【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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205 ダンスパーティの誘い!

 

 

木曜日の変身術の授業がそろそろ終わりになる時刻。

ソフィアは一番に課題をやり終え、変身術が得意では無いネビルに杖の振り方を指示し、ハリーとロンはだまし杖を使い教室の後ろの方でちゃんばらをして遊んでいたが、何もハリーとロンだけではなく、殆どの生徒が課題や板書を終え好き勝手に遊び始めていた。

 

 

「ポッター!ウィーズリー!こちらに注目しなさい!」

 

 

マクゴナガルからの強い言葉にハリーとロンは飛び上がってすぐに騙し杖を後ろに隠す。だがもう課題は終え、後少しもすれば授業は終わる。なぜ自分達だけが怒られなければならないんだ…他にも遊んでる生徒はいるのに、とやや不満げな表情を浮かべた。

 

 

「ポッターもウィーズリーも、年相応の振る舞いをしていただきたいものです。…皆さんにお知らせがあります」

 

 

マクゴナガルは呆れたようなため息をついた後、ぐるりと生徒達を見渡した。

何の知らせだろうか、と遊んでいた生徒たちは手を止め席に座り直しマクゴナガルの言葉を待つ。

 

 

「クリスマス・ダンスパーティが近づきました。三大魔法学校対抗試合の伝統でもあり、外国からのお客さまと交流を深める機会でもあります。さて、ダンスパーティは四年生以上が参加を許可されます、下級生を招待する事は可能ですが」

 

 

ダンスパーティという言葉に、年頃の女生徒は少し頬を染めくすくすと笑う。ラベンダーは一際高い声で笑ったが、マクゴナガルは注意する事なく2人を無視した。

 

 

「パーティ用のドレスローブを着て来なさい。ダンスパーティは大広間で、クリスマスの夜8時から始まり、夜中の12時に終わります。ところでクリスマスパーティは私達全員にとって、勿論──髪を解き放ち、羽目を外すチャンスです。しかし、だからといって決して、ホグワーツの生徒に期待される行動基準を緩めるわけではありません。グリフィンドール生が、どんな形にせよ、学校に屈辱を与えるような事があれば、私は大変遺憾に思います」

 

 

練習は来週の変身術の授業後、希望する生徒のみ行うとマクゴナガルは続け、ちょうど終業のベルが鳴った。

みんなが鞄に教材を詰め込み、慌ただしく次の教室に移動しているが、生徒たちは口々にダンスパーティの事を話し、少しいつもの雰囲気とは異なっていた。

 

 

「ポッター、少し話があります」

 

 

ソフィア達と出て行こうとしていたハリーは先程ちゃんばらをしていた件だろうか、と少し暗い気持ちになりながら「先に行ってて」と伝えた。

 

 

「ポッター、代表選手とそのパートナーは…」

「何のパートナーですか?」

「ポッター。クリスマス・ダンスパーティの代表選手たちのお相手の事です。あなた達のダンスのお相手です」

「ダンスのパートナー?」

 

 

ハリーはマクゴナガルの言葉にかっと頬が赤くなるのを感じた。

 

──ダンスのパートナー?僕が?でも、そんな踊りなんてやった事ないし。絶対笑われる。

 

 

「僕、ダンスをするつもりはありません」

「伝統です、あなたはホグワーツの代表選手なのですから、代表選手としてしなければならない事をするのです。ポッター、必ずパートナーを連れて来なさい」

「でも…僕には…」

「わかりましたね、ポッター。──さあ、行きなさい」

 

 

マクゴナガルはハリーの続きの言葉を聞く事なくキッパリというと、扉を指差す。ハリーは有無を言わせぬ響きにぐっと言葉に詰まらせ、仕方がなく教室を後にした。

 

 

ソフィア達はすでに次の授業がある教室に行ってしまったらしく、 人気(ひとけ)はなかった。

 

 

マクゴナガルから代表選手はパートナーを必ず選び、ダンスパーティの最初に踊らなければならない。それを聞いたハリーはかなり狼狽したが廊下を独りで歩いていると──すぐに、1人、脳裏に浮かんできた。

 

 

──ソフィア…を、誘おうかな。

 

 

真っ先に浮かぶのは、やはり密かに恋焦がれているソフィアの事だ。ソフィアは楽しい事が好きだし、きっと頷いてくれるに違いない。そう思うと気持ちは少し楽だったが、もし断られたら…と思うと、何だか心がざわついた。

それに、いつ誘えば良いのだろうか、いつも一緒にいるし、なんとなくみんなの前で誘うのは恥ずかしい。なんとか、ソフィアが1人になるタイミングで誘いたい。

 

 

ハリーは胸がドキドキするような、そわそわするような、落ち着かない気持ちで独り廊下を歩いた。

 

 

 

 

しかし、ハリーの願いも虚しくソフィアが一人きりになる事は無かった。

1週間前だったら、ドラゴンに立ち向かう事を考えればソフィアをダンスパーティに誘う方が簡単だと思っただろう。しかし、今どちらが難しいかと言われると──間違いなく、ソフィアを誘う方が難しい。

 

グリフィンドール生の四年生以上はダンスパーティのために、全員クリスマスに家に帰る事なく残る選択をしたらしく、残る希望者リストにこれほどの名前が書かれたのは初めてだった。

 

 

ソフィアはハーマイオニーやラベンダー、パーバディとクリスマスパーティでどんな髪型をするか、どんな化粧をするかを談話室の一角で沢山の雑誌を広げて話し込んでいた。楽しげなソフィアの表情を少し離れた場所で盗み見ていたハリーは、バレないようにため息を溢す。

 

──まだ、1日目だ。きっと明日なら…いつか、きっとダンスパーティまでに機会があるはず。

 

 

 

「どうしてみんな固まってるんだろうな?」

 

 

ロンは談話室に居る女子達を見ながら嫌そうにハリーに囁く。ちょうど何人かの女子がハリーを見ながらくすくすと笑い、談話室を横切り寮を出て行った。

 

 

「1人になった時に声をかけるなんて…難しいよね」

「誰か狙っている子がいるのか?」

 

 

ハリーは少し悩んだ。ロンには伝えてもいいかもしれない。だが、ソフィア達が近くにいるここではとても伝えることが出来ず黙っていると、ロンはぽんぽんとハリーの肩を叩き、にやりと笑った。

 

 

「いいか。君は苦労しない。代表選手じゃないか!みんな君と行きたがるよ」

「…そうかなぁ」

 

 

ロンはなるべく嫌味に聞こえないように明るく言い、ハリーは本当にそうだろうか──いや、そうだとしても、ソフィアがオッケーを出さなければ意味がない。

 

他の人と行くつもりはあまり無かったハリーだったが、ロンの予想通りのことが起こった。

 

次の日の朝、大広間でソフィア達と朝食を取っていると一度も話したことのないハッフルパフ生が頬を赤らめながらハリーの肩を叩いた。

 

 

「あの…私とダンスパーティ、いかない?」

「えっ!?い、行かない!」

 

 

突然話しかけられたハリーは、何も考える間も無く断り、その女の子は悩みを見せずバッサリ断られた事にかなり傷ついた様子で立ち去った。

 

 

「ほら、僕の言った通りだろ?」

 

 

ロンがニヤニヤと笑いながら囃し立て、ハリーは気まずい思いでソフィアをチラリと見た。

 

 

「女の子から誘うのもありなのね?」

「えっ、ああ、そうみたいだね」

 

 

ソフィアはサンドイッチを食べながら一瞬、ちらりとスリザリンのテーブルを見た。

単純にもうルイスはヴェロニカに誘われたのかどうか気になっただけなのだが──ハリーはその視線を追い、さっと表情を変える。

 

 

「ソフィア、まさか…マルフォイに誘われたの?マルフォイを誘いたいとか…?」

 

 

ハリーはぽつりと呟く。

マルフォイはソフィアと仲が良い。ハーマイオニーの件でやや険悪になる事はあるが、友達だという事にきっと──心から嫌だが──変わりはないのだろう。ならば、もしかして既に誘われたのか、それとも誘うつもりなのだろうか。

 

ハリーはソフィアがルイスの隣にいるドラコを見たのだと思い、半分絶望しながら聞いたのだが、ソフィアは「え?」と驚きの声を上げ首を振った。

 

 

「私、ドラコに誘われてないわ。それにハーマイオニーを穢れた血って呼んだの許してないもの。誘われても行くつもりはないわ!」

「あ、そうなんだ…」

 

 

ハリーは心からほっとして胸を撫で下ろした。

ハーマイオニーへの侮辱を思い出したソフィアは勢いよくサンドイッチに齧り付いた。

 

 

 

その後もハリーはなかなかソフィアに話しかけるタイミングを掴めないまま無常にも数日が過ぎた。

 

いつもソフィアは人に囲まれ、あまり1人になっている事はない。選択する科目も多いソフィアは毎日忙しそうにハーマイオニーと図書館へ行ったり、2人で次の授業へ向かっていた。

ハリーはせめてルイスと2人きりになっていれば、話しかけるチャンスはあるのに──と思ったが、中々ハリーの思惑通りには進まなかった。

 

 

学期最後の週は日を追って騒がしくなり、四年生以上の生徒達は皆廊下や談話室でクリスマスパーティの噂を口々に話し合った。

魔法界で有名な妖女シスターズが出演すると言う噂は何よりも生徒達の心を掴み、皆その日を指折り数えて心待ちにしていた。

 

 

 

「あの、ソフィア、ちょっといいかな」

「…え?」

「ちょっと、2人で話したいんだけど」

 

 

学期最後の変身術へ向かう途中、グリフィンドールの五年生の青年がソフィアに声をかけた。

ソフィアは少しハリー達を見たが何も言わずに頷き、その男子生徒の後をついて廊下の端へと移動する。

 

それを見送ったハリーはどうしようもない焦燥感に駆られた。

 

 

──そうだ、ソフィアが誰からも誘われないだなんて、どうして思ってたんだろう!他の人と踊るソフィアを、指を咥えて見るだなんて…!

 

 

「ソフィアって結構人気あるのよ?あれで3人目ね、私が知ってる限りだと」

「えっ…そう、なんだ」

 

 

ハーマイオニーは男子生徒と離れた場所で話すソフィアを見ながら呟く。

しかし、3人目。もう誰かと行く約束をしたのだろうか、それとも、ダンスパーティに行くつもりはなくて全て断っているのだろうか──。

 

 

少ししてソフィアは頬を赤らめて何とも気まずそうな表情でハリー達の元に駆け戻った。

 

 

「ソフィア、ダンスパーティに誘われたのかい?」

 

 

ロンがニヤリと笑いソフィアに軽く聞いた。

ハリーは今以上にロンに感謝した事はないだろう。

とても気になっていた事だったが、どうしてもそれを聞く勇気が出なかったのだ。

ソフィアは頬を赤らめたまま困ったように笑い、頷いた。

 

 

「ええ、そうなの」

「へー?あの人と行くんだ?」

「うーん…断ったわ」

「え?誰か先約がいるんだ?」

 

 

ロンは驚いたようにソフィアを見たが、ソフィアは暫し悩んで曖昧に笑う。

 

 

「先約、というか…ルイスと一緒に踊ろうねって約束してるの。でもルイスはヴェロニカとも踊るみたいだから…あ。あの2人お付き合いしたみたいなの!」

「ええ!?」

「そうなの!?」

「いつの間に!?」

 

 

ハリーはソフィアがルイスと踊ると言う衝撃よりも、ルイスとヴェロニカが付き合ったと言う衝撃的なニュースにすっかり気を取られてしまいハーマイオニーとロンと同じく叫んだ。

 

 

「この前の魔法薬学の授業終わりに、こっそり教えてくれたの!めちゃくちゃ照れてたわ!」

 

 

ソフィアは先週の授業の終わりに、ルイスが少し照れながらヴェロニカにダンスパーティに誘われた事と、その流れで互いの気持ちを知り、恋人同士になったのだと聞いた。勿論ソフィアは心から喜び、ルイスにおめでとうを何度も告げたのだ。

 

 

「うわー…ルイスって、大人だなぁ…」

 

 

ロンは少し頬を赤らめて、ヴェロニカってどんな子だったっけ、と首を傾げた。

 

 

「…あ、でも、これって言って良かったのかしら?…多分、怒らないとは思うけど…からかったりはしないでね?」

 

 

ソフィアははっとして口を押さえ、悪戯っぽく笑う。

ハリー達も確かにあまり騒ぐのは良く無いだろうと、頬を赤らめながら頷いた。

 

 

 

 

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