持ったのか、それは後々わかるので楽しみにして下さい。

それではここらで終わらせて貰います!

じゃあ次回も夜露死苦!!
 

                  !!See you!!

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