【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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201 ルイスの恋!?

 

 

 

三校対抗試合の一つ目の課題が終わり数日後。あと少しで12月という日の放課後、ソフィアとルイスは久しぶりに二人でセブルスの元を訪れていた。

2人がセブルスの研究室に入った時には既に部屋の中央に机とソファ、そしてティーセットが用意されていて、ジャックが既にソファに座り紅茶を飲んでいた。

 

 

「ジャック!わぁ、ジャックもいるんだ、嬉しいな!」

「家族水入らずに邪魔しちゃってごめんな?」

「ううん!だってジャックはもう一人のパパだもの!」

「そうそう!」

 

 

ソフィアとルイスは嬉しげに笑って、少し申し訳なさそうにするジャックを歓迎し、すぐにルイスはジャックの隣に、ソフィアはセブルスの隣に座った。

 

 

「父様、今年ってクリスマスはどうなの?」

「…今年もここを離れるわけにはいかないな」

「まぁ、そうよね」

 

 

ソフィアは今年も父親とクリスマスに過ごすのは難しそうだと少し残念に思った。ボーバトンとダームストラングの生徒が滞在しているのだ、きっと例年以上に熱の入ったクリスマスパーティが開催されるのだろう、その準備なら何やらで先生たちもきっと忙しいのだと、なんとなく予想はしていた。

 

 

「今年はいつもより楽しいと思うぜ?ダンスパーティがあるみたいだしな!まぁ、俺は孤児院に帰るけど」

「えっ帰っちゃうの?」

「…ダンスパーティ?」

「…ジャック…機密事項を気軽に口にしないでいただけるかな」

 

 

ソフィアはクリスマスに戻ると言うジャックの言葉に反応したが、ルイスはダンスパーティという言葉に反応した。

それは、あと数日──12月までは生徒達には秘密にしなければならない事であり、セブルスは苦い顔でジャックを睨む。

ついうっかり、気落ちしているソフィアを慰めようと漏らしてしまったジャックは口を押さえたがもう言った言葉はオブリビエイトでもしないと取り消せない。苦笑して「ごめんごめん」と謝った。

 

 

「クリスマスは、流石に子どもたちに会いたいしな。…まぁ休暇中も時々翻訳魔法をかけにくるけど…殆ど孤児院(あっち)に戻る」

「そっか…そうね、その方がいいわ!」

「そもそも、こんなに長くあけて大丈夫?」

「まぁ、有能な仲間が居るし、それに──」

 

 

ジャックはそこで言葉を切り、少し悲しげに目を揺らせたが瞬きひとつする間にいつもの表情に戻っていた為、ソフィアとルイスは自分の見間違いかと首を捻った。

 

 

「ま、あっちは大丈夫だ。…もう言っちゃったからいいと思うけど──クリスマスにはここでダンスパーティがあるんだよ。他の奴らには内緒だぜ?…四年生以上はダンスパーティに参加できるんだ。ソフィアとルイスもドレスローブを買っただろ?」

 

 

ジャックはちらりとセブルスを見たが、セブルスがその先の言葉を止めずにいた為に──勿論苦い顔をしていたが──ダンスパーティの事を二人に伝えた。

そういえば、今年は用意するものにドレスローブがあった、何のために必要なのかと思っていたが、ダンスパーティが開催されるからなのか。

 

 

「ダンスパーティって…え、踊るの?みんな?」

「私、踊れないわよ」

 

 

ソフィアとルイスは顔を見合わせ怪訝な顔をした。三校が集う盛大なクリスマスパーティが開催され、正装しなければならないのは、理解が出来る。だがダンスを踊るなんて──踊れない者が殆どではないだろうか、舞踏会などに出席した事のある一部の純血魔族以外は。

 

 

「…寮監の授業の時間に、生徒たちがダンスの練習をする事となった」

「え?……え?それって、つまり…」

「と、父様が…スリザリン生に…お、おしえるの?」

 

 

ルイスとソフィアはダンスを軽快に踊るセブルスを想像し、肩を震わせる。ジャックも楽しげにくすくすと笑っていたが、セブルスは苦虫を噛み潰した表情をしたまま絞り出すように「…そうだ」と答えた。

これも、寮監の仕事なのだから仕方ない──勿論頷きたくは無かったが、セブルスは渋々頷いた。

ソフィアとルイスは堪えきれずけらけらと楽しげに笑う。

 

 

「あははっ!いいなぁルイス!父様にダンスを教えていただけるなんて!」

「で、でも僕笑いすぎてちっとも上手く踊れないかも!」

「ああ!カメラ!カメラ渡しておくから、絶対に写真に撮ってね!?」

「うん!わかった!」

「……カメラを出してみろ。一生手元に帰ってこないと思え…」

 

 

地の底から這うような低いセブルスの声に、ソフィアとルイスは「冗談だよ!」と同時に叫んで慌てて首を振ったが、その顔は笑ったままだった。

 

 

「父様も、母様とダンスとか、したことあるの?」

 

 

ソフィアは笑いすぎて浮かんだ涙を指で擦りながらなんとなく聞いた。

セブルスは少し黙ったあと、小さく頷く。正式なダンスパーティに行ったわけではないが、二人の母(アリッサ)の戯れでダンスに付き合わされた事があり──セブルスは割と、踊れたりするのだ。勿論、簡単なワルツだけだったが。

 

 

「あ!そうそう、俺その写真を持ってきてて、ソフィアとルイスに見せようと思ってたんだ!」

「何、そんなもの──」

 

 

ジャックはダンスパーティがホグワーツで開催されると聞き、古いアルバムからセブルスとアリッサが幸せそうに寄り添い踊る写真を持ってきていた。この写真はセブルスに渡すためであり、持ってきた当初は2人に見せるつもりは無かったが──母親と兄の事を知った今の2人なら、見せてもいいと思ったのだ。

 

セブルスはすぐにそんな写真いつのまに撮っていたんだ、見せるなんて断固拒否したい、そう言いかけたが。

 

 

「母様の!?」

「見たい!!」

 

 

ソフィアとルイスが目を輝かせ頬を染めながら叫んだのを見て、口を閉ざした。

家に家族の写真はあるが、あまり多くはない。ソフィアとルイスは少しでも多く、今は亡き母の姿を見たかった。

 

 

「うん、──ほら、これ」

 

 

ジャックはベルトポーチをごそごそと探り、中から一枚の写真を取り出し机の上に置いた。

身を乗り出して見たソフィアとルイスは、写真に写る若い父と母の姿を食い入るように見つめた。

 

 

「うわぁ…」

「母様も父様も…すごく、幸せそうね」

 

 

手を取り、身を寄せ見つめ合うアリッサとセブルスはゆったりと揺れ、くるりと周っていた。一眼見ただけで、ああ、本当に愛し合っているんだな、と愛に疎い2人でもわかる幸せそうな横顔に、ソフィアとルイスは目を細め嬉しそうに笑う。

 

 

「これは…卒業してすぐだな」

 

 

セブルスは写真を手に取ると、懐かしさに目を細めながら写真の中にいるアリッサの頬を撫でた。

ソフィアとルイスは、その眼差しが愛おしいものを見つめる本当に優しいもので嬉しくなり──その中に、僅かな切なさが含まれている事に気がつくと、胸がつきんと痛くなった。

 

 

「セブルス、それはお前が持っていた方がいい」

「ああ…ありがとう」

 

 

セブルスはじっとアリッサと少し目立ってきているアリッサの腹を優しい瞳で見ながら頷いた。

 

なんとなくしんみりとしてしまった空気を変えるために、ルイスは「そうだ!」と小さく声を上げソフィアを見た。

 

 

「ダンスパーティって、相手が必要でしょ?なら、ソフィア、僕と踊ろうよ!それで、その写真を撮って…この父様と母様の写真の隣に並べるんだ!どう?」

「まぁ!それはいい考えね!」

 

 

ルイスの思いつきにしてはなかなかいい案に、ソフィアは手を叩いて賛成した。

しかし、セブルスとジャックは少々なんとも言えない目で視線を交わす。

 

 

「そりゃ──それはいい考えだけどさ。あんまりダンスパーティで兄妹で踊るのは無いと思うぞ?普通は気になる相手とか、恋人とか…」

 

 

苦笑するジャックに、ソフィアとルイスはきょとんとした目でジャックを見ていたが──2人揃って、少し頬を赤らめた。

 

その表情を見たジャックは「おや?」とでも言うようにニヤリと楽しげに笑ったが、セブルスは目を見開きぴしりと固まった。

 

どう見ても、2人の表情は恋人や気になる人が居るのでは無いかと想像させるに容易い表情である。

 

 

「なんだ?2人とも、恋人が出来た?好きなやつとかいるの?」

「そ、そんなの!」

「そんなの!──そんなの…」

 

 

いない、とは断言せず顔を赤もごもごと言い淀んだ2人にジャックは子どもたちの甘酸っぱい青春を喜んだが、セブルスだけは、喜べなかった。

 

 

「誰だ」

「えっ」

「まさか…まさかとは思うが。──…ポッターか?」

 

 

セブルスはソフィアを硬い表情で見つめ、なんとかその言葉を絞り出した。

日刊預言者新聞で見た最悪の記事の記憶はまだある。それに、何でも課題が終えたあとソフィアとポッターが抱き合っていたとかなんとかいう噂も耳に入っている。ソフィアはスキンシップが激しい方であり、それを聞いて心から嫌な気持ちにはなったがあまり、気にして無かったのだが。まさか──。

 

 

「もう!父様までハーマイオニーみたいな事言わないでよ!周りがそう言うから、気まずいだけで、ハリーは私の事なんて好きじゃないわよ!ねえ、ルイス?」

「ええっ?」

 

 

頬を赤く染めたソフィアはルイスに賛同を求めたが──ルイスは、きっとハリーはソフィアの事が好きなのだと思っていた。そして、間違いなくドラコもそうである。

どう言っていいのか分からず曖昧に「えー…と」と言っていると、ソフィアは目を見開き「え…?」と呆然と呟いた。

 

 

「そんな…え?」

 

 

──ハリーは、私の事が好きなの?でも、そんな態度ちっとも無かった。たしかにハリーは優しいけれど、それは誰にだってそうだもの。私だけに向けているわけでは無いわ。

 

 

そう、ソフィアは思ったが。ハリーが自分の事を本当に好きなのかもしれない。そう思った瞬間心がきゅっと切なく痛み、ソフィアは胸を抑え顔をさらに赤く染めた。

 

 

そんな異性に対する愛という感情を掴みかけているソフィアを見たセブルスはがたんと勢いよく立ち上がると「駄目だ!」と蒼白な顔で叫んだ。

あまりの大声に、ソフィアとルイスとジャックは驚いてセブルスを見上げる。

 

 

「そんな──認めん!許さんぞ!」

「と、父様?」

 

 

セブルスはとんでもなく険しい顔でわなわなと震えている。あまりの怒りにソフィアとルイスはぽかんとしてセブルスを見上げたが、この中でセブルスの心中を察することが出来るのはジャックだけである。

 

 

世界の誰よりも、故人であっても許せず憎い気持ちが収まらない男に似たハリーと、何よりも愛しく大切に思っているソフィアが恋人同士になる──それが想像だとしても、セブルスにとっては耐え難い苦しみである事は察するに容易い。

 

 

「まぁ落ち着けよセブ。ハリーの気持ちなんてまだわかんねぇしさ」

「だがっ…!…ソフィア、どうなんだ、ポッターが……」

 

 

好きなのか、という言葉はどうしてもセブルスには言えなかった。

しかし、ソフィアはその先に続くだろう言葉を受け止めるとまた頬を赤くしながらも首を傾げた。

 

 

「わ…わからないわ。だって、私…そんな目で、ハリーを見た事……無いもの」

「そうなの?」

 

 

ルイスは意外そうに呟く。先ほどの、ハリーが自分の事が好きなのかもしれないと知ったソフィアの表情は、満更でも無いような気がしたのだが。

 

 

「ええ…それに…。ジニーは、ハリーのことが好きなの、私、応援するわって言ったもの」

「……。…でも、それって──」

「ルイス」

 

 

それって、ジニーの件がなければ、ソフィアはハリーの気持ちを受け入れると──無意識で思っているのではないだろうか、とルイスはつい言いそうになったが、すぐにジャックがその先の言葉をやんわりと止めて首を振った。

 

 

「やめとけ、お前たちの父親が憤死するし、ハリーが死ぬ」

「…あー…」

 

 

 

セブルスは魂が抜けてしまったかのように瞬きもせずソフィアを見下ろしていた。

これ以上何かハリーとソフィアのことで言えば、セブルス(父親)は第二の課題が始まる前にハリーを呪い殺しそうだった。

 

 

「そうそう。ルイスは気になる子いるのか?」

 

 

これ以上この話題は続けない方が良いと──まぁどうせいつかは対面する問題ではありそうだが──判断したジャックがそれとなく話題をルイスに向けた。

 

ルイスは少し「うーん」と言っていたが、おずおずと頷いた。

ハリーの事を考えていたソフィアは、ルイスの恋愛話にぱっと表情を変え興奮し、興味津々といったように身を乗り出した。

 

 

「誰?私が知ってる子かしら?」

「あー…でも、その…ちょっと気になるだけで、うん。…その、好きかどうか…まだ、よくわからなくて」

 

 

困ったように言うルイスの頬も、先ほどのソフィアのように赤い。しかし、目だけはその1人の女性の事を思っているのか──今までソフィアたちに見せている優しい目とはまた、少し違った色を孕んでいた。

 

セブルスはしどろもどろに話すルイスを見て、長い深呼吸をするとソファに座り直し、なんとか思考からハリーの事を追い出した。

ソフィアの事は勿論だが、セブルスにとってはルイスも大切な息子である事に変わりはない、どんな女性の事を思っているのか気になり──もし、何処ぞの馬の骨かも分からぬ女ならその目を醒させねばならぬと思っていた。

 

 

「…誰だ?」

「えー…あー…。…ダームストラングの…」

「…あっ!!ヴェロニカね!?」

「うん…」

「……ああ、確か、女生徒が1人いたな…」

 

 

他校だとは思わなかったが、セブルスはぼんやりとあの男子生徒にまぎれて1人だけ女子生徒がいた事を思い出した。

いつの間にそれ程仲良くなっていたんだ、確かに時々ダームストラング生と居るルイスの姿を見てはいたのだが。

 

 

「うん、ヴェロニカだよ」

 

 

ルイスは照れたように頬をかきながら呟いた。同級生にはいない、静かで落ち着いた雰囲気のあるヴェロニカの隣は、とても居心地が良かった。代表選手に選ばれるほどだ、博識なヴェロニカと話をするのは楽しく、もっと話していたいと思った程だ。

 

ルイスはソフィアと違い、自分がそこそこ女生徒に見られているな、という事は認識していた。実際──実は、何人かの女生徒から告白を受けていた。

しかし、ルイスは女生徒の黄色い声や無駄に甘い匂いがあまり得意では無かったし、あの媚び、何かに期待するような目も──正直、嫌だった。

 

ルイスにとって心を許しているのはドラコだけであり、何よりも、誰よりも愛しているのはソフィアとセブルスでそれ以上は居ない。

それでいいのだと思っていた。自分は狭い世界で大切な人たちと過ごしていければ、それで構わないと。

だが、ヴェロニカと会い、時たま話す中で、自分がヴェロニカに対しては愛しい彼らと同じような気持ちを向けている事に、ふと気がついたのだ。

 

それに気がついたのは特別な出来事があったわけではない、ただ、ヴェロニカと校庭で魔法薬学について語っている時に、その横顔を見て──ふと、来年彼女はここにいないのだと当然の事に気が付き、どうしようもなく寂しくなったのだ。

 

 

 

──ヴェロニカが、ホグワーツ生なら良かったのに。居なくなるなんて、寂しいし、悲しい。ホグワーツ生なら、ずっとこうして一緒に居られるのに。…帰って欲しくないなぁ。

 

 

 

ルイスは、一部を除き他人に執着をしない。狭い世界で完結している彼の中にいるのは家族と親友だけだ。ハリーとロンとハーマイオニーは勿論友人だったが──だが、ドラコと彼らを天秤にかけたとき、ルイスは迷わずドラコの手を取るだろう。

 

そんなルイスが初めて、胸が締め付けられるほどの切なさを感じた。

間違いなく、それはルイスにとっての恋であったが──ルイスにとって初恋であるこの胸を締めるもやもやとした甘酸っぱい切なさを、どう受け止めていいのか、わからなかったのだ。

何故なら──ヴェロニカは、去っていってしまう。

 

 

ヴェロニカの事を考えていたルイスは、自分を見つめる3人の視線に気が付き、ハッとすると苦笑した。

 

 

「あっ、でも、本当に好きかどうかは…分からないけど!」

「…よし!ルイス、俺からの助言だ。その女の子の隣に自分以外の男がいて、キスをしていたとする。──その男を呪い殺したくなったらそれは愛だ」

「ええ…なんか物騒だね…」

 

 

真面目な顔をしてとんでもない事を言うジャックにルイスは少し引きつつも──一応考えてみた。

 

 

ヴェロニカの隣にいる──例えば、クラムが彼女にキスをしたとして。もしそれを見たら──…。

ゆらり、と今まで感じたことのなかった感情が溢れた、憎い…というよりは、嫉妬、怒り、戸惑い、だろうか。

 

 

ルイスは「これが、恋かぁ」だなんてどこか他人事のように考えながら曖昧に笑い、想像した結果のことはこの場では言わなかった。

 

 

 

「…ルイス、私と踊るより、ヴェロニカを誘った方がいいんじゃない?」

「え?…あー…」

 

 

 

全く、その事に思い付かなかった。たしかに、短い期間しかいれない彼女との思い出になるかもしれない。だが──ルイスにとって、今はまだ、ソフィアが最も大切な人である。

 

 

「うーん、でもソフィアと踊りたいし…」

「…そう?でも…ほら、一度誘ってみたら?ダンスパーティって、相手が途中で変わるのはありなの?」

 

 

ソフィアはルイスの恋?かはわからないが、とりあえず応援したかったし、相手がダームストラング生ならば一緒にいることができる時間は限られている。少しでも楽しい思い出を作って欲しかった。

パートナーが変わるのはありなのか、とソフィアはジャックとセブルスに向かって聞けば、2人は少し考えた後、頷いた。

 

 

「かまわないだろう。だが、パートナーにはしっかりと説明しなければ…無礼だろうな」

「そうだなぁ、多分途中から誰とでも踊れるみたいな馬鹿騒ぎになりそうだし」

「そっか…うーん…。…まぁ、うん…」

「誘ってみなさいよルイス!こんな機会、もうないわよ!?」

「うーん…チャンスがあったらね」

 

 

ルイスは肩をすくめた。

誘いはしたい、だが、いきなり誘われて迷惑じゃないだろうか。それに、自分はヴェロニカよりも身長が低い、ダンスパーティのパートナーになるには、少々不恰好な気がしていた。

 

 

「それにしても、ルイスの好みのタイプはあんな子だったんだなぁ。可愛い系が好きかなって思ってたけど、綺麗系なんだな?」

 

 

ジャックはにやにやと笑いながらルイスの腕を肘でツンツンと突いた。

ルイスはソフィアを愛している。てっきり、好みのタイプはソフィアのように溌剌とした可愛い子かと思っていたが、ヴェロニカは確か大人びて落ち着いた雰囲気を纏う凛々しい女性だった。

 

 

「タイプ…かはわからないけど。父様に似てるよね。立ち姿とか、雰囲気とか。はじめはそれが気になって…」

「……ルイス、それは…あまり女性には言わぬ方がいい。──父としての忠告だ」

「え?そうかな?」

 

 

ルイスにとっては褒め言葉のつもりだったが。世界中を調べても父親と似ているから気になったなど──母親ならまだしも、それを言われて喜ぶ女性が居るだろうか。居たとしてもごく僅かだろう。

 

何とも言えない沈黙が流れ、ルイスはそれ程悪いのかと肩をすくめた。

 

 

 

その後、ささやかなお茶会が終わったソフィアとルイスは地下牢からそれぞれの寮へ向かうために階段を上がる。

ジャックはまだセブルスと話があるから、とその場に残っていた。

 

 

「ソフィア。あの場では言わなかったけど…もし、ハリーがダンスパーティのパートナーに誘ってきたら、多分、そう言うことだよ」

「ええ?そんな…そんな事…」

「やっぱり、気になってる人と踊りたい…って僕も思うし、ハリーも同じなら…多分ね。あ、もしハリーに誘われたら、僕の事は気にしないで踊っていいよ?」

「えっ…私もルイスと踊りたいわ…写真も撮りたいもの…」

「うん、だから…まぁ、僕と踊る事も、言わなきゃならないけどね」

 

 

ルイスは軽く言うが、ソフィアは頬を染め真剣に悩んだ。

もし、ハリーに誘われたら?どうするだろうか。多分、この話を何も聞かなかったのなら、普通に友達として、承諾しダンスパーティを心待ちにしていただろう。

だが──ハリーがもし、本当に自分の事が好きで、好意を持ってパートナーにしたいと望むのなら…どう返事を返せばいいのだろうか。

 

黙り込んで悩んでしまったソフィアの横顔を見ていたルイスは、どこの誰とも分からない男にソフィアがとられるのならば──まだ、ハリーの方がよっぽどマシだと思っていた。

尤も、自分の父親は全力で拒絶するだろうが。

 

もし、ハリーとソフィアがダンスパーティで踊ったのなら、それを見た父様は気絶してしまうかもしれない。

 

 

なんて、かなりあり得そうな想像をして、ルイスは小さく笑った。

 

 

 






ルイスの優先順位は
ソフィア、セブルス〉ジャック〉超えられない壁〉〉ドラコ〉ヴェロニカ、ハリー達友人〉〉その他
って感じです。

ソフィアの優先順位は
ルイス、セブルス、ジャック〉ハーマイオニー〉その他

という感じであまり明確な差はありません。

ルイスは大切な者を守るなら優先順位を決め犠牲にさえしますが、ソフィアは何としてでも全てを救おうとする。

その差がルイスがスリザリンであり、ソフィアがグリフィンドールである差です。


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