【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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228 謎が謎を呼ぶ!

 

 

シリウスに手紙を送った翌朝の朝食時に、その返事が届いた。

手紙の内容はもう二度と軽はずみな行動をしないと約束してほしいということや、ホグワーツに誰か危険な者が居るかもしれない、そいつは森の中でハリーのすぐそばにいた筈だという事がかなり強く書かれていた。

くれぐれも変な事をせず、大人しく過ごしてくれと書かれた手紙を読んだハリーは不服そうにムッと眉を寄せる。

 

 

「変なところに行くなって!僕に説教する資格ある?学生時代に自分がした事を棚に上げて!」

「あなたの事を心配しているんじゃない!ムーディもハグリッドもそうよ!ちゃんと言う事を聞きなさい!」

 

 

ハリーの批難的な言葉にハーマイオニーが厳しく言い返す。しかし、ハリーはここまで巻き込まれ、いろいろな事を知りながら黙って過ごすなんて──それが正しいのかどうかわからなかった。

 

 

「この一年、誰も僕を襲おうとしてないよ。誰も何にもしてない!」

「あなたの名前をゴブレットに入れた以外はね。それにはちゃんと理由があってそうしたに違いないのよハリー。スナッフルズが正しいわ。きっとやつは時を待っているんだわ。たぶん、今度の課題であなたに手を下すつもりよ」

「いいかい──」

 

 

いくら反論してもシリウスと同じような説教を繰り返すハーマイオニーに、ハリーは苛々としながら口を挟んだ。

 

 

「スナッフルズの意見が正しいとするよ。誰かがクラムに失神の呪文をかけてクラウチを攫ったとする。なら、そいつは僕の近くの木陰にいたはずだ。そうだろう?だけど、僕が居なくなるまで何もしなかった。そうじゃないか?だったら僕が狙いってわけじゃ無いだろう?」

「禁じられた森であなたを殺したら、事故に見せかけられないじゃない!だけど、もしあなたが課題の最中で死んだら──」

「クラムの事は平気で襲ったじゃないか、僕のことも一緒に消しちゃえば良かっただろう?クラムと僕が決闘か何かしたように見せかけることもできたのに」

 

 

ハリーの強い反論に、ハーマイオニーは困った様に眉を下げ、弱々しく首を振った。

 

 

「ハリー、私にもわからないのよ」

「──あっ!」

 

 

唐突にソフィアが声を上げ、勢いよくハリーを見た。

 

 

「なんだいソフィア、君もまだ何か──」

「そうよ!私、何か引っかかってる事があるってずっと思ってた、でもそれが何かわからなくて──」

 

 

ソフィアはハリーの言葉を遮ると興奮したように早口で話す。じっと見つめられたハリーは口を閉ざし、困惑した目でその緑の瞳を見つめた。

 

 

「ハリーの名前をゴブレットに入れた理由。私たちは今までハリーを課題中の事故に見せかけて殺すためだと考えていたわ。けど、今までの課題でハリーだけがおかしなことになってない。ドラゴンが急に暴れ出す事もないし、水中の中で足を引っ張られる事も無かった。通常通りの課題だった──それも、当たり前よ。だってダンブルドア先生が見ているもの!課題の事故に見せかけて殺すなんて、可能なわけがないわ!」

「え?──まぁ、それは…そうだね。たしかに、何もおかしな事は無かった…」

 

 

ハリーは自分の課題を思い出す。たしかに──ドラゴンは4種の中で1番凶暴な種族だったが、それでも妙な動きはしなかった。第二の課題もまた、特に危険な事は何も起こっていない、他の選手と全く同じ条件だった。

 

 

「つまり──ハリーを課題中の事故に見せかけて殺す。その意志は黒幕には無いのよ。不可能だとわかっているから…ダンブルドア先生が見ている中で、それは不可能だから…」

「でも…それなら、なんでハリーの名前を入れたんだ?」

 

 

ロンの言葉にソフィアはハリーから視線を外し、じっと机の上にあるカボチャジュースが並々と注がれた普通のゴブレットを見つめる。

 

 

「何故なのかは、わからないわ…でも、黒幕はそうしなければならなかった──ハリーが課題に参加しなければならない理由があった…。それに…2日前、禁じられた森で本当に近くに黒幕が潜んでいたのなら…ハリーが狙いじゃ無かったんじゃなくて──ハリーを今は、殺せなかった…?」

「つまり、僕は──生かされてるって事?何かのために?」

 

 

それはないだろう、とハリーは苦笑しながら言う。しかし、ソフィアは微塵も笑わず、ただ真剣な目でもう一度ハリーを見つめた。

 

 

「仮定の話よ、ハリー。もし、課題中の事故としてハリーを殺したいんじゃなくて、何か別の理由があって、あなたの名前を入れたなら…課題中は何も起こらないと思うわ。何かがあるのなら、課題が終了した後……でも、何故…そんな回りくどい事を…?ハリーが課題に参加しなければならない理由は何?」

 

 

ソフィアはハリーを見ながら話していたが、その言葉は自分に向けて言っているようでもあった。まだ、全てを理解するには何かが足りない──決定的な何かが。

だが、ハリーが五体満足であり、課題を順調にこなしている事実を考えると、この予想はそこまで外れていないのかもしれない。とも思った。

 

 

「…だめだ、僕、頭がこんがらがってきた!」

 

 

眉を顰めロンは「お手上げ」とばかりに嘆く。何度もソフィアの考えを頭の中で反芻していたが、昨日からの数々の可能性の話を聞いて、どれが正しいのか全くわからなくなっていた。

 

 

「…とりあえず、変な事が沢山起こってるし、まだわからない事も多いから…。ムーディ先生の言葉も、スナッフルズの言葉も正しいわ。油断大敵!──警戒しながら、第三の課題のトレーニングを始めた方がよさそうね」

「そうよハリー!スナッフルズにもすぐに返事を書くのよ?二度と一人で抜け出したりしないって!」

「……わかったよ!」

 

 

ハリーはソフィアとハーマイオニーの言葉に、渋々頷き、シリウスへの返事を書いた。

 

 

 

その日からハリーはシリウスからの忠告を守り、ホグワーツの城の中から出る事は無かった。勿論授業の為に校庭へ向かう事はあるが、その際はソフィア達が片時も離れず、守るようにぴったりとくっついていた。

 

ソフィアの仮説もシリウスへの手紙にしたため、シリウスはその可能性もあるだろう、むしろ──濃厚かもしれない。ならば、第三の課題が終わっても油断は禁物であると何度も言葉を変えてハリーに忠告した。

可能性としてあり得るのは、第三の課題が終わった後、ハリーが優勝出来るかどうかに関わらず──三つの課題を無事に終えた事を賞賛する為、代表選手達はホグワーツから離れ、特別な場所に移動し表彰されるのかもしれない。という事だ。

そうなるとダンブルドアの目を盗む事も可能だというのがシリウスの考えだった。出来る限りダンブルドアの目の届く範囲にいるようにとシリウスは強くハリーに警告していた。

 

 

ハリーはソフィアの仮説により、悩みが増えた事も事実だが──とりあえず無事に課題を終えるために、4人で図書館へ行き、有効な呪文を練習する事に費やした。

 

 

「武装解除呪文は使えるし、失神呪文と──そうね、盾の呪文(プロテゴ)も覚える方がいいわ」

 

 

ハリー達は月曜日の昼休み、失神呪文を練習するため誰もいない呪文学の教室に忍び込んでいた。

失神呪文を練習する為には、どうしても誰かがその技をかけられなければならないため、ロンとハーマイオニーとソフィアが交代でハリーからの失神呪文を受け──ある程度犠牲にならなければならなかった。

 

 

「──交代してくれ、もう、気持ち悪くなってきた…」

 

 

顔を青くしてロンが立ち上がり、「うっ」と口を押さえた。

ソフィアの変身魔法により、教室の床の一部はトランポリンに変えられ失神呪文を受けても体を打ち付ける事はなく、怪我はしないが──何度も体が大きくバウンドしてしまうため、5回も失神呪文を受けたロンは脳と胃がぐらぐらとする気持ち悪さで参っていた。

 

 

「失神呪文はかなり上手くなってきたんじゃない?次は盾の魔法にする?」

 

 

ソフィアはハリーの失神呪文を見て形はとりあえず出来ていると判断すると、分厚い図書館から借りてきた教科書を捲り、プロテゴが書かれたページをハリーに見せた。

 

 

「プロテゴは、使えるとすごく便利よ。大体の攻撃を防ぐから。課題の障害物がどんなものかわからないし、…ちょっと難しいから、練習も大変だけれど…」

「…これって…6年生の教科書よね?──ソフィア、あなたって──ルイスもだけど──何故使えるの?」

 

 

ハーマイオニーは驚愕と尊敬が入り混じった眼差しでソフィアを見る。ソフィアは悪戯っぽく笑うと「私の保護者は、スパルタだからね」と含みを持たせて答えた。ロンとハリーはジャックが教えたのだろうと思い、ハーマイオニーはセブルスが教えたのだと分かると──ソフィアとルイスが優秀なのは、幼少期からの英才教育ゆえなのかと、納得半分呆れ半分だった。

 

実際、ソフィアとルイスは自分の杖を持つ前からセブルスとジャックにより沢山の魔法を教わっていた。家族間で杖を代々引き継ぐ事も珍しくは無く、余程主人を選ぶ杖でない限り、杖は反発する事なく魔法を発現させる。

勿論自身のたった一つの杖を使用する方が魔法はスムーズに使えるのは確かだ。だが、親子というものはその魔力の性質が似ているため、ソフィアとルイスはセブルスが夏季休暇に戻っている時はセブルスの杖を使い、孤児院時代はジャックの──彼曰く浮気症な──杖を使い、魔法の練習に明け暮れていた。

 

 

「まぁ…早めにいろんな魔法を使える方がいいっていう考えだったから…色々な魔法をホグワーツ入学前から使えたわね。プロテゴもその中の一つよ。──他にも吹き飛び魔法(ヴェンタス)砕き魔法(フィネストラ)は良いかもね」

「うーん…簡単なのはどれ?」

「そうね……吹き飛び魔法ね。これは追い払い魔法よりも強力だし、応用が効くから── 吹き飛べ!(ヴェンタス!)

「うわぁ!!」

 

 

ソフィアはロンに向けて吹き飛び魔法を放つ。ロンは勢いよく吹っ飛び、トランポリン化した床の上に落ちると高く数回跳ねた。

 

 

「じゃあ…その吹き飛び魔法をまずは練習しようかな」

「わかったわ。この魔法は…この教科書には載ってないみたいだから、また図書館で探してくるわね」

 

 

ソフィアがパタンと本を閉じたのと、昼休み終了を告げるベルが鳴ったのは同時であり、ソフィアはすぐに床を元に戻すとハリー達とそっと教室を抜け出した。

 

 

「じゃあ、夕食の時にね!」

 

 

ハーマイオニーとソフィアは数占いを受ける為に、ハリーとロンは占い学の為に教室の前で別れると、それぞれパタパタと走っていった。

 

 

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