【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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37 私ののぞみは何なの!?

 

 

翌朝、ソフィアとルイスは他の生徒にバレないようこっそりと研究室から抜け出し──クリスマス休暇にわざわざセブルスの研究室を訪れる者はまず居ないだろうが──朝食を取るため大広間へ向かっていた。

 

 

「ソフィア!ルイス!聞いてよ!昨日すごい鏡を見つけたんだ!」

 

 

2人を見つけたハリーはすぐに駆け寄ると夢に浮かされたようなぼんやりとした目で、興奮しながら昨夜何を見たのかを教えた。

 

 

「へえ?ハリーのご両親かー!僕も会ってみたいな!」

「2人とも見に来る?今晩もいくつもりなんだ!」

「ええ、是非!でも、その透明マントだっけ?…4人もはいれるかしら」

 

 

ソフィアは3人をまじまじと見ながら伝えた。ハリーとロンは顔を見合わせ、少し考えたもののすぐに頷く。

 

 

「大丈夫だと思うよ」

「ルイスもソフィアも小さいしね!」

 

 

密かに2人が気にしていた事を背の高いロンに言われ、ソフィアとルイスは少し怒ったように眉を吊り上げそっぽを向いた。

 

 

夜グリフィンドール塔の側で待ち合わせたルイスと共に4人はこっそりと夜の廊下を進んだ、流石に4人でマントを着るのは難しく、かなりのろのろ歩きになってしまい、なかなか目当ての部屋が見つからずロンは寒さにぶつぶつと文句を言っていた。

 

 

「凍えちゃうよ、もうあきらめて帰ろうよ」

「嫌だ!この辺りのはずなんだ…あっ!ここ…ここだ、そう、…ここだ!」 

 

 

ハリーは漸く目当ての部屋を見つけ、さっと扉を開ける。マントを素早く脱ぐとハリーは一目散に中央に立つ鏡の元へと向かった。

 

 

「ほら、ねっ?」 

 

 

ハリーの笑顔に、ロンとソフィア、ルイスは顔を見合わせハリーの隣に立ったが、ハリーが言うように家族は見えなかった。

 

 

「何も見えないよ」

「ほら!みんなを見てよ、…たくさんいるでしょ?」

「うーん、僕しかうつってない…ソフィアとルイスはどう?」

 

 

ロンは困ったようにソフィアとルイスを見たが、2人とも同じような困り顔で首を振った。

 

 

「私も見えないわ」

「僕もだよ」

「ちゃんと見てごらんよ!ほら、僕の隣に立って!」

 

 

ハリーが脇に移動し、ロンを前に押しやった。ロンは怪訝そうな顔で鑑をじっと見ていたが、突然ぽかんとした表情にかわり食い入るように鏡を見つめる。

 

「僕を見て!」

「家族みんなが、囲んでいるのが見えた?」

「ううん、僕1人だ…でも僕じゃないみたい…もっと年上にみえる…僕、主席だ!ビルがつけていたようなバッチをつけている…最優秀寮杯と…クィディッチ優勝カップを持ってる!…僕、クィディッチのキャプテンなんだ!…ソフィアとルイスも見てごらんよ!」

「え、ええ…わかったわ」

 

 

興奮するロンに押しやられ、2人が揃って鏡の前に立った。

 

暫く、ルイスには何の変化もない、ただソフィアが隣にいるだけに見えた。

しかしその後ろから父が現れ、ルイスは抜け出しているのがバレたのかと慌てて後ろを振り返った。しかし、背後には興奮状態のロンと、どこか縋るような目で鏡を見つめるハリーしかいない。

 

 

「…僕には…ソフィアと…父様が写って見える…。ソフィア、君は?……?…ソフィア?」

 

 

ソフィアは先ほどのロンと同じように食い入るように鏡を見ていた。

驚きに目を見開き、そして信じられないのか口を抑えている。ロンとハリーと異なる事といえば、その目には戸惑いが含まれていた。

 

 

「私…私、家族が…見える…私の…父様と…母様と…」

 

 

ソフィアはそこで言葉を区切り、ルイスを見た。そしてもう一度鏡を見て、何かを振り払うように激しく首を振り鏡の前から離れた。

 

 

「この鏡は未来を見せてくれるのかなぁ?」

「いや、そんな筈ないよ…僕の家族はみんな死んじゃったもの…ルイスとソフィアもそうでしょ?もう一度僕に見せて…」

「君は昨日独り占めにしたじゃないか!もう少し僕に見せてよ!」

 

 

ロンとハリーが鏡の前を取り合うのを、ソフィアとルイスは少し離れた場所で見ていた。ソフィアは、そっとルイスの手をとり強く繋いだ。その手は僅かに、震えている。

 

ルイスはきっと亡くなった母を見て狼狽えているのだろうと思い、優しくその手を握り返した。

 

 

ソフィアは、何も言わずじっと鏡を遠くから見つめる。

 

 

ソフィアが見たのは自分を囲むようにして、優しく微笑みながら寄り添う母と、その隣に立つ父、隣にはルイスがいた。

そして、もう1人、見覚えのない少年が、母と父の隣に立って優しくソフィアを見つめていた。

 

突如、外の廊下で物音がした、ハリーとロンはどれほどの大声で討論をしているか、気がつかなかった。慌てて4人はマントを被り、身を縮こまらせた。

 

扉の向こうから蛍のように目を光らせ、ミセス・ノリスが静かに部屋の中に入ってきた。暫くミセス・ノリスはゆっくりと部屋を見渡し、部屋の中をぐるりと一周すると尻尾を揺らめかせながらまた廊下へと戻っていった。

 

 

「今日はもう戻った方がいいわ」

「そうだね、フィルチのところに行ったかもしれない…さあ、戻ろう」

 

 

まだここに留まっていたかったハリーを無理矢理ロンは引っ張り、4人はそろそろと部屋から抜け出した。

 

 

 

ソフィアはベッドの上で先ほど見た光景を思い出していた。

さっきの光景は何だったのだろうか。それに、あの鏡は何を写す鏡なのだろう。

ハリーは、家族が見えた。

ロンは、素晴らしい将来の自分が見えた。

ルイスは、父様と私が見えた。

私は、家族と、見知らぬ少年が見えた。

 

──その共通項は、なんだろう。

 

 

いくら考えても分からず、ソフィアは寝返りを何度もうちながら目を閉じた。

 

脳裏に浮かぶのは、黒髪と、黒い目を持つ、自分より背の高い年上らしき少年だった。

見覚えは無い、もしかして将来の恋人とかだろうか?いや、それならあの少年だけが写ってもいいはず、なぜ家族の中に…家族のように混ざっていたのだろうか。

 

 

次の日の朝、ソフィアは眠たい目を擦りながら談話室へ向かった、そこにはぼんやりとした表情のハリーと、心配そうにハリーを見るロンがいた。

 

 

「おはよう」

「おはよう、ソフィア。…あ!ハリー、ソフィアがきたよ、朝ごはんを食べに行こう?」

「行かない、お腹減ってないんだ」

「…今日は何する?チェスでもする?」

「…しない、ソフィアとすれば?」

 

 

ロンとソフィアは顔を見合わせる、ロンはため息をつき首を振った。

 

 

「さっきからこの調子なんだよ…」

 

 

ソフィアはぼんやりと暖炉の火を見つめるハリーの肩をそっと叩いて隣に座った。

 

 

「私と競技場で…箒に乗らない?」

「…ううん、そんな気分じゃないんだ…」

 

 

ソフィアはまさか、箒に乗る事も拒否されるとは思わず驚きに目を見開いた。ハリーが最も好きで興味があることでも気がひけないなんて、一体何があったのだろうか。

 

 

「…重症ね」

「…ハリー、あの鏡の事を考えてるんだろう。今日は行かない方がいいよ」

「どうして?」

「わかんないけど、なんだかあの鏡…嫌な予感がするんだ。それに、フィルチもスネイプもミセス・ノリスもうろうろしているよ。今度こそ見つかるよ!もし君がぶつかったらどうする?」

「そうよ、ハリー、今日あなたおかしいわ…大人しくしておいた方がいいわ」

「君たち、ハーマイオニーみたいな事をいうね」

「本当に、心配しているんだよ」

「ハリー…いっちゃだめよ」

 

 

ソフィアとロンは必死にハリーを説得しようとしたが、ハリーは頷く事も首を振る事もなく、ただじっと揺らめいている炎を見ていた。

 

ソフィアも、本音を言えばあの鏡の前に立ち、もう一度よく少年を見たかった。はじめは動揺して見覚えのない知らない人だと思ったが、よく考えれば微かに、見覚えがある気がした。

どこで出会ったのかはわからない、ただ、あの目に見覚えがあったのだ。

 

 

ソフィアとロンは梃子でも動こうとしないハリーを大広間に連れて行くのを諦め、2人で大広間に向かった。何かサンドイッチでも持っていってあげようと話し、大広間の入り口で待っていたルイスと共に席に着く。

 

 

「ハリーは?」

「なんか、変なんだ、多分あの鏡を見てから…僕、嫌な予感がするんだ」

「んー…あの鏡は何を写していたんだろうね…」

「さあ…何なのかしら、でも、私も…もう行かない方がいいと思うわ」

 

 

ソフィアは自分に言い聞かせるように呟いた。

そして、ふと上座にいる教師達をなんとなく見た。その中にいるセブルス──父を見ていると、視線に気付いたのかセブルスはなんだと言うようにソフィアを見返す。

 

 

「──あっ!」

 

 

ソフィアは小さく悲鳴を上げた。

 

 

「どうしたの?」

 

ルイスとロンが不思議そうに自分を見ている事に気付き、ソフィアは慌てて首を振り目の前にあったトーストを手に取り誤魔化した。

 

 

「ううん、何でもないの。…なんでも」

 

 

あの少年の目をどこで見たのか、ソフィアは気がついた。

 

 

──父様の目に、そっくりだわ…。

 

 

ソフィアはこの話を、誰にも──ルイスにも言う事が出来なかった。何故だか分からない、言ってはならないような気がしたのだった。

 

 

 

 

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