【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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176 ついに4年目の始まり!

1人残ったソフィアは窓の外から聞こえる知らない家族の別れの挨拶を聞いていたが、発車時刻が10分前に迫った頃、「来たわ!」と小さく叫び弾かれたような立ち上がるとすぐに扉を抜けて外に飛び出した。

 

 

唯一の入り口である柵の向こうから現れたウィーズリー家の面々と、ハリー、ハーマイオニーを見つけたソフィアは人を掻き分け溢れんばかりの笑顔で走る。

 

ハリーとロンとハーマイオニーの3人は一度モリー達と離れ、先に席を確保する為に空いているコンパートメントを探し、キョロキョロと汽車の窓を覗き込んでいた。

ソフィアは背後からハーマイオニーに走り寄ると、勢いのまま抱きついた。

 

 

「きゃっ!?」

「ハーマイオニー!」

「ソフィア!?」

「ああ、無事だったのね?手紙では聞いてたけど…本当、よかったわ!」

「ソフィアも元気そうで良かったわ、あの時離れ離れになって……本当に心配したんだから!」

 

 

ハーマイオニーは飛びついてきたソフィアに肩を震わせ驚いたが、それでも嬉しそうに笑うと強くソフィアを抱きしめた。

 

その側で感動の再会を見たロンとハリーは、ソフィアに声をかけるタイミングを逃し何も言わなかったが──心の底からソフィアが変わらず元気そうで安心した。

 

あの騒動の日、離れ離れになった事が分かった時のハーマイオニーの取り乱しっぷりは中々のものだった。

ドラコに対して彼女からは──ロンならあり得るだろうが──想像も出来ないほどの悪態をつき、何度も泣きそうに顔を歪め辺りを見回していた。

その後闇の印が打ち上げられその時たまたま近くに居たハーマイオニー達は在らぬ疑いをかけられ──なんとかアーサーにより窮地を逃れ、テントまで戻り一息ついた頃に険しい表情をしたジャックが現れ、アーサーと何やら真剣に囁き合った後で一度アーサーに連れられテントに入り、ソフィアの荷物を持つとまたすぐに消えてしまったのだ。

 

まさかソフィアとルイスに何かあったのかと──ハリー達は勿論、ドラコの事をすっかり忘れていた──顔を強張らせ不安げにアーサーを見たが、アーサーはそんな3人に柔らかく微笑みかけ、ソフィアとルイスは無事自宅に帰ったのだと教えてくれた。

 

ほっと胸を撫で下ろしたものの、やはりいつもの笑顔を見て無事を確信したい気持ちが強かったのだ。

 

 

「ハリーとロンも!無事で良かったわ!」

「うん、本当にね」

「あれから何があったか…また後で話すよ」

「ええ、教えて?私たちにも何があったのか…教えるわ」

 

 

ソフィアはハリー達と別れた後何があったのか、セブルスから聞き、日刊預言者新聞で見た為知っていたが、本人の口から聞く事でまた違う発見があるだろうと思い真剣な顔で頷く。

 

 

「あ、私のコンパートメント空いてるわ。──こっちよ!」

 

 

ソフィアは自分のコンパートメントへ案内し、ハリー達は荷物を積み込んだ後もう一度ホームへ飛び降りるとモリー達の元へ向かった。

 

 

「モリーさん!」

 

 

 

ソフィアはジニーに別れの挨拶をしているモリーに駆け寄る。ソフィアの声に気付いたモリーはソフィアの姿を見ると目を大きく開き、その目に薄い涙の膜を張りながらソフィアが抱きつくよりも先に強く抱きしめた。

 

 

「ソフィア!ああ、本当に無事で良かったわ!ジャックと先に帰ったと聞いた時は驚いたけど…本当に、良かったわ…!」

「心配かけて、ごめんなさい…」

「いいえ、あなたのせいじゃないわ」

「それと…泊めてくださってありがとうございます」

「ええ、またぜひ泊まりにきてね?」

「はい!」

 

 

ソフィアは嬉しそうにはにかみ、何度も頷く。モリーは最後にもう一度ソフィアを優しく抱きしめた後ようやく腕の中から離し、自分の子ども達に向き合った。

 

 

「ソフィア、無事で良かった」

「ジョージ!あなたも無事で本当に良かったわ!」

 

 

ジョージはモリーがフレッドを抱きしめている間にそっとソフィアに寄ると優しい目で見つめ頭を撫でる。

ソフィアはきょとんとした顔でジョージを見上げたが、ぱっと嬉しそうに笑うと気持ちよさそうに目を細めた。

 

 

「ルイスは?」

「ああ、ドラコのところにもう行っちゃったの」

「そうか…ま、無事ならいいや。後で会えるしな。…ごめんな、離れ離れになるなって父さんとジャックからも言われてたのに…」

「あの時はかなり混乱してたもの…私も、ごめんなさい離れちゃって…」

「いや、俺の方が──」

「いいえ、私が──」

 

 

暫く謝罪合戦になっていたが、2人は顔を見合わせると同時に吹き出してけらけらと明るく笑った。

その時、汽笛が鳴り、モリーの「さあさあ早く乗りなさい!」の声に促されソフィア達は汽車のデッキへと向かった。

 

みんなで汽車に乗り込み、扉を閉めた後、ハーマイオニーは窓から身を乗り出しモリーに今まで泊めてもらったお礼を伝え、ハリーも慌てて同じように心からの感謝を伝える。

 

 

「こちらこそ楽しかったわ、クリスマスにもお招きしたいけど…でも、きっとみんなホグワーツに残りたいと思うでしょう。なにしろ…色々あるから」

「ママ!3人とも知ってて、僕達が知らない事ってなんなの?」

 

 

この数日間何度も焦ったい思いをしたロンは苛々しながら叫ぶ。だがモリーは詳しくは何も言わずにただにっこりと微笑んだ。

 

 

「今晩わかるわ、多分。とっても面白くなるわ、それに──規則が変わって、本当に良かったわ」

「何の規則?」

 

 

ハリー達が一斉に聞いたが、モリーは楽しげに笑いやはり、明言を避けた。

 

 

「ダンブルドア先生がお話ししてくださるわ。さあ…お行儀良くするのよ?ね?わかった?…フレッド、ジョージ?あなたもよ?」

 

 

汽車が大きな音を立て、がたん、と大きく揺れる。

 

 

「ホグワーツで何があるのか教えてよ!」

「何の規則が変わるのー?」

 

 

フレッドとジニーは窓から身を乗り出し、遠ざかっていくモリーに向かって叫んだが、モリーは微笑み手を振るだけだった。

モリーとビルとチャーリーは汽車がカーブを曲がる前に姿くらましで消えてしまい、フレッドとジョージとジニーは結局何も教えてもらえず残念そうにぶつぶつと呟きながら友人達が居るだろうコンパートメントを探しに行った。

 

ソフィアもハリー達と共にコンパートメントに戻り、汽車の外を流れる景色を見ようとしたが──外は窓を打つ豪雨で濁り何も見えなかった。

ロンはトランクを開け、中から栗色のドレスローブを取り出すとホーホーと五月蝿く鳴くピッグウィジョンの籠にバサリとかけ、その音を殺した。

 

 

「ソフィアは知ってるんだよね?ホグワーツで何があるか。…なぁ教えて──」

「しっ!」

 

 

ロンがハリーの隣に座りながら不満そうにソフィアに聞きかけた時、ハーマイオニーが突然唇に指を当て、隣のコンパートメントを指差した。

黙り込んだロンとハリーと首を傾げる──確か隣はルイスとドラコがいた筈だ──ソフィアが耳を澄ますと、聞き覚えのある声が開け放していた扉を流れて聞こえてきた。

 

 

「──父上は本当は、僕をホグワーツではなく、ダームストラングに入学させようとお考えだったんだ。父上はあそこの校長をご存知だからね。ダームストラングでは闇の魔術に対してホグワーツよりよっぽど気の利いたやり方をしてるんだ。実際に習得できるらしい」

「え?そうなんだ。僕とソフィアはイルヴァーモーニーと悩んでたんだ。別々の学校だったかもしれなかったんだ…」

「そうなのか?何で…ああ、父親の件か?」

「うん、でも結局──」

 

 

 

ソフィアは聞こえてきた会話にさっと顔色を変えると慌てて立ち上がりコンパートメントの扉を勢いよく閉めた。

 

 

「父親の件って?」

 

 

ハリーが首を傾げながらソフィアに聞く。ソフィアは扉に手をつけたまま暫く固まっていたが──諦めたように椅子に戻ると視線を落とした。ハーマイオニーはまさか聞こえてきた内容がソフィアとルイスの父親に関わるとは思わずうろうろと視線を彷徨わせる。

 

ハリーはいつもと違うソフィアの様子に首を傾げたままだったが、少しして去年父親の事を聞いた時に「自分だけの判断では言えない」と悲しげに言った事を思い出した。

 

 

「ごめん!その、僕──忘れて!」

「え?なんだよ?ソフィアの父親って…そういや、ソフィアから父親の事を聞いたことないなぁ」

「ロン!言い難いこともあるのよ!…もう、察しなさい!」

 

 

ハリーは慌てて謝ったが、ロンは何故それ程まで言えないのか分からず訝しげにソフィアを見て、ハーマイオニーは怒ったようにロンに向かって強く叱責してしまう。良い気はしないハーマイオニーの声音に、ロンはソフィアとハーマイオニーを見比べ「何だよ…」と低い声で呟いた。

 

 

「ソフィア、君のお母さんの…ハリーと従兄弟だって事も言っちゃダメなんだろ?何で?」

「…それは…」

「ロン!」

「ハーマイオニーとハリーは気にならないのか?…僕たち、友だちじゃないか!…なんか、隠されてるの……僕は嫌で…。──でも、言いたくないのなら…その、ごめん」

 

 

ロンは、闇雲にソフィアとルイスの秘密を暴きたいわけではない。言えないなら仕方がないかも知れないが、それでも、1番の友だちだと思っているソフィアがそこまで隠し事をするのが無性に──まだ子どもゆえの幼さかも知れないが──嫌だった。

 

ソフィアは項垂れるロンの赤毛をじっと見ていたが、小さくため息をつくと杖を取り出してコンパートメント全体に防音魔法をかけた。

 

 

「…そうね、友だち…だものね」

「ソフィア…?」

 

 

ソフィアのぽつりとした呟きに、ハーマイオニーはまさかソフィアとルイスの父親がセブルス・スネイプである事を伝えるのかと思い、不安げに目を揺らす。自分の時は許されたが、はたしてダンブルドアは許してくれるだろうか?

この2人は──特に、ロンは──カッとなり口からつい余計な事を言いがちだ。私のように秘密を守れるだろうか。不安な表情をするハーマイオニーにソフィアは少し安心させるために力なく微笑んだ。

 

 

「これを見てほしいの」

 

 

ソフィアは肩に下げていた鞄を探り、本を取り出す。その中に栞のように挟んでいた一枚の写真を取り出す。

 

 

「写真?…これが、どうし──」

 

 

ソフィアはロンに写真を手渡し、それを戸惑いながら受け取ったロンは写っている人たちを見て──そのままぴたりと動きを止めた。

ハーマイオニーとハリーは顔を見合わせロンの隣から写真を覗き込んだ。

 

 

ハリーはその写真の中央に居る優しい目をした美しい女性を見て、自分の母親だと、思った。双子だとは聞いていたが、確かによく似ている──いや、髪の長さが違うような気がするが、その程度の差しか無い。

 

その女性は両腕に2人の赤子を抱きしめていた。おそらく、ソフィアとルイスだろう赤子は母親の髪を引っ張り楽しそうに笑っている。

 

その、女性の足の後ろに隠れるようにして1人の幼い男の子が居た、ソフィアでもルイスでもない、見知らぬ少年だ。

 

 

「…これ…え?君たちには、お兄さんが居るの?」

「ええ……正確には、()()ね。…もう、亡くなってるの。私たちが兄様の存在を知ったのは…ほんの数ヶ月前よ。…ハリーと従兄弟だと知った時に、私達は──ジャックに、本当なのか聞いたの、何故それを隠さなければならなかったのかも…その時に、私たちには兄様が居て……母様と同じ日に亡くなったと知ったの」

「──まさか、それって…そんな…!」

 

 

ハーマイオニーは口元を押さえ、震える声で呟く。ハリーとロンも、ようやくこの少年に何があったのかを理解すると表情をこわばらせた。

ソフィアは愕然としている3人を見て、ロンの手から写真をそっと抜き取ると、悲しげな目でアリッサ(母親) リュカ()を撫でる。

 

 

「あの日──。母様は、兄様を連れて…ポッター家に行ったの。それで…そのまま、あの人に…2人とも殺されてしまった」

「そんな…。そう、だったなんて……」

 

 

ハリーは、胸が強く痛んだ。アリッサから母親だけでなく、兄も奪ってしまったのかと、──勿論、ハリーのせいではない、ただ、ソフィアの母は自分の父親とシリウスを信じていた。だからその場に向かったのだと知っているために…とても、どうしようもない事だが──苦しかった。

 

 

「その…。今から言うことは、ただの事実であって……ハリー、あなたは何にも関係がないの…」

「…僕…?」

 

 

ソフィアは少し心配そうにちらりとハリーを見た後、言おうか言わまいか──暫く悩むように唇を噛んでいたが、視線をハリーから外すと小さな声で呟いた。

 

 

「母様と兄様が亡くなった時…父様は、酷く取り乱して──それで…そのあと、父様は私たちから兄様の存在を隠したの」

「え?…どうして…?」

「……──あっ!そんな…!」

 

 

ロンは何故、亡くなった兄の存在を隠すのか──兄弟が多いロンだからこそ信じられず、そんなひどい事をする意味があるのかと眉を顰めたが、賢いハーマイオニーは何故そうしたのかを悟ると肩を震わせ、ついに目に涙を浮かべた。

ハリーとロンはハーマイオニーの絶望にもにた表情に困惑して目を見合わせる。ハーマイオニーは気がついたようだが、2人には何故なのかまだわからなかった。

 

 

「…その、……ハリー、あなたが生き残れたのは…あなたのお母さんの愛の守りだって…ダンブルドア先生はおっしゃったのよね?」

「え?…うん、確か…一年生の時に…」

 

 

ハリーには母の愛の魔法がある。唯一死の魔法に抵抗できる──身を挺した強力な守りの魔法だ。

一年生の時に、その守りが効いていたハリーの肌に、ヴォルデモート卿に取り憑かれていたクィレルは触れることが出来ず焼け爛れて──身を滅ぼした。

 

 

「多分、父様はその事をどこかで知ってしまったのね。……つまり、…その──。…ああ、ハリー、本当に、何も気にしないで欲しいんだけど…。…ハリー、あなたはお母さんの守りの魔法で生き残れた。

けれど…私たちの兄様は生き残れなかったでしょう?それで、もし、その…ハリーが生き残れた理由が世界中が知ったら?…生き残れなかった少年、子どもを守れなかった母…そんなふうに亡くなった2人が中傷を言われるのを恐れたの。……その、父様は、ジェームズとシリウスを信じた母様を…信じていたから…多分親戚だとも、言いたくなかったのだと思うわ」

「それは……」

 

 

ハリーは無意識に自分の額の傷痕に触れた。

これは母の愛の証であり、ヴォルデモートに争った印だ。だが──あの場にもう1人の母子がいて、一方の少年は亡くなった。…確かに、その理由はまだ世界で知るものは少ないが──それが周知された時、ゴシップ好きな人達は有る事無い事を言いそうだと、ハリー達は思う。

何故ハリーと従兄弟同士だとも言えなかったのか、たしかに自分の妻が死んだ原因でもある人の親戚だとは、言いたくなかったのだと、ハリー達はすぐにその心中を察した。

 

 

「それで……その、…ごめんなさい。ずっと黙ってたけど、父様は亡くなってるわけじゃないの。──生きてるわ」

「えっ、そうなの?…でも、孤児院に…?」

「ジャックの孤児院は、孤児だけが行くわけではないの、親が事情があって育てられない時も、子どもを一時的に保護するのよ。…それで…父様は──その、さらに複雑で、気軽に会えないし…」

 

 

ソフィアは大きくため息をつくと、眉を下げて困ったように微笑んだ。

 

 

「父様の事は、…少なくとも、成人するまで言えないの。…今まで言えなくて、ごめんなさい…」

「ああ、ソフィア!!」

 

 

ハーマイオニーは隣に座るソフィアをぎゅっと強く抱きしめるとぽろぽろと涙を流して体を震わせた。

驚き目を瞬かせたソフィアだったが、ハーマイオニーの背に手を回し、緩く撫でる。

 

 

「ソフィア、ごめん。…僕──僕、気軽に聞いちゃダメだった…」

「ソフィア…ごめん、僕…ソフィアとルイスと従兄弟だって浮かれてた…でも、そんなことがあったなんて…」

 

 

ロンはソフィアが秘めていた重過ぎる内容に、気軽に聞いてはならない、触れてはならなかったのだと痛感し、自分の安易な発言を深く反省した。

ハリーも──自分のせいではないとわかっていたが、何故ソフィアがあれほど言い淀んでいたのかをぼんやりと理解していた。僕は、その生き残った男の子だ。被害者家族からすれば、きっと──良い気はしない、複雑なのだろう。

 

 

「まぁ…そういうわけで、従兄弟だって言えないし、母様と兄様に何があったのかも…周りの大人は私たちには隠していたのね。ずっとジャックも黙っていたし…。誰にも、言わないでね?」

 

 

おずおずと言うソフィアに、ハリー達はすぐに「勿論!」と口を揃え真剣な顔で頷いた。

ハーマイオニーは鼻を啜り目元を擦りながらようやくソフィアを胸の中から解放したが、しっかりとソフィアの腕に絡ませたままで隣に座り直した。

 

 

「あー…そうね、ダームストラングとイルヴァーモーニーってどんなところか知ってるかしら?」

 

 

どんよりとした重く暗い雰囲気に、ソフィアは明るい声で話題を変えた。

ハリー達はソフィアの気遣いに少し顔を見合わせ──そして、その変えられた話題に乗っかった。ソフィアが話題を変えたいのならば、もう家族の事には触れない方がいいだろう。

 

 

 

「知ってるわ。…ふん、あいつ、自分がダームストラングの方が合ってるって思ってるのね?本当に行ってくれたら良かったわ!」

「ダームストラングとイルヴァーモーニーって、やっぱり魔法学校なの?」

 

 

ハリーはどちらの学校の名前も聞いたことがなく、知っているらしいソフィアに向かって聞いた。

 

 

「そうよ。イルヴァーモーニーはアメリカにあって、ホグワーツみたいな学校らしいわ」

「ダームストラングの評判は、凄く悪いの。あそこは闇の魔術に相当力を入れてるって本に書いてあったわ」

 

 

嫌そうにダームストラングの説明をするハーマイオニーに、ロンも「僕もそれ、聞いたことがある気がする…」と難しい顔で曖昧に頷いた。

 

 

「ダームストラングはどこにあるんだい?どこの国に?」

「さあ?誰も知らないんじゃない?」

「…どうして?」

 

 

ハーマイオニーがちょっと眉を吊り上げながらロンの疑問にきっぱりと答える。

ハリーは何故、「私は知らない」ではなく、「誰も知らない」なのかが気になり首を傾げた。

 

 

「えーっとね、魔法学校には昔から対抗意識がある学校もあるの。ホグワーツとかイルヴァーモーニーはどこの国にあるのかは知ってる人が多いけれど…ダームストラングとかボーバトンとかは…誰にも秘密を盗まれないように、何処にあるか学校を隠してるの。だから関係者以外知らないのよ」

「そんな馬鹿な!ダームストラングだってホグワーツと同じくらいの規模だろ?バカでかい城をどうやって隠すんだい?」

 

 

ロンがソフィアの説明に、あり得ないと笑い出したが、ハーマイオニーは呆れたような眼差しでロンを見ると大袈裟にため息を吐いた。

 

 

「何言ってるの?ホグワーツも隠されるじゃない!そんな事、みんな知ってるわよ!」

「『ホグワーツの歴史』を読んだ人ならね、ハーマイオニー」

 

 

撫然とするハーマイオニーを見て、ソフィアは小さな声で付け足した。

 

 

「それじゃ、君たちだけだ!それじゃ、教えてよ。どうやってホグワーツみたいなとこを隠すんだい?」

「魔法がかかってるの。マグルが見ると、朽ちかけた廃墟に見えるだけ。入口の看板に『危険!危ない!入るべからず!』って書いてあるわ」

「じゃ、ダームストラングもよそ者には廃墟みたいに見えるのかい?」

「多分ね」

 

 

驚いたようなロンの言葉に、ハーマイオニーは肩をすくめた。実際のところがどうなのかは、勿論ハーマイオニーも知らない事だ。ホグワーツのように魔法界に周知されている魔法学校はその書物が数多くあるが、ダームストラングについての本は一冊も存在していない。

 

 

「多分、マグル避け呪文と、外国の魔法使いに見つからないように位置発見不可能魔法をかけてるんだと思うわ」

「あ、やっぱりソフィアもそう思う?」

「ええ、それか──」

「うーん…ソフィアが言うんなら、そうなんだろうね」

 

 

ソフィアとハーマイオニーが他に透明化の魔法かも知れないと話し合う中、ハリーはその魔法の一つも知らなかったが、優秀なソフィアとハーマイオニーがいうのならそうなんだろうと無理矢理納得した。

 

 

「私、ダームストラングはとっても寒いところだと思うの。ずーっと遠い北の方にあるに違いないわ、だって制服に毛皮のケープがついてるもの」

「カッコいいわよね!」

「あーずいぶん色んな可能性があっただろうなぁ…マルフォイを氷河に突き落としたり──」

 

 

ロンが夢見るようにドラコに対して酷いことを言うのを、ソフィアは苦笑して聞いていた。

 

 

 

ソフィアはダンスパーティ、誰と踊りますか?

  • ドラコ
  • ハリー
  • フレッド
  • ルイス
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