【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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164 お仕事大好き!

 

 

ソフィアは荷物を置くためにジニーの部屋へ案内された。

ジニーの自室は広くはなかったが女の子らしくぬいぐるみがあり、化粧台には使いかけの化粧品やイヤリングが綺麗に並べられていた。家具は古く、ところどころ色紙まだらになっていたが、それを隠すように可愛らしい布が飾られている。

 

 

「その…狭くて、ごめんね?」

「そうかしら?素敵な部屋よ!」

「ありがとう!」

「…でもシングルベッドに3人寝るのはきつそうね」

「たしかに…」

 

 

ジニーは申し訳なさそうに眉を下げる。ホグワーツ に行くようになって母と同じ部屋から1人部屋に変わったが、それでも兄妹の中で1番狭い部屋だった。

ソフィアは全く気にせず笑ったが、ジニーは狭いベッドを見て肩を落とす。ハーマイオニーもどうやれば3人で寝れるだろうかと眉を顰めた。

2人なら兎も角、3人が寝るのは流石に無謀だろう。男子なら床に転がり寝ることも出来るが、流石に女子であるソフィア達はそんなつもりはなく、困ったように顔を見合わせる。

 

 

「あ!ベッドを大きくさせればいいんだわ!」

 

 

ソフィアはポケットから杖を取り出すと「エンゴージオ!」と肥大が魔法をベッドにかけた。ベッドはぶるりと震え、ダブルベッド程の大きさに広がったが、そのせいで部屋の半分以上がベッドで埋められてしまった。

床に置かれていたおもちゃや本がガタガタと音を立てて崩れ、何かがぐしゃりとひしゃげた音が響く。

 

 

「ごめんなさい。…寝る前に、大きくさせたほうが良いわね」

 

 

ソフィアは肩をすくめベッドを戻し、端に追いやられてしまったおもちゃや本、壊れた箱を元通り戻した。

 

荷物を置いたソフィアは、階下から騒がしい声が聞こえてジニーとハーマイオニーと共に再びキッチンへ向かう。

きっとハリーを迎えに行ったアーサー達が帰って来たのだろう。

 

キッチンからはアーサーの怒ったような声と、少し後にモリーの訝し気な声が聞こえる。一体何があったのかと3人は顔を見合わせ、キッチンの入り口で仁王立ちしているモリーの後ろから顔を覗かせた。

 

 

「あっ!ハリー!」

「ソフィア!久しぶりだね!」

 

 

ソフィアが微笑みハリーに小さく手を振れば、ハリーは嬉しそうに同じようににっこりと笑い返す。

その笑顔を見たジニーはぽっと頬を染めソフィアの後ろに隠れ、ハーマイオニーは「私もいるんだけど」とソフィアしか見えていないハリーにツンと唇を尖らせた。

 

 

「アーサー、一体何なの?言ってちょうだい」

「モリー、大したことじゃない。フレッドとジョージが…ちょっと…だが、もう言って聞かせた」

「今度はなにをしでかしたの?まさか、また ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ(W・W・W)じゃ無いでしょうね?」

 

 

モリーが険しい表情でアーサーに詰め寄り、アーサーは視線を彷徨わせ「あー…違う」ともごもごと呟く。そのあからさまに怪しい言い方にモリーは何かとんでもない事があったに違いないと飄々としているフレッドとジョージを厳しい目で睨んだ。

 

 

「ロン、ハリーを寝室に案内したらどう?」

「ハリーはもう知ってるよ。僕の部屋だし、前もそこで──」

 

 

ハーマイオニーの言葉の意味が分からずロンは首を傾げていたが、ソフィアは顎で入り口を指すハーマイオニーの仕草にピンとくるとロンに助け舟を出した。

 

 

「ロン、みんなで行きましょう?」

「…あっ!オッケー」

 

 

ようやく、ハーマイオニーの言葉がこの場から逃げ出す口実なのだとわかったロンはハリーの腕を掴みモリーの隣をさっと通る。

 

 

「うん、俺たちも行くよ」

「あなた達は、ここにいなさい!」

 

 

ジョージも直ぐにロンの後に続こうとしたがそれを許すモリーでは無く。低い声で凄みジョージとフレッドの行く手を阻む。

 

ソフィアはちらりとジョージを見て声に出さず「頑張って!」と伝え──ジョージとフレッドは額を押さ大袈裟な身振りで嘆いて見せた。

 

 

ソフィア達は狭い廊下を渡り、軋む階段を駆け上がりロンの部屋へと向かう。

 

 

「W・W・Wって何なの?」

「私も気になったわ」

 

 

階段を上がりながら不思議そうにハリーがロンに聞き、ソフィアもその言葉を初めて聞いた為不思議そうにロンを見る。

ロンとジニーは顔を見合わせくすくすと楽しそうに笑ったが、ハーマイオニーは顰めっ面をし全く面白くない、とロンとジニーを冷ややかな目で見た。

 

 

「ママがね、フレッドとジョージの部屋を掃除してたら、注文書が束になって出てきたんだ。2人が発明した物の価格表で、ながーいリストさ。悪戯おもちゃの。…騙し杖とか、ひっかけ菓子だとか、いっぱいだ!」

「えっ!?それ、凄いわね!」

「うん、僕もあの2人があんなに色々発明してるなんて知らなかった…」

 

 

フレッドとジョージはいつも楽しい悪戯をして人を喜ばせている。──まぁ被害を被るスリザリン生徒の一部は全く喜んでいないだろうが──そんな2人が密かに発明をしていたかなんて、それも聞く限りかなり愉快そうな発明品ばかりだった。ソフィアが尊敬と興奮の入り混じった目を輝かせれば、ロンはどこか誇らしげに頷いた。

 

 

「昔からずっと、2人の部屋から爆発音が聞こえていたけど、何か作ってるなんて考えもしなかったわ。あの2人はうるさい音が好きなだけだと思っていたの」

「ただ、作った物がほとんど──っていうか、全部だな──ちょっと危険なんだ。それに、あの2人…ホグワーツでそれを売って稼ごうと計画してたんだ。ママがカンカンになってさ。もう何も作っちゃいけませんって2人に言い渡して、注文書をぜんぶ焼き捨てちゃった」

「…それはちょっと酷いわね。学生のうちに発明をして稼ごうとするなんて、凄いのに…」

 

 

普通、そこまで考える子どもは居ないだろう。

フレッドとジョージは悪戯が好きなだけではなく、それを将来の職業にしようと思っているのだとソフィアは気付いたが、ロンとジニーが言うにはモリーはけっしてそれを良しとはせず、2人に魔法省へ進む道を望んでいたらしい。

それを聞いたソフィアは、あの2人が魔法省で働く未来が微塵も想像出来ず──フレッドとジョージの言うように、悪戯専門店を開くのが間違いなくあっていると思った。

だが、家族の問題においそれと口出しをして良い物でも無い、親にしてみれば不安定な職よりも身の堅い職の方が嬉しいものなのかもしれない。

 

そういえば、将来の話を父様とした事が無いわ。とソフィアはふと気がついた。まだ4年生にもなっていないが、そろそろ学生時代の折り返しでもある。5年生になれば将来に関わるO・W・L(フクロウ)試験が待っている。──その前に一度、進路の話をしても良いのかもしれない。

 

 

ソフィアがそう考えているとき、二つ目の踊り場の扉が開き、角縁メガネをかけたパーシーが迷惑そうに顔を顰めながら顔を出しキョロキョロとあたりを見渡していた。

 

 

「やぁパーシー」

「お邪魔してます、パーシー」

「ああ、ハリー、ソフィア。久しぶりだね」

 

 

ハリーとソフィアの挨拶にパーシーはするりと扉から体を出すと胸を逸らしメガネを指でくいっと上げた。

 

 

「誰がうるさく騒いでるのかと思ってね。僕、ほら…ここで仕事中なんだ。役所の仕事で報告書を仕上げなくちゃならない。──階段でドスンドスンされたんじゃ、集中しにくくって敵わない」

「ドスンドスンなんかしてないぞ。僕たち普通に歩いているだけだ!──すみませんね。魔法省極秘のお仕事のお邪魔を致しまして」

 

 

パーシーの言い方に苛ついたロンが嫌味をねちっこく言えば、途端にパーシーの眉が吊り上がる。ハリーは2人の間に険悪な空気が流れたのを感じ、パーシーの気を紛らわせようと「何の仕事なの?」と聞いた。──パーシーは、仕事の事を聞かれるのが大好きなのだと、ロンが呆れたように手紙で何度も教えてくれていたからだ。

 

ハリーの言葉に、きっとハリーは自分の仕事に興味があるのだと嬉しく思ったパーシーは、ハリーの思惑通り一気に機嫌を戻し気取ったように伝える。

 

 

「国際魔法協力部の報告書でね。大鍋の厚さを標準化しようとしてるんだ。輸入品には僅かに薄いのがあってね。漏れ率が年間約3パーセント増えてるんだ」

「まぁ!じゃあ、きっと私が魔法薬学の授業で2回に1度は大鍋をダメにしてしまうのも、きっとその粗悪品のせいね!」

「それは関係ないわね」

「…あら、…そう?」

 

 

ソフィアは「なるほど!」と手を叩いたが、隣にいるハーマイオニーに即座に否定されてしまい肩をすくめた。

 

 

「世界がひっくり返るよ、その報告書で。日刊預言者新聞の一面記事だ。きっと。──鍋が漏るってね」

「ロン、お前は馬鹿にするかもしれないが、何らかの交際法を科さないと今に市場はペラペラ底の粗悪品であふれ深刻な問題が──」

「はいはい、わかったよ!」

 

 

パーシーの熱っぽい早口にロンは両手を上げ嫌そうに話を中断させると、もうここに居たくないとばかりにハリーの背中を押して先に進むように促した。

少し傷付き──怒りと、どこか悲しげな目で悔しそうにロンを睨むパーシーに、ソフィアは近づき見上げるとそっと覗き込んだ。

 

 

「私は、その報告書も必要だと思うわ」

「…本当に?」

「ええ、鍋底が厚くなれば、薬品が漏れ出さないし、…魔法薬学で失敗しなくて済むかもしれないでしょう?お仕事がんばってね、パーシー!──あ、扉に防音魔法かけておくわ!これで集中出来るわよ?」

 

 

ソフィアは杖を振るい扉に外部の音を遮断する防音魔法をかける。少し驚いた目でそれを見たパーシーは、その手があったかと今更ながらに思い出した。

 

 

「ありがとうソフィア。…でも、未成年は学校以外で魔法は──」

「…じゃあね!また後で!」

 

 

防音魔法は有難い。

だが、未成年は魔法を学校以外で使う事を禁じられている。優等生で規律に厳しいパーシーがそれを許すわけもなく小言を言い出した途端、ソフィアは逃げるように手を振り先に行ってしまったロン達を追いかけた。

 

 

ソフィアはダンスパーティ、誰と踊りますか?

  • ドラコ
  • ハリー
  • フレッド
  • ルイス
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