【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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200 何でも屋さん!?

 

 

 

ソフィア達はその日の晩、ピッグウィジョンを探しに梟小屋を訪れた。ハリーはシリウスにドラゴンと対決したが無事だった事、ついでに結膜炎の呪いは2日程度で習得するには難しく、アクシオを使い箒を使ってドラゴンを出し抜いた事もしっかりと書いた。

 

梟小屋でピッグウィジョンを捕まえる最中に、ソフィア達は一旦考えないようにしていたカルカロフの件について話した。

 

 

「あの、カルカロフが死喰い人なんてね…」

「辻褄が合うじゃないか?マルフォイが汽車の中で行ったこと、覚えてるか?あいつの父親がカルカロフと知り合いだったって。あいつらがどこで知り合ったのか、これでわかったぞ。ワールドカップじゃ2人一緒に仮面を被って暗躍してたんだ」

 

 

ロンが自信を持って「間違い無い」と自論を告げたとき、ハリーはドラコの事を考えロンと同じような表情で頷いたが、ソフィアとハーマイオニーは難しい表情で眉を寄せ考え込んだ。

 

 

「…いえ、ルシウスさん──ドラコのお父さんはあの日に暗躍なんてしてないわ。だってルイスとドラコと私はみんなとはぐれて迷子になって…その後、ジャックがドラコのお父さんとお母さんが必死に探しているっていって、連れて行かれたところに2人ともいたもの」

「…でも、知り合いだっていうのは間違いないだろ?仲良さそうな言い方だったし」

「…まぁドラコってちょっとオーバーな言い方をしがちだから…」

 

 

ロンはソフィアがいくら反論しても、今までのドラコの態度や言動から間違いなく繋がりがあると信じて疑わず、「カルカロフに決まってるさ。カルカロフがゴブレットにハリーの名前を入れたんだよ、今頃馬鹿を見たと思ってるさ」と言いながら手紙を運ばせてもらえそうな気配を察知し、大興奮し暴れるピッグウィジョンをむんずと掴んだ。

 

ハリーはロンがピッグウィジョンを抑えている間にかなり分厚くなってしまった手紙をその小さな足に括り付けた。

括り付けながら、こんな重い手紙を小さなピッグウィジョンが果たして無事に運べるのかと少々不安だったが、ピッグウィジョンはよろめきながらも窓から飛び上がり──すぐに4、5メートル墜落したが──なんとか、空へ舞い上がった。

 

 

「…ジャックも、カルカロフと知り合いなのよね」

 

 

彼方へ飛び去っていったピッグウィジョンを見ながら、ソフィアはぽつりと呟いた。

 

 

「え?ジャックも?」

 

 

思いもよらない人物に、ハリーは驚いて窓の外へ向けていた視線をソフィアに向ける。

しかし、ソフィアはハリーの顔を見る事なく真剣な表情で空の何もないところを見ていた。

 

 

「ダームストラング校が来た時──この前君が来た時はゆっくり話せなかった。──ってカルカロフがジャックに言ってたじゃない?」

「え?…そうだっけ?」

 

 

ハリーとロンはその時の事を思い出そうとしたが、ダームストラングとボーバトンの登場の仕方に衝撃を受け、大きな馬車や船に夢中になり、正直彼らの会話まで意識していなかった。

しかし、ハーマイオニーは真剣な表情で頷く。

 

 

「言ってたわね。それに、カルカロフは…ジャックに会えて嬉しいって言っていたわ。──まぁ、社交辞令かもしれないけれど…2人とも本気で言ってるようには思えなかったもの」

「…そうなのよ。ジャック…ちょっと怖い目をしていた気がして、警戒してるというか…。……あ、それと、ジャックはムーディ先生と仲良いみたいなの、言ったかしら?」

「初耳だよ!あの2人が?」

 

 

ソフィアはジャックの事を考えているうちに、ムーディとジャックがどうもかなり仲がいいらしいと言う事を思い出し、ハリー達に伝えた。

それは初耳であり、ハリー達は驚きジャックとムーディが仲良く会話している様を想像したが──なんとも奇妙な光景で、しっくりこない。片方は優しくユーモアもある男で、片方は元優秀な闇祓いだが今は疑心暗鬼に陥っている男。年齢や立ち位置もかなり差がある2人が、果たしてどこで親交を深める事が出来たのだろうか。

 

 

「ジャックってね、かなり交友関係が広いの。けど──その、多分本当に仲のいい友達は少ない…と思うの。だけど、ムーディ先生には凄く心を開いているように見えたわ、アラスターだなんて、名前で呼んでて…」

「名前で?それは…かなり仲が良くないと無理ね」

「……わかったぞ!」

 

 

ハーマイオニーとハリーはあのムーディを名前で呼ぶ程の仲だと言う事に驚いていたが、ロンは暫く考えた後指をパチンと鳴らして叫んだ。

 

 

「きっと、ジャックは闇祓いだったんだよ!ムーディの後輩で、それで仲が良かったんだ!だからカルカロフの事も知ってて警戒してるとか!」

 

 

ロンはこの自論も間違いではないと目を輝かせる。ソフィア達は少し黙り込み、ジャックが闇祓いとして働き死喰い人を捕らえる様を想像してみた。

 

 

「──あり得るわね」

「うん、一番違和感がない」

「確かに、ジャックってかなり有能らしいもの、魔法省にも頼りにされていたし…ジャックが闇祓い…」

 

 

ハーマイオニー、ハリー、ソフィアは順に頷いた。確かに、ジャックが闇祓いとして働いていた過去があるのならムーディと仲が良いのも、カルカロフを警戒するのも理解が出来る。それに、あの優しく優秀なジャックらしい職業だとも、思ったのだ。

 

 

「ジャックって、本当に何でも屋さんみたいね。孤児院経営に、魔法省のお手伝いに、闇祓い…」

「そうね。…三校対抗試合が終わるまではここにいるみたいだし、聞いてみようかしら…」

 

 

ここで予想を立てずとも、本人に聞けば教えてくれるだろうとソフィアは呟いた。

 

 

「そうだね。…さあ寮に戻ってハリーのパーティに行かなきゃ!フレッドとジョージが今頃は厨房から食べ物を沢山貰ってきてるよ」

 

 

ロンは楽しげに声を弾ませ、早く行こうとハリーの背を叩き促す。ハリーもにっこりと笑い頷き、グリフィンドール寮へ向かった。

ソフィアとハーマイオニーも、まだ少し考えたいことはあったが──ハリーが無事に課題を終えた事を、心から祝いたいと気持ちを切り替えすぐに2人の後を追った。

ゴブレットに名前を入れたのが誰であれ、課題の事故に見せかけてハリーを殺すつもりならば、次の課題があるまでは何も手を出してこない筈だ。そう、信じて。

 

 

 

グリフィンドールの談話室に戻ったハリーは沢山の歓声と拍手、そして笑顔に迎えられた。

机の上には所狭しと大きなケーキや大瓶入りのカボチャジュースやバタービールが並んでいる。ハリーはフレッドとジョージに「やっと帰ってきたぜ!ほら来いよ!」と中央に手を引かれ、最も大きなケーキが置かれている机の前に座った。近くにソフィアとロン、ハーマイオニーも座り、ケーキを食べバタービールを飲みながら他の寮生達とハリーの飛行術と勇気の素晴らしさについて語った。

 

リーがヒヤヒヤ花火を爆発させ、部屋中に火花と星が散る中、ハリーは自分がファイアボルトに乗りホーンテールの頭上を飛び回っている絵が描かれた旗を見上げながらケーキを食べた。

 

 

こんなに、幸せな気持ちは久しぶりだ。少し前までは絶望して、どうすればホグワーツから逃げ出せるか考えていたのに──立ち向かって、本当によかった。

 

 

 

「うわ!これすげぇ重いな!」

 

 

ハリーがしみじみと幸福を噛み締めていると、リーがテーブルに置いていた第一の課題の戦利品であり、第二の課題のヒントである金の卵を持って叫んだ。

 

 

「開けてみろよハリー!中に何があるか見ようぜ!」

「ハリーは自分一人でヒントを見つける事になってるのよ」

 

 

ハーマイオニーがすかさずリーに忠告したが、「ドラゴンを出し抜く方法も、自分一人で見つける決まりだったけどね」とハリーがハーマイオニーにだけ聞こえるように呟くと、ハーマイオニーはばつが悪そうに笑った。

 

ドラゴンと戦う事もハグリッドに伝えられ、アクシオを使う事はムーディから教えられ、その方法はソフィアとハーマイオニーから学んだ。ひとつとして自分一人だけで行ったものではなく、皆の協力があってこそだと、ハリーは思っていた。

 

 

「そうだそうだ!ハリー、あけろよ!」

 

 

リーの言葉に何人かが同調した。

卵の中に何が入っているのか誰もが気になり、騒ぎを止めてハリーを囲むように周りに集まり期待で目を輝かせる。

 

 

リーから卵を渡されたハリーは、卵の周りについている薄い溝に爪を立ててこじ開けたが、中は何もない、空っぽだった。

 

 

──しかし。

 

 

「うわっ!?」

「きゃあっ!?」

 

 

しかし、ハリーが開けた途端、世にも恐ろしい大きな金切り声が部屋中に響き渡った。すぐ近くにいたソフィア達は悲鳴を上げ耳を塞ぐ。

 

 

「黙らせろ!」

 

 

フレッドの叫びに、慌ててハリーが卵をぱちんと閉じれば、ようやく卵から出ていた音は消え、耳を押さえていた寮生達は頭を振りながらそろそろと手を離す。

 

 

「い、今のはなんだ?」

「…マンドレイクの声かしら…それなら、何か難しい薬を作るとか…?」

「バンシー妖精の声みたいだったな、もしかしたら次やっつけなきゃいけないのはそれかもしれないぞ!」

 

 

ソフィアとシェーマスが閉じられた卵をまじまじと見ながら次の課題の予想を立てる。ハリーはどちらにしても対応に困りそうな課題だと小さく唸った。

 

 

「誰かが拷問を受けてた!君は、磔の呪文と戦わなきゃいけないんだ!」

 

 

ネビルは手に持っていたソーセージロールをバラバラと床に落とし、顔を真っ青にして慄きながら叫ぶ。

すぐにジョージが震えるネビルの肩を叩き、クリームサンド・ビスケットを持たせた。

 

 

「馬鹿言うなよネビル、あれは違法だ。代表選手に磔の呪文をかけたりするか!…俺が思うに、ありゃパーシーの歌声にちょっと似てたな。もしかしたら…あいつがシャワーを浴びてる時に襲わないといけないのかもしれないぜ」

 

 

茶目っ気たっぷりにジョージが言えば、周りでくすくすと小さな笑いがあがり、ネビルはまだ蒼白な顔をしていたが、同じように少しだけ笑った。

 

 

 

「ソフィア、ジャムタルト食べるかい?」

「ええ、ありがとう」

「待ってソフィア。…フレッド?まさか、何も入ってないわよね?」

 

 

フレッドが勧めたジャムタルトをすぐに手に取ったソフィアだったが、ハーマイオニーは疑わしい顔をして今まさに口に運ぼうとしていたソフィアの手を止めた。

 

 

「大丈夫だよ、何もしてないさ。──けど、クリームサンド・ビスケットの方にはご用心…」

 

 

フレッドがニヤリと笑って言えば、ちょうどジョージからビスケットを勧められ食べていたネビルが盛大に咽せて吐き出した。

 

 

「ほんの冗談さ、ネビル!」

「これ、全部厨房から持ってきたの?」

 

 

くすくすと楽しげに笑うフレッドに、ハーマイオニーはジャムタルトをまじまじと見ながら聞く。ソフィアは何も盛られていないのなら、と甘酸っぱいジャムタルトをぱくりと食べた。

 

 

「うん。旦那様!なんでも差し上げます。何でもどうぞ!…連中は本当に役に立つ。俺がちょっとお腹が空いてるって言ったら、雄牛の丸焼きだって持ってくるぜ?」

「どうやってそこに入るの?」

「簡単さ。果物が盛ってある器の絵の裏に、隠し戸がある。梨をくすぐればいいのさ、すると笑うから──何で聞くんだ?」

「別に」

 

 

フレッドはほとんど全てを言った後に口を閉じ、怪訝な目でハーマイオニーを見た。彼女がハウスエルスの待遇に不満を持ち活動している事は、グリフィンドール生なら皆知っている。何度もバッジを突きつけられ、まさに()()()()()ような話を聞かされていたのだ。

 

 

「ハウスエルスを率いてストライキをやらそうっていうのかい?ビラ撒きとかはやめて、連中を焚き付けて反乱か?」

 

 

何人かが面白そうに笑ったが、ハーマイオニーはムッとしたまま何も言わなかった。その活動が軌道に乗っていないと言う事は、ハーマイオニーが一番理解していた。

 

 

「連中はそっとしておけ。服や給料を貰うべきだなんてあいつらに言うんじゃないぞ!料理に集中できなくなっちまうからな!」

 

 

ちょうどその時、ネビルが大きなカナリアに変身してしまい、みんなの注意が逸れた。

大きなカナリアはきょとんとして自分の体や周りを見て──それがなんとも滑稽で、皆が腹を抱えて笑う。

 

 

「ごめんネビル!忘れてた、俺たちやっぱりビスケットに呪いをかけてたんだ!」

 

 

ソフィアは一瞬でカナリアになったネビルに驚き「わぁ!」と歓声を上げた。

1分もたたないうちにカナリアの羽が抜け始め、全部抜けるといつもと全く変わらない姿のネビルが再び現れ、ネビルもみんなと一緒に笑った。

 

 

「カナリア・クリーム!ジョージと俺で発明したんだ!一個7シックル!お買い得だよ!」

 

 

フレッドが興奮している生徒たちに向けて声を張り上げる。

ソフィアもまた目を輝かせ、売り込みをしているフレッドの服の袖をぐいぐいと引っ張った。

 

 

「凄いわ!ねぇ、あれって変身術?魔法薬の応用?」

 

 

人間を別の生き物に変えるのは難しい。

それが変身術であれ、魔法薬であれ、かなり難易度は高いはずだ。

カナリア・クリームの効果もジョークグッズとして素晴らしい1分程度の持続であり、羽が全て抜けて戻る、という方法も楽しめる。

ソフィアは変身術がなによりも好きであり──今後、マクゴナガルを動物に変えねばならない身として、このカナリア・クリームの構造がかなり気になった。

 

しかし、フレッドとジョージは顔を見合わせてニヤリと笑い両手を差し出した。

 

 

「企業秘密さ!」

「調べたいなら買ってごらん!」

「…商売上手だこと!ええ、ひとつ…いえ、ふたつ買っていいかしら?」

 

 

ソフィアは楽しげに笑い、内ポケットから金が入った袋を取り出すとクリームふたつ分の代金を払った。

 

 

「「まいどあり!」」

 

 

フレッドとジョージはにっこりと笑って代金を受け取ると、いつから用意していたのか──暖炉のそばに置いてあった箱からみっつの袋を取り出しソフィアの手に置いた。

 

 

「え?みっつ…?」

「一つはサービスさ」

「初めてのお客様だからな」

 

 

ジョージとフレッドは周りに聞こえないようき声を顰め、ソフィアにウインクをする。ソフィアはぱっと表情を明るくさせ「ありがとう!」と満面の笑みで言った。

 

 





気がつけば200話…こんなに長編にするつもりは無かったのですが…
こんなに続けられたのは初めてです。
いつも読んでいただけて、本当にありがとうございます!
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