【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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115 えげつない時間割!

翌朝、ソフィア達が朝食をとりに大広間に行くと、扉のすぐ側でルイスがソフィア達の到着を待っていた。

 

 

「ルイス、おはよう!」

「おはよう、ソフィア!」

 

 

ソフィアはルイスに気付くと軽くハグをして頬にキスを落とす。ルイスは微笑みながらそれを受け入れ、同じようにキスを落とした。

「みんなも、おはよう」とルイスがソフィアを離しながらハリー達に言えば、ハリー達も口々に朝の挨拶をする。

 

 

「どうしたんだい?何か用?」

 

 

ルイスがこうして待ち伏せしているのは珍しく、ハリーが聞けばルイスは「んー…」と少し言い淀みながら、おずおずとハリー達を見回した。

 

 

「一緒に朝ごはん食べていい?」

「勿論だよ!」

「久しぶりね、去年は殆どマルフォイのところだったじゃない?」

 

 

ルイスの言葉に直ぐにハリー達は快く頷く。ハーマイオニーの言う通り、実際去年はドラコがルイスを独占し、殆ど共に朝食を取る事はなかった。

ルイスは安心したように微笑むが、それは眉の下がっている少し悲しそうな微笑みにハリーは見えた。

 

 

「ありがとう。…その、ごめんね。僕には止められなかったんだ」

 

 

 

ハリー達は顔を見合わせ、何を謝る事があるのかと首を傾げたが、ソフィアは大広間をちらりと覗き込み──そして大きなため息を溢した。

 

 

ルイスがなぜ謝ったのか、直ぐにハリーは理解した。

スリザリン生の集団の中心でドラコが何か愉快な話をして大きな笑いを取っていた。

ハリー達がすれ違う時、ドラコは大袈裟なまでに胸を押さえ叫びながら馬鹿らしい仕草で気絶するフリをした。

 

 

「…なるほど、よく分かった」

「ごめんね、止めたんだけど…」

「知らんぷりよ、相手にするだけ損よ」

 

 

ハリーは無感情に呟き、ハーマイオニーは後ろからハリーに囁く。直ぐに無視をして通り過ぎようとしたが、その集団からパンジーがニヤニヤと笑いながら「あーら、ポッター!」と甲高い声で呼びかけた。

 

 

「ポッター!吸魂鬼がくるわよ、ほらポッ──」

「パンジー!久しぶりね!」

 

 

パンジーが胸を押さえ片手を高く上げながら気絶するフリをしようとしたが、その言葉は途中でソフィアの抱き締めにより止められた。

 

 

「ソ、ソフィア!」

「おはよう、パンジー。…ねぇ、パンジー?私はあなたがそんな真似をしてるの…見たくないわ、あなたの愛らしさが台無しよ?」

 

 

折角のハリーを揶揄うチャンスを無理矢理奪われたパンジーは嫌そうな顔をしていたが、ソフィアからの忠告にカッと顔を赤らめ押し黙る。何も言えないでいるとソフィアはにっこりと笑い、パンジーに「またね!」と言うと直ぐにハリー達の居る所へ戻った。

 

 

「ソフィア、君、パーキンソンまで手懐けているのかい?」

「あら、何のことかしら」

 

 

ロンの言葉にソフィアはすまし顔で答えながらジョージの隣に座り「三年の時間割」と渡された羊皮紙を受け取りそれを眺めた。

1日に10科目もある曜日を見つけ、流石にソフィアは上手くやっていけるのかと少し心配になりながらそっと時間割を鞄の中に入れた。

 

 

「ハリー何かあったのか?」

 

 

ジョージが不貞腐れたような表情のハリーに気が付き少し心配そうに肩を叩けば、悔しさから不機嫌そうにソーセージをフォークで突くハリーの代わりに、ロンがスリザリン生の居る机を睨みながら「マルフォイのやつ」と呟き顎で指した。

ジョージが後ろを振り向けば、味を占めたドラコが再び気絶する真似をしている所だった。

 

 

「あの、ろくでなし野郎。昨日の夜はあんなに気取っちゃいられなかったようだぜ。列車の中で吸魂鬼がこっちに近づいて来た時、俺たちのコンパートメントに駆け込んで俺たちとルイスを盾にしたからな。なぁフレッド?」

「殆ど漏らしかかってたな」

「俺たちだって嬉しくはなかったさ」

「でも、僕とドラコを追い出さないでくれたよね。そんな2人の優しい所…好きだよ」

 

 

ルイスがハッシュドポテトを食べながらにっこりと笑えば、フレッドとジョージは顔を見合わせ肩をすくめた。

 

 

「ま、震える下級生を叩き出すほど俺たちはろくでなしじゃないさ」

「誰かさんと違ってな」

 

 

2人はドラコをチラリと軽蔑を込めた目で見ながら答える。どれだけ嫌いな相手でも、目に涙を溜め怯え震えている子どもを追い出すほど愚かではない。そんな優しい二人がルイスと──それを聞いて心が温かくなった──ソフィアは、大好きだった。

 

 

「あいつら、恐ろしいよな。あの吸魂鬼ってやつ」

「何だか身体の内側を凍らせるんだ。そうだろ?」

「でも、気を失ったりしなかったでしょ?」

 

 

なんとかハリーを元気付けようとしたフレッドとジョージだったが、ハリーの気分は晴れず低い声で2人に聞いた。

 

 

「忘れろよ、ハリー。親父がいつだったかアズカバンに行かなきゃならなかった。フレッド、覚えてるか?あんなひどいところは行ったことが無いって…親父が言ってたよ。帰ってきた時にはすっかり弱って震えてたな…。奴らは幸福ってものをその場から吸い取ってしまうんだ。あそこじゃ囚人はだいたい気が狂っちまう」

「ま、俺たちのクィディッチ第1戦の後で、マルフォイがどのくらい幸せでいられるか、拝見しようじゃないか。グリフィンドール対スリザリン、シーズン開幕の第1戦だ!」

「ハリー、頑張ってね!」

 

 

フレッドとジョージ、ルイスに励まされたハリーはクィディッチの事を思い出し、ようやく少し気分が良くなったようで穴だらけになったソーセージを食べた。

 

 

ハーマイオニーとロンが時間割について言い合いをしている中、ソフィアは黙って今日から始まる授業の事を考えた。1時間目は占い学と数占いが被っている、どちらを先に済ませてしまうか、あとでハーマイオニーと話し合わなければならない。

 

その時ハグリッドがケナガイタチの死骸を持ちながら大広間に現れた。さすがに食事中にあまり見たくない光景に何人もの生徒が顔を顰め、食べかけていた肉料理をそっと皿の上に戻した。

 

 

「元気か?おまえさん達が俺の一番最初の授業だ!昼食の直ぐ後だぞ!5時起きして、なんだかんだ準備してたんだ…うまくいきゃいいが…俺が先生…いやはや…」

「ハグリッドの授業、楽しみだわ!」

 

 

ソフィアはハグリッドの大きな腕を叩き「期待してるわね!」と声をかける。ハグリッドは嬉しそうににっこり笑うとケナガイタチを無意識なのか、ぐるぐる振り回しながら教職員テーブルへ向かう。

それを見送った後、不安そうにロンが「何の準備をしてたんだろ…」と呟いた。

 

 

朝食が終わりに近づくと、大群のフクロウ便が大広間に舞い込み、手紙や小包を生徒達に届けた。その中で一際目立つ大きな黒い鴉を見た生徒たちは皆ぽかんと口をあけ、天井付近を旋回するその鴉を見上げる。

 

ルイスとソフィアも周囲の騒めきに気がつき視線を上に上げた途端、大きな影は「そんなところにいたのか」というように静かにルイスの目の前に舞い降りる。

 

 

「シェイドよ!」

「手紙?…ありがとう、シェイド」

 

 

ルイスは大鴉──シェイドが咥えていた手紙を受け取りベーコンを代わりに咥えさせた。シェイドは嬉しそうにベーコンを啄みながら「クー」と任務を無事遂行させたからか、誇らしげに一度鳴くとすぐにまた大広間を優雅に舞い、他のフクロウ便達に混じって空へ飛び立った。

 

 

ルイスは封筒を裏返し、差出人が書かれていない事に気付く。少し不思議に思いながら、もしや、と中の手紙を取り出しさっとその中の文書に目を通すとチラリと教職員達が座るテーブルに視線を向けたが、差出人とは視線が合うことは無く──今年も徹底しているなぁ、と苦笑しながら、苺を頬張るソフィアを見た。

 

 

「ソフィア、今日空き時間ってある?」

「んー…昼食の時くらいしか無いわ」

 

 

ソフィアは今日の時間割を思い出して答え、「どうして?」と首を傾げた。

 

 

「デートのお誘いさ」

 

 

ルイスは笑いながら手紙をソフィアに手渡す。ソフィアはきょとんとしながら手紙を受け取り、中に書かれている言葉を読んだ。

 

 

──今日中に一度来るように。  S

 

 

それだけが書かれた、短い手紙だった。

ソフィアは何を意味しているのかすぐに悟ると手紙をルイスに返しながら少し悩むように唸る。

 

 

「んんー…放課後は…厳しいわ、やっぱり昼休みね」

「わかった、伝えておくよ」

 

 

ルイスは鞄の中に手紙を片付けるとカップに入っている紅茶を飲み干し立ち上がった。

 

 

「じゃあ、僕はそろそろ授業に向かうよ。またね」

 

 

ルイスは小さく手を振りソフィア達の元を離れ、まだしつこく気絶した真似をするドラコの元へ向かった。

 

 

「僕たちも行った方がいい。ほら、占い学は北塔のてっぺんでやるんだ。着くのに10分はかかる」

 

 

ルイスを見送ったロンが時間割を調べながら呟き、ハリー達は慌てて朝食を済ませるとフレッドとジョージに別れを告げて大広間を横切った。スリザリンの長机を横切る時、またもドラコが気絶ふりをして──ルイスが後ろからドラコの頭を軽く叩いていたのを見ながらハリー達は北塔へ走った。

 

 

ハリーとロンが先頭を走る中、ソフィアはハーマイオニーにそっと近づき囁いた。

 

 

「どうする?」

「先に、占い学を済ませましょう」

 

 

その言葉にソフィアは頷き、沢山の教科書が入り重い鞄を持ち直して長い廊下を走った。

 

 

 

 

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