エヴァンゲリオンAnotherWorld   作:時雨光多

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長い間休んですみません。これからも休みながら書いていくので遅い投稿とは思いますがどうかよろしくお願いします。m(__)m


第壱話 シト、襲来

 待ってくれ、状況を確認したい、何で僕は死んでいない?というよりなんで僕の前にシンジ君がいる……?正直僕の頭はハテナでいっぱいだった。しかし右頬を思いっきりつねっても感覚があるのだから現実なのだろう。

とりあえず今は自分の疑問よりも目の前の少年、いや『碇シンジ』との会話を続けたほうがよいだろう。そう言い聞かせ、彼との会話を優先することにした。

 

「ごめんごめん、ちょっと混乱しちゃって、こんなこと初めてだから……」

 

「非常事態宣言なんて初めてだもん無理ないよ。とりあえずここから一番近いシェルターを――」

 

瞬間、空気を揺らす轟音が頭上をかすめ去り、直後つんざくような破裂音とともに激しい衝撃波が僕らを襲った。咄嗟に耳をふさぎ体勢を低くして自分を守る姿勢をとる。

目を開けて音のした方向に慌てて目を向けると、ビルの群れの先で国連軍の垂直離着陸型攻撃機が揃って後退していくのが目に映った。その攻撃機群が対峙する先から現れたのは巨大な二足歩行の怪物、そう「第三使徒サキエル」である。

 

 

――――僕は今まで、シンジ君は臆病だなと思っていた。エヴァに乗れるのに、かっこいい機体を操縦して迫りくる脅威と戦う、そんなものは男のロマンじゃないか、僕はそう思っていた。だから僕は、自分なら彼よりもうまく立ち回れるし、簡単に使徒なんてものは倒せる、そう考えていた。――――

 

 

しかし目の前で起こった景色が、そんな僕の甘い認識を砕いた。手応えのないミサイルの雨、それに対していとも容易く攻撃機を貫く巨人の光槍。結果は素人目に見ても明らかだった。TVの中のフィクションなら笑っていられるが、目の前で起こったリアル、絶望的なワンサイドゲーム。僕の心を砕くには十分な絶望だった。逃げようと思っても足が思うように動かない。体の震えが収まらない。そんな絶望感の中、追い打ちをかけるように、撃墜されたうちの一機が螺旋を描き僕らのすぐ傍へと墜落した。そして轟々と音を立てて燃え盛る其れに追い打ちをかけるかの如く、頭上に光の輪を宿した巨人が飛翔し、その機体を踏み抜いた。ひしゃげた機体が爆炎とともに飛散する。相変わらず体は動かない。頭に浮かぶ大量の死という文字。

 

「ごっめーんっ、お待たせっ!」

 

不意に聞こえてきた言葉によってその考えが霧散する。驚いて顔を上げると、サングラスをかけたミサトさんが車のドアを開けて迎える姿が目に入った。僕は一心に足を動かし転げ込むように車に乗り込んだ。シンジ君も無事に乗り込めたようで、押さえつけられるような重圧とともに車が急発進して、後ろに見える漆黒の巨体はみるみる小さくなっていった。

 

「まずは、シンジ君を送り届けてくれてありがとね、カナメ君。ただ…タイミングが悪くてごめんなさいね。こんなことになっちゃって……」

 

「えっ、ああ、だいじょぶ、です……」

 

ちらりと使徒のほうを見ながらミサトさんは僕に対して謝罪した。わけもわからず答えたが、いまいち要領を得ない。

 

(―送り届ける?てことは本来僕はお呼びじゃないのか―)

 

少しショックを受けつつ、少し安堵した。使徒は恐い、あんなものと戦うとか自分には無理だ。それなら僕は一般人として地方で安全な生活をすればいい、ここは戦場になるのだから。しかし僕は思い出した、この世界に来る前に見た映画の内容を…人々は無へと帰され、L.C.Lの海と化した世界に巨大な綾波。あれは一言でいえば“地獄”だ。自分が何も関わらずに物語が進行すれば最終的にあの地獄にたどり着いてしまうかもしれない…僕があの結末を変えるにはNERVの職員、それも上層部の人間に取り入るしかない…そう思案していると不意にミサトさんが心配そうに声をかけてきた。

 

「どうしたの?カナメ君。浮かない顔しちゃってぇ」

 

「いや、大丈夫です。ちょっとさっきのを思い出しちゃって……」

 

「そうよね、あんなのを間近で見ちゃったら無理もないわね。シンジ君は大丈夫だった?」

 

「ええ、少し驚きましたけど―

 

二人が会話をしている中、僕は先ほどの考えの結論を導き出せた。そうだ、ミサトさんなら自分の話を受け入れてくれるかもしれない。原作でもネルフとゼーレ、サードインパクトについて調べていた。ただ問題は伝え方か、ミサトさんの家なんてどこにあるか覚えてないしこのまま自分だけシェルターに送られたらもう会える機会があるかなんかわからない。となると――――今か。伝え方を間違えればスパイか何かだと間違えられて消されるかもしれない。伝え方は考えなければ……

 

「ミサトさん!そういえばお話があ…」「ちょっとまさかっ!N2地雷を使うわけ⁉伏せてっ‼」

 

自分があれこれと思案していたうちにいつの間にか止まっていた車の中、双眼鏡を持ったミサトが叫んだ。突如として轟音とともに視界が砂塵に包まれる。熱風が車体を撫ぜ、いとも簡単に吹き飛ばす。二転三転した車の中で砂利まみれの口をもごもごさせながら、僕ら三人は車内から這い出た。

 

「だいじょぶだった?」

 

「まあ何とか……」「ちょっと口の中がじゃりじゃりしますけど……」

 

ミサトの声かけに、横転した車を背に二人が答える。

 

「そいつは結構。じゃ、押すわよ!せーのっ‼」

 

横転した車を起こし、車を発進させる。目的地はもちろんNERVだろう。いや、もしかしたら自分だけシェルターかもしれない。そうなったらもう接触するチャンスはなくなるかもしれない。となるとミサトさんが監視下に置かなければならないと思わせる状況を今作るしかないか。そう考え僕は少し賭けに出た。

 

「ミサトさん。あの“使徒”もう死んだんですか??」

 

「…死んでないわ、さっきのはあくまで足止めにしかなってないでしょうね。」

 

一拍の間の後、ミサトが答えた。そんな反応をするのも無理はない。あえて部外者が知らないであろう単語を使ったんだから。ミラー越しのまなざしが不穏な感じになっていることを感じるということは多分この違和感に気付いているということで間違いないだろう。日常会のシーンで忘れがちだが、ミサトさんがエリート側の人間であったということを実感した。暫く心地の悪い視線を感じた後、何か結論が出たのかミサトさんが口を開けた。

 

「カナメ君、シェルターに連れて行こうと思っていたけど、少し事情が変わったので同行させます。いいわね?」

 

「わ、分かりました。」

 

勝った。これでNERVに潜り込める。真面目な声色で言われたから緊張したがこれで第一ステージ突破だ。

 

「……すごい!本当にジオフロントだ!」

 

「〰〰〰〰〰〰ッ!!」

 

目下広がる景色に二人が声を上げた。ジオフロント、箱根の地下に広がる空間に何度思いをはせ聖地巡礼したことか……それが今目の前にある。これが叫ばずにいられるか。あっ、なんか涙が……

眼下には、広大な空間が広がり、湖や森林が見える。天井からは無数のビル郡が突き出し、採光窓からは太陽の光が差し込んでいる。本当に見ていたアニメそのままだ。その光景の中でも一番目を引くのは何といっても

 

「NERV本部!あそこか!!」

 

オタクモードでつい叫んでしまった。またも怪訝な顔をされたがこのレベルであればたぶん問題はないだろう。徐々に大きくなる三角錐の巨大施設に心奪われること数刻、車が停止した。どうやら目的地に着いたようだ。ミサトさんの支持に従って降り、案内されたエレベーターで地下深くへ潜る。ベルが鳴りエレベーターのドアが開くと、一人の女性が中へ乗り込んで来た。そう、赤木リツコだ。

 

「うっ、あらリツコ……」

 

「到着予定時刻を12分もオーバー。あんまり遅いから迎えに着たわ。葛城二佐。人手もなければ、時間も無いのよ」

 

「ごめんっ!」

 

攻めるリツコに即座に謝罪するミサト。この光景を見ればエヴァを知らない人にも二人の関係は即座にわかるだろう。そんなことを考えていると、ふとリツコがこちらに目を向け眉をひそめた。まあこの状況でこの場所にいる部外者を見れば何か察するのが常だろう。

 

「……例の男の子と……こちらは?」

 

「まあ、ちょっちね……」

 

「はぁ、あなたねぇ……まあいいわ。シンジ君は私が連れて行くから、貴方は彼をあそこへ。

……場所はわかるわね?」

 

「わかってますよ子供じゃあるまいし」

 

「あら、ミサトはいつまでも子供だと思っていたけれど、成長したのね」

 

「うるさいわねぇ、さ、行きましょ」

 

「え、あ、はい」

 

エレベーター内での井戸端会議が終わった後、僕はミサトさんに連れられシンジ君と離れ離れになってしまった。まあさすがに最高機密の兵器を部外者に見せるわけにはいかないだろうからわかっていたことであるが。

どれくらい歩いただろうか、入り組んだ道をミサトさん主導のもと進んでいると、とある部屋の前で立ち止まった。上の表示には「Hearing Room」、要は尋問室か。

 

「この中で待っていて、それまであなたのこの施設内での行動は許されません」

 

ああ、まあこうなるよな。という感想しか出てこなかった。何か知っているだろう男を監視下に置くだけで済ませておくような場所が特務機関じゃびっくりだ。疑わしきは黒、灰色は認めず。このようなスタンスであるべきだと僕も思う。監視役らしき黒服と目が合い気まずい雰囲気になったが特に会話はなく、沈黙の中ひとりこれからのことについて考えて見ることにした。

 * * *

どれほど経っただろうか、途中轟音とともに振動が響いたがさすがネルフといったところか、騒ぎになることもなく何もなかったかのように時が流れた。

 

「待たせたわね。さて、始めましょうか」

 

部屋に光が入り聞きなれた声が聞こえた。そう、ミサトだ。僕の体面に座りじっと見つめた後、僕の返答次第によっては命が消えかねない取り調べが始まった。

「その前に一ついいですか……?」

 

「可能な限り話は聞くわ。言ってごらんなさい」

 

「ありがとうございます。ミサトさんを信頼しての頼みなんですが、監視役の黒服の方やほかのこの話を聞いているであろう方達に、この会話が聞こえないようにさせてください。出来ればリアルタイムでの録音も。そうすれば僕の知っていることをすべて話します。」

 

「できればそうしたいけど、一応こっちも仕事なのよね。その要求は難しいわね」

 

そういいつつ肩をすくめるミサト。国際公務員はやはり優秀だと改めて思うが、さすがに打つ手がなくなってしまう。ここは少し強気に出てみるか。

 

「そうですか。では話すことはありません」

 

「いいけど、こちらは拷問も好きにできるのよ。いろいろと力を使ってね。でも――――」

 

さらっと怖いことを口にしつつミサトは続ける。

 

「子供にそういうことする趣味はないわよ~。あなたも協力的だしね。んじゃ、そういうことだから出ててくれるかしら?」

 

明るく言い放つミサトの行動に安堵し、体の力が抜けていくのを感じた。黒服も命令には従順で、コクリとうなずき部屋を後にした。すごいなミサトさんの立場。

 

「さて、それじゃ話を聞かせてもらいましょうか。“使徒”という名称は機密情報、つまり一般御人々には開示されていないはずよ。そこから聞かせてもらいましょうか。」

 

打って変わってまじめな態度で話を切り出したミサトに、僕は国際公務員の尋問技術を感じ息をのんだ。こうやって気持ちに緩急つけさせることで疲弊させてはなしを引き出すのか。後で役に立ちそうだから覚えておこう。と今後意味のない知識を一つ得たところで僕も話を始めることにした。

 

「これから話すことはにわかには信じられない話かもしれません。ですが真実です。それに、ミサトさんが別で知りたがっていた情報にも通じることだと思います。まず――――」

 

僕は自分の知っていることをそのまま話した。僕が転生者であること、セカンドインパクトの内容、18体の使徒のこと、地下の巨人のこと、チルドレンたちのこと、サードインパクトがシンジの手で起きてしまうこと、―そして、加持が殺されること。

 * * *

「信じてもらえるかわかりませんが、これが全てです。そして僕はミサトさんがこちら側の人だと思ったので話しました。もし――「もし、碇指令やゼーレにばれたら消される可能性があるから、でしょ?」

 

「はい、その通りです。」

 

「本当に信じられない話だけど……ひとまず事情はわかったわ。取り敢えずこの取り調べで得たものはダミーのものを報告するわね。そもそも私の一存で取り調べさせてもらっただけだしね。それと―」

 

「貴方を監視下に置いておく必要もあると思うし、うちのアパート来ない??」

 

突飛な提案に僕は暫く思考停止した。

 

「シンジ君はひとり暮らしするっぽいですし、なら僕はシンジ君と二人で住みますよ!」

 

「でもその世界だとシンジ君うちにいるんでしょぉ~??」

 

「あっ……」

 

「決まりよん。それに、貴方とは反SEELE同盟として話す場所も必要だしね~」

 

「うぅ……分かりました。観念します。」

 

嫌がってないと恥ずかしいと思っていやがるそぶりを見せたが、正直言って嬉しい。ミサトさんとシンジ君、それに後からアスカと生活することもできるなんで最高すぎる。この神の采配を暫くは賜ろうと思う。

 

「じゃあ、同盟の名前なんかも決めないとですね~。」

 

打ち解けたいと思い軽口で話を振ってみた。するとミサトは真面目な顔でこう答えた。

「“WILLE”、あっちが勝手に人々を“魂”だけの存在にしたいなら、こっちは人の“意志”を持って跳ね除けてやろうじゃないの!」

 

「WILLE、か……」

 

どこか聞きなれたようなその言葉をぽつりとこぼし、僕は誓った。この世界を救おうと。

 

こうして、最悪の未来から世界を救うため、僕たち“WILLE”の戦いが幕を開けたのであった。

 

――――――

『次回予告』

ミサトに信じてもらうことができたカナメは、要監視人物という名目の下で葛城家に居候することになる。そこでミサトとWILLEとして活動するカナメだったが、その活動よりも今のカナメには勉学の方が必要である。だって、サードインパクト防いだら平和な世界で頭脳も必要になるからネ!

次回『転校生と転校生』

この次もサービス~サービスぅ~!

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