【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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340 信頼?

 

 

クリスマス・イブの日。

去年にも増して張り切ったシリウスは去年よりも丁寧に清掃し、豪華絢爛に館中を飾り付けた。

天井まで届く大きなモミの木には本物の妖精や永遠に輝く星屑、金と銀のモールに水晶で出来た雪の結晶が輝き、階段の手摺りには赤と緑のクリスマスモールが飾られ、壁には星型のオーナメントが張り付いている。

夜の星空を散りばめたような銀色のキラキラとした銀光玉虫と、雪だるまの形をした白いクリスマスキャンドルがそこかしこで美しく浮かぶ。

絨毯の上には冷たくない雪が降り積もり、至る所で雪だるまがぴょんぴょんと楽しげに跳ねていた。

 

 

フレッドとジョージにビルとフラー、遅れてリーマスが現れ、豪華に飾り付けられた館に感心しながら美味しい料理を堪能し、ソフィア達と共にクリスマスを祝った。

仕事が忙しくクリスマス休暇中一度も本部に寄っていなかったアーサーもこの日ばかりは帰り、家族と束の間の休暇を過ごしていた。

 

食事がひと段落着いた頃、モリーが家から持ってきた大きな木製ラジオから魔法界の歌手の歌声が流れる。

はじめは黙って聞いていたソフィア達だったが、何十分も歌声が続くだけでは飽きてしまいコソコソと会話を始め、フレッドとジョージはジャズの音に隠れながらジニーと爆発スナップのゲームをした。いつもならこの爆音が伴うゲームをすれば怒られるのだが、今はジャズのバックミュージックの低音と比べてどちらが腹に響くかといわれればわずかにジャズの方に軍配が上がるだろう。

 

ロンとハーマイオニーは歌に興味はなかったのか、2人で皿の上に角砂糖を積み上げ合いどちらが高く詰めるのかという2人らしくない遊びを始めていた。

 

ソフィアとハリーは大きなソファの上に座って歌声に耳を傾けながらぼんやりと暖炉の赤い火を見つめていた。満腹で、暖かくて、幸せで──全てにおいて満たされている。なんて幸せなクリスマスなんだろうか。

 

ハリーがそう思った直後、左肩に重さを感じ、くすりと喉の奥で笑う。

顔を見る事はできないが、ソフィアの肩が静かに上下していることから眠ってしまったのだろう。ハリーは左腕をそろそろとソフィアの腰に回し、ソフィアが崩れないように支えながら反対の右手を懸命に伸ばし近くの椅子にかかった膝掛けを取ろうとした。

 

 

「これかな?」

「うん、ありがとうシリウス」

 

 

近くの肘掛け椅子に座りワインを飲んでいたシリウスは杖を振りハリーの手元に膝掛けを浮遊させた。ハリーはソフィアを起こさぬよう膝掛けをそっと被せ、変わらずの穏やかな寝息にホッと安堵の息を吐く。

 

 

「うまくいってるようだな」

「うん、そうだね」

「互いに一途に愛し合っているんだな。……俺が学生の時なんかその辺でくっついたり離れたりしてたがなぁ」

 

 

仲睦まじいソフィアとハリーを見て、シリウスが喉の奥でくつくつと楽しげに笑う。バタービールの瓶を持っていたリーマスもまた、会話に加わる気になったのか過去を思い出し懐かしそうに微笑み頷いた。

 

 

「シリウス、とってもハンサムだしモテたんじゃないの?」

「まあ、モテて無かったといえば嘘になるな」

「シリウスはあの年代で間違いなく1番ハンサムだったからね。当の本人は悪戯に恋していたようだけど?」

「ああ、アイツは刺激的で飽きないからな」

 

 

リーマスのからかいにシリウスは楽しそうに笑う。ハリーはその悪戯の中にセブルス・スネイプへの悪意のある悪戯が含まれているのだと当然理解していたが、本人に反省の色はないとはいえ自分は部外者であり、過去のことだ。今その話題を蒸し返さずとも良いだろうと微笑みながらシリウスとリーマスの学生時代の思い出話に耳を傾けた。

 

 

「そういや、僕のお母さんとソフィアのお母さんは姉妹で、スリザリンとグリフィンドールだったんでしょ?その──色々、大丈夫だったの?」

 

 

敵対し合うグリフィンドールとスリザリンに組み分けされる。しかも、当時はヴォルデモートの全盛期であり今とは考えられぬほど互いの溝は深いだろう。あまりソフィアの母について知らないハリーは、何気なさを装い切り出した。

リーマスとシリウスは顔を見合わせ暫し沈黙したのち苦笑する。その苦笑の意味がわからず首を傾げるハリーに、リーマスは困ったようにバタービール瓶を揺らめかせ、言葉を選びながら口を開いた。

 

 

「アリッサはマグル生まれのスリザリン生だろう?それが知られるのに時間はかからなかったんだ。……別の寮から見ても、彼女に対し本当に酷く辛い虐めがあった。同じスリザリン生からのね」

「そうだったんだ……」

「ああ、俺やジェームズがスニベルスにした悪戯なんて可愛いものだと思うレベルのな」

 

 

スリザリン生の中にはマグル生まれを穢れた血だと嘲笑う者が少なくはない。スリザリン生は純血が多く結束が固く、異分子を嫌う。中には混血の者はいるのだが──穢れた血(マグル生まれ)のスリザリン生の存在を、ハリーは聞いたことが無かった。

 

 

「勿論彼女を擁護するスリザリン生もいないわけじゃなかった。ジャックとかな──だが、熾烈で陰湿な虐めは収まらなかったんだ。アリッサは、初めの一年はずっと図書館にいて大人しかったな。初めの一年は」

「あれも彼女の作戦の内だったんだろうね」

「……何があったの?」

 

 

『初めの一年』を強調するシリウスと、遠い目をするリーマスに、ハリーは虐められた少女が何をしでかしたのかと──何ができるのかと──怪訝な顔をした。

 

 

「簡単だ。決闘をした」

「アリッサは私が知る中で最も優秀な魔女で、頭の回転も群を抜いて速かった。いかに敵を手のひらで転がすかを熟知し、言葉巧みに決闘せざるを得ない状況にして──まぁ、あとは彼女の独壇場だったみたいだよ」

「俺たちも詳しく知っているわけじゃない。だが2年生になってからアリッサへの虐めが徐々に減り、関わるものは少なくなった。遠巻きにされていたのは確かだが、全く気にする様子もなく他の寮の友人を作っていたな。……一部の半純血のスリザリン生からは、憧れの存在でもあったらしい」

「……なるほど…」

 

 

ハリーはそういえばソフィアも、ロンやドラコに殴りかかる好戦的な部分もあり、さらにルイスと魔法の応戦を良くしていたと思い出した。そのやや喧嘩っ早い性格は母から受け継いでいたのか。

確かに憂いの篩で過去の光景を見た時に、「穢れた血」とリリーを侮辱したセブルスに向かってアリッサは強烈な右ストレートを決めていた。

 

 

「……凄い人だったんだね」

「ああ、今でも何故スリザリンだったのかとは思うが……」

「ある意味、スリザリン生が持つと言われている性質を彼女は持っていたんだと思うよ。目的のためなら手段を選ばないところとかね」

 

 

アリッサを懐かしみ目を細めるリーマスの言葉を聞きながらハリーは少し沈黙する。

それほど優秀で、賢かった魔女でもヴォルデモートに殺されたのだ。──何の力も持たない。ただ運と度胸、そして僅かな閃きだけで生き延びてきた自分に、果たしてヴォルデモートを殺す事なんて可能なのだろうか。

 

 

「んぅ……」

 

 

3人の間に沈黙が落ちた時、ソフィアが身じろぎをしてハリーに擦り寄る。小さな呻き声にハリー達は顔を見合わせ、誰からともなく笑い合った。

 

 

「──さて、バックビークにチキンをやってくるか」

 

 

シリウスは会話が途切れた事をきっかけに残っていたワインを一気に飲み干すとゆっくりと立ち上がり通りすがりにハリーの肩をぽん、と叩き自室へと向かった。

 

リーマスと共にシリウスを見送ったハリーは暖炉の揺れる炎へと目を移し、ぼんやりとアリッサやリリー、そしてシリウス達の学生時代の事を考えていた。

 

 

「ハリー」

 

 

数分は黙っていただろうか。リーマスは肘掛け椅子に預けていた背を起こすと見窄らしいコートの中から一通の封筒を取り出し、ハリーへと向けた。

 

 

「これは?」

「手紙だ。明後日の昼間に、君は大臣と会わなければならない」

「──え?」

 

 

ハリーは怪訝な顔をしながら封筒を受け取り、急いで封を切り中から手紙を取り出す。神経質そうなきっちりとした文字でありきたりな挨拶が長々が書かれ、最後の方に26日の昼間、漏れ鍋で面会を望むと書かれていた。会って何をするのかという詳しい内容は記載されず、ハリーは困惑しながらリーマスを見る。

 

 

「どうして僕が、魔法大臣に会うんだ?」

「勿論気が進まないなら、断る事もできる。けれど、行ったほうが後々のことを思うと良いだろうというのがダンブルドアの考えだ。勿論、護衛はつくし、10分程度の短時間だ。──ちなみに、護衛はジャックとシリウス」

「わかった、行くよ」

 

 

シリウスが護衛になる。──おそらく、シリウスが騎士団として初めて外に出る事ができる任務だ。それが自分の護衛なのが少々恥ずかしい気もするが、きっとシリウスは外に出たがるだろう。

ハリーはシリウスの名を聞いて二つ返事で頷き、手紙をしまうとポケットの中に突っ込んだ。

 

 

「──18歳の時に、私たちこの曲で踊ったの!あなた、覚えてらっしゃる?」

 

 

突如、バラードが終わった後、少しの余韻を残す穏やかな雰囲気の中、それを裂くようなモリーの叫びが響く。当時を思い出したモリーは感極まり涙ぐみながらアーサーを見た。

 

 

「んん?──ああ、そうだね。素晴らしい曲だ……」

 

 

肘掛け椅子に座り、みかんの皮を剥きながら夢の世界へ片足を突っ込みかけていたアーサーは、すぐに顔を上げにっこりと笑う。

 

 

「ふ、ぁ──寝ちゃってたわ……」

 

 

モリーの大声に目を覚ましたのはアーサーだけではなく。ソフィアもまた眠たげな目を擦り欠伸をしながら体を起こした。

離れてしまったソフィアとハリーの隙間に冷たい風が吹き、寒そうにぶるりと体を震わせたソフィアはハリーの体に身を寄せる。

体にかけられていた膝掛けに気付くと、ソフィアは嬉しそうにハリーに微笑みかけ、「これ、ありがとう」と言った。

 

眠気が覚めてしまったアーサーは気を取り直して背筋を伸ばし、同じように起きてしまったソフィアに顔を向ける。

 

 

「すまんね。起こしてしまったようだ」

 

 

アーサーはラジオの方を顎で指しながら言い、肩をすくめた。ソフィアは首を振り、「大丈夫ですよ」と笑いつつ、肩を押さえ首を回すアーサーを見てかなり疲れているようだと気付く。

 

 

「お仕事、忙しいんですか?」

「ああ。実績が上がっているのなら忙しくても構わんのだがね。ペティグリューの生存が公になったのはいいが、この二、三ヶ月の間に逮捕が三件だが本物の死喰い人がいるかどうかも怪しい。──ハリー、ソフィアこれは他言無用だよ?」

 

 

疲れと仕事が思うように進まない焦りと苛立ちからつい愚痴を吐いてしまったアーサーだったが、ソフィアとハリーの好奇の眼差しに目が覚めたように急いで付け加えた。

 

 

「勿論です」

「はい。──まだ、スタン・ジャンパイクは拘束されているんですか?」

「残念ながら。ダンブルドアがスタンのことでスクリムジョールに直接抗議しようとしたことは知っているんだが……まあ、実際にスタンの尋問をした者は皆、スタンが死喰い人ならこのみかんだってそうだという意見で一致する」

 

 

アーサーは自分の手の中にあった半分剥かれているみかんを少し掲げ、とんでもないことだとため息をついた。

 

 

「しかし、トップの連中は何か進展があると見せかけたい。三件逮捕と言えば、三件誤逮捕して釈放より聞こえがいい──くどいようだが、これは極秘だよ」

「何にも言いません」

 

 

ハリーは真剣な眼差しで頷き、それを見たアーサーは安心し表情を和らげる。誰かに愚痴を言ってしまいたくなるほど、今の上層部も自らの評価を気にするあまり腐敗していることに嘆き、憤っているのだ。

 

暫くハリーはラジオから流れるバラードを聞きながら考えを整理していた。魔法省は何か進展を望んでいるのならば、やはりドラコ・マルフォイについて調べてもらうのはどうだろうか?魔法省にコネクションがあったルシウス・マルフォイは死喰い人として逮捕されている。きっと新たな発見があれば世間は魔法省を見直すだろう。

 

 

「ウィーズリーおじさん。学校に出発するとき、僕が駅でお話ししたこと憶えていらっしゃいますね?」

「ハリー、調べてみたよ。私が出向いて、マルフォイ宅を捜索した。何も出てこなかった。まともな物も壊れた物も含めて、場違いな物は何も無かった」

「ええ、知ってます。日刊預言者新聞で、おじさんが捜索したことを読みました」

 

 

アーサーの声は優しい物だったが、「まだドラコ・マルフォイが死喰い人だなんて信じているのか」という呆れが含み、どこか子どもに言い聞かせる色が強かった。

ハリーは今朝シリウスにドラコとセブルスの会話を伝えたが、アーサーの言葉を聞く限りまだ騎士団に共通されていないのだとわかった。今日はまだ騎士団の会議が行われていない。大人達は酒をたくさん飲んでいるし、きっと近日中に騎士団で会議が開かれるのだろう。

数日後には知る事になる事だが、懐疑的なアーサーにも伝えようと口を開く。

 

 

「あの──」

「もしかして、ドラコの家には無いんじゃないかしら」

「──え?」

 

 

じっとハリーとアーサーの言葉に耳を傾けていたソフィアが、思いついたように呟く。

アーサーとハリー、そして密かに話を聞いていたリーマスの目がソフィアを見つめ、ソフィアは考え込むように顎に手を当てじっと蠢く暖炉の炎を見つめた。

 

 

「どういうこと?」

「アーサーさん。家宅捜索では一切の見落としは無いんですよね?」

「絶対に、あり得ない」

「……ドラコは、ボージン・アンド・バークスの店で何か、その店にある物と同じ物を修理したがってました。だけど持ってこれないからその方法を知りたいと。──家にあるとばかり思っていたけれど、家にある物を、ホグワーツにいるドラコが修理する事は出来ませんよね?」

 

 

ソフィアの言葉にアーサーとリーマスは渋い顔で黙り込み、ハリーは驚愕し目を瞬く。

──確かにそうだ。ソフィアの発想は思いつきにしては筋が通っている。あのマルフォイは自分で修理することにこだわっていた。もしマルフォイの家にあるのなら、家にいる母親に頼めば済むことだろう。持ってこれないのは、大きくて、ホグワーツにあるものだから?

 

 

「それだ!間違いない!」

「でも──それなら探すのはとっても難しいわ。ホグワーツに闇の魔法道具なんて置かれていない。ドラコは危険のないものを修理したがっているのよ。ホグワーツに危険なものなんてあったら、ダンブルドア先生が気づかないわけがないし……あの店でホグワーツに同じものなんてあったかしら……」

「修理したがっているとしてもだ。単なる魔法道具だろう?それが脅威になるとは思えない。未成年が何かを企んでいるなんて……」

「おじさん。僕はマルフォイがヴォルデモートの命令を受けてるって知ってるんです。シリウスには今朝伝えたんですが、実は──」

 

 

難しい顔をするアーサーとリーマスに、ハリーは立ち聞きしたセブルスとドラコの会話を伝えた。

 

 

「──多分、スネイプはマルフォイを援助するふりをして企みを聞き出そうとしているんだと思うんですが、うまくいってないみたいで」

「そんな事があったのか……」

 

 

ハリーが全てを言い切った後、アーサーはより難しい顔で黙り込んでしまった。確かにその会話を聞く限り、信じ難い事にドラコ・マルフォイがヴォルデモートからの命令で何かを企んでいるのは間違いなさそうだ。

しかし、リーマスはアーサーの表情とは異なり、どこか感心したような、意外そうな不思議な表情でハリーを見ていた。

 

 

「ハリー、君はセブルスを信じているのかい?」

「え?」

「いや、勿論それはいいことだ。──だが、今までの君ならセブルスが本当にドラコ・マルフォイを助けようとしていると疑うんじゃないかと思ってね」

 

 

リーマスは慌てて首を振り、早口で答える。ハリーは自分でも確かにそうだろうと──シリウスからも同じような事を言われたばかりであり、それほど自分らしくない言葉だろうか、と肩をすくめた。

 

 

「勿論、その可能性も考えました。去年は色々──あったし──それに、スネイプは騎士団員で、ダンブルドアはスネイプを信じてるし、みんなも信じてる。そうでしょ?」

「そうだね。──私は、今のセブルスを信じているし、今のセブルスは信じられる」

 

 

リーマスは微かに微笑み、目を細めた。

セブルスが死喰い人であった事は事実であり、騎士団員としてこちら側についたときリーマスは「セブルスを信じるというダンブルドアの判断は間違っている」と思った。リーマスだけではなく、騎士団員の殆ど全員がセブルスに対し懐疑的であり、死喰い人からのスパイだと考えいつ裏切るのかと目を光らせていた。

しかし、彼はダンブルドアからの任務を淡々とこなし、死喰い人側の情報を流出させ何人もの騎士団員や闇祓いの命を救ったのは事実だ。──そして、ヴォルデモートが奇跡の子、ハリーによりその姿を消すこととなった。

ヴォルデモートを見限ってこちら側につき、アズカバン行きを逃れるためだったのだろうと当時リーマスは考えていたが、3年前、ホグワーツで働く前にセブルスの妻がアリッサである事を知らされ、ソフィアとルイスを連れて現れた時──初めて本当に彼はこちら側の人間なのだと信じる事が出来た。

もし、ソフィアがスリザリン生であり、ハリー達と何の関係も築いていなければまだ疑いの目で見ていただろう。

()()()()()()()()()()()()。セブルスにとって命に換えても護りたい存在がここにいる事が、セブルスへの信頼を確実なものにした。

勿論その事を知っているのはごく僅かであり、騎士団員の中には未だに──とくに、シリウスだ──セブルスが内通者だと疑っている者もいるが。

 

リーマスはふと、セブルスのもう一人の大切な存在であるルイスの事を考えた。ルイスはドラコ・マルフォイの親友だと言う。そのルイスをドラコのそばに置き続けているのは何故なのだろうか。

疑問が湧いて出たが、今この場でルイスの名前を口にするのは不自然であり、リーマスは次に会った時には、答えてくれるかどうかは別として一度聞かねばならない事だと考えた。

 

 

「この話をダンブルドアにも伝えようとしているのかな?」

「うん、そのつもりだけど、もうスネイプが伝えてるかな?」

「そうだろうね。セブルスはダンブルドアの命を受けてドラコに質問したのかもしれない」

「うーん……言うタイミングがあったら、言ってみるよ」

 

 

ハリーがそう言った直後、ラジオから大音量で流れていた歌声が終わり割れるような拍手が聞こえてきた。モリーも感極まりながらラジオに向かって拍手していたが、この中で歌手の歌声を真面目に聴いていたのは彼女だけであり、彼女以外は「やっと終わったのか」と言いたげな目でラジオを見た。

 

 

「ハリー。ソフィアの言うようにホグワーツに何かあるのかもしれない。片割れがある可能性が高いボージン・アンド・バークス店を捜査出来ないか調べてみるよ。──さて、寝る前にエッグノックでも飲もうかな。モリー、エッグノックを頼めるかな?」

 

 

アーサーは立ち上がり、ハリーにぱちりとウインクをしながらラジオを操作し新たな歌手の歌声を聴こうと思っていたモリーの腰に腕を回しやんわりとそれを止め、厨房へと向かった。

 

 

「私はもう寝るわ、おやすみなさいハリー」

「うん、おやすみ。──あ、送って行くよ」

 

 

ソフィアはぐっと腕を伸ばしそのまま大きな欠伸を噛み殺して立ち上がる。

わざわざ送ってもらわなくともいいのだが、ハリーの目に期待が込められているのを見たソフィアはその意図が何となくわかってしまい、少々気恥ずかしかったがそれでも笑って頷いた。

 

 

ソフィアとハリーは歓談する皆の脇を通り過ぎ、広間から出る。暖炉の火で温められていた広間とは異なり2階へと続く廊下は寒く、ソフィアは身を縮こまらせハリーにぴたりとくっついた。

 

 

「なかなか二人きりになれないね」

「そうね……残念だわ」

 

 

女子達が使っている寝室の前で立ち止まり、ハリーは心の底から残念そうに言いながらソフィアのさらさらとした黒髪を撫で、そのまま頬に手を伸ばした。少しその手の動きがくすぐったくてソフィアはくすくすと笑いながら、誘われるままにハリーの首元に手を回し目を閉じた。

 

 

 

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