火曜日、ハグリッドが戻ってきて初めての魔法生物飼育学の授業がある日だ。
あれからソフィアとハーマイオニーは何度もハグリッドの小屋へ行き、アンブリッジの査察の時だけでいいからOWLに出てくるような魔法生物を教えて欲しいと懇願したが、ハグリッドは右耳から左耳に聞き流し、ただ「心配ねぇ」と言って豪快に笑うだけだった。
ソフィア達はかなり不安な気持ちのままハグリッドの授業に向かう。せめて、この授業がスリザリンとの合同授業でなければまだマシだった。だがこのクラスにはドラコ・マルフォイがいる。ハグリッドを毛嫌いするドラコを含むスリザリン生が、アンブリッジに何を言うのか気が気ではない。
雪と格闘しながらなんとかハグリッドの小屋へ向かったソフィア達だったが、そこにアンブリッジの姿はなかった。
あのアンブリッジのことだ、一刻も早くハグリッドを追い出すために1番初めの授業を査察しに来るかと思っていたが、杞憂だったのか。──いや、自分達の目の届かないところでハグリッドがアンブリッジの査察を受ける方がよっぽど恐ろしい。
ハグリッドの顔は生々しい傷が未だ残り、顔をまだら色に染めている。死んだ牛の半身らしいものを肩に担ぐハグリッドは──ハグリッド贔屓のハリーから見ても、かなり不吉だった。
「今日はあそこで授業だ!少しは寒さしのぎになるぞ。どっちみち、あいつら暗いところが好きなんだ」
ハグリッドは嬉々として生徒達に呼びかけ森の奥を指差すが、嬉しそうに目を輝かせうずうずと腕を動かしたのはソフィアだけであり、それ以外の生徒は顔を引き攣らせた。
「暗いところが好きだって?あいつ、何が暗いところが好きだって言った?──聞こえたか?」
「ううん、まだ何も言ってないよ」
ドラコが不安げにルイスに囁き、何気なくルイスの背の後ろに隠れた。
ハリーは横目でそれを見て、ドラコが一度だけ禁じられた森の中に入った時に見せたあの時の情けない叫びを思い出し──独りにやりと笑った。
あのクィディッチ戦以来、ハリーはドラコが不快に思うなら、何が起こったって構わなかったのだ。
「ええか?──よし、さーて、森の探索は五年生まで楽しみに取っておいた。連中を自然な生息地で見せてやろうと思ってな。さあ、今日勉強する奴は珍しいぞ。こいつらを飼い馴らすのに成功したのは、イギリスでは多分俺だけだ」
「えっ!?す、凄い……!」
ソフィアが思わず声を上げ──何の魔法生物かはわからないが──ハグリッドを尊敬の眼差しで見上げれば、ハグリッドの青黒くなっていない部分の頬がちょっと赤くなった。
「それで、本当に飼い馴らしているって、自信があるのかい?なにしろ、野蛮な動物をクラスに持ち込んだのはこれが初めてじゃないだろう?」
ドラコはますます恐怖を露わにした声で聞き、不安げに森の奥を見る。
スリザリン生がざわざわとドラコに同意しただけではなく、グリフィンドール生の何人かも、不本意だがその通りだ、という顔をした。
「勿論、飼い馴らされちょる」
ハグリッドは顔をしかめ、担いだ牛の半身を少し揺らした。しかしドラコはハグリッドの顔中についた無数の怪我を指差し「それじゃ、その顔はどうしたんだい?」と問い詰める。
それは、かなりの生徒の代弁だっただろう。ハグリッドがこれ程まで怪我をした場面も見たことはなかった。
尻尾爆発スクリュートだって、ヒッポグリフだって、ハグリッドは少しも怪我をすることなく世話をしていた。しかし、今のハグリッドの顔や手足は生傷だらけであり、ハグリッドがそんな怪我をしてしまうほどの魔法生物なのかと──皆が同じ嫌な想像をしていたのだ。
「お前さんには関係ねぇ!──さあ、馬鹿な質問が終わったら俺についてこい!」
ハグリッドはみんなに背を向け、どんどん森へ入って行ってしまった。生徒達は視線を交わし、無言のまま「どうする?」と探りあっていたが、すぐにソフィアが一歩踏み出し、それにつられてハリーとロンとハーマイオニーが肩を落としつつ怖々と森の中に入っていくのを見て、皆渋々といった様子で森に足を踏み入れた。
鬱蒼とした森は木が密生しており、地面に雪は積もっていない、奇妙な生ぬるさがあった。朝だと言うのに夕焼けのように薄暗く、生徒たちは木のそばで身を隠しながら今にも襲われるんじゃないかと神経を尖らせ辺りを見回す。
「集まれ、集まれ!──さあ、あいつらは肉の臭いに引かれてやってくるぞ。だが、俺の方でも呼んでみる。あいつら、俺だって事を知りたいだろうからな」
ハグリッドは皆が着いてきたのを確認すると彼らから背を向け、甲高い奇妙な叫び声を上げた。それは怪鳥が呼び交わす声のように暗い木々の間に木霊する。
ソフィアは何か珍しい鳥型魔法生物だろうか、とただ1人興味深そうに辺りを見回したが、他の生徒達──ハリーとロンとハーマイオニーですらも──は不気味な恐ろしさにピクリとも動かなかった。
ハグリッドが何かを呼んでいる声が響く。しかし、何も現れる様子はなく、もう一度呼ぼうとしたハグリッドが胸いっぱいに空気を吸い込む──しかし、ハグリッドは魔法生物を呼ぶ事なくほっと息を吐くと、暗がりの向こうをじっと見つめた。
一体何が現れるのだろうか?どうしたのだろうか?と皆が怖いもの見たさの当惑した表情で目を凝らし、木の幹から恐々と顔を出した。
「──何も来ないわね」
ハーマイオニーはソフィアの腕をぎゅっと抱きしめつつ、硬い表情を少し緩めながら囁いた。
ソフィアはハグリッドが何かを見つめている様子を見て、おそらくここにいるだろう魔法生物が何だか分かると残念そうに眉を下げる。
「多分、もう来てるわ」
「え?どこに?」
ハーマイオニーは不思議そうに辺りを回し、木の影に隠れているのかと首を伸ばしたが、何も見えなかった。想像よりも小さいのかと思って地面を見るが、やはり何もいない。
「さーて。手を挙げてみろや。こいつらが見える者は?」
ハグリッドの言葉に大多数が怪訝な顔をして顔を見合わせたが、ハリー、ネビル、そしてスリザリンの少年──セオドール・ノットの3人だけが手を挙げた。
「うん、うん。おまえさんにゃ見えると思ったぞ、ハリー。そんでおまえさんもだな?ネビル。それと──」
「お伺いしますが、いったい何が見えるはずなんでしょうね?」
ドラコが嘲るように言ったが、ハグリッドは少しも気にせず答える代わりに地面の牛の死骸を指差す。木の後ろばかり探していた生徒たちは、一瞬、牛の死骸に注目した。
その瞬間、何人かが息を呑み、パーバティは悲鳴を上げた。
牛の死骸から肉が剥がれ、宙に浮かび少しずつ小さくなって消えていく。──そう、ちょうど肉を姿の見えない大型の獣が食べているかのような光景だ。
「何がいるの?何が食べているの?」
パーバティは後退りして近くの木の陰に隠れ、震える声で聞いた。姿の見えない魔法生物がこれ程の距離にいるなんて──パーバティは背筋に冷たいものが流れていくのを感じた。
「セストラルだ。ホグワーツのセストラルの群れは、全部この森にいる。そんじゃ、誰か知ってる者は──?」
ハグリッドはセストラルの黒い皮ばかりの体を優しく撫でる。ソフィア達にはハグリッドが何もないところを愛おしそうに撫でているだけにしか見えないが、ハリーには肉を食べる痩せ細った天馬のようなセストラルが見えていた。
「だけど、それって、とっても縁起が悪いのよ!見た人にありとあらゆる恐ろしい災難が降りかかるって言われているわ。トレローニー先生が一度教えてくださった話では──」
「いや、いや、いや!」
パーバティの言葉にハグリッドはくつくつと笑い、また一頭現れたセストラルをうっとりと見つめる。
「そりゃ、単なる迷信だ!こいつらは縁起が悪いんじゃねぇ。どえらく賢いし、役に立つ!もっとも、こいつらそんなに働いているわけじゃねえがな。重要なんは、学校の馬車牽きだけだ。あとはダンブルドアが遠出するのに姿現しをなさらねえときだけだな──ほれ、また二頭来たぞ」
姿の見えないセストラルに、生徒達は不安げに身を縮こまらせながら必死に感覚を研ぎ澄ました。本当にパーバティの思っていることは迷信なのだろうか?ハグリッドを信じていいものなのか──。
「よし、そんじゃ知ってる者はいるか?どうして見える者と見えない者がおるのか」
ソフィアとハーマイオニーが手を挙げた。
「よし、ソフィア、言ってみろ」
「セストラルを見る事が出来るのは、死を見た事がある者だけです」
「その通りだ。グリフィンドールに10点!さて、セストラルは──」
ハグリッドがセストラルの生態について説明を始めようとした時、「ェヘン、ェヘン」とわざとらしい空咳の音が響く。
やっぱり現れたか、とハリー達は苦い表情をしてクリップボードを持つアンブリッジを見たが、初めてアンブリッジの空咳を聞いたハグリッドはセストラルが今の咳をしたのだろうか、肉が変なところに入ったのか、と心配そうにセストラルを見下ろしていた。
「ェヘン、ェヘン」
「おう、やあ!」
ハグリッドはまだアンブリッジがどのような人間かを知らず、愛想よくにっこりと笑う。魔法省の人間で今は教師であるアンブリッジがまさかこちら側の敵のようなものだとは想像もしていないのだろう。彼は、どちらかと言うと教師というものを──よっぽどではない限り──信頼し、尊敬している。
「今朝、あなたの小屋に送ったメモは受け取りましたか?あなたの授業を査察すると書きましたが?」
アンブリッジは他の教師に話しかける時とは異なり、大きな声でゆっくりと話しかける。何もわからない幼児に言い聞かせるような口調に、ハリーとロンとハーマイオニーとソフィアは怪訝な顔をして視線をちらりと交わした。
「ああ、うん。この場所がわかってよかった!ほーれ、見てのとおり──はて、どうかな?見えるか?今日はセストラルをやっちょる──」
「え?何?なんて言いましたか?」
アンブリッジは耳に手を当て大声で聞き返す。たしかにハグリッドはやや独特な訛りのある言葉遣いだが、だからと言って聞き取り難いわけではないのだが──。
「あー──セストラル!おっきな、翼のある馬だ!ほれ!」
ハグリッドは上手く伝わらなかった事に、なんとかセストラルの説明をしようと両手をパタパタと振り天馬の説明をした。しかし、アンブリッジは眉を吊り上げぶつぶつと言いながらクリップボードに──わざと、ハグリッドに聞こえるように「原始的…身振りによる…言葉に…頼らなければ…ならない…」──書きつけた。
「さて、とにかく──む?俺は何を言いかけていた?」
「…記憶力が弱く…直前の…事も…覚えていない…らしい…」
ハグリッドは邪魔が入った事により、どこまで話したかを忘れてしまい指で髭をぐりぐりと弄った。事実とは大幅に湾曲されたアンブリッジの言葉に誰よりも喜んだのはドラコであり、禁じられた森に入っている恐怖も忘れたのか顔を輝かせ嬉しそうに意地悪く笑う。
その後ハグリッドはしっかりと授業を進めるためにセストラルの生態を説明したが、再びアンブリッジが「魔法省はセストラルを危険生物に分類しているのですが?」とチクリと苦言を言い──当然のように「セストラルが危険なものか!」と笑い飛ばした。
「むむ…とにかくだ、セストラルにはいろいろええところがある…」
「どうかしら?あなた、ハグリッド先生が話している事、理解できるかしら?」
ハグリッドはアンブリッジがクリップボードに何を書いているのか、ちらちらと気にはしていたがしっかりと授業を続ける。アンブリッジはいつもの査察の時のように生徒の間を周りいくつかの質問をしたが──やはり、選ばれたのは彼女にとって都合の良いスリザリン生であるパンジーだった。
「いいえ…だって、あの…話し方が…いつも唸っているみたいで……」
パンジーはハグリッドがミスをしてアンブリッジにちくちくと言われるたびにくすくすと嫌らしく笑い、目に涙を溜めていたほどだ。
すぐにアンブリッジはパンジーの言葉をクリップボードに走り書きし、「ええ、よくわかります」と可哀想なものを見る目でハグリッドを見た。
ハグリッドの顔の怪我をしていない僅かな部分が羞恥で赤く染まったが、それでもハグリッドはパンジーの答えを聞かなかったかのように振る舞おうとした。
「あー……うん。セストラルのええとこだが。えーと、ここの群れみてえにいったん飼い馴らされると、みんな、もう道に迷う事はねえぞ。方向感覚抜群だ。どこへ行きてえって、こいつらに言うだけでええ──」
「もちろん、あんたの言う事がわかれば、と言う事だろうね」
ドラコが大きな声で言い、パンジーがまたくすくすと笑い出す。アンブリッジはその2人には寛大に微笑み、くるりと背を向けてネビルの元へ向かった。
「……ドラコ。しっかり授業を聞かないと、また腕を怪我するよ」
「聞き取れる言葉で話してさえくれたら、怪我なんてしないさ」
「……はぁ…」
ルイスは大きくため息を吐き、セストラルがいるだろう方向を見てうんざりだと首を振った。
アンブリッジは暫くハグリッドの様子を細かくクリップボードに書き込んでいたが、再び幼児か愚鈍なものに話しかけるようにわざとらしい身振り手振りで10日後に査察の結果を送ると伝え、意気揚々と城へ戻った。その上機嫌な横顔は、どう見てもハグリッドを追い出す目処がたった喜びで溢れているように見え、ハーマイオニーは怒りと悔しさで顔を真っ赤にして震えていた程だ。
「あの腐れ嘘つき!根性曲がり!怪獣婆ぁ!」
授業が終わり城へ戻る道すがら、ハーマイオニーは彼女が思いつく限りの汚い言葉を吐きながら鼻息荒く叫んだ。
「あの人が何を目論んでいるかわかる?混血を毛嫌いしているんだわ!ハグリッドをウスノロのトロールか何かみたいに見せようとしているのよ、お母さんが巨人だというだけで!──それに、ああ、不当だわ、授業は悪くなかったのに──そりゃ、また尻尾爆発スクリュートなんかだったら……でも、セストラルは大丈夫、ほんと、ハグリッドにしてはとってもいい授業だったわ!」
「アンブリッジはあいつらが危険生物だって言ったけど」
「ハグリッドの言うように、セストラルに悪さをしようとすれば、それなりに痛い目には見るでしょうね。──でも、それはどんな生き物も持っている自己防衛だわ。少なくともセストラルは炎を吐いたり毒を持っているわけじゃないもの」
心配そうなロンの声に、ソフィアは首を振り「生き物なら当たり前で、何でもないのよ」と再度念を押した。
やはり、魔法生物についてよく知っているものは限りなく少ない。ただ力が強く、凶暴な面があると言うだけで危険生物に分類されるのは間違っている。世界の常識を、少しずつ変えなければ魔法生物達はずっと誤解されたまま白い目で見られてしまうのだ。
「そうよ、ソフィアの言う通り、当たり前の事なの!──まぁ、でも、グラブリー-プランク先生だったら、きっとNEWT試験まではセストラルを見せないでしょうね。──ねえ、あの馬、本当に面白いと思わない?見える人と見えない人がいるなんて!私にも見えたらいいのに!」
ハーマイオニーはキラキラと目を輝かせながらそう言ったが、今まで沈黙していたハリーが「そう思う?」と静かに聞き、すぐにセストラルが見えることの意味を思い出し、はっと表情を変えた。
「ああ、ハリー──ごめんなさい。ううん、もちろん、そうは思わない。──なんて馬鹿な事を言ったんでしょう」
「いいんだ、気にするなよ」
ハリーは一気にしおらしくなってしまったハーマイオニーに慌てて首を振る。
ソフィアも、本音を言えばセストラルを見てみたかった。だが、セストラルを見るためには人の死を見なければならない。穏やかな人の死を見る事が出来ればいいのだが、ハリーの場合のように、とても辛くて悲しい事もある。
「魔法生物には、セストラル以外にも見る事が出来る人と、出来ない人がいる生物も──まだ、私たちが見た事がないだけでいるのかもしれないわ。…ハーマイオニー、ルーナが言っていた生き物達も、今なら少し信じられるんじゃない?」
話題をそれとなくずらしたソフィアに、ハーマイオニーはほっとしながらルーナが言う空想上の生き物の事を考える。たしかに何か条件があり、それがかなりシビアなものならまだほとんど未発見という可能性も捨てられない。
「それは──うーん、もう少し目撃者が居なければ駄目ね」
「あら、そう?」
「見える人と見えない人がいる生き物がいるなんて僕知らなかったや、それもクラスに3人も見えてただなんて──」
ロンが手を挙げたハリー、ネビル、セオドールの事を思い出しながら意外そうな顔をしていると、後ろから近付いてくる足音と、いつもの気取ったような馬鹿にする笑いが投げかけられた。
「そうだ、ウィーズリー。今ちょうど話してたんだけど。君が誰か死ぬところを見たら、少しはクァッフルが見えるようになるかな?」
ドラコは意地悪く言うと、クラッブとゴイルを引き連れげらげらと笑いながら「ウィーズリーこそ我が王者」を合唱しながら城に戻る。
「…はぁ……」
ルイスはまた面倒くさそうにため息を吐き、ハリーとロンとハーマイオニーをなるべく見ないようにしながらドラコの背中を追いかけた。
顔を真っ赤にしていたロンは、つい、横を通りすぎるルイスの腕を強く掴み引き止める。
ルイスは驚いたような顔をしていたが、すぐに足を止めると「何?」と、よそよそしく聞いた。──城の扉の前で、ドラコはルイスが来ていない事に気づき、じっと様子を伺っている。
「──ルイス、きみもそう思うのか?」
ロンの絞り出すような言葉に、ルイスは暫く黙っていたが、さっと腕を振り払うと数歩後ろに下がり、感情を何もうつさない黒い瞳でロンを見据えた。
「僕は──……僕は、スリザリンだ」
「っ……!」
ルイスはそれだけを呟くと、すぐに踵を返し雪道を走り抜けドラコの隣に並んだ。ドラコはどこか嬉しげな勝ち誇った目でハリーとロンとハーマイオニーを一瞥し、ルイスの背中を軽く叩きながら城の中へ入る。
「──何だよ、あいつ!性根までマルフォイに毒されたのか!」
「……ルイス…」
ロンは顔を真っ赤にしてぎりぎりと奥歯を噛み締め、ソフィアは辛そうに眉を寄せ、ぎゅっと唇を噛んだ。