【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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270 それぞれの保護者!

 

 

「クィディッチの練習は無し」

 

 

その日の夜、ソフィア達が夕食後グリフィンドールの談話室に戻った途端、虚な目をしたアンジェリーナがロンとハリーに言った。

 

 

「僕、癇癪を起こさなかったのに!僕、あいつに何も言わなかったよ、アンジェリーナ、嘘じゃない──」

 

 

ハリーは驚愕し、必死に今日の闇の魔術に対する防衛術では大人しくしていた事を伝える。アンジェリーナは虚ろな目のまま、がっくりと項垂れて微かに頷いた。

 

 

「ええ、わかってるわ。先生は少し考える時間が必要だって言っただけ」

「考えるって何を?スリザリンには許可したくせに、どうして僕たちは駄目なんだ?」

 

 

ロンも憤りアンジェリーナに詰め寄るが、アンジェリーナは考えるのも辛いのか額を押さえ、ふらふらと他の選手達の元へと向かう。

おそらくアンブリッジはハリーに対しグリフィンドールのクィディッチ・チームを潰すという無言の圧力をかけて楽しんでいるのだろう、それがわかったソフィアはため息をつき、怒るハリーの肩を慰めるように叩いた。

 

 

「ジャックに手紙を送ってみるわ」

「ありがとう!」

 

 

ソフィア達はいつものソファに座り、鞄からそれぞれの宿題を──ソフィアは手紙を書くために羊皮紙と羽ペンだけを──出す中、なんとか慰めようとしたハーマイオニーが「まあ、ほら。明るい面もあるわよ、少なくともこれでスネイプ先生のレポートを書く時間ができたじゃない!」とハリーにとって火に油を注ぎ、戻りかけていたハリーの機嫌は急降下した。

 

刺々しい雰囲気を出しながらも、ハリーは渋々魔法薬学のレポートを引っ張り出し、面倒臭そうに宿題に取り掛かった。

 

 

「──よし、じゃあちょっと手紙を出してくるわね」

 

 

ソフィアは書き終えた羊皮紙をくるくると丸めると立ち上がり、すぐに談話室を出て行った。窓の外はすっかり夜であったが、時々生徒たちが廊下を歩いたり、窓際に寄り添う恋人達が居た。自由時間ギリギリまで寮に帰らないのは別の寮に恋人がいる者達で、ネクタイカラーが異なるのがその証だ。

 

冷たい風が吹く中、ソフィアは肩を震わせながら足早に校庭を横切り梟小屋へ向かう。

梟小屋は夜の狩りへ向かう梟達が絶えず夜の森へと向かっていた。

シェイドはここにいるだろうか、もしかしたら狩りに出掛けているかもしれない、それなら学校のフクロウを借りよう──そう思いながら扉を開ける。

 

 

「あっ」

 

 

誰もいないと思っていた梟小屋の中に、黒い影を見つけた瞬間ソフィアは思わず小さな叫び声を上げ息を呑んだ。

 

 

「スネイプ先生…」

「……ミス・プリンス…手紙か?」

「はい、育て親──ジャックに」

 

 

父がこんなところに居るとは思わず驚いたが、冷静になってみれば教師だって手紙を出す事はあるだろう。それに実際、何度もセブルスから手紙を受け取っているのだ。

 

セブルスはルイスのペットである八咫烏のシェイドに手紙を持たせようとしていた手を止め、何か言いたげにソフィアの手にある手紙を見下ろした。

 

 

「……今、ジャックは忙しいですかね?」

 

 

そういえば、ジャックは不死鳥の騎士団員として色々な任務についているはずだ。内容まではわからないが、もし手紙を送る事により何かまずいことになってしまうのなら、手紙を出すのをやめようと思ったが、セブルスは何も言わずにシェイドをソフィアの近くの止まり木に止まらせた。

 

しかしそれでも内容が気になるのか険しい顔をしたままこの場を去ることも、自分が出すだろう手紙を他のフクロウの元に行こうともしない。特に見られても困る内容ではなく、ソフィアは封を切るとセブルスに手渡した。

 

セブルスは無言でその手紙の内容を読むと、少し嫌そうに顔を歪めはしたが何も言わずにくるくると丸め、杖先で封をし直し、シェイドの脚に手紙を括り付けた。

 

 

「シェイド、ジャックに渡してね?返事はなるべく早くお願いするわね」

「クー」

 

 

お任せあれ、と言うようにシェイドは低く鳴き、大きな羽を広げ──フクロウ達がホウホウと驚いたような声で鳴き飛び退いた──夜の森へと飛び立って行く。黒いシェイドはすぐに闇に溶け、見えなくなってしまった。

暫くセブルスと共にシェイドが消えた空を眺めていたソフィアは、ふとセブルスは手紙を出さないのか気になった。

 

しかし、ここは人の来ない研究室ではなく、いつ他の生徒が手紙を出しに来るかわからない。上手く聞く事も出来ず、ただフクロウの鳴き声だけが小屋の中に響いていた。

数分間、セブルスと2人でぼんやりと窓の向こうに広がる黒々とした森や、空に輝く星を見ていたソフィアは吹き込む風の寒さにぶるりと震えた。

 

 

「──くしゅんっ」

 

 

小さくくしゃみをすると、頭上から息が漏れるような微かな笑い声が落ちてくる。ちらり、とセブルスを見上げても、その目はソフィアを見る事は無かったが、口先だけは微かに笑っていた。

 

 

「──先生、私はもう戻りますね」

 

 

ソフィアは腕を摩りつつ、囁く。セブルスは何も言わなかったがソフィアへ目を向けると黙って手に持っていた手紙を差し出した。

 

 

「……あ」

 

 

その時、ようやく自分に出すための手紙だったのだと気づいたソフィアはすぐに手紙を受け取り、まだ誰も人が近づいてくる足音が聞こえない事を確認し封を切った。

 

 

『今週の土曜日 14時  S』

 

 

相変わらずの簡潔さにくすりと笑いをこぼし、ソフィアはセブルスを見上げ一度頷いた。

 

 

「──ミス・プリンス。用が済んだのなら、早く寮へ戻りたまえ」

「はい、スネイプ先生」

 

 

誰も見てはいないが、徹底して教師と生徒との距離感を保ったままのセブルスにソフィアはくすくすと笑いながら踵を返し梟小屋を後にした。

少しして扉が開く音がして、ちらりと振り返ればゆっくりとした足取りでセブルスが梟小屋から出たのが見える。

梟小屋から城までの距離は長くはないが辺りは暗く、森が近い中、セブルスはソフィアが無事城を戻るまで一定の距離を保ったまま見守るつもりだった。

ソフィアは勿論その事に気づき、嬉しいようなもう幼い子どもじゃないのに、というくすぐったさを感じながら辺りを見渡し、人がいないのを確認するとくるりと振り返る。

 

 

「おやすみなさい」

 

 

その声は小さなものだったが、風に乗ってセブルスの元に届いただろう。勿論返事はなかったが、ソフィアはセブルスがおやすみの挨拶を受け取ってくれた──それだけで十分だった。

 

 

明るい廊下を歩き、自由時間を楽しむ生徒がぽつぽつと現れたころ、ソフィアはそっと後ろを振り返ったが、やはりセブルスの姿はいつの間にか無くなっていた。

 

 

──次の土曜日に、言わなければならないのよね…。

 

 

ソフィアはそれまでにセブルスとハリーに何か大きな衝突がない事を祈ったが、衝突が無くとも2人の仲はこれ以上もう酷くなりようがないほど険悪であり、無駄な祈りなのは間違いないだろう。

 

 

運命の日が決まってしまった事に、やや緊張した面持ちでグリフィンドールの談話室に戻ったソフィアは宿題をしているハリーの隣に座り、思わずため息をこぼした。

 

 

「どうしたの?」

「え?──ううん、何でもないわ。早く返事が届けばいいなぁって思っただけよ」

 

 

すぐにソフィアの異変に気づいたハリーに笑いかけてはぐらかすと、ソフィアは鞄の中から宿題を取り出し、ハリー達のように教科書を開いた。

 

 

フレッドとジョージが『ずる休みスナックボックス』の一つを完成させ、効果のほどを寮の仲間に披露し注文を取り付け沢山のガリオン通貨をリーと共に数え終わるまでかなりの時間がかかっただろう。

ようやく談話室の中にハリー、ロン、ハーマイオニー、ソフィアの4人になった頃には既に真夜中を過ぎていた。

その間にソフィアとハーマイオニーは宿題を終わらせ──さらにハーマイオニーはハウスエルフ解放のための縫い物もしていた──ていたが、ロンとハリーは全く終えることができず諦めて鞄の中に書きかけのレポートや参考書を片付ける。

ロンは肘掛け椅子に深く腰掛けうとうとと眠そうにしていたが、この後シリウスが現れる筈だとぼんやりと思いながらなんとか目を開き暖炉の火を見つめていた。

 

 

「シリウス!」

 

 

ロンが一番初めに気がつき小声で叫ぶ。すぐにハリーとソフィアとハーマイオニーが暖炉を見て、その中に浮かぶシリウスの顔を見た。

 

 

「やあ」

 

 

シリウスの顔が笑いかけ、ハリー達は4人とも暖炉マットに膝をつき声を揃えて「こんばんは」と、挨拶をした。

ソファで仲良く丸まって眠っていたクルックシャンクスとティティも目を覚まし、喉を鳴らしながら暖炉に近付くとパチッと爆ぜる火の粉を前足でクシクシとかいた。これ以上近づけばヒゲが燃えかねない、とソフィアとハーマイオニーはそれぞれの可愛いペットを抱き上げる。

 

 

「どうだ?」

「まあまあ。魔法省がまた強引に法律を作って、僕たちのクィディッチ・チームが許可されなくなったんだ。ソフィアがジャックに手紙を送ってくれたけど…後は──」

「秘密の闇の魔術の防衛グループか?」

 

 

楽しげなシリウスの言葉に、ハリーはその先の言葉を失いぽかんとシリウスの顔を見つめる。ソフィアとハーマイオニーとロンも、シリウスがそれを知っているとは思わず沈黙した。

 

 

「どうしてその事を知ってるの?」

「会合の場所はもっと慎重に選ばないとな。よりによってホッグズ・ヘッドとはな」

 

 

ハリーの詰問にシリウスはにやりと笑い答える。グループ内の誰かから漏れたのではなく、あの店内に居た誰かからの情報だと分かるとハーマイオニーは目を見張った。

 

 

「だって、三本の箒よりはましだったわ!あそこは人がいっぱいだもの!」

「──ということは、その方が盗み聞きするのも難しいんだ。ハーマイオニー、君もまだまだ勉強しなきゃならないな」

 

 

ハーマイオニーの弁解も虚しくシリウスがさらりと言う。その発想は無かったハーマイオニーは悔しそうに唇を噛み、黙り込んでしまう。

なるほど、人が多ければ多いほど周りの声が賑やかになりこちらの声が届かなくなるのか、とソフィアは納得したが──一般的な五年生の子どもにはなかなかわからない事であり、ハーマイオニーが悪いわけでは決してない。

 

 

「誰が盗み聞きしたの?」

「マンダンガスさ。ベールを被った魔女があいつだったんだ」

「あれがマンダンガス?ホッグズ・ヘッドで一体何をしていたの?」

 

 

全くマンダンガスだとは思わず、ハリーは驚愕する。自分達が知らないだけで、姿を変える魔法があるのだろうか。それとも、ポリジュース薬を使ったのだろうか。

 

 

「何をしていたって?そりゃ、君を見張ってたんだ、当然な」

「僕、まだつけられてるの?」

 

 

ホグワーツに居ても、まだ監視の目が解かれていない事にハリーはどうしようもなく苛立ちを感じたが、シリウスは気にする事なく頷いた。

 

 

「ああ、そうだ。ま、そうしておいてよかったって事だ。週末に暇ができたとたん、君がやったことが違法な防衛グループの組織だったんだから」

 

 

言葉だけ聞けばハリーの行いを責めているかのようだが、シリウスの声音にはどう聞いても誇らしさが滲み出ていた。いや、声だけではない、その目も「よくやった!」とばかりに細められている。

 

 

「ダングはどうして僕たちから隠れていたんだい?会えたらよかったのに」

 

 

ロンの不満そうな声に、シリウスはマンダンガスが20年前にホッグズ・ヘッドには出入り禁止になってしまったのだと答える。

 

 

「それに、あの店主は記憶力が良い。スタージスが捕まったとき、ムーディの2枚目の透明マントも無くなったからな…ダングは近ごろ魔女に変装することが多くなってね。──それはともかく、まず、ロン。君の母さんからの伝言を必ず伝えると約束したんだ」

「へぇ、そう?」

「伝言は、『どんなことがあっても違法な闇の魔術防衛のグループには加わらないこと。きっと退校処分になります。あなたの将来がめちゃめちゃになります。もっと後になれば自己防衛を学ぶ機会は十分にあるのだから、今はそんなことを心配するのには若過ぎます』──ということだ、それから…」

 

 

シリウスは今度はハリーとハーマイオニーの方に目を向けた。

 

 

「ハリーとハーマイオニーへの忠告だ。グループをこれ以上進めないように。もっとも、この2人に関しては指図する権限がない事は認めている。ただ、お願いだから、自分は2人のためによかれと思って言っているのだということを忘れないように。──次に、ジャックからソフィアに」

「え?ジャックから?」

 

 

モリーからの伝言を伝える時はつまらなさそうな表情をしていたシリウスだったが、今度はソフィアを見てニヤリと笑った。

 

 

「スリザリンにバレないようにやれ。──ということだ。おそらく、君の兄……ルイスの事を言っているんだろうな」

「……なるほどね」

 

 

ソフィアはその伝言を聞き、間違いなくルイスにバレないように、ではなく、父親にバレないように。という言葉なのだと理解した。たしかにこれがバレてしまえば間違いなく厄介な事になりかねない。

むしろ父も騎士団員なのだから既に知っているのかと思ったが、もし父が知っているのなら、同じホグワーツに勤めているマクゴナガルも知っていなければ可笑しい。闇の魔術防衛グループの件は、きっと今本部にいる少ない人間しか知らない事なのだろう。

 

 

「伝え忘れはないはずだ。モリーは本当なら手紙で全部書きたかったが──もしフクロウが途中で捕まったら、みんながとても困る事になるから書けないし、今日は当番だから直接自分で言いにくることが出来なかったんだ」

「なんの当番?」

「気にするな、騎士団の何かだ。──そこで俺が伝令になったというわけだ。俺がちゃんと伝えたってモリーに言ってくれ。どうも俺は信用されてないみたいだからな」

 

 

また、暫くみんな沈黙した。

防衛グループをやる。今までその強い意志を持っていたがモリーにこうも言われると本当にそれが正しいのか──ハーマイオニーとロンは少し不安になってしまった。一方でジャックはどうやら自分達の行動を止めるつもりは無いらしい。どちらの言葉を深く考えるべきか、悩んでいたのだ。

 

 

「……それじゃ、僕が防衛グループに入らないって、シリウスはそう言わせたいの?」

 

 

ロンは暖炉マットの穴を指先で弄りながらボソボソと呟いた。

 

 

「俺が?とんでもない!俺は、素晴らしい考えだと思ってる」

 

 

シリウスは驚き、すぐに首を振りにっこりと笑う。

暗い顔で黙り込んでいたハリーはパッと表情を明るくさせるとさらに炎に顔を近づけ「本当?」と縋るように聞いた。

 

 

「勿論そう思う。もし俺が学生の時にアンブリッジのような教師がいたらジェームズと同じ事をしていたさ」

「でも──先学期、シリウスは僕にもっと慎重にしろ、危険は冒すなってばっかり…」

「先学期は、ハリー、誰がホグワーツ内部の者が君を殺そうとしてただろ?今学期は外の者が俺たちを皆殺しにしたがっている。だからしっかり自分の身を護る方法を学ぶのはとても良い考えだと思う」

 

 

シリウスは真剣な目でハリーに言う。他でも無いシリウスの後押しに、ハリーは表情を緩め嬉しそうに笑った。

 

 

「そして、もし私たちが退学になったら?」

 

 

ハーマイオニーは訝しげな表情で聞くが、そもそも発案者はハーマイオニーであり、退学になるとわかっていても続けるべきだと賛同していたはずだ。

すぐにハリーは「ハーマイオニー、全ては君の考えだったじゃないか」とむっとしながら言うが、ハーマイオニーは肩をすくめて「シリウスの考えが聞きたかっただけよ」と口篭る。

 

 

「そうだな。学校にいて何も知らずに安穏としているより、退学になっても身を護ることができる方がいい」

 

 

あっさりと言うシリウスの言葉に、ロンとハリーは「そうだそうだ!」と興奮し大きく頷くが、ハーマイオニーは納得出来ないのか、眉をぐっと寄せて黙り込んでしまった。

 

 

「それで、グループはどんなふうに組織するんだ?どこに集まる?」

「それが問題なの。全員で29人も居て…いい場所が見つかってなくて……シリウス、どこか知らないかしら?」

 

 

ソフィアが聞けば、シリウスはまさかそれ程多いとは思わず目を見張り、「うーん…」と考え込む。マンダンガスから防衛グループを組織したことは聞いていたが、29人もいる事は聞いていなかったのだ。

 

 

「29人か……そうだな、5階の大きな鏡の裏に、昔はかなり広い秘密の抜け道があったな、そこなら呪いの練習をするのに十分広さがあるだろう」

「フレッドとジョージがそこは塞がってるって言ってた、陥没か何かで…」

 

 

ハリーが首を振れば、シリウスは顔を顰める。たしかに抜け道や秘密の小部屋は多くあるが、29人が魔法を練習するにはどこも手狭だろう。

 

 

「そうか……それじゃ、よく考えてまた知らせ──」

 

 

シリウスは突然言葉を切り、顔に緊張を走らせ勢いよく横を向いた。その先には硬い暖炉のレンガ壁しかないが、その先をじっと見ている。

 

 

「シリウス?どうしたの?」

 

 

ハリーが心配そうに聞いた。

その言葉が、シリウスに届いたのかはわからない。ハリーが全てを言い終わる前にシリウスは炎から消えていたのだ。

唖然としてソフィア達は炎を見つめていたが、ハリーは何があったのか不安げにソフィアとロンとハーマイオニーを振り返った。

 

 

「どうしていなく──?」

 

 

ハーマイオニーとロンとソフィアは目を見開き息を呑み、炎を見つめたまま急に立ち上がった。

炎の中に手が現れていた。何かをつかもうと必死に灰の中をまさぐっている。ずんぐりとした太い指に、大きな指輪をいくつも嵌めている、その手の持ち主は紛れもない──アンブリッジだ。

 

それを見た途端ソフィア達は一目散にその場から逃げた。ソフィアとハーマイオニーは女子寮を駆け上がり、ハリーはロンの後を追ったが男子寮の扉のところで振り返った。

 

アンブリッジの手はまだ炎の中で何かをつかもうとする動きを見せていた。まるでそこに何があったのかを知っているように、少しの証拠でも残ってはいないかというように。

 

 

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