魔法少女リリカルなのはStrikerS~紅き英雄の行方~ 作:秋風
とはいっても、後編だからと言って終わるとは言ってないという
半年ぶりの更新なので、覚えている人は皆無だとは思いますが、ぼちぼち進めていきたいと思います
最終的に完結には持っていく予定なので、気長にお待ちくださいませ
では、どうぞ
感想、評価、お待ちしております
管理第一世界ミッドチルダ首都『クラナガン』
ミッドチルダにおいて最も人がいるこのクラナガンは、時空管理局の運営に大きな影響を持つ場所であり、また、ミッドチルダ式魔法の発祥の地でもある。当然ながらこの世界の人間の多くがここに住んでおり、賑わいを見せている場所でもある。そんなクラナガンに存在する数あるショッピングモールの1つ。そのショッピングモールにて、宅配サービスを行っている場所を目指してゼロたちは歩いていた。
「少し、買いすぎてもうたなぁ」
「はい。我が主……私も、少し調子に乗りました」
「にゃはは、確かに」
「日頃、買い物はあまりしないからね」
はやて、リインフォース、なのは、フェイトの4人は全員がそういいながら自身たちが持つ大量の買い物袋を見つめていた。ただ、荷物はそれだけではない。
「あの、ゼロ。やはり私の荷物は私が持ちます」
「構わん。俺は特に買い物はしていないからな」
リインフォースの言葉にそう答えながら歩くゼロ。そう、そのはやてたちの横を歩くゼロもまた4つの紙袋を持って歩いているがそれはゼロの買い物ではない。4人の買った洋服や日用品の山なのである。肩に乗るクロワール曰く、ゼロの責任なので、ゼロに持ってもらえと促したのが事の発端だが、そもそも何故ゼロが責任を取るということになっているのかというと……
『ゼロ、これどないやろ?』
『ああ、よく似合っているぞ、はやて』
『ゼ、ゼロ、このようなのは、私には派手ではないですか?』
『お前の髪によく似合う色だ。リインフォース。別におかしいところはない』
『ゼロさん、これどうですかね?』
『服は似合うが、色に少し違和感がある。その同じデザインで白はどうだ? なのは』
『ゼロ、これどう?』
『紅か、少し派手だが、俺も似たようなものだからな。フェイトの金髪なら違和感はない』
とまあ、はやてたちが購入する服は軒並みゼロが褒めたり、勧めたりした結果で全部買うことになったのである。恋は盲目というが、4人の行動にはさすがのクロワールも若干ながら引いていた。ゼロからすると、問われたから素直に感想を述べているだけである。
「でも、こんなに遊んだのは久しぶりだね」
「うん。みんなでまとめて休みなんてなかなか取れなかったからね」
先日、海鳴に帰ったときはあくまでも任務としてなので、正式な休みとは言い難いだろう。ゼロは最近ではシエルだけではなく、はやてたちも過労で倒れてしまわないか心配になっていることろである。
「ゼロはよかったの? 買い物」
「構わん。俺は人間と違って衣服や生活にこだわりを持ったことはない」
「とはいっても、それ、少しほつれとるやろ? 10年前のものやもん、流石にボロをゼロに着させるのは……」
ゼロの今纏っている洋服は10年前に海鳴市のデパートではやてが購入した衣類なのである。ゼロの腕のボディスーツなどを隠す関係上、ゼロが持っている服は全てが長袖なのだが、それらもはやてが丁寧に保管していたとはいえ10年前の代物。クロワールが保存していた衣服については1年間しか経っていないので問題はないが、それでもずっと同じものを着るわけにもいかない。あくまでも、ゼロがレプリロイドとばれないようにするためのカモフラージュだが、これでは違和感を覚える人間も増える可能性がある。
「じゃあ、次はゼロさんの洋服を買おうか」
「なのは、それいい案だね。そうしよう」
「おい、俺は別にこのままで……」
「ダメですよ、ゼロ。人として振舞わなければならないのですから」
「そういうこと。ほな、宅配センターまで急ごうか♪」
こうして多数決によりゼロの意見は却下され、宅配センターに自分の荷物を預けたはやてたちは、ゼロを連れて衣服コーナーへと再び来た道を戻り始めるのであった。
「……!」
「ゼロ? どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
4人がどのような服をゼロに着せるかと盛り上がって歩く中、その後ろでゼロはなにやら視線を感じてショッピングモールの上の階へと視線を向ける。しかし、そこには誰もいた様子が無い。
「気のせい、か?」
ゼロの探知能力と言えば、かつてアリアとロッテが監視していたのすら看破するほどのレプリロイドとして高い能力を秘めている。一瞬の違和感、一瞬の視線、ゼロが周囲を見渡すも、周りにいるのは買い物客の人間ばかりで、怪しい人影というものは確認ができなかった。
「ゼロ? 何か、感じ取った?」
「……わからん。が、クロワール、探査は怠るな。もし、VAVAがいるとすれば」
「わかったわ。大惨事になりかねないもの」
クロワールもゼロの戦士としての勘というものを信じている。長い付き合いがあるパートナーだからこそ、クロワールはゼロの勘を信じてはやてたちには内密に、探査機能を稼働させる。
「ゼロ? クロワール? こっちやでー」
「……ああ、今行く」
「はいはーい」
立ち止まっていたゼロを呼ぶはやて。その彼女たちの笑顔を見て、今この休日が彼女たちにとって楽しいということを理解しているゼロ、そしてクロワールはできるだけ彼女たちが少しでも長くこの休日を楽しめるようにと平静を装い、はやてたちの後を追うのだった。
*
そんなゼロたちが立ち去った場所から遥か離れた場所。そこには蒼い衣服を着た青年が立っていた。
「なるほど、“あの範囲”は彼の探知範囲というわけか……記憶で知っていても、彼を知っているわけではないから、改めて彼には驚かされる」
青年はそう言いながら米粒ほど小さく映るゼロたちを見つめていた。4人の美女に囲まれながらも、そこを歩くゼロの姿を見る青年。見えているのか、それとも見えていないのかは本人にしかわからないが、青年は小さく呟いた。
「“彼の記憶の僕”が知っている彼とはずいぶん違うようだ……でも、僕と“ボク”が知る彼であることは間違いないらしい……おや? お迎えかな」
「……うん」
「ルールーがわざわざ迎えに来てやったんだぞ! ありがたく思え!」
その青年の後ろには、いつの間にか紫色の髪の少女と、赤い髪の小さな少女がいた。
「うん、ありがとうルーテシア。それにアギト。僕の要件は済んだよ」
「もう、いいの?」
「たまたま見かけたから、見ておきたかっただけだよ。それで、何かあったかい?」
青年の言葉に、ルーテシアと呼ばれた少女は頷いた。
「ドクターから、マテリアル?っていうのが逃げたって……あと、レリックが、2つ。クアットロが、一度合流するって」
「そうか。じゃあ行かないとね。お姉様たちは気が短い」
そう言って遠くのゼロたちから視線を外してルーテシアたちに向き直る青年。そんな青年を馬鹿にするように、アギトと呼ばれた少女が悪態をつく。
「ケッ! なんで部下のオメーがあの野郎から連絡受けてねーんだよ」
「僕の任務は君たちの護衛だからね。レリックは管轄外さ」
「“監視”の間違いだろうが」
「さあ、どうかな?」
「……行こう、“
そのルーテシアの言葉と共に、3人はその場所から消え去ってしまうのだった。
*
「いやぁ、買ったなぁ」
「にゃはは、さっきと同じこと言っているよ、はやてちゃん」
ショッピングモールのカフェにて、ゼロの服を買い終えた一同はそこに腰を下ろしていた。結果だけを言えば、ゼロの衣服は彼女たちが買った数には及ばないものの、多くの衣服をゼロは購入し、再度宅配センターへと足を運ぶことになった。原因はそのゼロのビジュアルに目を惹かれた店員たちと、そしてはやてたちがゼロを着せ替え人形のようにしてしまったこともあり、似合う物は手当たり次第買うこととなったのである。もっとも、それだけ買っても彼の功績から、彼の給料がすっからかんになるようなことはないわけだが。
「買い物もすませてもうたし、後はぐるっと回ってから、少し早いけど隊舎に戻ろうか」
「そうだねはやて。一応、駐車料金は問題ないけど、4人より早めには戻らないとね」
「わかりました、我が主」
「了解、はやてちゃん」
「ああ、そうだな」
はやての提案に了解してカフェを後にしようとする一同。しかし、そこでフェイトへ緊急通信のアラートがバルディッシュより知らされる。通信相手はライトニングの2人、つまりエリオとキャロである。内容はマンホールから出てきた少女を保護したこと、そしてその少女の足にはレリックが入ったケースが巻き付いていたという驚きの事実であった。
「休暇はここまでみたいやね」
「そうだね、残念……でも」
「うん、仕事の時間だね」
「主、ご指示を」
少し短い休日ではあったものの、4人からすれば充実した休日だっただろう。やる気に満ち溢れた彼女たちの表情に、はやてたちが本当に仕事好きなのだとゼロとクロワールは内心でため息を吐きつつも、ゼロはクロワールと一体化してはやてに指示を仰ぐ。
「はやて、俺はどうする」
「地図はクロワールに転送したから、先行してリインフォースと一緒にフォワードメンバーと合流してもらってええ? なのはちゃんたちは私と空から迎撃をする」
「了解した。目標地点へ移動する」
「了解しました、我が主」
そう言ってゼロはダッシュを使ってそのショッピングモールから離れる。それを追うリインフォースだが、しかし、そんなゼロたちを見送るはやての表情には不安があった。
「はやてちゃん? どうしたの?」
「ふぇ!? う、ううん、平気やよ」
「嘘ばっかり。顔に出てるよ、はやてちゃん」
「ゼロが心配なのはわかるけど、はやても無理しちゃだめだよ」
「あはは……二人は誤魔化せへんかぁ」
どうやら、はやての不安は親友二人には隠せていないようである。ゼロの背中を見たとき、ホテルアグスタではやてから離れて出撃した光景がダブってしまうのだ。そんなはやてに、なのはとフェイトはニッコリと笑みを見せる。
「大丈夫だよ、はやてちゃん。前にゼロさんが言ってたじゃない。『信じろ』って」
「ゼロは強いよ。VAVAにだって、もう負けないよ」
「……せやな、信じなあかんよね」
はやては二人の言葉に頷いてバリアジャケットを身に纏うと、空へと飛び立ちながらロングアーチとして指示を機動六課に出し始めるのだった。
*
ミッドチルダ クラナガン合流地点
「待たせたな」
「あ、ゼロ兄ぃ、それにリインフォース部隊長補佐!」
フォワードが集合していた場所に到着するゼロとリインフォース。そこにはすでにシャマルとヴァイスがヘリで到着しており、シャマルがボロボロの布を纏った金髪の幼い少女を抱きかかえていた。そして、その傍らにはレリックが収められているであろう箱が置かれている。
「レリックの封印は終わったわ。この子の怪我は軽い物なんだけど……」
「……シャマル。これを」
そう言ってゼロは買ったばかりのパーカーをクロワールに転送させ、それを少女へと被せる。
「後は頼む。俺はレリックを追う……クロワール」
『OK! 反応は地下水路の先のようね。詳しいマップもさっき貰ったわ』
「じゃあ、私たちもお供します!」
「……そうだな、だが、もしVAVAが出てくるような事態になった場合、お前たちは即座に撤退しろ。リインフォースを含めて、だ」
ゼロの言葉に、4人、そしてリインフォースはしっかりと頷いた。ゼロの事を把握し、理解している以上、自分たちが戦いの場では役に立たないということ、ゼロの力が大きすぎて、自分たちは邪魔になるということを理解していた。そして、VAVAがゼロと同じく巨大な力を持っていることも、フォワードメンバーは理解していた。
「撤退する場合は俺が殿を務める。余計な加勢を考えず、全力で撤退することを考えろ。レリックは二の次でいい」
そう言ってゼロは地下水路への入口へ梯子を使わずに飛び降りていく。それに続き、リインフォースが。そしてフォワードがその梯子を使って下へと降りて行った。地下水路ではすでにガジェットが無数に出現しており、ゼロたちを敵と認識して攻撃を開始する。フォーメーションはゼロとリインフォースが前へ、そしてその後ろをフォワードのスバルとエリオが続き、最後尾にティアナとキャロが続く。狭い通路を駆け抜ける一同だが、一番前のゼロがガジェットを攻撃をする前にほとんどをバスターショットで打ち抜くか、接近したガジェットをZセイバーで一刀両断しているので、フォワードメンバーに仕事がほとんどない。
「ゼロ兄ぃ、やっぱすごいねー」
「そりゃ、ゼロさんの世界にいた敵に比べたら可愛いもんなんでしょうね。ゼロさんやシエルの世界って、いったいどんなレプリロイドやメカニロイドがいるのかしら」
スバルの言葉に、ティアナも同意を示しながら撃ち漏らしや残骸を破壊していく。ゼロがレプリロイド、ということについてフォワードはもう既に知っているが、その中でもシエルとの会話で興味本位にどのようなレプリロイドがいるのかという話題になり、シエルが多くのレプリロイドのことについて説明をした。そのため、ティアナたちは写真などを見せてもらい、いかにゼロが一人で多くの敵を倒してきたのか、ゼロがどうしてあそこまで強いのかを知ることとなった。
「シエルさんの話だと、戦闘型は動物や昆虫を元にしたものが多いって聞きました。」
「ド、ドラゴンとかはいないのかなぁ……ね、フリード」
「きゅくぅ」
エリオとキャロもそんなシエルの話には驚き、実際に見て見たいと子供心を躍らせていたりする。そんなキャロの言葉に、「さすがにドラゴンは……」と苦笑する3人だが、ゼロはその会話を聞いて遠い記憶……かつて、イレギュラーハンターだったころに格闘技を極め、自分やエックスにも拮抗する力を持ったドラゴン型のレプリロイドがいたような気がすると思い出す。が、今は関係ないことだ、とゼロは目の前の戦いに再び集中する。
『ゼロ、前の方に生体反応と魔力反応! 戦っているみたいね』
「どうやら、連絡に合った陸士部隊の増援か」
そのゼロの視線の先には、ガジェットに囲まれつつもその拳や蹴りでガジェットに対抗する一人の少女の姿が見えた。藍色の流れるような髪を揺らし、その手にスバルと同じリボルバーナックル、そしてスケートブレードを装備した女性。ゼロはそのまま地面を蹴って跳躍し、少女へ襲い掛かるガジェットを粉砕する。
「え……?」
「無事か?」
「は、はい。貴方は……」
少女の言葉にゼロが名乗ろうとするも、その後ろから雄叫びと共にガジェットを粉砕するスバルが猛スピードでゼロたちへと接近し、そのままその少女へと抱き着いた。
「ギン姉ぇ!」
「スバル!? ということは、機動六課の方々ですか?」
「そうだ。ギンガ・ナカジマ陸曹。久しぶりだな」
「リインフォースさん! お久しぶりです! それに、ティアナさんも!」
そう敬礼をするギンガ・ナカジマ。どうやらリインフォースやティアナとは顔見知りらしく、ガジェットを一掃して合流した安心から笑顔を見せていた。
「紹介します、ゼロ。陸士108部隊の捜査官、ギンガ・ナカジマ陸曹です。ギンガ。彼は八神ゼロ……機動六課の協力者だ。それと、こっちはエリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエだ」
「「よろしくお願いします!」」
「……ゼロだ」
敬礼をするエリオ、そしてキャロ。さらに、その二人に続いて自己紹介をするゼロ。そんな挨拶を受けたギンガだが、ギンガはゼロを不思議そうに見ていた。
「俺がどうかしたか?」
「あ、いえ……スバルからお話は聞いていましたから。八神二等陸佐のご家族の方、と。それと……」
と、言いながら何やら気まずそうにスバルを見るギンガ。それを見てリインフォースは察したのか、ギロリとスバルを睨む。
「スバル、お前まさか」
「あ、あはは……す、すみません、つい……その、ゼロさんのことを」
「馬鹿スバル! あんたねぇ!」
「ご、ごめんなひゃぁい!」
リインフォースの言葉に、相方であるティアナもスバルが何をしたのか察したのだろう。そのスバルの頬を力いっぱい引っ張っていた。ゼロたちの事情を知り、スバルの事情も知っているティアナはスバルのことを一概に責めることはできないでいるものの、そのスバルの行動によって他の人間がゼロの秘密を知ればどうなるか。はやてやシエルが今までしていたことが全て台無しである。
「落ち着け、ティアナ。済んだことを怒っても状況は変わらん。それに、一般回線での会話ではないだろう?」
「はい。私とスバル、そして私たちを診てくれているマリエル・アテンザ主任しか知らない秘匿回線です。作った方が作った方なので、おそらく盗聴の心配はありません」
頬を抓られているスバルに変わり、ギンガがそう答える。その言葉に、ゼロは頷き、再びZセイバーを抜刀し、反応地点のある先の道を見る。
「……そうか。なら、その話は後だ。先へ進むぞ……ギンガ・ナカジマ。お前はスバルたちと同じように付いて来い」
「わ、わかりました! あ、えっと……私の事も、“ギンガ”で構いません」
「了解した。サポートを頼むぞ、ギンガ」
「……! は、はい!」
ゼロの言葉に、どこか照れたようにギンガは敬礼し、それと共に一同は先程のフォーメーションにギンガを加えて水路を辿りながら目的地を目指すのだった。
*
クラナガン 水路 反応地点
「反応はこのあたりか」
「フォワードメンバー、そしてギンガは捜索を頼む。付近の警戒は私たちがしよう」
『了解!』
リインフォースの言葉に敬礼し、捜索を開始するスバルたち。反応があると言っても、正確な場所が映し出されるわけではない。故に、この広い空間でケースに入ったレリックを探さなければならない。しかし、そのレリックの入ったケースは見慣れたものである。ゼロも警戒しながら探していると、キャロが声を上げる。
「ありましたー!」
「……!」
レリックの発見に安堵する一同だが、ゼロだけは違った。キャロが上げた声と同時にゼロが地面を蹴り、Zセイバーを抜刀してキャロへ迫る。
「え……キャア!?」
そして勢いよくキャロのバリアジャケットの襟首を引っ張り、その場を下がらせるゼロはそのもう片方の腕でZセイバーを振るう。そこで鳴り響く金属音。ゼロのZセイバーは黒い拳から突き出された鋭い爪のようなものを防いでいたのだ。全身が黒く、紫色のマフラーをした何か。まるで全身が鎧となっているかのようなその相手に対し、ゼロはキャロの襟首を握っていた手を放して素早く蹴りを放つ。それをもろに受けた相手は吹き飛ばされながらも、距離を取るように地面へと着地した。
「……(蹴りを放った瞬間に体を引っ込めて威力を殺したか)」
そう、蹴りを放った本人であるゼロはまったくの手ごたえを感じていなかった。どう見ても人間ではないその相手は、ゼロからすればレプリロイドを相手としているのに近い感覚がある。そして、その何かの近くにあった柱から、一人の少女が顔を出した。紫色の長い髪をした少女。恐らくエリオやキャロたちと同い年であろう。その少女は不安そうにその何かが受けた怪我の部分を見る。
「ガリュー、大丈夫?」
「……新手か」
「やいテメェ! ガリューになんてことしやがる!」
そして、その少女の横には紅い髪をツインテールにし、背中にはまるで悪魔の羽のようなものを生やした少女がゼロを指さし、何やら文句を言っている。少女、とはいっても、その大きさはクロワールやリインフォースⅡと変わらない大きさである。その大きさからゼロはその少女がユニゾンデバイスであることを理解する。
「ユニゾンデバイス……」
「お前たち、何者だ?」
「答えるわけねーだろバーカ!」
ゼロの隣に並んだリインフォースの問いに、あっかんベー、として見せるユニゾンデバイスらしき少女。それをされたリインフォースの額に青筋が浮かび、ブラッティダガーを出現させる。
「ならば、答えられるようにしてやろうか」
『ちょ、ちょっと、リインフォース、落ち着いて。相手は子供じゃないの』
そうクロワールがリインフォースを落ち着かせているのも束の間。水が流れる音に混ざって別の音が聞こえていた。その音を感知したゼロは、素早くリインフォースの前に出た。
「リインフォース! キャロを連れて後ろへ飛べ!」
「っ……! はい!」
その言葉にリインフォースは素早くキャロを抱きかかえて後ろへ下がる。そんな間にも聞こえてくる音。それは、ゼロがバスターショットでチャージするときと同じ音。否、それよりも何倍も大きな音だった。
「クロワール!」
『わかってる! エネルギー最大展開!』
その言葉と共に、シールドブーメランを展開するゼロ。その展開とほぼ同時に、エネルギー弾が発射され、ゼロへと直撃して爆発を起こした。
「ゼロ兄ぃ!」
「「ゼロさん!」」
その様子を遠くで見ていたスバルとティアナ、そしてエリオが悲鳴を上げる。しかし、流石はゼロというべきか。その暗闇から発射されていたエネルギー弾を防ぎきり、その場に立って未だ健在であった。
「今のチャージショットは……」
『VAVAのものとは、違っていたわね。スカリエッティが改造でもしたのかしら』
冷静に受けた攻撃を分析し、おそらくはまたVAVAが来たのではないか、と予測するクロワール。そしてクロワールの報告にゼロもその攻撃に警戒を示し、Zセイバーを再び抜刀して構えを取った。紫色の髪の少女たちの後ろからコツリ、コツリと歩いてくる音が聞こえ、やがてその襲撃犯の全貌が水路に設置された照明に照らされた。
「お前は……」
『VAVAじゃ、ない? 違うレプリロイド!?』
「……やあ、こんにちは。今のチャージショットを防がれるとは、驚いたよ。いや、流石、というべきなんだろうね」
そこに現れたのは蒼い装甲を身に纏い、その右腕に巨大な砲門を装備した男である。明らかにティアナたちのような人間ではない。ましてや、スバルのような戦闘機人とはまたかけ離れているだろう。ゼロのような、レプリロイドと見て取れるのはクロワールから見れば明らかだった。しかし、ゼロの中でサポートをしているクロワールだからこそ気が付いた。ゼロが、顔に出してはいないものの、少なからずその目の前の男に対して驚いていることに。
「何者だ……! お前も、ゼロやVAVAと同じレプリロイドか……!?」
「そうだね。まずは名乗るとしよう。僕の名前は……エックスだ」
リインフォースの問いに、男、エックスは静かに名乗るのだった。
ギンガ、そしてとうとうエックスが登場。このエックスは果たして……?
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