エヴァンゲリオンAnotherWorld   作:時雨光多

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第弐拾弐話 えあー

 

その少し前、シンジ、アスカ、レイ、そしてカナメの4人は、それぞれの格納庫で緊急待機していた。暫定的なバチカン条約反故の現状で下手な動きはできないが、緊急時という特例で何とかだましだましの運用中でのことだ。

 

「状況は最悪ね、シンジ。こんなことになるなんて……」

 

アスカは苛立ちを隠せない。

 

「僕たち、どうすればいいんだろう……」

 

シンジの声は震えていた。レイは無言のまま、

ただじっと自分のEVAを見上げていた。そしてカナメはというと、この状況になって姿を見せないカヲルとマリ、その双方に疑念を抱いていた。

司令室のモニターに、NERV本部地下へと続く主要シャフトの映像が映し出された。そこには、うごめく「兵士」たちの群れが映し出されており、その先には初号機、2号機、零号機そして3号機の格納庫へと続く道が見える。

 

「目標、第一から第四格納庫!EVAの確保が目的か!?」

 

青葉が叫ぶ。

 

「冗談じゃないわ!!」

 

ミサトが血相を変えて怒鳴った。

 

「各格納庫に連絡!いますぐエントリープラグ挿入!EVAを緊急射出いそいで!」

 

しかし、時すでに遅し。「兵士」たちは、それぞれの格納庫のシャッターに同時に群がり、その強固な装甲に、まるで紙切れを破るかのように穴を開け始めた。

 

「格納庫が…格納庫が破られます!」

 

シンジの目の前で、初号機格納庫の巨大なシャッターが軋みを上げて歪み、外側から破壊される。そこから、能面のような表情の「兵士」たちが、一斉になだれ込んできた。彼らの標的は一つ、EVAだ。

 

「シンジ君!早く、乗って!」

 

ミサトの声が響く。

だが、シンジは恐怖で足がすくみ、動けない。「兵士」の一人が、鈍い光を放つナイフを手にシンジに迫る。その目は、感情の欠片もなく、ただ冷徹に任務を遂行しようとしている。

 

 

「……やめろ……こないで……!」

 

(…母さんっ!!!!!)

 

シンジは声にならない悲鳴を上げた。全身が震え、その場から一歩も動けない。ナイフが彼の喉元に迫り、彼の瞳に死の影が映り込んだ、その瞬間だった。

地響きとともに、シンジの背後に立つEVA初号機が、その右腕を動かした。エヴァの巨大な手が、まるでシンジを守るかのように、彼を襲おうとしていた「兵士」たちを、一瞬のうちに薙ぎ払った。

 

「え……?」

 

シンジは困惑し、振り返った。初号機は、パイロットの命令を受けていないにもかかわらず、自らの意思で動いている。その紫色の瞳には、まるで何かに怒っているかのような、激しい光が宿っていた。

薙ぎ払われた「兵士」たちは、まるで紙くずのように壁に叩きつけられ、無表情な顔のまま、ぴくりとも動かなくなった。彼らの手足は不自然な方向に曲がり、もはや動くことはなさそうだった。

 

「……動いた……?どうして……?」

 

シンジの混乱をよそに、初号機は再び動き出す。その巨体がゆっくりと腰をかがめ、シンジに向かって左手を差し出した。それは、まるで「早く乗りなさい」と促しているかのようだった。

シンジは、その光景を信じられないといった表情で見つめる。しかし、背後から新たな「兵士」たちの足音が迫る。彼は、このままでは本当に殺されると悟った。初号機が自らの意思で動いた理由はわからない。だが、今、この瞬間、自分を助けてくれていることだけは確かだった。

 

◇ ◇ ◇

 

「シンジ君!大丈夫だった!?」

 

カナメの声が、シンジのエントリープラグ内に響いた。それは、通信が途切れる直前、何とかつながったかのような、ノイズ混じりの安堵の声だった。

 

「……うん、なんとか……」

 

シンジは震える声で答える。初号機は自らの意志で動き、彼を助け、今はただシンジの操縦を受け付けるのみだ。カナメのエヴァ3号機もまた、エントリープラグを叩く「兵士」たちの攻撃にさらされていたが、ミサトの指示を受けた正規職員の決死の援護によって、かろうじてプラグの挿入を完了していた。

 

「カナメも、大丈夫なの?」

 

シンジは、自分の状況を顧みず、カナメを気遣う。

 

「僕はなんとか、プラグに乗り込めたところ。でも、あいつら本当に……ぐっ!」

 

その言葉と同時に、カナメの3号機に、鈍い衝撃と、次いで莫大な閃光、轟音が響いた。カナメのモニターにチリチリとしたノイズが走る。

カナメは、自身のモニターに映る映像を信じられないといった表情で見つめる。そこには、ネルフ本部へと続く道路を埋め尽くす、国連軍の戦車部隊が映し出されていた。しかし、彼らがエヴァ3号機に撃ち込んでいるのは、通常の徹甲弾や榴弾ではない。それは、閃光と轟音を伴い、エヴァの装甲に強烈な衝撃を与えていた。

 

「こんな規模で……!?」 

 

カナメは叫んだ。彼は、エヴァが受けた衝撃から、エヴァ以外の兵器の脅威を身をもって感じた。彼のモニターには、ネルフ本部へと続く道路を埋め尽くす、国連軍の戦車部隊が映し出されていた。しかし、彼らがエヴァ3号機に撃ち込んでいるのは、通常の徹甲弾や榴弾ではない。それは、閃光と轟音を伴い、エヴァの装甲に強烈な衝撃を与えていた。

 

「くそっ、このままじゃ……!」

 

時間がなさすぎる…!あまりにも膨大な量の敵たちに、半ば戦々恐々としながら、彼はモニターに映る戦車部隊の姿を睨みつける。その戦車の上には、武装した国連軍兵士たちが立っていた。しかし、彼らの顔もまた、ネルフ本部内部で見た「兵士」たちと同じ、感情のない能面のような表情だった。彼らの瞳には、もはや人間的な感情は宿っておらず、ただ任務遂行のための意思だけが輝いていた。

まるで、あの時のようだ。

カナメは、かつての世界で、彼が最後に見た光景を思い出す。戦略自衛隊がネルフ本部に襲来し、その圧倒的な物量でネルフを追い詰めていく、あの悪夢のような戦い。そして、その後に起こった、世界の終わりを告げるサードインパクトの惨状。光の柱となり消えゆく生命、白く巨大に膨れ上がったリリス、そして、。

 

(…胃酸が、逆流しそうだ…)

 

カナメは、吐き気をこらえながら、操縦桿を握りしめた。彼は、この戦いが、単なるテロではないことを悟っていた。これは、あの時と同じ、あるいはそれ以上の、世界を蝕む災害なのだ。

彼は、震える指でミサトへと通信を繋ぐ。

 

「ミサトさん!聞こえますか!?」

 

「カナメ君!? 無事だったのね!?」

 

「はい!…それよりも、ミサトさん、この状況は……」

 

カナメは、言葉を選びながら、ゆっくりと続けた。

 

「サードインパクトが起こるかもしれません……!」

 

ミサトは、一瞬、沈黙した。しかし、すぐに彼女の声が響いた。

 

「あなたの証言と近しい状況にあるわね。何としても止めなければ。パイロットたちに通達!敵を殲滅しつつ、直ちにネルフ本部の奥へと進んで!絶対に、リリスに近づかせてはダメよ!」

 

ミサトの言葉に、カナメは再び操縦桿を握りしめた。彼は、この戦いを止められないことを知っていた。しかし、だからこそ、彼は、この戦いを、最後まで戦い抜くと決意した。彼の心の中には、恐怖と、そして、未来を変えたいという強い意志が宿っていた。カナメは、意識を集中させ、エヴァ3号機に力を込めた。ちか空間に広がる大地の上で、エヴァの周囲に淡い光が瞬く。次の瞬間、その光は強烈な光の壁となり、エヴァ3号機を完全に覆い尽くした。

ATフィールド。

それは、彼にとって、希望の光だった。そして、絶望の淵から這い上がってきた彼の、強靭な意志の証でもあった。

 

「くそっ、アンビリカルケーブルが無くたって……!」

 

カナメは自分を奮い立たせるように呟き、操縦桿を握りしめた。

 

「こちとらには一万二千枚の特殊装甲と!ATフィールドがあるんだからっ!!!!負けてらんないんだよ!!お前らなんかに!」

 

彼の咆哮とともに、エヴァ3号機は、まるで巨人が走り出すかのように発進した。光の壁は、戦車部隊からの攻撃を完全に弾き、彼らの砲撃がまるで意味をなさないことを証明する。カナメの瞳には、怒りと、この理不尽な状況への反発が宿っていた。彼は、この戦いを止められないことを知っていた。しかし、だからこそ、彼は、この戦いを、最後まで戦い抜くと決意した。

 

「全機に告ぐ!各個に散開せよ!殲滅を最優先!」

 

ミサトの命令が飛ぶ。

シンジの初号機、アスカの2号機、レイの零号機、そしてカナメの3号機が、それぞれ独自のルートでネルフ本部へと続く道を突き進んでいく。彼らの行く手には、武装した民間人、そして国連軍の戦車部隊が、まるで蟻のように蠢いていた。

カナメの3号機は、その巨体で戦車部隊へと突っ込んでいく。ATフィールドは、彼らの攻撃を全て弾き、その巨体で戦車を蹴散らしていく。まるで、豆腐でも崩すかのように、戦車は無残に転倒し、爆発した。

カナメは、自らの手で命を奪っていくことに、胸を締め付けられるような痛みを感じる。しかし、彼は、この戦いを止められないことを知っていた。

 

「くそっ……!あんたたちは、何なんだよ…!」

 

彼は叫びながら、次々と敵を排除していく。己の心を、少しずつ蝕みながら

その頃、シンジの初号機は、パレットライフルを構え、武装した民間人の群れへと向かっていた。シンジは、引き金を引くことを躊躇していた。

 

「同じ人間なのに…やめて…!お願いだから…!」

 

叫びながら、シンジは、自分が、今はただの傍観者でしかないことを悟った。

一方、アスカの2号機は、躊躇なく敵を殲滅していく。

 

「邪魔よ、雑魚ども!」

 

彼女は叫び、マゴロク・E・ソードを振り回し、次々と敵を切り裂いていく。彼女の瞳には、狂気にも似た光が宿っていた。

そして、レイの零号機は、ただ静かに、パレットライフルを構え、敵を排除していく。彼女の動きは、まるで機械のように正確で、一切の無駄がなかった。彼女の顔には、何の感情も浮かんでいなかった。

四体のエヴァは、それぞれのパイロットの意思を乗せ、ネルフ本部へと続く道を、一斉に進んでいった。その道は、彼らの犠牲によって、血と炎で染まっていた。

 

 

――――――

 

『次回予告』

突如、静止した「兵士」たち。

安堵と困惑が交錯するネルフ司令部に、カヲルの言葉が響く。

碇ゲンドウが仕組んだ、神の理を乱す儀式。

そして、明かされる「彼ら」の正体。

 

謎が謎を呼ぶ、その刹那。

静かに崩れ落ちる「仮面」の下に現れたものとは──。

 

これは、終焉への序曲。

ミサトの叫びが、パイロットたちに最後の命令を下す。

今、ターミナルドグマで、世界を揺るがす胎動が始まる。

 

次回「人類補完計画」。

 

運命は、もう後戻りできない。

 

サービス、サービスぅ!




本当に、本当に自己解釈が詰まっております。嫌な人がいたら本当にリタイアしてください。申し訳ないです。自分が許せない。(原作至上主義者)
ちなみに皆さんは11の使徒とサードインパクトの贄とトリガーは何だと思いますか?知見を深めたいです!
ちなみに僕はシンジ君や初号機は11使徒ではないと考えています。なぜなら関連する部分でパターン青と明記されていないし、ニアフォースで起きた現象によってカヲルが13番目の使徒に落ちた時、「ないはず」の13番目と、驚いた反応をしているからです。(同じ形式で使徒化するならなら13番目の使徒になることわかりません??)
意見お待ちしてます!
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