【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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144 クィディッチ優勝戦!

 

 

翌日、優勝戦のその日は絶好のクィディッチ日和だった。

やや日差しが強過ぎるが、しっかりと晴れていて風もあまり無い。前々回が雷雨だったことを考えると、まさに最高のコンディションだと言えるだろう。

 

 

ソフィア達は選手達は皆揃って大広間に現れることを知っていたため、ハーマイオニーとロンと先に大広間に向かい朝食を取っていた。きっと、ぎりぎりまでウッドが作戦会議をしているのだろう。

 

 

「ああ、神様…どうかグリフィンドールが勝てますように…スリザリンの優勝なんて、私見たくないわ…」

 

 

ハーマイオニーはぶつぶつと呟きながら手に持ったミルクの入ったコップをじっと見つめていた。

ソフィアはエッグタルトを食べながら「きっと大丈夫よ」とハーマイオニーの呟きに答える。ちらりとスリザリン生の居る机を見れば、誰もが緊張し静かに朝食を取っていた。ドラコはルイスからトーストをすすめられているが、いつもより顔色は悪く口は閉ざされたままだ。

 

ソフィアは、勿論ハリーの事を応援していた。同じグリフィンドール生だ、やはり優勝杯を持つ彼らの──彼の姿が見たい。

だが、ソフィアにとってドラコもまた友人の1人であり、勝負事に勝敗はつきものだと分かっていても、その顔が歪むところを見る事になるかもしれないと思うと──少々複雑だった。

 

 

ルイスは流石に今回ばかりはソフィア達の元に向かうことはせず、顔色の悪いドラコを励まし続けた。

ドラコも口では強がっているが──どう見ても空元気だろう。ファイアボルトにニンバス2001が勝てるのか、もし負けたらグリフィンドールから笑いものにされるに違いない。

ハリーと同じくシーカーであるドラコもまた重いプレッシャーを感じ、けっして口にはしないが──押しつぶされそうだった。

 

 

「ドラコ、大丈夫さ。ずっと練習してたでしょう?」

「…ああ…」

「ね?ほら、少しは食べた方がいいよ。力が出るから…」

「…ああ…」

「…ドラコ、今日の天気は?」

「…ああ…」

「……重症だ」

「…ああ…」

 

 

何を言っても同じ言葉しか言わないドラコに、ルイスは肩をすくめ手をあげた。このままでは、本来の力を出すことなんて出来ないだろう。

ルイスは一口に切ったバナナをフォークで刺し、無理矢理ドラコの唇に押しつけた。

唇に触れて初めてバナナが差し出されている事に気づいたドラコは驚き、怪訝な目でルイスを見る。

 

 

「何だ」

「食べて、ほら、あーん?」

「…自分で食べられる」

 

 

ドラコはルイスの手からフォークを取るとその先についたバナナを食べた。

甘く、優しい味が口の中に広がり喉を通る。途端に思い出したかのように空腹を感じ、ドラコはもう一切れバナナをフォークで刺すとぱくりと食べた。

無言でバナナを食べ続けるドラコに、ルイスは満足気に頷くとついでに空いた皿にソーセージとフレンチトーストを乗せてみたが、それは僅かに食べられただけで半分以上残されてしまった。

 

 

大広間の扉が開き、グリフィンドール・チームの選手達が大広間に現れると、生徒たちは割れるような拍手で出迎えた。

グリフィンドール生だけではない、ハッフルパフ生やレイブンクロー生もグリフィンドールの勝利を望み、口々に「頑張れよ!」「応援してるからな!」と声援を送り選手達を勇気づけた。

スリザリン生だけは嫌そうに眉を顰め、選手達が隣を通り過ぎる時に嫌味な野次を飛ばしたが、他の三つの寮生の声援にかき消されてしまった。

 

 

ハリー達選手は、ウッドに言われるがまま緊張してあまり空腹では無かったが無理矢理トーストやらサンドイッチを口に押し込みミルクで流す。

ウッドは選手達に食事を進めながら、自分は全く手につけずそわそわと体を揺らせ、すぐに立ち上がると「ピッチへ行こう。状態を確かめなきゃな」と呟いた。

 

ハリーは他の選手達に続き、急かされるままに慌てて立ち上がり、何とかソーセージを飲み込むと大広間の扉へ向かう。

ソフィアとロンとハーマイオニーはせめて一声掛けようと、すぐにその後を追った。

 

 

「ハリー!頑張れよ!目に物見せてやれ!」

「絶対勝って!マルフォイをぎったぎたにするのよ!」

「ハリー、応援してるわ!頑張って!」

 

 

ロンとハーマイオニーは少々熱のこもった応援でハリーを送り、ソフィアはハリーの首元に飛びつくように抱きつくと、ぎゅっと力を込めて抱きしめた。

 

 

「絶対大丈夫、あなたならその手に勝利を掴めるわ!」

「うん──うん、行ってくるよ!」

 

 

ハリーはソフィア達に強くいうと、緊張で顔を硬らせていたがそれでもにっこりと微笑み、手を大きく振った。

 

 

 

ハリーを見送ったソフィア達は、いい席を確保するために早めにクィディッチ競技場へ向かった。

 

 

「──あ!そうだわ!」

 

 

ソフィアは競技場の入り口で足を止めると、どうしたのかと振り返るハーマイオニーとロンには目もくれず足元をキョロキョロと見渡し何かを探した。

砂利の多い地面を見つけると、ポケットから杖を出し軽く一振りする。──すると、砂利は真紅の薔薇飾りへと変わり、ソフィアの杖の動きに合わせてふわりと浮いた。

 

 

「グリフィンドールの応援にちょうどいいでしょ?」

 

 

ソフィアは作った薔薇飾りをそれぞれハーマイオニーとロンに渡し、自身の胸元にもそれをつけた。

受け取ったハーマイオニーはいい考えだと目を輝かせていたが、更にいい事を思いついた!というように興奮から頬を染める。

 

 

「まぁ!素敵ね!──ねえソフィア、これもーっと沢山作れるかしら?この飾りをカゴに入れておいて、みんなが好きに取れるようにしたらどうかしら?」

「それ、最高だわ!」

 

 

ソフィアは手を叩いてハーマイオニーの案に賛同すると、もう一度杖を振った。途端に何百もの薔薇飾りが現れ、一面を真紅に彩る。

ハーマイオニーもにっこりと笑って杖を振るい大きな籠と──グリフィンドールの応援に!と書かれている──立て看板を出すと入り口のそばに置いた。

 

 

「ついでに小旗も出しておきましょう」

 

 

ソフィアが楽し気に言いながら杖を振れば薔薇飾りに混じってグリフィンドールカラーの小旗が何百本も現れた。

きっとグリフィンドール生はみんな薔薇飾りを胸につけてくれるだろう。ハッフルパフ生とレイブンクロー生も、つけてくれるかもしれない。

試合が始まり、観客の大多数がグリフィンドールカラーであるこの薔薇飾りをつけている事に気がついた選手達は、きっと勇気付けられる筈だ。

 

 

ソフィアとハーマイオニーは顔を見合わせ「最高の出来栄えだわ」とお互い満足気に褒め称えた。

ロンだけが少し居心地悪そうにもじもじとしていた事に、ソフィアとハーマイオニーは気づいていたものの──何も言わなかった。

 

 

 

 

試合開始直前。

ソフィア達は観客席の一番前に陣取り、試合開始を今か今かと待っていた。

ソフィアはぐるりと観客席を見渡し、自分の作った薔薇飾りを殆どの生徒がつけている事を見て満足そうに微笑む。

少し前にマクゴガナルの胸元にもその薔薇が咲き誇っているのを見て、ソフィアはたまらなく嬉しくなった。マクゴガナルは厳しい人だが、誰よりもきっとグリフィンドールの勝利を願っているに違いない。

 

 

「ハリー、フレッド、ジョージ…みんな、がんばって…」

 

 

ソフィアは手にグリフィンドールカラーの小旗を持ちながら祈るように呟く。

隣ではハーマイオニーとロンもまた、じっとピッチを見つめぶつぶつとグリフィンドールの勝利を祈っていた。

 

 

生徒達のみならず、教師達が見守り、怒涛のような歓声が響く中、選手達が入場し向かい合う。

フーチが試合開始のホイッスルを鳴らす──いよいよクィディッチ優勝戦が始まった。

 

誰もが足を踏み鳴らし手を叩き声を張り上げる。

ソフィアとハーマイオニーとロンも、口々に喉が枯れる程の大声でグリフィンドールを応援した。

 

 

ハリーは早くスニッチを捕まえればいいというわけではなかった。

優勝杯を獲得するためには、50点以上の点差をつけなければならず、試合が勝利の方に動くまでは上空の高い場所を旋回し続けた。

 

 

スリザリンは何度も卑怯なプレイをし、反則行為を行い選手一人一人脱落させようと企んでいた。──そもそもスリザリンがフェアプレイをするわけも無く、彼らは観客席から響くブーイングを少しも気にする事なく姑息な戦術を使い必死に点数を取ろうとしていた。

 

 

「何あれ!酷いわ!こんな試合最低よ!」

 

 

フェアな試合を望んでいたソフィアはスリザリンチームの姑息な手に憤慨し苛々と手すりを叩き歯を食いしばる。ロンとハーマイオニーも2人が考えられる限り最悪の悪態をスリザリンチームに飛ばしていた。

 

 

ドラコは何度もハリーを妨害し、その度に解説役のリーは悪態を吐き度号を飛ばしたが、いつもならすぐにマイクを取り上げようとするマクゴガナルもリーを叱るどころではなく、ドラコに向かって拳を振り上げ顔を真っ赤にして怒り狂って叫んでいた。

 

誰もがグリフィンドールの勝利を渇望する中、試合が動いたのは突然だった。

 

スリザリン生にマークされていたアンジェリーナをハリーが救っていると、ドラコがそれには目もくれず急降下する。

観客席でそれを見ていた生徒達は彼の勝ち誇ったような顔と手を伸ばしているその様子から、思わず叫んでいた。──マルフォイが、見つけたんだ!

 

ハリーはすぐにドラコに続き急降下する、ファイアボルトを必死に操り、「行け!行け!行け!!」と叫ぶ。耳元で風が轟々となり、そして、ハリーはドラコに並び──その金色のスニッチを、ドラコより先に手に取った。

 

 

「やった!!」

 

 

ハリーは叫びながら、ドラコがまだ勢いを殺せず唖然とした表情で降下するのを横目にくるりと反転し、空中高く手を突き出した。

その、ハリーの手にしっかりと持ったスニッチを見て、競技場が爆発したかのように、大きく揺れた。

 

 

「やった!やったわ!!ハリーがやったのよ!」

「ああ!やったわ!!」

「やったぜ!!おい!?あの加速を見た!?すっげえ!!」

 

 

ソフィアもハーマイオニーとロンも他の生徒と同じく喜びを爆発させ、互いに抱き合い興奮したように叫んだ。

 

グリフィンドールの応援団が柵を乗り越えてピッチに乗り込んでいくのを見て、ソフィア達もすぐにその後に続く、地上へ降り立つ彼らを心から労い、讃えたかった。

 

 

ハリーや他の選手達は応援団により肩車され、スタンドの方へ運ばれていく。

 

ソフィア達は人混みを掻き分けていたが、こちらを振り返るハリーを見て、ただにっこりと笑いかけた。

今からハリー達は優勝杯をダンブルドアから受け取るのだ、邪魔をするわけにはいかない。

 

ダンブルドアはにっこりと笑い、グリフィンドールの優勝を祝い、そしてスリザリン、ハッフルパフ、レイブンクローの各選手達へも心からの賛辞を告げ、キャプテンであるウッドに優勝杯を渡した。

 

手を震わせながら受け取ったウッドは、喜びの涙でしゃくりあげながらそれをハリーに渡す。ハリーは、皆に見えるようそれを天高く掲げた。

 

 

ハリーは、今なら世界一の素晴らしい守護霊を創り出せる──そう思った。

 

 

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