【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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111 漏れ鍋での楽しい夕食!

漏れ鍋ではアーサーが日刊預言者新聞を難しい顔で読みながら、バーに座っていた。

 

 

「ハリー!それに、ソフィアとルイスじゃないか!久しぶりだね、元気かい?」

「はい、元気です」

「お久しぶりです!元気ですよ」

「元気です、アーサーさんはおかわりないですか?」

 

 

アーサーは3人に向かってにっこりと笑いかける。5人は──ロンとハーマイオニーは買物の袋を抱えながら──アーサーの側に座った。

 

 

「まだ、ブラックは捕まって無いんですね?」

 

 

アーサーが机に置いた新聞から、もう何度も目にしていたシリウス・ブラックの顔を見たハリーはそのギラギラと輝く目を見ながらアーサーに聞く。

 

 

「うむ…魔法省全員が通常の任務を返上して、ブラック捜しに努力してきたんだが…まだ吉報がない」

 

 

深刻な表情でアーサーは答え、ため息をついた。魔法省の職員の数はかなり多いはずだ。そして優秀な者が多いと知っていたソフィアとルイスは、それでいて見つからないなど、一体どこに隠れているのかと首を傾げる。──協力者でもいなければ、隠れ続けられないのでは無いだろうか?

 

 

「僕たちが捕まえたら賞金が貰えるのかな?また少しお金が貰えたらいいだろうなぁ…」

 

 

ロンはぽつりと呟く、その目はどこかうっとりとしていて、きっと素晴らしいエジプト旅行を思い出して居るのだろうとすぐにソフィアはわかった。

 

 

「ロン、馬鹿な事を言うんじゃない。13歳の魔法使いにブラックが捕まえられるわけがない、ヤツを捕まえるのはアズカバンの看守なんだよ。──肝に銘じておきなさい」

 

 

アーサーは緊張した面持ちで厳しくロンを諌めた。ロンは詰まらなさそうに肩をすくめ「冗談さ」と呟いた。

去年ロンがハリーとルイスと何をしたか知っているアーサーは、釘を刺しておかねばまたこの息子達が何かをするのでは無いかと思っているのか、すこし不安げな顔でハリーを見て何かを言おうと口を開いたが、入り口からモリーが入ってきたのを見て口をつぐんだ。

 

 

「フレッド!ジョージ!」

「久しぶりね!」

「ソフィアとルイスじゃないか!」

「久しぶり!」

 

 

ソフィアとルイスは立ち上がるとフレッドとジョージに駆け寄り嬉しそうに微笑んだ。赤毛の双子達はロンと同じように去年よりそばかすの増えた顔でにっこりと笑う。

 

 

「ルイス、ちょっと見ない間に…背が伸びたんじゃないか?」

「わかる?実はそうなんだ!」

「ソフィアは…うーん、あんまり変わってないな?」

「わ…私も少し伸びたわ!」

 

 

胸を逸らしどこか誇らしげなルイスとは対照的に頬を膨らませぷいとそっぽを向くソフィアに、フレッドとジョージは顔を見合わせその頭をわしわしと撫でた。

 

 

「ま、今の大きさが撫でやすい!」

「違いない!」

「もーっ!」

 

 

ソフィアは声だけ聞けば怒っているようだったが、機嫌良くにこにこと笑っていた。

 

 

「ソフィア!会いたかったわ!」

「まぁジニー!私もよ!」

 

 

ジニーはフレッドの後ろから顔を出すとソフィアに抱きつき、ソフィアもしっかりとそれを受け止めると優しく抱き返した。ふと、ジニーは父のそばにハリーがいる事に気付き、ぽっと顔を赤らめると「こんにちは」と消え入りそうな声で呟きソフィアの影に隠れてしまった。

 

フレッドとジョージはパーシーがやけに畏まり、まるで初めて会ったかのようにハリーに挨拶をしている事に気付くとニヤリと悪戯っぽく笑い大股でハリーに近寄った。

 

 

「ロンから聞いたかしら?パーシー、首席に選ばれたの、それからいつもあんな調子よ」

「首席に?それはすごいわね」

 

 

ジニーは肩をすくめ、誇らしげに胸を張り、ホグワーツでもないのに輝く金バッチをさりげなく主張するパーシーを見ながらソフィアに囁いた。

首席とは生半可な努力ではなれるものではない、それこそ血が滲むような努力をした事だろう。監督生にも選ばれていたし、本当に才ある人なのだとソフィアはパーシーを見つめた。

 

 

「ソフィアもすごく優秀なんでしょう?首席になれるんじゃない?」

「あー、私、得意じゃない科目が幾つかあるの」

「魔法薬学の実技とかね」

 

 

ジニーの尊敬と期待の込められたキラキラおした眼差しを受けたソフィアは、言い淀むように歯切れが悪く首を振る。ルイスはこっそりと隣から付け足したが、ソフィアに「余計な事は言わないで」とばかり睨まれてしまい肩をすくめた。

 

 

 

その夜の夕食は賑やかなものだった。

ソフィアとルイスは漏れ鍋に宿泊する事は無いが、夕食は一緒に食べる事に決めた。

亭主が3つの机を繋げてくれたおかげで、ウィーズリー家の7人とハリー、ハーマイオニー、ソフィア、ルイスの全員が楽しくお喋りに花を咲かせながらフルコースの美味しい料理を食べた。

 

 

「アーサーさん、自転車ってご存知?」

「マグルの移動手段だろう?それがどうしたんだい?」

「私とルイスね、夏休みに乗れるようになったの!」

 

 

誇らしげにソフィアが言えば、アーサーは目を見開き興奮が抑えられないように身を乗り出し目を輝かせた。

 

 

「ほ、本当かい?実は私も挑戦した事があるんだけどね…あれを乗りこなすのは…箒よりも難しい…」

「僕たちも何回も転けましたよ」

 

 

ルイスは自転車の猛特訓を思い出しくすくすと楽しげに笑った。あの愛車はまだ公園にあるだろうか?誰の忘れ物なのか、誰かが捨てたのかわからないが、今度行った時にまだあったら家に持ち帰ろう。そうルイスは考えながらブランコという遊具で遊んだ事もアーサーに伝える。するとアーサーはちらりとモリーを見てこちらの会話を気にしていない事を確認すると声を顰め、ソフィアとルイスに囁いた。

 

 

「ブランコか…私もこっそりと乗ってみた事がある。ただの前後運動なのに…いや、あれは奇妙な魅力があると思わないかい?──つい夢中になってしまってね」

「わかります、とっても楽しいですよね」

 

 

ソフィアがあの風を切る遊びを思い出して同意するように頷けば、アーサーは自分の事のように嬉しそうに笑い、さらに声を顰めた。

 

 

「そうだとも!…ただね…私は知らなかったのだが、大人がブランコを使う事はマグルには奇妙に見えるらしい。警察──マグル界での秩序を守る者だが──に、何をやってるんだと聞かれてしまったよ。どうやら誰かが通報したらしい」

「えっ…それでどうしたんですか?」

 

 

ルイスはアーサーと同じく声を顰めながら聞いた。アーサーは再びちらりとモリーを見た後でポケットから杖を出し2人に見せると、頭を押さえ指をくるくると振った。──そのジェスチャーを見た2人は忘却魔法をかけたのだとわかり、楽しげにくすくすと笑う。

いや、笑い事では無いのだろうが、アーサーの表情がどこか悪戯っぽく──フレッドとジョージによく似ていて、つい笑ってしまったのだ。

 

 

「まぁ、何にせよ君たちがマグルに興味を持ってくれて嬉しいよ!」

「私、今年マグル学を受講するんです!今から楽しみです」

「本当かい?いやーマグル学を軽んじる者は多いが…あの学問はなかなか奥が深い」

 

 

腕を組みうんうんと頷くアーサーだったが、「マグル」という言葉が耳に入ったモリーが「アーサー?何の話をしているの?」と厳しく声がけた為慌てて「何でも無いさ」と取り繕うように笑い、こっそりとソフィアとルイスに向かって茶目っ気たっぷりにウインクをした。

 

 

フルコースを食べ終えた後、デザートの豪華なチョコレートケーキと共に紅茶が運ばれてきて、みんなは腹の残量を確認しながらそのケーキに手を伸ばす。

 

 

「父さん、明日どうやってキングズ・クロス駅に行くの?」

「魔法省が車を2台用意してくれる」

 

 

フレッドがケーキにかぶりつきながら聞き、アーサーは紅茶を飲みながら静かに答えた。

何故わざわざ魔法省が個人のために車を用意してくれるのか、その答えに疑問に思ったみんなが一斉にアーサーの方を見た。

 

 

 

「どうして?」

「パース、そりゃ、君のためだ。それに小さな旗がつくぜ。HBって書いてな──」

「──HBって首席…じゃなかった、石頭の略さ」

 

 

訝しげなパーシーに、真面目な顔をしてフレッドが答え、くつくつ笑いながらジョージがその後にセリフを続けた。

その言葉にパーシーとモリー以外が思わず吹き出したが、2人に睨まれてしまい何もしなかったふりをして慌ててケーキを食べ、紅茶を飲み白々しく取り繕う。

 

 

「お父さん、どうしてお役所から車が来るんですか?」

「そりゃ──私たちにはもう車が無くなってしまったし、それに、私が勤めているのでご好意で…」

 

 

何気ない言い返しだったが、ハリーはアーサーの耳が髪のように赤くなったのを見た。それはロンに何かプレッシャーがかかった時の反応と全く同じだった。

 

 

「大助かりだわ!みんな、どんなに大荷物かわかってるの?マグルの地下鉄になんか乗ったら、さぞかし見物でしょうよ…。みんな、荷造りはすんだかしら?」

「ロンは新しく買った物をまだトランクに入れてないんです。僕のベッドの上に置きっぱなしです」

 

 

パーシーがすぐに、さも苦痛だとモリーに伝えれば、モリーは机の端からロンに「ちゃんとしまいなさい」と告げる。

ロンは余計な事をみんなの前で言うなよ、とでも言いたいのか顰めっ面をしたまま無言でパーシーを睨んだ。

 

 

楽しかった夕食も、みんなが満腹になって終わる。ソフィアとルイスは名残惜しさを感じながらも暖炉の前に立った。

 

 

「また明日ね」

「ええ、また明日!」

 

 

ソフィアとルイスは手を振り、みんなに見送られながらフルーパウダーを使い自宅へと戻った。

 

 

 

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