【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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162 マルフォイ邸!

マルフォイ邸の近くの道までセブルスの姿現しでやってきたソフィアとルイスは、久しぶりに見た大きな屋敷の立派な門扉の前で顔を上げた。

 

 

「相変わらず、大きいわね」

「うん…本当に…僕たちの家の何軒分だろう」

「…10軒以上なのは、間違い無いわ」

「……」

 

 

双子のヒソヒソ話を聞いていたセブルスは無言で門扉にあるノッカーを掴み打ち鳴らした。コンコン、とそれは小さな音だったがもちろんただのノッカーではなく、魔法界のノッカーである。控えめな来客者を告げる音は静かに屋敷全体に広がった。

 

 

少し待つと門扉が静かに開き、中からドラコがひょこりと顔を出した。ソフィアとルイスを見てぱっと表情を明るくさせたが、その隣にセブルスが居ることに気づくとすぐにいつものような涼しげな表情を取り繕う。

 

 

「こんにちは、ドラコ。今日はお招きありがとう!とっても嬉しいわ!」

「ドラコ、これ…大したものじゃないけど、今日の為に作ったんだ」

 

 

ソフィアは履いていたスカートを少し摘み足を曲げ、ルイスは手に持っていた紙袋をおずおずとドラコに渡した。

 

 

「ありがとう。…へえ、ルイスが作ったのか?」

 

 

ドラコは差し出された白い紙袋を受け取り、中を指で少し開き見る。中には透明なビニール袋でラッピングされたチョコブラウニーが入っている。一見すると普通の菓子店で売っているような出来栄えに、そういえばルイスは菓子作りが好きだったと昔言っていた事を思い出した。

 

 

「うん、安心して、ソフィアは手伝ってないよ」

「それは良かった」

「……もう!」

 

 

魔法薬作りで大雑把なソフィアは、きっと菓子作りでも同じなのだろう。

くすくすと笑うドラコとルイスに、ソフィアは頬を膨らませたが、2人は視線を交わすと意味ありげににやりと笑った。

 

 

「ドラコ。…ルシウスは居るか?」

「はい、ご案内します」

「あれ、父様…ルシウスさんに用事だったの?」

 

 

過去何度かマルフォイ邸に来て遊んだ事があるが、セブルスはあまり家の中に入ることは無かった。いつもは「また帰りに迎えに来る」といい、すぐに帰るのだが。

ルイスが不思議そうにセブルスを見上げれば、セブルスはルイスを見下ろし「後日、世話になるだろう」と静かに伝えた。

 

成程、旧知の仲だとはいえ一泊お邪魔しクィディッチワールド・カップに連れて行ってもらう子どもの為に、流石に保護者として色々話すことがあるのだろう。

 

 

マルフォイ邸に入ったセブルスはすぐにルシウスの居場所をドラコに聞き、ルイスとソフィアに「この家の物には触らぬように」と忠告し足早に1人廊下を進んで行ってしまった。

 

 

「そんな…物を壊す年齢じゃないわ!」

「この家には()()あるからじゃ無い?ねぇドラコ?」

「…そうだな」

「…ああ、そういう事ね」

 

 

一見するとただの家具も、侵入者を騙し呪う何かが無いとは言えない。

勿論、家主であるルシウスは初めて2人がここを訪れた時に触ってはいけない物の説明をしたが、それでも幼く好奇心旺盛のソフィアが飾られていた美しいティアラに触ってしまい手が暫く真っ赤に火傷したように腫れたこともあった。

そういえばそんな事もあった、とソフィアは懐かしむように目を細め、飾られている美しい彫刻や絵画を見ながら廊下を進む。

 

案内された先はドラコの自室であり、シンプルでいて、洗練され高級そうな家具が並んでいた。部屋の奥にある勉強机の近くの壁には少年らしくクィディッチのポスターやタペストリーが飾られ、そこだけが鮮やかな色彩を放ち、ドラコもただの少年である事を示していた。

 

ドラコの自室とはいえ、その広さは2人の家程の広さだろう。子供部屋、というよりも部屋の作りはリビングや談話室のようで中央には6人掛けテーブルやその数に合わせた椅子、部屋の奥には暖炉が煌々と燃え、柔らかそうな肘掛け椅子が二脚あり、毛並みの良いカーペットまで敷いてある。

 

ドラコに促されるままその広い机の席に座れば見知らぬハウスエルフが現れティーセットを用意しすぐに消えた。

 

 

「ドラコ、まず初めに言っておくわね」

「何だ?」

「…クィディッチワールド・カップのお誘いありがとう、とても嬉しいわ!…でも、ごめんなさい。私…先約があって…」

 

 

ソフィアは申し訳なさそうに眉を下げ謝った。ドラコは一瞬何か言おうと口を開きかけたがぐっと閉ざすと、ぶすっとした表情でカップを持ち紅茶を飲む。

ルイスからすぐ返事はきたが、ソフィアからは来なかった。2人からの手紙ではなかった事から、何となくそうなのだろうとドラコは予想していた。

だが、こうして面と向かって言われると残念な気持ちが隠しきれず、誤魔化す為に紅茶を飲んだがミルクも砂糖も入っていないそれはドラコの気持ちを表すように少し苦く感じた。

 

 

「馬鹿な事をしたな。誰に誘われたのか知らないが。…父上がとった席の方が良いに決まっている。貴賓席だ。」

「あー……そうかもしれないわね」

 

 

ソフィアは苦笑し紅茶にミルクをたっぷりと入れて飲んだ。

ウィーズリー家は裕福とはいえない。どのようにチケットを入手したのか、手紙には書かれていなかったが…きっと立ち見だろう。そうソフィアは考えていた。だが立ち見だとしても、仲の良い友人達と観戦する事ができるだけでソフィアは十分だった。

 

 

「…誰と行くんだ?」

「ロンに誘われたの、アーサーさんがチケットを手に入れたからって」

「……フン、良かったなソフィア。蟻のような選手が観れるだろう」

 

 

刺々しく嫌味を言うドラコに、ソフィアは何も言わず紅茶を飲んだ。

 

 

「まぁまぁ、ドラコ。僕はドラコと行くから。出場選手達の事を教えてよ」

「そうだな、…やはり1番の選手は──」

 

 

ルイスの言葉にドラコは選手達のプロフィールからチームの戦術など事細かに説明し、珍しくルイスが興味深そうに何度も相槌を打っていたお陰で降下しかけていた気分もいつものように戻ったようだった。

 

ルイスお手製のチョコブラウニーを食べながら、ドラコの話は止まる事なく紅茶がすっかり冷めてしまっても続いた。

ルイスはにこにこと人当たりの良い笑みを浮かべたままその話を聞き──実は右から左に聞き流し全く理解はしていなかったのだが──ドラコが一息ついた瞬間を見計らって「そういえば」と話題を変えた。

 

 

「ドラコは今年、何でドレスローブが必要か知ってる?」

「ん?…ああ、…先生は教えてくれなかったのか?三大魔法学校対抗試合がホグワーツで開催される。それに必要なんだろう」

「三大魔法学校対抗試合?…何それ」

「私も初めて聞いたわ」

「ホグワーツ、ボーバトン、ダームストラングの三校で行われる試合だ。各校の代表選手を決めるらしい。かなり危険な試合らしいが…僕は立候補するつもりだ」

 

 

ドラコは目を輝かせ胸を逸らせる。ソフィアとルイスはその試合がどのような物なのか全く分からず、魔法使いの決闘のようなものだろうか、と首を傾げた。

 

 

「たまに父様がホグワーツに行ってたのはその準備だったんだね」

「夏休み中なのに、忙しそうだったものね。何かあるんだとは思ってたけど…試合ねぇ。私も立候補してみようかしら。…それって1人だけしかその試合に参加できないの?」

「ああ、そうらしい」

「どうやって決めるんだろうね。…僕は立候補しないけど」

 

 

その後3人はその試合がどのようなものなのか想像に花を咲かせたが、ソフィアの「決闘の練習でもしない?」の発言によりドラコは無理矢理試合の話を中断し、夏休みの宿題の話へ話題をすり替えた。

 

 

 

 

壁にかけられた時計が17時を指し、5回低い音が響いた時、ソフィア達はもうそれ程時間が経過したのかと時計を見つめる。

 

 

こんこん、と小さく扉を叩く音が響き、ドラコが返事をする前に静かに開く。

優しく微笑みながら現れたのは、ドラコの母であるナルシッサだった。

 

 

「ソフィア、ルイス。もう帰る時間ですよ」

「ナルシッサさん!お久しぶりです!…あっ、ごめんなさい、私…ご挨拶もしてなかったわ…!」

「ふふ、良いのよソフィア。楽しいお喋りに夢中だったのでしょう?」

 

 

ナルシッサは部屋の中に入ると、困った顔をするソフィアに優しく微笑みかける。先程部屋の前の廊下を通った時に、3人の楽しげな会話が漏れて外まで聞こえていた。

母として、一人息子が楽しげに友達と話している場面にわざわざ割ってはいるほど無粋な真似をしようとも思わず、微笑ましくその部屋を通り過ぎたのだった。

 

 

「ナルシッサさん。クィディッチワールド・カップのご招待ありがとうございます。前日から泊めてくださるって…」

「ええ、朝早くに行くことになるもの。…ふふっドラコったら、ルイスが泊まってくれるって知って、凄く喜んで──」

「母上!」

「──あらあら」

 

 

ドラコは顔を赤らめながら、がたんと勢いよく立ち上がりナルシッサの言葉を遮った。それすらも楽しそうにナルシッサは口元を抑えくすくすと笑い、ルイスとソフィアを見る。

 

 

「ルイス、ソフィア──あなた達がドラコの友達で居てくれて、嬉しいわ」

 

 

ルイスとソフィアは一瞬驚いた様に目を開いたが、ナルシッサの美しく、慈愛に満ちた眼差しに頬を少し赤らめ嬉そうにはにかみ頷いた。

 

 

「ドラコは、僕の親友です。これからも変わらずに」

「ええ、大切な友達よ」

「ああ…ソフィアは──」

「母上!ほら、もう先生が来たんじゃないですか?」

 

 

「友達じゃなくて、家族になってくれても良いのよ」というナルシッサの言葉は屋敷内に響いたノッカーの音と、再度顔を真っ赤に染めて叫んだドラコの声によって掻き消された。

 

 

「そうね。セブルスが迎えに来たみたいだわ」

 

 

必死な様子のドラコを見て、ナルシッサは陰ながら密かな恋心を応援しつつ、ソフィアの表情をチラリと見た。

しかし、ソフィアはきょとんと不思議そうな顔をしているだけで──ああ、まだ片想いなのね。と分かったが流石にそれ以上、何も言わなかった。

 

 

 





ルイスの場合は、家族愛で踊ります。

追加 フレッドではなくジョージのミスです…ごめんなさいジョージ…!

ソフィアはダンスパーティ、誰と踊りますか?

  • ドラコ
  • ハリー
  • フレッド
  • ルイス
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