魔法少女リリカルなのはStrikerS~紅き英雄の行方~ 作:秋風
前回の投稿はえーっと……7月、という、半年空いてしまいました
本当に申し訳ない
小説の殴り書きみたいなことは家でチラホラやってはいるものの、どうにもモチベーションが上がらず、ぐだぐだしていたら時間が過ぎていました。
ソシャゲの周回はグダグダしながらもやるくせにね
前に言っていた、ゼロがカルデアに召喚されて一緒に人理修復する小説を書こうか悩み中。とはいっても、まだなーんも固まってないので、そちらは投稿するかも怪しいです(汗
Fate/Grand order知らない人にはなんのこっちゃとなりそうですが、要するに別小説書いちゃおうかなとか思ってるわけです
さて、今回は機動六課の夜ということで新規描き下ろしです
なのは、スバル、ティアナたちはどうなっていくのか……それぞれを前編、後編に分けました
それと、随分間が空いているので色々おかしいところもあるかもしれませんが、その都度ご指摘いただければ幸いです
毎度のことならが遅い更新になりますが、本年度もよろしくお願いいたします
あ、後、相変わらず感想、評価の方お待ちしております
機動六課 シエルの研究室
「……」
「ゼロ! 目が覚めたのね。よかった」
「
シエル……」
ホテル・アグスタでの戦いから数時間後。無事にゼロの修復が完了してからしばらくした頃、ゼロはシエルが与えられた研究室にて目を覚ました。欠損した左腕は元通り回復しており、ゼロはその眠っていたベッドから降りる。
「どうかしら、どこか調子の悪いところはある?」
「いや、大丈夫だ。左腕も随分と馴染む……この世界の素材を使ったとは思えないな」
修復前までは意識のあったゼロはシエルとシャーリーから説明でこの世界の素材を使って修復を試みると話していた。そんなゼロの言葉に、シエルはいいえ、と首を振った。
「それ、スペアじゃないの。貴方のオリジナルの腕よ」
「何?」
「なのはさんがね、現場検証の時に秘密裏に回収してここまで届けてくれたわ」
そう、そのもとに戻った腕はVAVAとの戦闘で吹き飛ばされた左腕であった。元々、VAVAの攻撃によって吹き飛ばされただけであって粉微塵になったわけではない。ゼロの痕跡を残さないためになのは、そしてフェイトが秘密裏に調査してゼロの腕を発見したのだ。
「よく、他の局員に発見されなかったな」
「それが、無限書庫、だったかしら? そこにいる司書長さんが立ち入って、調査の手助けをしたらしいわ。その際、調査時は魔力が邪魔をするということで、他の局員さんをどけてもらったんですって。そのスキになのはさんたちが探したって聞いたわ」
「無限書庫の司書長?」
それは、ゼロが聞いたことのある場所であった。かつて、1人仲間となった魔導師の少年がそこに勤務することになったということを聞いていたが……
「名前は確かユーノさん、だったかしら。ゼロによろしく伝えて欲しいとなのはさんから伝言を預かっていたけど……」
「ユーノ……そうか、アイツが今の司書長か」
「その人も知り合い?」
「ああ、9年前に知り合った。なのはのパートナーだ」
彼こそが、なのはが魔法少女となるきっかけになった少年。ゼロも闇の書事件のあと交流があり、自分の世界に帰る手がかりやリインフォースの改善の手がかりを探すべく何度かそこに足を運んだことがある。その時は働きすぎで死んだ眼をしていたのが印象的だった。
「今度、礼を言いに行く。それと、シエル……フォワードに俺のことがバレてしまった」
「そう。もしかしたら、一緒に戦えなくなるかもしれないのね」
それは、はやてたちと協力する際にゼロが提言したこと。もし、自分の正体がバレて管理局に広まることでゼロ達が身柄を拘束されるようなことになる場合、その時は機動六課を離れて独自の調査をし、協力するというもの。はやての立ち上げた部隊だからこそ、信用はできているがそれも絶対ではない。ゼロというレプリロイドの存在を明るみにしたくないからこそ、必要な行動である。
「フォワードメンバーといえば……ティアナさん、大丈夫かしら」
「ティアナ? あいつに何かあったのか?」
VAVAとの戦いのとき、一番近くでVAVAの殺気を浴びて錯乱し、クロスミラージュを向けてしまったティアナ。ゼロが庇わなければ死んでいたであろう彼女を、ゼロが見たのは庇ったのが最後だ。もしかしたら、怪我をしていたのかもしれないと、ゼロは考える。
「ううん、ゼロのお陰で怪我はないし、フレンドリーファイアのことは、ヴィータさんが注意をする程度だったんだけど……似ているのよ、ティアナさん。あの時のエルピスに……ベビーエルフに唆され、力を求めて彷徨っていたあの時に」
「エルピスに……」
ゼロにとって、その男の名は忘れられないだろう。親友のボディを打ち砕き、ダークエルフこと、マザーエルフを封印から解き放った人物なのだから。だが、シエルとしてはレジスタンスを奮い立たせ、自分たちを生き延びさせるために戦ってくれた大切な仲間でもあった。彼は確かに大きな失敗をした……しかし、それでも彼は自分たちの大切な仲間だった。だからこそ、彼にレジスタンベースに帰って来てもらうためにゼロに捜索を頼んだのだ。
「……私、ティアナさんと話してみるわ」
「何故、お前が? 心配なのはわかるが、これはなのはたちが解決するべき問題だ」
「確かにそうかもしれない。でも、やっぱり放っておけないの……このままだと、取り返しのつかないことになりそうな気がして。それに、彼女……実は結構優しかったりするのよ? 私やゼロに疑いの目を向けてはいても、私が困っていたら助けてくれた。それはほんの些細な事で、彼女にとってはなんでもないかもしれないけど……でも、嬉しかったわ」
シエルにとって、人間はとても遠い存在だ。レジスタンスとして戦っていた頃、人間はシエル1人であり、エリアゼロに住み始めてからも人との交流もあまりなかった。ネージュたちが親切に食事へ誘ったり、休日を利用して散策に誘ったりなどということもあったが、それでもまだ関わり合いは少ない。そんな彼女が最初に関わりを持った人間たちがフォワードメンバーの子どもたちである。年齢も近く、話しやすい彼女たちとは少しずつだが、距離が縮まっていた。そんな中でティアナも、シエルに対しては疑念こそあるが、別に交流が無いわけではない。主に相方のスバルに引っ張られて食事をすることがある。そこでティアナがシエルにした些細な手助けも、他愛のない世間話も、シエルにとっては新鮮であり、楽しい一幕でもあった。例え疑いを持とうとも、ティアナは自分と話をしてくれる。故に、話を打ち明ければわかってくれるだろうし、何より今のティアナを助けたいと思ったのだ。
「それに、エルピスのときのような事は二度と起こしたくないの」
「……わかった。お前がそこまで言うなら、お前のしたい通りにすればいい」
「ええ、頑張ってみるわ」
そう言って、シエルは研究室を後に、ティアナの元へと向かうのであった。
*
機動六課食堂
シエルが研究室を出た後、ゼロもクロワールを探しに機動六課内を歩き始めた。時刻は9時過ぎ。機動六課の業務も終了しているため、人はいないはずである。しかし、そんな食堂で声が聞こえ、ゼロはその声の方へと足を向けた。
「ゼロ、大丈夫やろうか……」
「大丈夫よ。シエルが見ているんだもの」
「そうだよはやて、今は待つしか無いよ」
「だからとりあえず、ご飯食べないと。はやてちゃんが倒れたら元も子もないよ?」
そこにいたのははやて、クロワール、フェイト、なのはであった。食事を終えたのであろうクロワール、フェイト、なのは。しかし、そのはやての前にあるプレートの料理は手付かずであった。ゼロを1人で送り出したという責任が酷くのしかかっているのだろう。はやては一向に食事をする気配がない。そんな光景を見たゼロは一つ小さくため息を吐いてそこへ近寄った。
「はやて」
「っ……!? ゼロ……ゼロ!」
「すまない、心配をかけた……」
目に涙を溜めて抱きつくはやてを受け止めて、優しく頭を撫でるゼロ。その姿は普段のゼロではあまり考えられない行動だが、その無我夢中で抱きついてくるはやてに対してはこうするのが一番だとゼロは考えていた。はやてがしばらく泣き続けて泣きつかれたのか、結局は食事を取らずに眠ってしまい、フェイトがシグナムを呼んではやてを部屋へと連れて宿舎へと戻っていった。クロワールもそれに付いていったため、その場にいるのはゼロと、そしてなのはの2人である。2人は食堂が閉まっていることから、食器の後片付けをしていた。
「ありがとうございます、ゼロさん。手伝ってもらって……」
「気にするな。お前達とユーノのお陰で腕の修復が早く終わった……礼を言うのはこちらの方だ」
そう言いながら皿を洗うゼロになのははにゃはは、と苦笑する。こんなゼロを見たのはあの事件が終わってからのもの。なのははそこに少しだけ懐かしさを感じていた。
「それを言ったら、ゼロさんはティアナを守ってくれたじゃないですか」
「……一応、俺も教導補佐だ。教え子を守るのは当然だ、とヴィータが言っていた」
「今日のティアナのフレンドリーファイアも、敵に向けた発砲も、本当はもっと怒るべきだと思っています。じゃないと、またティアナは無理をしちゃうから……」
「……その右腕が、お前の無理の結果だからか」
「っ……!?」
ゼロの言葉に、なのはは驚いた様子でゼロを見た。ただ、ゼロはそんな視線に目もくれず、皿を洗っている様子を見てなのはは察した。ゼロはとっくにその自分の『無理』に気がついていたのだと。
「どうして……」
「訓練の時、普段の生活でお前はどこか右半身を庇っているように見えていた。それに、袖の下の傷を少し前に見かけた。」
「にゃはは……やっぱり、ゼロさんには隠し事ができないなぁ……」
かつて、魔法がなくなることを恐れていたあの頃、それをゼロに看破されたことを思い出す。あの時も二人きり、夜が遅い時間だったと。食器を洗い終えた2人は再び食堂の席に座った。なのはが今度は自分から聞いて欲しいから、とゼロに話を持ちかけたのだ。ゼロも特に問題はないと了承することにした。
*
なのはから語られたのはゼロが自分の世界に帰ってから2年後のこと。管理局で働き始め、なのはも、フェイトも、はやてもそれぞれの道を歩き始めてしばらくしたころのことだ。なのははとある任務で瀕死の重症を負った。原因は過労状態での無理な魔法行使……自分の身体と、リンカーコアはすでに限界だったのだ。厳しいリハビリに耐え、Sランクまで戻ったなのはだが、その後遺症は今も彼女を苦しめていた。故になのはは自分の部下であるフォワードメンバーたちには自分と同じようなことにはなってほしくなかった。
「お前が基礎訓練をフォワードに重ねさせるのはそれが起因か……」
「はい。みんなには、私みたいになって欲しくはないんです……だから……」
誰にも怪我をしてほしくない。壊れてほしくない……故に、その身体の強度をあげるための徹底した訓練を新人たちに課してきた。だからこそ、今回のスバル、そしてティアナのコンビネーションプレーによるフレンドリーファイアはある意味、なのははショックだった。自分の教えていない戦術、戦闘をしている。それは自分の教導が意味を成していないということだ。そんな沈んだ表情のなのはを見て、ゼロは小さくため息を吐いた。
「お前は相変わらず不器用なやつだ」
「ほぇ?」
「お前はその真意を一度でもフォワードに話したのか? いや、していないだろう。してあればスターズはあんな行動には出なかったはずだ」
「……」
ゼロの言葉に、なのはは俯いてしまった。そのとおりだ、と。もしこのまま自分がその真意を話さなければ、今後スターズは自分の教導とは別に無茶な訓練をし始めるかもしれない。それどころか、ライトニングの2人も同じような行動を取り始めてしまうかもしれない。そんな不安が、なのはの中で生まれ始めていた。もっとも、すでにスターズの2人が無茶な訓練をしているのだが、それをなのはは知らない。
「打ち明けることが怖いか。お前自身の過去を……今のお前は、
「……そうですね。心のどこかで、あの子達に失望されるんじゃないか、信用されなくなるんじゃないかって、ここ最近ずっと考えていたんです。にゃはは……相変わらず、悪い方向にばかり考えちゃいます」
高町なのはという人物は管理局において『エース・オブ・エース』という称号を持つ若くして管理局を支える存在だ。故に、なのはの過去の失態というのは管理局がイメージを悪くしないようにと公開していないため、なのはの経歴には事件を次々に解決した輝かしいものしか掲載がされていない。故に、真実をフォワードの面々が知った時、自分は失望されるのでは、信用されなくなるのではないか、となのはは不安と恐怖を抱いていたのだ。特に、教導官の立場にいるなのはが教え子から信用されなくなるというのは致命的だ。それによってフォワードメンバーがなのはの言葉に耳を貸さなくなり、また無茶な戦闘をして怪我でもしたら、それこそなのはの二の舞いとなるか、下手をすれば命を落とすかもしれない。だが、今のままでもいつかはまた無茶をするはずだ。しかし、過去を話さなくてもこのままではまた無茶をするかも知れない。そんな不安がなのはの頭をぐるぐると回っていた。
「お前の気持ちもわかるが……もう少し、信用してやれ。少なくとも、お前の過去を知ってアイツらが失望したり、信用しなくなったりするようなことはないはずだ」
ゼロはそう静かに暗い表情だったなのはにそう告げる。少なくとも、ゼロから見たフォワードメンバーというのまだ子供だからこそ純粋になのはやフェイトたちを信用しているし、目標として頑張っている。そんな彼女たちがなのはの過去を聞いて失望したり信用しなくなったりというのは考えられなかった。
「そう、ですよね。ゼロさんに言われると本当にそう思えてきます。みんな、話をしたら理解してくれるでしょうか。私の教導に対する想い……私がみんなにしてきた、教導の意味」
「話してみろ……そうしなければ、そのお前の不安からは永遠に抜け出せない」
「……はい。ありがとうございます、ゼロさん。あの、その、ゼロさん」
「なんだ?」
「ちょっとだけその、私も抱きついてみていいですか? はやてちゃんみたいに」
なのははそう顔を真っ赤にしながらそんなお願いをしていた。エース・オブ・エースといっても、19歳。まだほんの少しだけ、誰かに甘えたい部分が残っていた。先ほどはやてがゼロに抱きついたのを見て、自分も少しやってみたくなったのだろう。そのなのはの表情を見て、これは断ればまた落ち込むだろうというのを過去、似たようなことをするはやてから学んでいたゼロは、一つ小さくため息を吐き『好きにしろ』と言って立ち上がる。
「し、失礼します……ふぁ」
ゼロに抱きついたなのははそんな声を出してギュッと力を込める。レプリロイドの身体の素材から少し固い部分もあるのは仕方がないが、それでもなのははまるで父の士郎や母の桃子に抱きついているのと同じ感覚を覚え、懐かしさを感じていた。ゼロもゼロで、はやてにいつもやっているように優しく頭を撫でていた。
「ご、ごめんなさいゼロさん、変なこと頼んじゃって……」
「別に構わない……お前も、いままでよく頑張った」
「……ふぇ?」
突然ゼロにそんなことを言われ、思わずゼロに抱きついたまま固まってしまうなのは。だが、ゼロは気にせず言葉を続けた。
「お前のことだ。きっとここ最近無理をしていたのだろう。悩みを打ち明けられず、ずっとそれでもどうにかしようと、一人で頑張っていた」
「っ……! は、い! 私、頑張っていました……! でも、うまくいかなくて、どうしようって……」
まるで懺悔をするように、なのははゼロの胸元で涙を流して呟いた。基礎訓練を重ね、新人たちが壊れないようにとメニューを組み、指導をしてもいざ実践するとその指導とは違う戦い方までされてしまう。きっと自分の指導の仕方が悪いのだ。ならばもっと頑張らなければ……と、なのはは無理をし続けていた。ヴィータやフェイト、はやては気がついて声をかけるも、なのはは「なんでもない」「大丈夫」と弱い自分を見せないようにしてきていた。故に、ゼロにそう励まされたのがなのはにとってはまるで救われたかのように思えてしまうのだ。
「俺だけじゃない。はやても、フェイトも、ヴィータ達も、お前の味方だ。お前は一人じゃない……ソレを忘れるな」
「……は、い!」
ゼロはそう言って、その涙を流すなのはが泣き止むまで、ずっと慰めてやるのだった。
*
「ゼロさん。本当にありがとうございました……それと、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。また明日、訓練場で」
それからしばらくして、なのははようやく泣き止んだのでゼロが離れて寝るように促す。なのはは少し名残惜しそうにしながらも頷き、食堂を後に自分の部屋を目指す。
「……ゼロさん」
自室に戻りながら歩くなのはは、そう静かにゼロの名を呼ぶ。自分のことを理解してくれたゼロは、いつしかなのはの中でとても大きな存在になっていた。幼き頃迷い、怯えていた自分に道を示し、そして今日もまた、弱い自分のことを受け止めてくれた。初めて出会ったときには互いに敵同士だったが、今では大切な仲間であり、友達であり、そして……なのはが唯一、己の弱さを打ち明けられる相手。
「ああ、そっか……」
なのははそこで理解する。理解してしまう。この自分の中にあるゼロに対して生まれた感情は何か。どうしてこんなにもゼロの顔が頭に浮かぶのか。どうして、自分が親友たちにすら秘密にしていた不安を打ち明けられるのか、そして、こんなにも、あの時抱きしめられた感覚が名残惜しいのか……決して口にはしないが、ソレを理解したなのはは笑みをこぼす。
「頑張ってみちゃおうかな……はやてちゃん達に負けないように」
誰もいない機動六課の廊下で、なのはは静かにそう呟くのだった。
*
「……さて」
食堂でなのはを見送ったゼロは、なのはの方はコレでひとまず大丈夫だろうと確信をし、視線をその反対側へと移した。
「出てこい。そこにいるのはわかっている」
「……」
ゼロの言葉とともに、そこに1人の人影が現れる。それは、フォワードメンバーの1人であり、なのはを最も尊敬するスバル・ナカジマの姿だった。
ゼロの夜は、まだ終わらない
……なんか、なのはがチョロインみたいになってしまった
着々と増えていくシエルのライバル……どうなるのか、次回もお楽しみに
NEXT「機動六課の夜」(後編)