【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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142 きつーい一撃!

 

ハグリッドと話が出来るのは、彼が受け持つ魔法生物飼育学の授業後僅かな時間のみだった。

ソフィア達は判決を受けショック状態なのか、放心しているハグリッドを見て強く心を痛めた。ルイスもソフィアとハーマイオニーと同様手紙を受け取っていた為、心配そうにハグリッドに駆け寄った。

 

 

「ハグリッド…ごめん、僕…」

 

 

眉を下げるルイスに、ハグリッドは首を振り肩をぽんと叩いた。ハグリッドにしてみれば軽く叩いたつもりでも、がくりとルイスは膝を折り危うく転倒する所だった。

 

 

「いや、…ルイスが委員会に送った嘆願書は役に立った。…ヤツら、本当はヒッポグリフ皆を…処刑するつもりだったみてぇだ。…みんな俺が悪いんだ、舌がもつれちまって、そんでもってメモをぼろぼろ落としちまって…ソフィア達が教えてくれた日付は忘れちまったし…。そんで、そのあとルシウス・マルフォイが立ち上がって、奴の言い分をしゃべって、──委員会はあいつにやれと言われた通りにやったんだ…」

「まだ控訴がある!」

「そうよ!諦めないでハグリッド、私たちみんなで準備してるの!」

 

 

ロンとソフィアは力を込めて言い、ハグリッドの腕を慰めるように叩いた。

ハグリッドはその小さな目に涙を溜めると大声で泣き。ロンとソフィアを強く抱きしめ──慌ててルイス達が顔を引き攣らせ呻くロンとソフィアを救出した。

 

 

痛む身体を抑えながらよろよろとソフィアとロンはハグリッドから少し離れる。大きなハンカチで鼻をかみしゃくりあげるハグリッドをハリーとハーマイオニーとルイスは心配そうに見たが、ロンはちらりと腕を抑えるソフィアを見た。その視線に気付いたソフィアは首を傾げ「どうかした?」とロンに尋ねる。

 

 

「うーん…。ソフィア、君熱あるんじゃない?」

 

 

ハグリッドに共に抱きしめられた際、ロンはソフィアの身体がとても熱い事に気が付いた、ソフィアはたしかに頭はぼんやりするが、喉の痛みも頭痛も無い。きっと気のせいだと軽く笑って首を振った。

 

 

ソフィア達は他の生徒と共に城に向かいながら、涙を拭うハグリッドを励まし続けた。

暫くハグリッドは無言だったが、城の階段まで辿り着いた時、悲しそうに呟いた。

 

 

「ロン、ソフィア。…そいつぁだめだ。あの委員会は、ルシウス・マルフォイの言いなりだ。俺はただ…ビーキーに残された時間を思いっきり幸せなもんにしてやるんだ。俺は…そうしてやらにゃ…」

 

 

ハグリッドはまた涙が込み上げてきてしまい、ソフィア達が慰めようと口を開いたのも見ずに、ハンカチに顔を埋めながら急いで小屋に戻っていった。

 

 

「見ろよあの泣き虫!あんなに情けないものを見た事があるかい?」

 

 

少し先を歩いていたドラコは城の扉のすぐそばで聞き耳を立てていたらしく、ハグリッドが居なくなったのを見るとすぐにハリー達の前に現れ、小馬鹿にしたようにせせら笑った。

 

 

「しかも、あいつが僕たちの先生だって!」

「ドラコ!」

「そんな言い方酷すぎる!」

 

 

ソフィアとルイスが怒りながら叫び、ロンとハリーも怒ってドラコに向かって手を上げたが、それよりも先にハーマイオニーが手を大きく振りかぶり思い切りドラコの横面を殴った。

 

ドラコは頬を抑えてよろめき、ソフィア達は呆然としてハーマイオニーを見た。彼女がこれ程までに怒るのも、手を上げるのも初めて見た──ソフィアはよく手が出るが、それをいつも止める筈の彼女がまさか真っ先に殴りかかるなんて、誰が想像しただらうか。

 

ハーマイオニーは顔を怒りで紅潮させ、荒い息を吐きながら強くドラコを睨み、その一言一言に呪いを込めるかのような激しさで叫んだ。

 

 

「ハグリッドの事を情けないだなんて、よくもそんな事を!この、穢らわしい!この──悪党──!」

「ハ、ハーマイオニー!」

 

 

またも手を上げたハーマイオニーを慌ててソフィアが抱きしめる。

 

 

「ソフィア離して!」

「お、落ち着いて!あなたの手が痛くなっちゃうわ!」

「なら──!」

 

 

ソフィアの言葉にハーマイオニーはポケットから杖を出しドラコに向けた。──違う、そういう意味ではない!ソフィアはその杖先も片手で握りながら「落ち着いて!」と再度叫んだが、わなわなと震えるハーマイオニーはソフィアの言葉を無視しドラコから杖先を離すことはない。

 

 

「──ドラコ、情けないのは君だ。…ごめんハーマイオニー、ちゃんと言い聞かせるから」

 

 

ルイスはため息をつき、ドラコの腕を強く掴むと無理矢理引き、地下牢へ続く階段の方へ向かった。ドラコは途中で腕を振り解き、つんとそっぽを向くと何も言わずに階段を駆け降りる。

 

 

ルイスとドラコが去った後、ようやくハーマイオニーは少し冷静さを取り戻す。だが心中はまだ強い怒りが渦巻き、心臓がドクドクと高く打つ、人を殴ったのは、初めてだった。

ハーマイオニーは何度か深呼吸をし、強い目でハリーを見るとぐっと拳を握り、上ずった声で叫んだ。

 

 

「ハリー!クィディッチの優勝戦で何がなんでもあいつをやっつけて!絶対に、お願いよ!スリザリンが勝ったりしたら私、我慢できないわ!」

「あ、ああ、うん…勿論だよ」

 

 

ハリーは身を乗り出し叫ぶハーマイオニーの勢いに押され、やや後退りしながら頷いた。

ロンはドラコを殴ったハーマイオニーを驚愕と感動の目で見ていたが、ハッとすると焦ってソフィア達を促した。

 

 

「もう呪文学の時間だ、早く行かないと」

 

 

4人は急いで大理石の階段を登る。ソフィアはまだ顔が赤いハーマイオニーに近づきハリーとロンに聞こえないよう小声で囁いた。

 

 

「ハーマイオニー、数占い学に行かないと」

「あっ…ええ、そうね、そうだったわ」

 

 

ソフィアは走りながら首元にある鎖を手繰り寄せハーマイオニーにかける、そして呪文学の教室のすぐそばで逆転時計を回した。

 

 

途端に周りの風景は全て逆戻りになり、ソフィアとハーマイオニーは数時間前の呪文学の教室の目前に居た。後数分で魔法生物飼育学と被っていた数占い学がはじまってしまう。

 

 

「──さあ、行きましょう」

「ええ、……?…ソフィア、教室はこっちよ?」

「え?」

 

 

ソフィアはハーマイオニーの手をとって走りかけたが、方向が違う事にハーマイオニーは気付き足を止めた。ソフィアは少し目を瞬かせ辺りを見渡し、直ぐにハーマイオニーが指す反対方向へと向かう。

 

 

「ごめんなさい、ちょっとぼんやりしてたわ」

「…ソフィア、あなた…」

 

 

苦笑するソフィアに、ハーマイオニーは怪訝な顔をすると再び足を止めた。次の授業まで時間がないことはわかっているが、ソフィアの頬は赤く、それでいて目はぼんやりと潤んでいる。──繋がれた手も熱い。ハーマイオニーはソフィアの額に手を当てると、眉を寄せ「熱があるわ」と呟いた。

 

 

「…休んだ方が良いわ、かなり、高熱だと思う…」

「え?…そんな、少しぼんやりしてるだけよ!──ほら、早く行かないと間に合わないわ」

「…ダメよ!医務室に行って!風邪はひきはじめが肝心なんだから!先生には伝えておくわ!」

 

 

ハーマイオニーは授業を受けようとするソフィアを必死に止め、真剣な眼差しで見つめた。ソフィアは「でも…」と悩んでいたが、ハーマイオニーの必死な目に少ししてため息をつき、首から逆転時計を外すとハーマイオニーの首にかけた。

 

 

「…わかったわ…」

「後でお見舞いにいくわ!ノートも任せて!」

「ええ…」

 

 

ハーマイオニーは一度強くソフィアを抱きしめ、服越しにも感じる熱さにやはりただの熱ではないとハッキリと感じ、もう一度「医務室に行ってね、絶対よ?」と強く約束を告げるとすぐに手を振り走り去った。

ソフィアはこっそり図書館でも行こうかと思っていたが、心配するハーマイオニーの為にも医務室で熱冷ましだけもらおうと独りゆっくりと医務室へ向かった。

 

 

 

「マダム・ポンフリー…」

「あら、どうしました?」

「その、熱があるかもしれないって…友人に言われて…」

「あらまぁ、さぁベッドに座りなさい」

 

 

ポンフリーはすぐにソフィアをベッドに座らせ、棚から白い体温計を取り出すと口に咥えさせた。みるみるうちに白い体温計は真っ赤に染まり、それに従ってポンフリーの表情も険しくなる。

 

 

「この色は…!40度を超えています!よくここまでこれましたね?さあさあ早く寝て!」

「ええ…そんなに?…ちょっとぼんやりするだけなんですが…」

 

 

それ程高熱だとは思わず、ソフィアは困惑しながら布団に潜り込むと毛布を被りもごもごと呟いた。

 

 

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