161 4年目の夏休み!
ソフィアは朝日の日差しを閉じた瞳に感じ、ぐっと一度眉間を寄せた後ベッドの上で体を縮こませた。
小さな唸り声を出しながらソフィアは目を擦り、体を起こす。
「…ルイス…?」
しかし、少し離れたところにあるベッドには誰もいない。しっかりと毛布が畳まれて置かれているのをみれば、このベッドの主が几帳面でしっかりとした人だとわかるだろう。
ソフィアはあくびを噛み殺し、トーストのかすかな匂いを感じながら枕元に置いていた杖を探り手に持つと軽く振り、箪笥の中から部屋着を取り出す。シンプルな黒いシャツに、ゆったりとした裾の広い灰色のズボンと白い靴下がふわふわと近づきソフィアの前で止まった。
とろんとしたまだ半分眠ったままのソフィアは服を着替えると寝巻きを無造作にベッドに投げ捨て、ベッド脇にある靴を履いた。
ルイスが抜け出した後のベッドは綺麗だが。ソフィアが抜け出した後のベッドは──その主がそのまま這い出たようにぐちゃりと布団は捲れ上がり、全く整えられていなかった。
「おはよう、ルイス…父様…」
とっくに朝食を終えたルイスとセブルスは食後の紅茶を飲み、ゆったりとした時間を過ごしていたが、現れたソフィアを見た途端似たような表情で片眉を上げた。
「おはよう、お寝坊さん?」
「おはよう。…ソフィア、シャツのボタンが掛け違えている」
ソフィアの髪は寝癖が付き放題で美しい髪はぼさぼさと広がり、目は眠そうに閉じかけ、さらにシャツのボタンはどうすればそうなるのか──最低でも二つのボタンがあらぬ穴へ通っていた。
ソフィアはセブルスの声にちらりと自分の身体をを見下ろし、億劫そうな手つきでボタンを外す。
「え?……あぁ…」
ふありと大きな欠伸をしながらソフィアはボタンを全て外し、一つ一つゆっくりと止めながら朝食の置かれた席についた。
「…ソフィア、もう僕らは14歳になるんだから、ちょっとは
シャツの下は下着ではなく、黒い肌着だったが、それでも年頃の少女が見せる格好では無いだろう。
勿論ルイスもセブルスも、その姿を見てあらぬ想像など微塵もしないが、そろそろソフィアは女性としての振る舞いを学ぶべきだと2人は思っていた。
「えぇ?…、…また今度ね…」
ソフィアはやや冷えたトーストにかぶりつき、もそもそと食べながら答える。
読んでいた日刊預言者新聞をたたみ、机の上に置いたセブルスは窘めるように「ソフィア」と声をかける。
「──アリッサは、その年頃にはすでに女性としての振る舞いを心得ていた」
「……はぁい…」
ソフィアはやや不機嫌になりながら小さな赤いトマトを指で摘み口の中に放り込む。
それを見たルイスとセブルスはちらりと視線を合わせ、はあ、と大きなため息をついた。
「昨日遅くまで起きてたの?ベッドに入ったのは僕と同じだったのに」
「んー…クィディッチワールド・カップの事を考えてたら…寝れなくて、つい…」
「…まだ1週間も先だよ?今からそれじゃあ…当日寝過ごしちゃうよ」
ソフィアが今なによりも心待ちにしているのは大好きなクィディッチのワールド・カップの事だった。イギリスで開催されるのは、実に30年ぶりであり、ソフィアだけでなくほぼ全てのイギリス在住のクィディッチファンが彼女のように心待ちにし…興奮して眠れない夜を過ごしていた。特に応援しているブルガリアのチームの試合を幸運にも見れる事が出来る──どのような素晴らしい箒使いを見せてくれるのだろうか──それを考えるだけで心臓が高鳴り目が冴え、全く眠れなかった。
ソフィアは暖かい紅茶を一気に飲むと杖を振り食器を台所まで運ぶ。食器がシンクに到着すれば、待ってましたとばかりにたっぷりとした泡を含ませたスポンジがひとりでに食器を洗った。
「だって、昨日切符が手に入ったって聞いたから…興奮しちゃって」
食事を取り、何とか目を覚ましたソフィアは窓際の小さな丸テーブルの上にある写真立ての前に座ると祈るように指を組んだ。
「おはよう、母様、リュカ兄様!実は、──昨日も言ったけど、クィディッチワールド・カップに行ける事になったの!すごく楽しみだわ!」
写真の中の母親は優しく微笑み、小さな兄はソフィアの言葉を聞いてぱっと母のローブを掴み、少しだけ笑った。
セブルスに抱かれている幼いソフィアとルイスは、無邪気にセブルスの髪を引っ張りあそびながら楽しげに笑っている。
アリッサとリュカの事を知った後、この家の中には数々の写真が飾られた。
セブルスが今まで隠していた家族全員が揃う写真。その幸福なひとときは決して長いものではなかったが──確かに、あったのだ。
「で?結局、ソフィアはドラコと行くの?ロン達と行くの?」
「うーん。まさか…2人から誘われるなんてね…」
ソフィアは母と兄に朝の挨拶を終えた後ぱっと立ち上がり、ソファに座るルイスの隣に勢いよく──ぼすん、と座った勢いでルイスの身体が少し跳ねた。──座り、困ったように肩をすくめた。
「僕は、ドラコと行くよ。もうロンに断りの手紙は送ったんだ」
「そうなの?…うーん…」
ルイスと一緒に観戦したい。
だが、ドラコは勿論友達だ、大切な人だとは思うが──やはり、何の因果か毎年
「僕はドラコと行く、ソフィアはロン達と行く。…それでいいんじゃない?運が良かったら会場で会えるよ」
「…かなり運が良くないとダメね、だって物凄く広いんだもの!」
ソフィアはそう言って嘆くが、それを聞いたルイスは内心で「もう、ロン達と行くって決めてるんじゃないか」と呟き苦笑した。
ルイスもロン達と──ソフィアと共に観戦したい気持ちはある、だがきっとドラコの誘いを断りロン達と行くと言えばたった一人の親友は拗ねてしまい臍を曲げ、9月1日から暫くしつこく嫌味を言うだろう。
「…でも…うーん…そうね、ドラコには…断るわ。丁度明日家に呼ばれてるし…その時に」
「うん。手紙より、そっちの方がいいよ」
久しぶりにマルフォイ邸への遊びの誘いがあったソフィアとルイスは、明日昼過ぎから行く事になっていた。
きっとドラコはクィディッチワールド・カップの話をしたいのだろう。あのチームのあの選手の動きは少し硬いとか、チェイサーを変更するのは愚策だった、僕ならビーターを変える──ルイスは得意げになって朗々と話すドラコを簡単に想像出来た。
魔法族としては珍しくクィディッチにあまり興味がないルイスは、そんなドラコのマシンガンを聞き流す術をこの3年で十分に取得している。それに、その少々煩いドラコの一方的な会話が、ルイスは嫌いではなかった。
ソフィアとドラコは、クィディッチに対しての熱が凄いから、白熱しすぎて喧嘩にならなきゃいいけど。とルイスはソフィアをチラリと見て思った。
「父様、ロン達とクィディッチワールド・カップに行ってもいいかしら?早朝から行くみたいだし…多分、前日から泊まる事になるんだけど…」
「あ、ドラコも前日からおいでって言ってた。僕も…泊まってもいい?父様?」
ソフィアはソファに座るセブルスの元へ駆け寄り、後ろからセブルスの首元に腕を絡ませた。そういえばドラコも同じような事を言っていたと思い出したルイスもセブルスに近づくと足元に座り、セブルスの膝に手を乗せ頭をつけじっと見上げる。
「……。…仕方あるまい」
「やった!」
「ありがとう、父様!」
甘え上手な2人に、セブルスは薄く微笑み願いを聞き届けた。
滅多に外泊することの無いソフィアとルイスは嬉しそうに顔を紅潮させ笑う。
セブルスが父親だとバレてはいけない。それを何とか──ハーマイオニーは別として──守っている2人は、ホグワーツでは親子としてなかなか会話が出来ないのだ。このように甘える事など、数少ない時間か…休暇中しかない。
その限られた時間に、ソフィアとルイスは目一杯セブルスに甘え、空白の時間を埋めるように側に寄り添い、セブルスもまたわかりにくいものではあったが、2人をしっかりと甘やかしていた。
「あ、そうだ。父様?今年準備するもので…ドレスローブってあったけど…何でそんなの必要なの?」
「それは……。…私からは言えないが、すぐにわかる事だろう」
セブルスは今年ホグワーツで開催される
──それに、言ってしまえばサプライズにならないだろう。
「ふーん?…正装させるくらいだから…今年も、何かあったりして」
「せめて、楽しい事ならいいわね」
「流石に…楽しい事なんじゃ無い?」
毎年トラブルに巻き込まれるソフィアとルイスは、せめて一年は普通に面白おかしく過ごしてみたい──そう思っていた。
終わりにアンケートがあります。よければご投票下さい。三校揃うまで投票可能にし、その時1番多い人がパートナーになります。
そして、恋愛フラグが立ちます。フラグなだけで、恋人になるのかはまだ未定です。よろしくお願いします!
ルイスの場合は、家族愛で踊ります。
追加 フレッドではなくジョージのミスです…ごめんなさいジョージ…!
ソフィアはダンスパーティ、誰と踊りますか?
-
ドラコ
-
ハリー
-
フレッド
-
ルイス