【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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331 良いクリスマスパーティー?

 

 

 

ハリーは二度目のダンブルドアとの個人授業を終え、その内容についてソフィアとハーマイオニーとロンに伝えた。談話室や朝食の席では誰かが盗み聞きする危険性があり、薬草学が行われる温室に向かって野菜畑を通過しながらハリーは小声で話した。

ハリーが見たのは、孤児院で暮らすトム・リドルだった。彼は11歳の時ダンブルドアと会い自分の力が魔法であり、魔法学校というものの存在を知る。

既にその頃から他者を虐げる残虐性を持ち友人など必要としていなかったトム・リドルの事をハリーは詳しく伝えた。

 

 

温室にたどり着き、授業が開始されてもソフィア達の関心は目の前のスナーガラフにはなく、少年時代のヴォルデモートに向いていた。

 

 

「うわー、ゾッとするな。少年の例のあの人か。だけどダンブルドアはどうしてそんなものを見せるのか僕にはわからないな。そりゃ、面白いけどさ」

 

 

ロンは保護手袋をつけ、あくびを噛み殺しながら小声で呟く。ハリーもまた昨日知ったことがどんな事に役立つのかはわからなかったが──ヴォルデモートがあんな幼い時から友人なんて必要とせず、他者を信じず、自己充足的であり、また勝利品を蒐集する傾向がある。それはダンブルドアから念を押されるように言われていたためよく覚えていた。

 

 

「敵を知るのは悪いことではないけれど、過去の例のあの人に──何かヒントがあるのかしらね」

「多分そうね、後でまたゆっくり教えてちょうだい」

 

 

ソフィアはマウスピースをはめながらもごもごと呟き、ハーマイオニーは分厚い保護用ゴーグルを目に押し当てながら頷く。目の前に居るスナーガラフという魔法植物は中央の奥に種があり、それが魔法薬を作る上での材料になるのだが、防衛本能がかなり強く触れた途端に先端から長い棘を出し枝を振り回し敵をノックアウトするためにパンチを繰り出すのだ。

 

 

「それで、この前のスラグホーンのパーティはどうだったの?」

「ええ、まあまあ面白かったわよ。そりゃ、先生は昔の生徒だった有名人のことをだらだら話すし、マクラーゲンをちやほやするけど──だってあの人は色んなコネがあるから。でも、本当に美味しい食べ物もあるし──」

「そこ、おしゃべりが多すぎる!」

 

 

ピリッとした声が後方からソフィア達を突き刺し、4人は慌ててお喋りをやめ手袋やマウスピースを装着した。

 

 

「あなたたち、遅れてますよ。他の生徒は全員取り掛かっていますし、ネビルはもう最初の種を取り出しました」

「はい。すぐに取り掛かります」

 

 

スプラウトの言葉に4人はすぐに目の前で枝をゆらゆらと揺らすスナーガラフに──一呼吸置いて飛びかかった。

 

 

 

4人で格闘しなんとかスナーガラフを押さえつけ──ハーマイオニーとソフィアは髪をツルで引っ張られ、ロンは肩を枝で殴られたが──不気味に脈打つ種を取り出す事に成功すると、中の汁を搾り出すためにボウルの中にいれぐっと押さえつける。その途端ぼたぼたと薄緑色の汁が溢れ、種自体は痙攣するように動きハーマイオニーは心から嫌そうに顔を顰めた。

 

 

「とにかく。スラグホーンはクリスマス・パーティをやるつもりよ、ハリー。これはどう足掻いても逃れられないわね。だって、あなたが来られる夜にパーティを開こうとして、あなたがいつなら空いているかを調べるように私に頼んだんですもの」

 

 

ハリーは呻めき、なんとかして回避する方法はないかと頭を捻らせる。一方ロンは種を押し潰そうと立ち上がって両手でボウルの中の種を力任せに抑え込んでいたが、不機嫌そうに口を尖らせた。

 

 

「それで、そのパーティはどうせお気に入りだけなんだろ?」

「スラグ・クラブだけ、そうね」

「はっ!馬鹿馬鹿しいスラグ・ナメクジ・クラブか。──まあパーティを楽しんでくれ、僕とソフィアは談話室で、二人っきりで、君たちに負けないほど最高のクリスマスパーティをして過ごすさ!ごめんなぁハリー、君を差し置いて心が痛むよ」

 

 

ロンは意地の悪い笑いを浮かべ馬鹿にしたように吐き捨てる。とばっちりを受けたハリーは「冗談でもやめろよ」と手に持っていたゴーグルの角でロンの背中を叩いた。

 

 

「クリスマスパーティって、休暇中にあるの?私、ハリーはあそこに帰るんだと思ってたわ」

 

 

ソフィアは不思議そうに首を傾げた。クリスマス休暇中にあるのならば、家に帰る者も多いだろう。特にハリーはシリウスと過ごすクリスマス休暇を楽しみにしているはずであり、わざわざパーティのためにホグワーツに残るとは考えにくい。

 

 

「そうだよ!僕、クリスマス休暇中は帰る。スラグホーンのクリスマスパーティなんてごめんだね」

「きっと、休暇前よ。それと、クリスマスパーティにはお客様を招待できるの。だから、私は──ロンあなたもどうかって誘おうと思っていたの。でも、そこまで馬鹿馬鹿しいって思うなら独りで過ごしなさい!ソフィアはきっとハリーが誘うわ!」

 

 

ハーマイオニーは強くロンを睨んだがその頬は赤く拗ねているように見えた。

クリスマス休暇前に開催されるパーティであり、好きな相手を誘えるならばハリーは悪くないと思いつつ──茹で蛸のように顔を真っ赤にしているハーマイオニーと、唖然と口を開くロンを見比べた。

 

 

「──僕を誘うつもりだった?ほ、ほんと?」

「……ええ、そうよ。でも、行きたくないのなら──」

「いや、そんな事ない。──あー──ソフィアと二人きりも悪くないけど、ハリーが怒るし。君と行った方が素敵なパーティになる気がしてきたな、うん」

 

 

ロンは早口になりながら小さな声でもごもごと呟き、どうにかハーマイオニーが機嫌を直し自分を誘い直してくれないかと期待を込めて熱っぽくハーマイオニーを見つめる。

ソフィアは分厚い手袋でにやついてしまう口元を隠しながらそっぽを向き続けるハーマイオニーの身体を肘でつんつんと小突いた。

 

 

「……素敵なパーティになる気がしてきたのなら、そうね、良かったわ。──私と、行く?」

 

 

ソフィアに無言で促されたハーマイオニーは神経質そうに意味もなくゴーグルのガラス部分を指で撫でながらそう言い、ちらりとロンを見上げる。

彼女の頬の赤みが移ったのか、ロンも少し頬を染めつつ、大きく頷いた。

 

 

「うん、楽しみだ!」

「そう。──私もよ」

 

 

どこか甘酸っぱく落ち着かない雰囲気を出しながら種の汁搾りを再開しだしたハーマイオニーとロンを見たハリーは、唐突にハーマイオニーはロンの事が好きなのだと理解した。

しかし、それ程驚いたわけではなく、遅かれ早かれこうなる気がしていたのだ。

きっと、ロンがクラムのことで嫉妬していたり、ハーマイオニーが自分をセクシーだと言った時にロンがやけに張り合っていたからだろう。

もし、ロンとハーマイオニーが付き合うようになったら……それでもし別れたら2人の仲が気まずくなるのではないか、と一瞬不安に思ったがすぐに嫌な想像を振り払った。不安に思う事はない。

 

 

──僕とソフィアだってずっと付き合ってるし。

もし、2人が正式に付き合うようになったら心からソフィアと祝福しよう。2人は僕たちが付き合った時、自分のことのように喜び祝福してくれたじゃないか。その後の事は、その時にソフィアと考えればいいか。

 

 

ハリーは隣にいるソフィアを見る。ソフィアは幸せそうに微笑みながらハーマイオニーとロンを温かく見守っているように見えた。きっと、誰よりもハーマイオニーと親しいソフィアは彼女の気持ちにずっと気付いていたのだろう。

 

 

「──そこ!まだ絞り切ってないんですか?」

「今すぐします!」

 

 

手が止まっていたハリーとソフィアは慌てて二つ目の種を採取するべく、スナーガラフとの格闘を再開した。

 

 

 

その後はスラグホーンのパーティに触れる事なく真面目に授業に取り組んだ。

ハリーは授業後もハーマイオニーとロンの様子を観察していたが、2人の仲がいきなり甘い雰囲気に変わるような事はなくいつも通りに見えた。──ただ、少し互いに礼儀正しく、そして僅かに互いを見る視線が柔らかくなっていたような気がしたが。

 

 

「ソフィアは、知ってたの?」

「何が?」

 

 

薄い霧が立ち込める校庭を歩きながら、ハリーは隣にいるソフィアに小声で聞いた。ロンとハーマイオニーは先ほどの授業で指先に付着し、洗っても取れなかった薄緑色をどうやって取ればいいのかと話し合う事に夢中で小声の会話なら聞こえないだろう。

 

 

「その──ハーマイオニーって、ロンが好きなんでしょ?」

「んー──そうよ。……私から言うべきじゃないと思うけど、もうバレてるみたいだし……」

「そうか……うまくいくといいね」

「そうね。もし2人が付き合う事になれば素敵だと思うわ」

 

 

暫くソフィアはハーマイオニーとロンの背中を見ていたが、不意にハリーのローブの袖をくいっと掴み、悪戯っぽく微笑んだ。

 

 

「──それで?私はまだ、誰からも誘われていない。フリーなわけだけど……?」

「あっ!そうだね、僕と一緒にスラグホーンのクリスマスパーティに行かない?」

 

 

ハリーは誘った気になっていたが、そういえばまだだったことを思い出しすぐにソフィアの手を取るとにっこりと笑う。

ソフィアは嬉しそうに笑うとハリーの肩に手を乗せ、少し背伸びをして頬に返事のキスを送った。

 

 

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