【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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366 結ぶ鎖

 

 

 

痛いほどの沈黙が病室に落ちる。

誰も何も言えず、ソフィアを見つめていた。ロンとジニーは目と口を大きく開き、ハリーとソフィアの間で視線を激しく動かしていた。

 

ハリーはひくりと喉を震わせ「そんな馬鹿な事、言わないでくれ」と渇いた声で吐き捨てる。

しかし、ソフィアは挑戦的な目で──どこか辛そうにハリーを見ながら胸に手を当てきっぱりと言い切った。

 

 

「本当よ。私はセブルス・スネイプの娘よ!マクゴナガル先生とリーマス、それにマダム・ポンフリーも、ハーマイオニーも証明してくれるわ!」

「そんな──」

 

 

ハリーは愕然としてマクゴナガルを見た。マクゴナガルはただ苦い表情でじっとハリーを見て小さく頷いた。その瞳が嘘をついているわけでも、ソフィアの妄言に口裏を合わせているわけでもないとわかると、ハリーは心臓を握り潰されたのではないかと思ったほどの衝撃と痛みを感じた。

 

 

「僕──僕に、なんで──なんで言ってくれなかったんだ!」

「言えなかったの!それが、ダンブルドア先生との約束だったのよ、私がホグワーツで過ごすには父様との関係を秘密にしなければならないって、そう入学する時に約束したの!」

「そんな──でも──」

「それに、私は言ったわハリー!どうしても卒業まで言えない秘密があるって、父様の事は言えないんだって!」

 

 

ソフィアの叫びにハリーはソフィアを見つめたままゆるく首を振り、一歩後ろに下がった。

 

 

ソフィアはあのスネイプの娘だった?そんな、黙っていた?スネイプに虐げられる僕を見て、彼と嘲笑っていたのか?それは当然の事だと裏で言っていたのか?あんなに優しくしてくれたのは──全部嘘だったのか?

 

耐え難い苦痛だった。体と心がばらばらに砕け散るほどの衝撃、獰猛な獣が体の奥で叫び狂い、同時に哀れな畜生となり丸まっているような、そんなチグハグな感情に支配されたハリーは、わけもわからず叫んだ。

 

 

「ソフィア、君まで──僕を裏切るのか!」

 

 

絶望が漂うその叫びに、ソフィアはひゅっと息を飲み、大きく目を見開くと身体を硬直させた。

 

 

「そんな、裏切るだなんて──」

「落ち着きなさいソフィア。ハリー、あなたもです!」

 

 

自身が持つ感情をぶつけ合い大声を出すソフィアとハリーの間にマクゴナガルが立ち2人を離した。それでもソフィアとハリーは互いに傷ついた表情をしながら睨み合っていたが、ついにハリーは視線を逸らし、ぐしゃぐしゃと髪を掻き乱した。

 

 

「落ち着きなさい、ハリー。ソフィアの言っていることは事実です。ソフィアとルイスはセブルスの子どもである事は間違いありません、だからこそ──」

「ああ、だからか!だから、ルイスは──何でなのかわからなかった、もとからそのつもりだったんだ、死喰い人だったんだ!は、はははっ!」

 

 

ハリーは何故か笑っていた。何も面白いことはない、ただ、乾いた笑いが胸の奥から込み上げてきたのだ。

 

簡単なことだ。ルイスはスネイプの息子だから、僕たちを裏切った。いや、初めからヴォルデモート側だったんだ。

 

 

「違う!」

 

 

大きく叫んだのはソフィアでは無かった。

ハリーに言い返そうとしていたソフィアは言葉を止めて叫んだ人──ドラコを振り返る。

 

 

「違う、ルイスは死喰い人じゃない。死喰い人なのは、僕だ」

 

 

ドラコは苦しげに言い、左腕の袖をたくし上げた。青白い皮膚の下には紛れもなく死喰い人の証が刻まれていて、それを見たマクゴナガル達は表情を強張らせる。

 

全員からの視線受けたドラコは僅かにたじろいだが、ぐっと拳を握り、必死な表情で口を開いた。

 

 

「たしかに、僕とルイスはダンブルドアを殺そうとした。ここに死喰い人を招き入れた」

「何故そんな、ひどく罪深い──恐ろしいことをしたのですか」

 

 

マクゴナガルが硬い声で問いかける。ハリーとソフィアは体の内に籠る感情を抑えられず、荒い呼吸をしながらドラコを睨んだ。

ドラコは数回呼吸し、息を整えてから全てを懺悔する覚悟を決めた。──ルイスの願いなのだ、今まで支えてくれたルイスを、悲しませたくない。それに、今更どう弁解してもポッターは天文台の塔にいた、全て知られている。

 

 

「……一年前、あの人から命じられた。父上の神秘部での失態を僕が拭わねばならないと。ダンブルドアを殺せなければ、父上と母上を殺してから、僕を殺すと言われた」

「ダンブルドアを殺すくらいなら、そうなれば良かったんだ」

 

 

ロンが心底軽蔑した視線を向け憎々しげに呟く。しかし、他の面々は──大人達は複雑な表情をしていた。それはヴォルデモートの常套手段なのだ、人の命を掌握し、相手に逆らえないようにするのは。

過去の戦争でも、家族や恋人を人質に取られヴォルデモートや死喰い人が命じるままに他者を呪い、裏切らなければならなかった者は多い。誰だって見知らぬ他人と大切な人を天秤にかけた時、どうしても心は揺らぎ視界は陰る。全ての人が、尊い犠牲となり正しい行動を出来るとは限らないのだ。

 

 

「僕は、ルイスに相談した。ルイスは──ダンブルドアに、全てを話して助けてもらおうと言った。僕もルイスに説得されて……はじめは、そのつもりだった。人の命なんて奪えない!僕には、そんな恐ろしいこと……」

 

 

今にも泣き出しそうに声を震わせるドラコに、ハリーは数日前、ドラコが隠し部屋で泣いていた事や塔の上でダンブルドアに説得され杖を下ろした事を思い出し──少しだけ、冷静さを取り戻した。

 

 

「当然、すぐにダンブルドアの元へ行くのは無理だとわかっていた。学校が始まってすぐに、言おうと話し合った。だが、その前に……母上が、スネイプ先生と破れぬ誓いを行った」

「誓い……でも、それはドラコを護る事でしょう?ジャックがそう言ってたわ!」

「……それは全てじゃない。誓いの内容は……僕を見守る事、僕を危害から護る事、そして──僕があの人から受けた任務を失敗しそうになったら、代わりに遂行する事だ」

「そんな!じゃあ……じゃあ──」

 

 

ソフィアは叫び、声を震わせた。その誓いはダンブルドアとセブルス、どちらか一方しか生きられぬ事を示していたのだ。

 

 

「母上は、スネイプ先生を疑っていた。スネイプ先生も、疑われていると知っていた。疑いを晴らすには、そうするしかなかった」

「そんな、だからといって……どうしてそんな誓いを?」

 

 

ドラコは沈痛な面持ちと、暗い目でソフィアをじっと見る。ソフィアはその視線に狼狽えた。唐突に理解したのだ。──私は、何かを()()()()()()()と。

 

 

「わからないのか、ソフィア。母上は君が思うほど、他者に優しくはない。スネイプ先生が誓ったのは……君のためだ」

「わ……私?」

「ああ、君と、ルイスを生かすために、スネイプ先生は母上と誓いを結ばなければならなかった」

 

 

ソフィアは混乱しながらドラコの苦痛に耐えるかのように歪んだ顔を見続けた。

その目は何かを訴えている、言い難い大きなことを。

 

 

私とルイスを生かすため?ダンブルドア先生を殺す方が、よっぽど事態は悪くなるわ、だって、それをするとヴォルデモートを抑えられる人がいなくなってしまう。予言されたのはハリーだといえ、ダンブルドア先生は魔法界の光だった。そんな人を殺すなんて裏切りだと思われてしまう。それでも、父様は誓わなければならなかった?私たちのために、私たちを助けるため……ナルシッサさんは、優しくない、なんて──?

 

 

そこまで考え、ソフィアはようやく──全てが終わった後で理解し、脳の奥が痺れるような感覚を味わい、呆然と囁いた。

 

 

「ナルシッサさんは、私の父様が……だ──誰かを知っている……」

「……そうだ」

「私──私が、グリフィンドール生で、騎士団の中にいたから……あ……あああーっ!!」

 

 

ソフィアはつん裂くような悲鳴を上げその場に崩れ落ちた。顔を手で覆いがたがたと震えて泣くソフィアに、ハーマイオニーは涙を流しながら駆け寄り抱きしめる。

賢いハーマイオニーも、その意味がようやくわかった。いや、ハーマイオニーだけではない、大人達も理解していた。まだ訳が分からず戸惑っていたのはロンとハリーとジニーだけだろう。

 

 

「どういう事?」

 

 

自分だけがわかっていない事の不満と不安から、ハリーが答えを求めるためにシリウスを見た。しかしシリウスは困惑し険しい表情をしたままソフィアを睨んでいるだけで何も答えない。焦ったくなりリーマスを見れば、リーマスは泣き崩れたソフィアを見下ろしたまま苦い表情で口を開いた。

 

 

「……マルフォイの母親は、ソフィアの父がセブルスであると知っていたんだ。その秘密はヴォルデモート側に潜入するセブルスの唯一の──弱点だった。それがヴォルデモートに知られたなら、どうなるのかは……明らかだろう」

 

 

内通者であるセブルスの唯一の弱点は、ソフィアとルイスの存在だった。

子どもを人質に取られるという単純な話ではなく。ソフィアとルイスの母親はリリーの姉、()()()()()()()アリッサでありヴォルデモートに殺されている。

さらに、ソフィアは騎士団に護られるグリフィンドール生であり、ヴォルデモートと因縁が深いハリーの恋人なのだ。

ナルシッサは、ソフィアとルイスの母が誰なのかは知らなかった。それだけはセブルスもジャックも伝えず秘密にしていた。だからこそナルシッサはセブルスが本当にヴォルデモートへ忠誠を誓っているのか、内通者なのか判断が出来なかったのだ。

もし、2人の母が──セブルスの妻が誰かを知っていれば、ナルシッサはすぐにセブルスは裏切り者であるとヴォルデモートに進言しただろう。

 

 

ナルシッサは、セブルスが拒絶できないと考え、尚且つ彼の行動を縛るために──ドラコを護り、ヴォルデモートからの許しを得るためにソフィアとルイスを人質にした。

 

 

「そんな、酷い……」

「……親は、子を守るためならばどんな非道な事でもできる修羅となるのです。ナルシッサ・マルフォイもまた、必死だったのでしょう」

 

 

ジニーの恐々とした呟きに、マクゴナガルは静かに伝えた。擁護は出来ないが、何とか家族を──愛する者を護りたい、その思いは理解できる。頼り、救いの手を伸ばす事はナルシッサの立場上、不可能だったのだろう。

 

セブルスも、ナルシッサも、ただ自分の大切な者を護りたかっただけだ。その方法は歪み許されるものではないかもしれない。そうさせているのは──ヴォルデモートの存在だ。

 

 

ドラコは一段と泣きそうに顔を顰めた。

母のしたことは酷いことだ、しかし、ドラコにはそれを責めることはできなかった。わかっているからだ、自分を生かそうと必死だったのだと。

 

 

「スネイプ先生は母上に、ソフィアはスパイであると説明したようだが……母上はソフィアの性格を知っている。本当だと信じられず、その言葉を信じるために……スネイプ先生が本当にあの人に忠実なのだと確かめるために、誓いを結んだ。

誓いが結ばれた後……ダンブルドアに言ったところでどちらかが死ぬのは確定している。ならば、ダンブルドアを殺そうと──そうしなければ、スネイプ先生の疑いは晴れず、ソフィアを護ることが出来ないとルイスは言っていた。……僕がダンブルドアを殺すはずだった、だが、どうしても──出来なくて──その時、ルイスが……僕に硬直魔法を放ち、隠した。僕に、騎士団の元へ行けと、全てを話し罪を償えと、そう言って──」

 

 

ドラコは言葉を詰まらせた。

──今ならわかる。なぜルイスが僕を騎士団の庇護下に置きたかったのか。

 

 

「ルイスは、僕の代わりに、ダンブルドアを殺す選択をした。ダンブルドアを殺さなければ、スネイプ先生が死ぬからだ。……ダンブルドアは、抵抗することなくそれを受け入れた。ルイスの父を救うには、自分が死ぬしかないとわかっているようだった。いや……それだけじゃない。母上とスネイプ先生のしがらみも知っていた」

「何?そんな──ダンブルドアは、知っていたのか?ハリー、本当か?」

 

 

シリウスは困惑しながらハリーに聞く。ハリーは天文台の塔で彼らが話していた事を思い出しながら、小さく頷いた。

 

 

「……うん、こうなるだろうってわかっていたって……そう言ってた……」

 

 

天文台の塔では、衝撃と強い不安から目の前のことを受け入れるだけで精一杯であり、理解できていなかった。

しかし、冷静になりあの辛い時間を静かに反芻してみれば、確かにダンブルドアは全てわかっていたような気がする。──ハリーは、そう思い、拳をギュッと握った。

 

 

「今ならその言葉の意味がわかる。スネイプ先生は母上との誓いの内容を、全てダンブルドアに話していたんだろう。その上で、2人は覚悟をしたんだ。ダンブルドアは死ぬ覚悟を、スネイプ先生は裏切り者だと指差される覚悟を」

「……ダンブルドアは──セブルスを生かすために、死を選んだ?」

 

 

リーマスが掠れた声で呟き、彼らの中に沈黙が落ちる。

ソフィアはもう泣き止んでいたが、次々と明かされる強い願いとそれぞれの思惑に、顔を蒼白にしハーマイオニーに縋りついていた。

 

どれだけ自分が無知だったか、どれだけ護られていたのか、その事実はソフィアの胸を強く締め付けた。

 

 

「多分、そうだろう。それに……ダンブルドアは、母上にとってソフィアの秘密がスネイプ先生への武器であるように、騎士団員にとって、ソフィアの秘密は互いを結ぶ唯一の鎖なのだと言っていた」

「そんな、まさか!ダンブルドアは騙されたんじゃないのか?本当に裏切って、ソフィアを見捨てるつもりで──」

「シリウス、それはない。私は、セブルスが本当にソフィアを大切にしていると知っている。三年前、とても調合が難しい脱狼薬を毎月私の元に届けにきたのは……ソフィアとルイスがいたからだ。自分の子どもが通うホグワーツに人狼がいる。出所のわからない薬を信用できなかったんだろうね。私も当初は急にヴォルデモートを身限り裏切ったセブルスを信じられなかった、スパイだと思っていたよ。けれど……アリッサが妻であるという事実を知り、セブルスが心から大切に思うソフィアとルイスの存在が──そして、セブルスに愛情を向ける2人の目を見た時、私はセブルスを信頼できるようになった」

 

 

シリウスはリーマスの言葉を聞いてもまだセブルスを信じる事が出来なかった。学生時代から互いに憎み合っていているのだ、今更すんなりと認める事など不可能だろう。

 

 

「そうです。私も、セブルスのソフィアとルイスへの想いを知っています。だからこそ、セブルスが騎士団を裏切るわけがありません。もし、万が一裏切るつもりならば、ソフィアは今ここにいないでしょう。──ソフィアは間違いなく、ダンブルドアが言ったようにセブルスと我々を繋ぐ鎖です」

「リーマス……マクゴナガル先生……」

 

 

ソフィアは再び泣きそうに顔を歪めたが、すぐに唇を強く結び目元を擦る。もう子どものように嘆く暇は無い。何があったのかを明らかにし、そしてなるべく早くセブルスとコンタクトを取らなければならない。

 

 

父様とルイスが裏切ってないのなら、何を嘆く事があるのだろうか?ダンブルドア先生は死んでしまった、それは大きな打撃だと思った。──しかし、ダンブルドア先生は、父様が死ぬ事よりも自分が死ぬことを選んだ。彼らの中の秘めた約束だったのだ、きっとそれには大きな意味があったのだろう。

 

ならば、亡きダンブルドアのために、何も言わず愚かに奮闘した兄のために、護りたいと汚名を被ろうとしている父のために、全てを白日の元に曝け出し、手を取り合わなければならない。

 

 

「ドラコ、いま父様とルイスはどこにいるの?」

「……塔に死喰い人がやってくる前に……ルイスは、ポリジュース薬で僕の姿に変わった。スネイプ先生がダンブルドアを殺した後、みんな出て行ってしまって……」

「ルイスは、スネイプに逃がされてた。でも、どこに行ったのかは……死喰い人の所だと思うけど」

「ドラコの姿になって?」

 

 

ソフィアはルイスが死喰い人達と行動していると知るととても不安だったが、少なくともセブルスがそばにいるのなら危険な目に遭うことはないだろうと必死に自分に言い聞かせた。

ルイスがセブルス(父親)に黙って死喰い人達と過ごすとは考えられない。おそらく、全て伝えているだろう、ルイスがドラコに変わらなければならなかった理由があったはずだ。

顎に手を当て、ドラコを真剣な目で見つめながら考え込むソフィアに、ハリーやロン達はちらりと視線を交わした。

 

 

「どうしてそんなことを?ルイスは、何か言ってた?」

「……僕たちが助かるには、僕があの人の元に行き、同時に、騎士団の保護下にいなければならなかった。と……」

「同時に?……ああ──成程、今度はルイスがナルシッサさんを縛るのね。ナルシッサさんにとってドラコの生存がヴォルデモートの忠義よりも厚いと……裏切るとルイスは思ってるのね」

「ああ……そうだろうな」

「それなら、ナルシッサさんとドラコを会わせないといけない。ルイスもきっとそれを望んでる。ドラコの無事を確認できないと、ナルシッサさんはこちら側につかないわ」

 

 

どうすれば誰にも気づかれず、死喰い人のところにいるルイスやナルシッサと連絡を取れるだろうか?

セブルスを介して連絡を取るのは難しいだろう。きっと、セブルスとはしばらく会うことは出来ない。彼はスパイであり続けるために、不死鳥の騎士団を裏切ったと思われているのだから。

 

 

「……本当に……スネイプは裏切ってないのか?」

 

 

次々と出てきた衝撃の事実と、ソフィアの存在がここにあるだけでスネイプは味方であり、ダンブルドアと共謀してスパイを続けている。ということが前提になって話が進みかけたが、ハリーはまだ全て信じられずぽつりと呟いた。

 

ハリーの呟きに、皆がハリーを見つめる。

ソフィアとセブルスの関係を昔から知っている者達は、ソフィアがここにいること、そしてルイスがドラコを残して行ってしまった事や──何よりダンブルドアが遺した言葉を考えセブルスは裏切っていないと確信している。

しかし、関係を知らなかったロンとジニーは複雑な表情で黙り込み、シリウスは顔中に不満を表していた。

 

 

「私がここにいて、ルイスがドラコをここに置いた。それが何よりもの証明だわ。──それに、母様と兄様はヴォルデモートに殺された。まだ、父様は母様を過去に出来てないの。ヴォルデモートに忠誠を誓うなんて、ありえないわ」

「……本当に、スネイプは……君の父親なんだね」

 

 

ソフィアはハリーに向き合い、一度大きく息を吸って吐き出し、悲しげな目で同じ色に揺れる目を見つめた。

 

 

「ええ、そうよ。……ごめんなさい、今まで言えなくて。……あなたと恋人になる前に、言うべきだったわ」

 

 

ソフィアの目から一雫だけ涙がこぼれ頬を伝い流れた。

ソフィアはすぐにハリーから視線を逸らし、これからどうすればいいか話し合おうとマクゴナガルの元へと向かう。

今、ソフィアは自分とハリーの間に大きな溝ができてしまったと感じていた。しかし、それを修復するよりもしなければならないことや頭を悩まさなければならないことが山ほどある。

自分と、ハリーの恋愛事情など考えている場合ではない──ソフィアは泣き叫びたくなるほどの胸の痛みに目を逸らした。

 

 

 

ハリーは黒く美しいソフィアの髪を見つめながら、先ほどまで胸の奥で暴れていた強い感情が収まっていることに気づいた。

 

本当に、騙すつもりでは無かったのかもしれない。ダンブルドアとの約束ならば、言えなかったのだろう。怒りや悲しみはもう通り越した。ただ──そう、虚しいだけだ。

 

 

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