【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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215 有効な魔法!

 

 

夕食の時間になっても、ハリーはまだ泡頭呪文を使う事が出来なかった。それに、ハーマイオニーとロンの方も読みきれなかった沢山の本を抱え戻って来たが良い成果は無かった。

落ち込むハリーに、ソフィア達はまだ1日目だから明日からも頑張ろうと励ます。ハリーは友達がそばに居てくれ、力になってくれる事の有り難みを強く噛み締めながら頷いた。

 

 

夕食のハッシュドビーフを食べていると、ソフィアの目の前にルイスが飼っているシェイドがふわりと降り、嘴から器用に一通の手紙を落とした。

 

 

「ありがとうシェイド」

 

 

漆黒の羽を撫でて机の上に落ちる前に手紙を捕らえたソフィアは差し出し人を見て、僅かに目を大きく開く。

 

シェイドはソフィアが手紙を受け取ると、すぐに大きな羽を広げ──あまりの大きさに近くにいたネビルが小さな悲鳴をあげた──今度はルイスの前まで飛ぶと、もう一通の手紙を渡した。

 

ソフィアとルイスはちらりとお互い目を合わせ、周りから見えないように手紙の内容をこっそりと読み、すぐにカバンの中に入れた。

 

 

──珍しいわね。父様からの手紙なんて…何の用かしら…?……最近、変な事はしてないわよね…?

 

 

何か呼び出された怒られる事をしただろうかとソフィアは自分の行動を振り返ったが、今年はまだ何もしていない。

今年、トラブルはハリーにお熱なようであり、ソフィアはまだ例年よりは平穏に過ごしていた。

 

呼び出される理由がわからなかったが、セブルスとおそらく、親子として会えるのは純粋に嬉しく、ソフィアは口元に笑みを浮かべ上機嫌にマッシュポテトを食べた。

 

 

 

夕食後。

ソフィアはハリー達に「少し、ルイスに話があって」とそれらしい言い訳を伝え、大広間の入り口で待っているルイスの元へと向かった。

 

 

「ソフィア、今年も何かしたの?もしかして、もう盗んだの?」

「えっ?ま、まだ何もしてないわよ!」

 

 

ルイスはてっきり鰓昆布をすぐに盗み、それがばれて父親に怒られるのかと思ったが、ソフィアはぶんぶんと首を振った。

 

なら、何故呼び出されるのだろうか?

ソフィアとルイスは不思議に思いながら、通い慣れた地下階段を降りる。

 

 

「ソフィア・プリンスです」

「ルイス・プリンスです」

 

 

それぞれ扉の前で名前を名乗り、向こうからの返答を待つ。

いつもならすぐに扉が開かれるか、入室許可が出るが──帰ってきたのは沈黙だった。

 

 

「あれ?早すぎたかなぁ」

「でも…時刻はあってるわよ?」

 

 

今まで、父が時間に遅れた事は一度も無い。他のことに気を取られ約束自体を忘れる事はあるが──呼び出したのはつい1時間ほど前だ、忘れるとは考え難い。

 

ルイスは「スネイプ先生?」と声をかけ取っ手を掴む。だが、ガチャリと音がして扉は開かず、鍵がかけられている事がわかった。

 

 

「鍵かかってるの、初めてだ…」

「……いつもは、開けてくれていたわよね?……まさか、何か──」

 

 

大広間を出て行った姿は確認している。

何か、あったのか──まさか、中で倒れて──?

 

 

 

「アロホモラ!」

 

 

ソフィアはすぐに杖を取り出し勢いよく扉に向ける。だが、扉から解錠の音は聞こえない。

 

 

「アロホモラ・マキシマ!」

 

 

今度はルイスがアロホモラよりも強い魔法を唱えた。ようやく、かちゃり、と小さく解錠の音が響き、ルイスとソフィアは身体全体でぶつかるようにして扉を開ける。

 

 

「「父様っ!!──あれ?」」

 

 

血相を変えて飛び込んだソフィアとルイスは、目の前に腕組みをして立ち、自分達を見下ろすセブルスを見て、ぽかんと口を開けた。

 

 

セブルスは重いため息をひとつ吐き出すと、無言で杖を振り扉に再度魔法で鍵と防音呪文をかける。

 

 

「なんだ!父様いたの?なら返事してよ!」

「そうよ!私たち、何かあったのかって心配したわ!」

 

 

ぷりぷりと怒る2人に、セブルスは眉を寄せ気難しそうな顔をしたまま、2人の肩に手を置いた。

 

 

「…ソフィア、ルイス。単刀直入に聞こう。──先日、私の研究室に無断で入り、いくつかの薬草を盗んだか?」

 

 

ルイスは怪訝な顔をしたが、ソフィアはセブルスの研究室に侵入者があったことをハリーから聞いている。そして、おそらくその犯人はクラウチだ。だが、それを伝えるべきか悩み──とりあえず、「盗んでないわ」と伝えた。

 

 

「僕も、そんなことしないよ。父様の個人授業を受けてるし…わざわざ隠れて魔法薬作るなんて馬鹿な真似しないよ」

「そうよ、なんで私たちだと思ったの?」

 

 

セブルスは真剣な2人の眼差しを見て、嘘では無いとわかるとほっと安堵する。疑われて怒ってはいるが、悲しそうにしないあたり──去年までの色々な校則違反を思い出し、疑われても仕方がないと思っているのだろう。

 

 

「私の研究室には、強固な鍵がかかっている。通常のアロホモラでは解けぬ──ルイスがしたような、強力な解呪魔法でしか解けない。…毎年校則違反をする生徒たちで、私の研究室に盗みに入る度胸があり、それを使えるのはルイスかソフィアだと思ったのだ。また、ポッター絡みかと……疑ってすまない」

「まぁ…仕方ないわね、毎年トラブルだらけだったもの」

「そうだね。でも今年は…()()何もしてないよ」

「私も何もしてないわ!」

 

 

ルイスがさりげなく自分だけを強調したため、ソフィアも慌てて首を振る。

本当に、今年はまだ危険な目には遭っていない。

 

 

「…なら、いい。何かあったらすぐに言いなさい」

「はーい」

「わかったわ」

「…紅茶でも、飲んでいくかね?」

 

 

セブルスは杖を振り部屋の中央に机と椅子、そしてティーセットを出した。聞いてみたものの、どうせ2人は飲むだろうと思っていたし──ソフィアとルイスもまた、そのつもりだった。

 

 

「ええ、勿論よ!」

「なんだか、久しぶりだね!」

 

 

ソフィアとルイスはすぐに椅子に座り、目の前のティーポットから漂う美味しそうな匂いを胸いっぱい吸い込み、嬉しそうに笑った。

セブルスは硬くしていた表情を緩め、机を挟み2人の前に座るともう一度杖を振った。

ティーポットがふわりと浮かび、3つのカップに温かい紅茶を注ぐ。

 

 

「そういや、何が盗まれたの?」

「…毒ツル蛇の皮だ」

「へぇ…毒ツル蛇の皮を使う魔法薬はどれも難しいし…何の目的だろうね」

 

 

ルイスはクッキーをつまみつつ、紅茶を一口飲んだ。有名どころといえば、ポリジュース薬だが、毒ツル蛇の皮は強力な毒薬を作る時にも使用し、それだけでは狙いが何かはわからない。

 

 

「あ。そういえば父様って、魔法薬学の教師になる前って何の仕事をしていたの?」

 

 

ソフィアはそういえば、気になっていたんだと思い出し何気なく聞いた。ルイスも言われてみれば、卒業してから数年空白がある。何か他の職についていたのだろうかと考え、セブルスを見た。

 

 

「──何故だ」

 

 

セブルスの表情は色を無くし、声は掠れていた。

ルイスは何故そんな反応をするのか困惑したが、ソフィアの脳には「やり直すチャンスを与えるため」というハリーが告げた言葉が浮かび、怪訝な顔をした。

 

 

「気になっただけよ。だって、父様が教師になったのは……母様と兄様が亡くなってからでしょう?それまで何をして生計を立ててたのかなって」

 

 

ソフィアは肩をすくめ紅茶を一口飲む。

暫くセブルスは悩むように口を閉ざしていたが──ようやく開くと、ぽつりと小さく呟いた。

 

 

「……魔法薬を作り、売っていた」

「そうなんだ。──もしかして、ちょっと違法な魔法薬とか?」

 

 

セブルスの様子がおかしい事に気付いたルイスが「まさかね?」と悪戯っぽく聞けば、セブルスは気まずそうに視線を逸らし無言で紅茶を飲む。

 

その反応に、ソフィアとルイスは「間違いなくちょっとどころではないやばい薬を売っていたに違いない」と同じ事を思った。

 

 

──成程、確かに製造するだけで捕まる魔法薬もあるものね…。父様の罪はそれで…償うためにホグワーツにいるんだわ、きっと。

 

 

ソフィアは納得し、気になっていたモヤモヤがひとつ晴れ、スッキリとした気持ちで紅茶を飲んだ。

 

 

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