【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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210 ダンスパーティ!

 

 

一人ひとりがメニューを見てディナーを選び豪華な料理を十分に楽しんだ後、ダンブルドアが立ち上がり生徒たちにも立つように促した。

 

杖を一振りするとテーブルはすっと壁際に退き、広いスペースが出来た。再びダンブルドアが杖を振り、今度は右手の壁に沿ってステージが立ち上がる。数々の楽器がその上に設置され、魔法界で有名な『妖女シスターズ』が盛大な拍手に迎えられステージに上がった。

 

ハリーは妖女シスターズに見入っていたが、突然、テーブルに置かれていたランタンが全て消えて代表選手達がパートナーと共に立ち上がったのを見て、この後待ち受ける事を思い出し、頭の後ろがチリチリするような緊張感に襲われながら自分も立ち上がり、ソフィアを見た。

 

 

「ソフィア、行こうか」

「ええ、ハリー」

 

 

ハリーはソフィアに手を差し出し、ソフィアも握る。

他の代表選手達がパートナーと手を取り合いダンスフロアに進み出る中、ハリーとソフィアは最後にその後に続いた。ダンスフロアには等間隔に代表選手とパートナーが並ぶ。

 

 

ハリーはソフィアと向き合い、暫くお互いをじっと見つめた。

自分と同じ色の瞳が見つめている。ソフィアは僕のいとこだ。だけど、やっぱり──好きだなぁ。

 

 

ソフィアは少し膝を折りお辞儀をする。ハリーは慌てて頭を下げた後、ソフィアとの距離を詰めて手を差し出し、おずおずと腰に手を回した。

ソフィアは少し恥ずかしそうに目を伏せたが、すぐにハリーを潤みキラキラと輝く目で見上げた。

 

妖女シスターズがスローな物悲しい曲を奏でる中、ソフィアとハリーはお互いに足を踏まないように気をつけながらその場でくるりと回った。

 

 

ソフィアとハリーのダンスは上手くはなかったが──悪くはない、数日練習しただけにしては、そこそこ上手い方だとハリーとソフィアは思っていた。

 

間も無く、観客のほうも大勢ダンスフロアに上がり、それぞれのパートナーと踊り出した。代表選手達は注目の的では無くなり、たくさんの生徒達が楽しげに揺れる。

 

途中でムーディがハリーの不揃いな靴下を見て怪訝な声をあげたが、ハリーは「ハウスエルフのドビーが編んでくれたんです」と、全く気にせずにこりと笑った。

 

 

バグパイプが最後の音を震わせ、物悲しいスローなワルツ曲は終わった。妖女シスターズに惜しみない拍手と喝采を送る中、ソフィアはハリーの手を離す。

 

 

「私、ルイスのところに行くわね!」

「え?あ、そうだったね…うん、わかった。僕はロンのところに行こうかな…」

 

 

ハリーは妖女シスターズが新しくずっと速いテンポの楽しげな曲を演奏しているのを聴いて、ソフィアと楽しくもっと踊りたかったが──約束は約束だ。残念そうにソフィアの腰から手を離し、手を振り離れていくソフィアを見送った。

 

 

「ルイス!ヴェロニカ!」

「ソフィア!すっごく上手く踊れてたよ!」

「ああ、愛らしいダンスだった」

「ありがとう!」

 

 

ルイスとヴェロニカはスローな曲が終わった後、一度ダンスフロアを離れて飲み物を飲んでいた。近くのテーブルにはソフィアのカメラが置かれていて、その側に何枚ものハリーとソフィアの写真が並んでいる。

ソフィアは沢山の写真を嬉しそうに眺めていたが、その中にルイスとヴェロニカの写真がないことに気が付きパッとカメラを手にした。

 

 

「あっ!2人はもう踊らないの?私、写真撮るわよ?」

「そうだね…ヴェロニカ、もう一曲お願いしても?」

「ああ、勿論」

 

 

グラスを机に置いたルイスはヴェロニカに向かって手を差し伸べ、ヴェロニカも微笑んでその手を取った。

体のラインがはっきりと出る深い紫色の艶やかなマーメイドドレスを着ているヴェロニカは、女性が見ても惚れ惚れするほどのプロポーションであり、ソフィアは少し顔を赤らめながら2人を見送る。

 

楽しげに手を取り合い踊るルイスとヴェロニカを見ているとつい嬉しくなり、ソフィアは何枚も写真を撮った。

ルイスはあまりダンスが得意ではなく──ヴェロニカにリードされている形だったが、足を踏んづけてしまう失敗はどうやら犯していないようだ。

 

速いテンポの曲が終わると今度は少し優しげな曲に代わり、ルイスとヴェロニカは息を弾ませながらソフィアの元に戻ってきた。

 

 

「素敵だったわ!」

 

 

ソフィアは大きく手を叩き、興奮したように頬を紅潮させる。ルイスとヴェロニカは照れたように笑いながらも、手は離すことなく幸せそうに身を寄せ合っていた。

 

 

「ルイス、ソフィアと踊るんだろう?今度は私が写真を撮ろう」

「ありがとう!お願いするわね!」

「ありがとう。──ソフィア、行こうか!」

 

 

ソフィアはヴェロニカにカメラを渡し、ルイスと手を取り合いダンスフロアへと上がった。

ルイスとソフィアは息がぴったりと合っている楽しげなダンスを見せ、彼らの友人達が手を叩いて囃し立てる。

 

 

「ソフィア!」

「きゃっ!──あははっ!」

 

 

ルイスはソフィアの腰をぐっと両手で掴むと、高く上げてくるりとその場で回る。ソフィアはルイスの肩に手を置き楽しげに笑った。

 

仲の良い2人のダンスを、セブルスは少し離れた場所でワイン片手に見つめる。

 

 

ソフィアもルイスも、本当に幸せそうだ──認めたくは無いが──いい友人に恵まれ、心も体も健やかに成長しているのだろう。

このまま、何事もなく、幸せな日々を過ごして欲しい。

 

 

いつもと比べ眉間の皺が薄く、優しげなセブルスのその表情を生徒たちが見れば驚いただろう。だが、ダンスに夢中な生徒達は誰もセブルスの表情を見ることは無かった。

 

 

 

 

 

 

ソフィアは踊り終わるとすぐにヴェロニカとルイスに別れを告げ、カメラと沢山の写真を手にしたままハリーを探した。

しかし、ハリーは見つからず、先程まで座っていたロンとパーバディも居ない。

キョロキョロと辺りを見回していたソフィアは残念そうにため息をつくと空いている席に座りたくさんの写真を幸せそうに眺めていた。

 

 

「ソフィア!」

「ハーマイオニー、ダンスはもういいの?」

「いまビクトールは飲み物を取りに行ってくれたの」

 

 

ハーマイオニーはソフィアの隣に座り、熱くなった頬を冷まそうとパタパタと手で顔を仰ぐ。

ハーマイオニーの視線の先を追えば、人混みの中に消えて飲み物を取りに行くクラムの後頭部がちらりと見えた。

 

 

「ハリー見なかった?ルイスと踊って戻ってきたら居なくて、ロンもさっきまでパーバディとここに居たのに…」

「知らないわ!」

 

 

ハーマイオニーは先程ロンに言われた言葉を思い出してしまい、一気に機嫌を損ねるとぷいとそっぽを向いた。

ソフィアは「これは、何かあったな」と思ったが折角の楽しいひと時に、あまりハーマイオニーを怒らせるわけにもいかないと後で何があったかロンに聞こうと思った。

 

ソフィアは机の上に写真とカメラを置くと、不機嫌な顔をするハーマイオニーの前に立ち悪戯っぽく笑い、演技かかった動作でその前に膝をついた。

 

 

「ああ!なんて素敵な人なの?」

「ソ、ソフィア?どうし──」

「あなた、名前は?ぜひ私と一曲踊っていただけないかしら?」

 

 

ソフィアは後ろで流れる楽しげな曲を聴きながら手を差し出した。

ハーマイオニーは驚き目を瞬かせていたが、頬を赤く染めると嬉しそうに笑い頷いた。

 

 

「ハーマイオニーよ!ぜひ、喜んで!」

「嬉しいわ!」

 

 

ハーマイオニーはソフィアの機転により機嫌良く立ち上がると、ダンスフロアへと上がった。同性で踊っている者は誰一人として居なかったが、ソフィアとハーマイオニーは気にしなかった。

ダンブルドアは仲良く踊る2人を微笑ましく温かい目で見つめ、杖を振り2人の周りに可憐な花を咲かせた。

 

 

「ハーマイオニー!あなたってとっても素敵だわ!」

「ソフィア、あなたも最高よ!」

 

 

一曲踊り終わったソフィアとハーマイオニーはくすくすと笑いながら元の机に戻った。

その場には飲み物グラスを三つ持っていたクラムが穏やかな笑顔で2人を待ち、「いいダンスでした!」と一つずつグラスを渡した。

ソフィアはまさか自分にも飲み物があるとは思わず「ありがとう!」とお礼を言い、甘いバタービールを飲んだ。

 

 

「アーマイ、オニー。また、僕と踊ってくれますか?」

「勿論よ!一曲分だけ、休憩してもいいかしら?」

「はい、わかりました」

 

 

クラムは嬉しそうに笑い、ハーマイオニーの隣に座ると優しい目でハーマイオニーを見る。ソフィアはバタービールを飲みながら大広間を見渡し、ハリーとロンを探していた。

しかし、沢山の人で溢れ絶えず動き回っている大広間ではなかなか見つけることは難しい。

 

ソフィアは身体の熱を逃すためにぱたぱたと顔を手で仰いでいたがどうにも熱く、夜風で浴びようかと、ぱっと立ち上がった。

 

 

「私、ちょっと外に行ってくるわ。ダンスパーティを楽しんでね!」

 

 

ソフィアは一気にバタービールを飲み干すと机に空のグラスを置き、写真とカメラを持って2人に別れを告げ玄関ホールへと向かった。

 

正面の扉は開け放たれ、いつもとは違い美しい薔薇のアーチが出来ていた。

大理石の階段を降りながら妖精達の幻想的な灯りを眺め、ソフィアは「ふう」と小さな息を吐く。

薔薇のアーチがあるからか、それとも特別な魔法がかかっているのかそこまで寒さは無い。

ソフィアは誰も座っていないベンチに腰掛け、美しい薔薇と光りをぼんやりと眺めていた。

 

 

「…一人で何をしているのかね」

「スネイプ先生。…ただ、風に当たってるだけですよ?」

 

 

アーチの向こう側から現れたセブルスにソフィアは薄く微笑みかける。

セブルスはじっとソフィアを見下ろし無言で杖を振る。いきなりの事に驚き辺りを見渡したが──とくに変わった様子はなく、首を傾げた。

 

 

「先生?」

「…綺麗だ、ソフィア」

 

 

セブルスはふっと優しく笑うと、ソフィアの結い上げられた髪に手を伸ばしそっと白い花に触れた。

セブルスが周りにかけたのは防音魔法であり、ソフィアはそれを察すると嬉しそうにはにかみ立ち上がり、セブルスの黒いローブを遠慮がちに掴んだ。

 

 

「ありがとう、父様」

「…アリッサが見れば、喜んだだろう」

 

 

セブルスの低い囁き声に、ソフィアは目を細め嬉しそうにくすくすと笑うと、下から潤んだ目でセブルスを見上げた。

 

その動作も、よくアリッサがしていたとセブルスは娘の姿に愛しい妻の姿をつい、重ねてしまった。

 

 

「…母様と、私。どっちが綺麗かしら?」

「それは…アリッサだな」

「まぁ!」

 

 

即答するセブルスに、ソフィアは呆れたような声を上げたが、特に不機嫌になる事はなく──寧ろ胸の中がほのかにあたたかくなるような嬉しさが込み上げた。

 

セブルスは暫くソフィアを愛しさが含まれた優しい目で見ていたが、ふと顔をあげると静かにソフィアから離れる。

ソフィアは少し悲しそうな目をしたが──こんな所を誰かに見られるわけにはいかない、すぐにローブを離し、後ろで手を組んだ。

 

 

「…ミス・プリンス。こんな暗い所にいるんじゃない。戻りたまえ」

 

 

セブルスは杖を振りながら低く呟くと、同時にアーチの向こう側から一組のカップルが現れた。

仲良さそうに寄り添っていた男女は、セブルスを見てぎくりと肩を震わせそそくさとソフィアとセブルスのそばを通り過ぎる。

 

 

「…はい、スネイプ先生」

 

 

ソフィアはベンチに置いていたカメラと写真を持つとすぐにその場を離れ、大広間へと戻った。

 

ダンスフロアにはまだたくさんの生徒が踊り、妖女シスターズは激しい曲を演奏していた。

ソフィアは音楽に合わせて踊り狂う人の群れに飛び込む事は出来ず、飲み物でも取ろうかと大広間の壁に沿って進む。

 

 

「あっ!ハリー、ロン!やっと見つけたわ!」

「ソフィア!ごめんね、僕…外に出てて、ちょっと、色々あって…」

 

 

ダンスフロアから最も離れた後方の片隅にハリーとロンを見つけると、ソフィアは飲み物の事をすっかりと忘れて駆け寄った。

ハリーはすぐに立ち上がると申し訳なさそうに眉を下げる。

 

 

「ううん、いいのよ。…どうする?また、踊る?」

「あー…」

 

 

ハリーはちらりとロンを見た。

ロンは一度も踊らず、むすりとした表情を崩さない。それに、先程校庭でハグリッドが半巨人だという事を聞き、それについてロンと話し合っていたのだ。

踊りたい気持ちは勿論あるが「ダンス」の単語に反応しまた不機嫌になって遠くにいるハーマイオニーとクラムを睨むロンを一人ぼっちにする事も出来ない。

 

 

「踊りたいけど…その、ちょっと問題があって」

「どうしたの?」

 

 

ハリーは辺りを見渡し、誰もこちらに意識を向いていないのを確認した後、ソフィアに椅子に座るよう促しながら声を顰めて囁いた。

 

 

「さっき、校庭で…ハグリッドが半巨人だって聞いて…」

「えっ!?…まぁ、それは…大変ね」

 

 

ソフィアは真剣な顔をすると、同じように声を顰めてハリーとロンの目を見た。

魔法界で暮らしているソフィアは、巨人がどのような存在なのかを知っている。

トロールより知能はあるが、残虐で粗暴であり、さらに殺しを好む。

 

 

「やっぱり、問題なんだね…ロンも同じような反応だった」

「うーん…。…ハグリッドは悪くないけれど、その…それが知られたら、リーマスよりも立場が悪くなる…って言えば…わかるかしら。人狼も半巨人も…偏見の目が強いのよ」

「…そんなに?」

 

 

人狼であるリーマスより立場が悪いとは、なかなかだとハリーは心配そうな顔をした。隣に座るロンもソフィアの例え話に真剣な顔で頷く。

 

 

「毎日満月みたいなもんだからな、巨人って」

「…でも、どうしてそれを知ったの?ハグリッドが二人に教える…わけないわよね。今まで隠してきたわけだし…」

 

 

ハリーとロンは声を顰めながら、校庭に出た後セブルスとカルカロフに出会い、その後でハグリッドとマクシームが二人で噴水前で話していた会話をたまたま盗み聞きする事になってしまったのだと伝えた。

 

 

「…マクシーム…まぁ、その可能性もあるかも知れないわね…私、てっきりハグリッドもマクシームも…赤ちゃんの時に成長薬を飲み過ぎたのかと思ったわ」

 

 

ハグリッドが半巨人だというのは、きっと聞いてはいけない事だったんだとハリー達は理解していた。

何となく気持ちが沈み、踊る気持ちが萎えてしまったソフィアはその後ハリーとロンと共に楽しそうに踊る生徒達を見つめていた。

 

 

妖女シスターズの演奏が終わり、ダンスパーティが終わったのは真夜中だった。ダンブルドアは解散の言葉を生徒達に向け、残念そうにしながらぱらぱらと各自寮へ戻る。

 

ソフィアはハリーとロンと一緒に大広間を出ると玄関ホールの大理石を上がった。丁度入り口近くでクラムがハーマイオニーに「おやすみ」と挨拶している場面に遭遇し、ロンがぴたりと足を止め、目を細めて二人を睨む。

 

その視線に気付いたハーマイオニーはロンを冷ややかな眼差しで見据えた後、一言も声をかけず階段を駆け上がる。

ソフィアは、ハリーとロンに「先に行くわ」と告げ、返事も待たずハーマイオニーを追いかけた。

 

 

「ハーマイオニー!一緒に戻りましょう?」

「…、…ええ、そうね」

 

 

ハーマイオニーは早歩きだった速度を少し緩めると大きくため息を吐いた。

今まで楽しい気持ちだったのに、ロンを見た瞬間一気に気持ちが下を向いてしまったのだ。

 

 

「今日とっても楽しかったわね?──可愛い子とも踊れたもの!」

 

 

ソフィアはハーマイオニーの腕に自分の腕を絡めると、からかうようにハーマイオニーを見上げる。

ハーマイオニーは一瞬虚をつかれたような顔をしたがくすくすと笑うと「ええ、私も可愛い子と踊れて本当に楽しかったわ!」と自分の腕に絡まるソフィアの手をそっと撫でた。

 

 

談話室に行くとまだ何人か自室に戻る事なく、ソファに座り互いのパートナーとパーティの余韻に浸っていた。

 

ソフィアとハーマイオニーも目が冴えて寝る気持ちにはならず空いているソファに座るとダンスパーティの感想を口々に話し合い楽しい一時を過ごしていた。

だが、それは数分も持たなかっただろう。

 

 

「ハーマイオニー、楽しかったか?ビッキーはおやすみの後に卵の事を聞いただろ?」

 

 

ロンは談話室にいるハーマイオニーを見た瞬間、先程のハーマイオニーとクラムの仲睦まじい様子を思い出し、何故かカッとなってしまいつい、大声で叫んだ。

 

 

「何よ!だから、あの人の事をそう呼ばないでって言ってるでしょう!?それに卵のことなんて、一切話してないわ!」

 

 

ハーマイオニーは顔を赤くし憤慨しながら立ち上がり負けじと叫ぶ。

ソフィアはこの二人の間に何があったのかを知らない。その為2人が言い合いになる事はいつものことだとは思っていたが、一言目からここまで険悪なのは初めてであり驚き、ハーマイオニーとロンとの間で視線を彷徨わせた。

 

 

「じゃあ、明日だな。おはようのあいさつの前か後だ!」

「馬鹿な事ばかり言わないでよ!」

「そもそも!あいつは敵だ!敵に誘われて行くような馬鹿な奴だと思わなかったぜ!」

「…っ…何よ!!」

「事実だろ?僕なら敵に誘われたら断るね!よくもまぁ頷いたもんだよ!そんなにダンスパーティに行きたかったのか?」

「──ええ、ええ。わかったわ。お気に召さないんでしたらね、解決法はわかってるでしょう?」

 

 

ハーマイオニーは怒りで震え真っ赤になり叫んだ。その叫びは怒りと、そして悲しみが込められていたが、同じように怒っているロンは気が付かない。

 

 

「なんだよ?言えよ!」

「今度ダンスパーティがあったら、ほかの誰かが私に申し込む前に誘いなさいよ!最後の手段じゃなくて!」

 

 

ハーマイオニーは悲痛に叫ぶとぐっと目に──目薬の効果ではない──涙をわずかに浮かべると踵を返し女子寮の階段を荒々しく上がっていった。

ソフィアはぽかんとして口をぱくぱくと声もなく開けるロンを、チラリと見たが何も声をかける事無くハーマイオニーの後を追った。

 

部屋に入れば、ハーマイオニーが苛々とした顔でベッドに勢いよく座り髪に向かって杖を振っていた。はらりとゴムが取れ、ハーマイオニーの長い髪が流れ落ちる。

 

 

「ハーマイオニー…」

「──っ!ああもう!本当!最悪だわ!」

 

 

ハーマイオニーは怒りに任せベッドをぼすんと叩く。

ソフィアは隣に座り、ハーマイオニーの怒りと悲しみで震える背中を優しく撫でた。

 

 

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