魔法少女リリカルなのはStrikerS~紅き英雄の行方~   作:秋風

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お久しぶりです(土下座)
 最後の投稿からもう1年過ぎてて、そろそろ読者様たちからは忘れ去られていることかと思いますが、アイディアがまとまったので投稿です
現在、会社との契約が切れて転職活動中なのでなかなか更新する日取りが決まりませんでした。とか言っておきながらFF14はじめてみたり、ソシャゲにはどっぷりですが(汗
 ぶっちゃけいうと、現状だとほとんど新規なのでアイディアをひねり出しながら書いているせいもあってなかなか進みません。申し訳ない
次もできるだけ早くは投稿予定でございます。
では、どうぞ

感想&評価お待ちしております


21「夜天の英雄」

「ユニゾンデバイスとの融合……なるほど、ヤはり君ハ面白イ……」

 

「……『同調完了(フル・シンクロ)』」

 

 ユニゾンを果たしたゼロを見て、偽エックスも、コピーエックスもお互いにニヤリと笑っていた。一方はゼロの成長に、一方は戦いが楽しめることに。ゼロを覆うアーマーは限りなく近い紺色に所々へ金色があしらわれている。髪はリインフォースと同じ銀色で、さらにその背には4つの黒い羽が存在していた。まるで、リインフォースが装備を纏った時と同じような印象を受けると、フォワードとギンガは思う。

 

『融合完了です。エトワールとの同調(シンクロ)も安定……ゼロ、何時でもいけます』

 

『やっちゃえ、ゼロ!』

 

 二人の言葉と共に、エックスたちの前からゼロは文字通りその姿を消した。忽然と消えた、というのが周囲から見た印象だろう。

 

「なっ……ぐガッ!?」

 

「「「「「!」」」」」

 

 次の瞬間、コピーエックスが悲鳴を上げて吹き飛ばされて水路に建てられた石柱へと激突する。そのコピーエックスがいた場所にはゼロがすでにバスターをチャージさせてその銃口を向けていた。

 

「ぐっ……舐めるナぁ!」

 

「『遅い。ブラッティダガー!』」

 

 ゼロとリインフォースの言葉が重なり、バスターを向けていたコピーエックスのチャージが終わるよりも早く、通常のブラッティダガーより速い速度でバスターへと着弾し、爆発を起こす。さらにその隙をついて追撃でバスターを発射し、それを直撃したエックスは石柱を貫通して吹き飛ばされていた。

 

「がアアアアアアアアっ!!!」

 

 コピーエックスが悲鳴を上げ、地面へと叩きつけられる。せいぜい、自分たちと互角に渡り合える程度のパワーアップだと思っていたコピーエックス。しかし、それは大間違いで、その融合で圧倒的な力を手に入れたゼロが今度は自分たちを圧倒していた。その威力上昇によるパワー値は通常スペックの倍以上である、と偽エックスはそのダメージによって解析する。

 

「こノっ……!」

 

 コピーエックスはそのバスターをすぐさまチャージしてチャージショットを発射するが、そのゼロの圧倒的な力の前に恐怖をしているのか、あるいは苛立ちを覚えているのか、先程までの冷静さも余裕もまるでない、がむしゃらに砲撃を連打していた。その読みやすい軌道の攻撃はゼロに当たるわけもなく、避けられるか、Zセイバーで叩き斬られるかの2つで全て回避されていた。

 

『ゼロ、勝機と捕えます。冷静さを欠いているなら、一撃は容易かと』

 

「……任せる。時間は?」

 

『7秒で済ませます』

 

 ゼロとリインフォースはその短い会話を済ませ、リインフォースはゼロの内部にて魔力を解放し、それをすべてゼロのZセイバーへと還元していく。そのいつもとは違うチャージが蓄えられる。それははやてやリインフォースと同じ魔力光と酷似したもの

 

「なンだ、このエネルギーは……!?」

 

『今です!』

 

「はあっ!」

 

 そのリインフォースの解放した魔力から放たれるゼロのチャージ斬りはコピーエックスを捉え、その彼のアーマーと右腕のバスターを粉々に砕いていた。しかし、流石はコピーとはいえエックスなのか、それでもなお立ち上がっている。

 

「(これは不味いね……)コピーエックス。変わってくれ。これ以上君が戦闘をするのは不可能……/ふざけるナ! ボクはまダ負けちゃイない!」

 

 偽エックスの言葉に激昂するコピーエックスだが、どう見ても戦闘続行は不可能であるのは明白。そして、このタイミングで増援としてヴィータ、そしてリィンが現れた。

 

「お前ら無事か!」

 

「ヴィータ、それにツヴァイ……いいタイミングだ」

 

「お前、ゼロ……だよな? その姿は……」

 

「話は後だ。前の敵に集中しろ」

 

 そう驚くヴィータを促すが、先程と違いコピーエックスはその手に装備されているXバスターを降ろし、アーマーの装備も解いてしまっていた。

 

「ルーテシア、アギト、引こう。多勢に無勢だ。それに、ドクターから帰還命令が出た」

 

「……」

 

「チッ!」

 

 その言葉と共に3人の足元へ引かれる魔法陣。その素早い手際に驚くフォワードたちだが、ゼロは違っていた。逃亡した彼らを見てゼロはヴィータ達に指示を出す。

 

「ヴィータ。フォワードを連れて脱出する。スバル、ウィングロードを展開しろ。一気に地上へ出る。殿は俺が担当するから、ヴィータは先行して上へ出ろ」

 

「わ、わかった……でもお前、空は……いや、その羽で察した。飛べるようになったのか」

 

「ああ」

 

 ヴィータの言葉に頷き、そのユニゾンによって得た黒い翼をはためかせて空中へ浮遊する。飛行に関してゼロは管轄外なので、その制御についてはリインフォースに一任するしかないが、ネオアルカディア四天王のハルピュイアのように空を自由に飛び回れるのは利点といえるだろう。

 

「クロワール」

 

『ん、ばっちり、発信機は作動しているわ! 彼らは上にいるみたい。今なら追いつける!』

 

「……! よし、連中を捕まえるぞ! フォワードも続け!」

 

『はい!』

 

 クロワールの発信機の設置成功によりヴィータは彼らを捕縛できるチャンスであると捕え、その言葉と共にスバルがウィングロードを展開し、ヴィータの後をフォワードとギンガが。そして、最後をゼロが飛んでついていく形で、地下水路から脱出をする。その様子を、1機のガジェットが見ていたとも知らずに……

 

 

 

 

地上

 

 

「ひとまずは、ここまでくれば……ルーテシア、どうしたんだい?」

 

「……レリック、回収できなかった」

 

 地上へと転移した偽エックスと、ルーテシア。しかし、ルーテシアは撤退をしたものの、その回収しきれなかったレリックが心残りのようで、どこか浮かない顔をしていた。というよりも、エックスがいなければいま彼でも戻って回収しに行く、と言いそうである。

 

「諦めろよ、ルールー。あれはもうしょうがないって」

 

「でも……」

 

「仕方ないさ。ルーテシア。あれは君の求める物じゃなかった、と割り切ろう」

 

「そもそも! オメーがアイツに負けなかったら回収できただろうが!」

 

 アギトと同じくルーテシアを宥める偽エックスだが、そんな言葉はアギトに突っ込みを入れられてしまう。

 

「無茶を言わないでくれ、彼のパワーアップは予想外だったんだからね」

 

 そんな言い合いをしていたのが彼らの油断だった。その彼らの元へ、ブラッティダガーと、氷のダガーが弾幕のように降り注ぐ。それぞれ回避する3人だが、そこへフォワードと、ヴィータ、そしてゼロがそれぞれ武器を構えて退路を塞いでいた。

 

「ここまでだ」

 

「公務執行妨害、殺人容疑、器物破損……いや、それ以上にありそうだけど、ひとまずこの3つだ。お前らを拘束、逮捕する」

 

 ヴィータはそういいつつ、司令であるはやてへと連絡を入れようと試みる。だが、そんな様子を見て、偽エックスは笑っていた。それは、彼が仲間へと通信を送っていたからに他ならない。もちろん、これは彼の無線故、自分は声を出さずとも通信ができるのだ。

 

『こちら、エックスです。ウーノお姉様。応答を』

 

『エックス? 何かトラブルかしら?』

 

『ええ、機動六課の面々に捕縛されかけています。フォローをお願いできますか』

 

『……わかったわ。クアットロ、聞こえていたわね?』

 

『はぁい、もちろんですともぉ。可愛い弟ちゃんの為にも、おねーちゃん頑張っちゃう♪』

 

 エックスと女性の通信に、別の女性の声が聞こえた。その女性の声はそれっきり聞こえなくなったが、エックスはお願いします、とだけ言って通信を切るのだった。そして、クアットロと呼ばれた彼の姉は策に出たようで、今まで無口だったルーテシアが喋りはじめる。

 

「逮捕は、いいけど……」

 

「……?」

 

「大事なヘリは、放っておいていいの? 貴女はまた、守れないかもね……?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ヴィータの顔色が変わり、視線を機動六課のヘリへと向ける。エックスはこのスキを見逃さない。その手のバスターを最小限にしてスモークを発射。これにより彼らの視界を塞いでいた。いつものヴィータなら見逃さなかっただろうが、その彼女の言葉に揺さぶられてしまったのだ。

 

「なっ……!」

 

「ルーテシア、アギト、逃げるよ。セインお姉様、頼みます」

 

「あいよ! こっちもばっちりだよ!」

 

 その地面から突然少女が現れる。その手には、エリオが確保していたはずのレリックのケースがあった。この隙に偽エックスたちはその場を離脱するも、ヴィータにとってはそれ以上に気になったのはヘリの安否である。スモーク越しでもわかる爆発に、ヴィータは慌てて通信を開く。

 

「ロングアーチ! ヘリはどうなった!? あいつら、堕ちてねーよな!?」

 

 

ヴィータの悲痛な叫びが、その場に響き渡るのだった。

 

 

 

 

ミッドチルダ ビルの屋上

 

「ふっふっふ、どうだったかしらディエチちゃん? 私の完璧な作戦」

 

「クアットロは相変わらず悪趣味。またあの子に毒吐かれても知らないよ……それに黙っていて。今、確認しているから」

 

 そのビルの屋上では、そのヘリが爆発する原因ともなった2人の少女がいた。1人は大型の銃を構え、もう1人は作戦が上手くいったと上機嫌である。スコープを覗く少女、ディエチはそこで異変に気が付いた。確かに自分の放った砲撃はヘリへと直撃したはず。だというのに、ヘリの残骸が1つたりとも、欠片も落ちてきていない。まさか、とディエチはそのスコープの倍率を上げてその狙撃した場所を見る。煙が晴れると、そこには紺色のボディに銀髪の髪をなびかせ、黒い羽を持った1人の戦士が立っていた。

 

「こちら、ゼロ。ヘリの防衛に成功した」

 

「うっそでしょ」

 

 思わずそんな言葉が出てしまう。彼女の放ったその攻撃はゼロによって防がれていたのだ。しかし、彼女たちが知る情報では、彼は自分の仲間である偽エックスと交戦していたはず。だというのに、なぜ彼がここにいるのか。それは、ディエチがトリガーを引く直前。つまり、数分前に遡る。

 

 

『大事なヘリは、放っておいていいの?』

 

 この言葉を聞いた時点で、ゼロはそのヘリへの襲撃を察していた。ゼロはクロワールへ簡易転送装置を起動させるように促し、ヘリへと転移。そこから、エネルギー反応がある方向へシールドブーメラン、そしてリインフォースによって魔力壁を展開させることで、ヘリへの襲撃を防いでいたのである。シールドブーメランを収納したゼロはその砲撃の先にいた2人の少女を捉えていた。

 

「補足した。フェイト、なのは……!」

 

「「了解!」」

 

 そのヘリを襲撃した主犯2人を確認した情報をフェイト達へと送ることで、なのはたちがその2人の捕縛へと動く。ゼロもそのまま追撃をしようと考えたが、そこで限界が来てしまった。無理な初のユニゾンデバイスとのユニゾン、そして簡易転移装置による強制転移と、砲撃をエネルギー容量の超えたシールドブーメランでの防御……通常のレプリロイドであれば回路が焼き切れて死んでもおかしくはない。

 

「……ぐっ、さすがに、無理があったか」

 

『ゼロ!? 大丈夫ですか!?』

 

「すまん、限界、だ……後を頼む」

 

 その言葉共にユニゾンは強制解除となり、弾かれるようにゼロから出るリインフォースとクロワール。ここでゼロは今回の任務を離脱する形となる。落下しそうになるゼロをリインフォースが確保する形で事なきを得るが、そのままゼロは深い眠りへと置いていくことになるのだった。

 

 

 

 

某所にて

 

 

「流石はゼロ、といったところか。私の改良したディエチの攻撃を防ぎきるとは……それに、本来は魔導師とのみ融合可能なユニゾンデバイスとの融合。ふふ、あはははは! とんでもないな、彼は!」

 

「ドクター、笑いごとではありません」

 

 そのとある場所、次元犯罪者ジェイル・スカリエッティのラボで、その戦闘の映像を見ていたスカリエッティはその戦いの様子を大いに楽しみ、笑っていた。そんな彼の様子に秘書である戦闘機人のウーノは呆れたようにため息を吐く。

 

「ああ、すまないね。とてもいいデータが取れた。私の計画に上乗せが出来るのはいいことだろう? 正直、タイプゼロたちも、Fの遺産もどうでもいい。私の理想を叶えるのには彼の成長が不可欠と言える」

 

「エックス……あの子が、ドクターの理想を、ですか?」

 

「ああ、そうだとも。楽しみだ。無限の可能性がどんな夢を見せてくれるのか……」

 

 スカリエッティの言葉に、ウーノはどこか心配そうにスカリエッティを見る。確かに、“彼”のお蔭で自分たちの行う作戦は機動六課との戦い以外では圧倒しレリックも順調に手に入っている。しかし、どこかスカリエッティに違和感を覚えているのも確かだ。エックスを開発した後から……自分の慕うドクターのいつもの眼に、どこか輝く物が見えている。ウーノはそんな気がしてならなかった。

 

「ああ、もっと君たちの可能性を見せてくれ。エックス、そしてゼロ……私と、彼の願う理想の世界のために……」

 

 スカリエッティの言葉は、ウーノには聞こえてはいなかった。

 

 

 

 

 

数日後 聖王病院

 

 

 その病院を機動六課にて保護された1人の少女が歩いていた。その手にはウサギのぬいぐるみを持ち、何かを探すように歩いていた。この少女の病室を抜け出したことによって1人のシスターが慌てて警戒態勢を発令したのはまた別の話だが、少女はそんなことなどつゆ知らず、その病院を出て整備された中庭へと訪れていた。

 

「パパ……ママ……どこ? ……う?」

 

 両親を求めて彷徨っている少女。その紅と緑の瞳へ何かが映った。少女は少し怯えながらも、それがなんなのか、と近寄る。それは、人の形をした“何か”。幼い彼女の記憶ではその中庭の木にもたれ掛るそれは自分の知る「人間」とはかけ離れた形をしていた。しかし、彼女はそれに興味を示すと、それにゆっくりと近づいた。危険な物なのか、それとも近づいても大丈夫なのか? それがわからずとも、少女はそれへと近づいていた。

 

「……誰?」

 

「ひうっ……!?」

 

 その人の形をした何かは少女の気配に気が付いたのか、その目を開き、そう少女に問う。

 

「ヴィヴィオ……」

 

「そう。貴女、人間ね? ……保護してあげたいけど、生憎と動けないのよ」

 

「怪我しているの?」

 

「怪我……ええ、そうね。それと、エネルギー切れ。予備の“エネルゲン水晶”があるのだけれど……腕を動かすのも無理。私の腰のポーチにそれが入っているんだけれど、出してくれる?」

 

 人の形をした何かはそう少女、ヴィヴィオへ言う。ヴィヴィオもその怪我をしている、という事を聞いて放っておけなかったのか恐る恐るそれに近づき、そのもたれ掛っている木とそれの間にあったポーチを開けて、キラキラと輝くエネルゲン水晶の入ったボトルを取り出した。

 

「これ?」

 

「それ。青いボタンを押して、私の方へ傾けて」

 

「……こう?」

 

 言われるがまま、ヴィヴィオはそのボタンを押してそのキラキラと輝くエネルゲン水晶を人の形をした何かへと傾けた。それは吸い込まれるように消えていき、ヴィヴィオもそれに驚き目を見開く。

 

「ふぅ、なんとか動けるといったところね。助かったわ、ヴィヴィオ。本来は人を守るべき私が人に助けられるなんてね……ふふっ、なんだか変な気分」

 

「“おねーさん”、お名前は?」

 

「……ああ、そういえば名乗っていなかったわね。というか、もしかして私の事知らない?」

 

 おねーさん、そうヴィヴィオが呼ぶ彼女はヴィヴィオにそう問いかける。ヴィヴィオもそれに頷くと、今度は彼女が目を見開く。ヴィヴィオくらいの年齢の子供にですら、自分は広く知られている存在だと思っていただけに、それはそれで驚きであった。

 

「なら名乗りましょう。ネオアルカディア四天王の紅一点、蒼海の海神の異名を持つ、我が名は『レヴィアタン』。よろしくね、ヴィヴィオ」

 

 人のような何か、否、レプリロイド。そして、かつてはゼロと戦いを幾度も繰り返したネオアルカディア四天王が一角、妖将レヴィアタンは、そう手に持っている槍を見せながら彼女へと名乗る。そんな彼女が、驚きの再会を果たすのは、数分後の話である。

 




というわけで、22話でした
大幅な修正というのは、新キャラということでネオアルカディア四天王の1人であるレヴィアタンの登場でした。ハルピュイア、ファーブニルも予定していますが、ファントムはどうしようかなぁ……難しい(汗
なぜ、レヴィアタンがこの世界に来たのか、はまた近いうちに
まあ、ぶっちゃけ海外のロックマンのソシャゲのイベントでレヴィアタンが出た、というのを見て思いついただけなんですけどね
ではまた、次回
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