【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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377 告白!

 

 

セブルスが去った数分後、外で何かが動き回る音がした。すぐにリーマスとシリウスが扉から飛び出す。ソフィアも後に続こうと思ったが、治療されたとはいえ体力は完全には回復していない。すぐによろめき──すかさず、ハリーが肩を支えた。

 

 

「ソフィアは、ジニーとここにいて」

「でも……」

「死にそうな怪我だったんだ!ゆっくり休まないと。僕達が見にいくから、いいね?」

 

 

子どもに言い聞かせるように言われた言葉に、ソフィアはぐっと唇を噛み辛そうな表情で頷く。

少しの傷で──ソフィアは自身が死にそうになっていたと聞いても実感がわかなかった──動けなくなってしまう自分が歯痒く、もどかしかったのだ。

 

 

ハリーに変わりジニーがソフィアを支え、ゆっくりと居間のソファまで連れていく。ソフィアはソファを見下ろし、ぎょっと目を見開く。そこに大量の赤黒い染みが付着していることに気づいた。

 

 

「これは……」

「あなたの血よ」

「私の……?」

「そうよ、ソフィア。本当に……死ぬんじゃないかと思ったわ」

 

 

血溜まりを見て呆然とするソフィアにジニーは低い声で恐々と言いながら体を震わせる。ジョージもまた真剣な顔で何度も頷いた。

 

 

「あの時、スネイプが来てなかったら……30分も保たなかったかもしれないな」

「そんなに……?」

 

 

ジョージは杖を一振りし、ソファについた赤黒い血を清めた。ソファの汚れは綺麗になったが、申し訳なさからソフィアは項垂れ気まずそうにそっと腰掛けた。

 

確かに頭がぼんやりとし、ひどく疲れている。それに背中は引き攣れたように痛むが、動けないほどではない。ハリーが大袈裟なのだろうと思ったが──ジニー達の表情を見る限り、本当に命の危機に瀕していたのかもしれない。

心配そうに外の様子を窓から見ていたモリーはソフィアの元に近づき、彼女の前で視線を合わせるためにしゃがみ込み白い手を握った。

 

 

「あなたは大怪我をしていたのに、ジョージの怪我を治してくれたの……本当にありがとう」

「片耳無しじゃあバランスが取れないところだったぜ、ありがとなソフィア」

 

 

モリーは目に涙を溜めソフィアを優しく抱きしめた。ジョージもいつものように茶目っ気たっぷりの笑顔を見せる。

ソフィアとしては、その怪我を負わせたのがセブルスだと知っていて償いのためであり、感謝される事ではないという苦い気持ちが胸の中にジワリと広がった。

 

 

「あれは──」

「ソフィア!!」

 

 

あれを治したのは父様が負わせたものだったから、と説明しようとしたが、その言葉は自身の名を呼ぶ大きな叫び声と轟音をたて開け放たれた扉の音によりかき消された。

飛び込んできたのはハーマイオニーであり、シリウス達からソフィアが大怪我を負ったと聞いた瞬間走り出していたのだ。勿論、すぐに彼らは「もう既に治療した」という事も伝えるつもりだったが、ハーマイオニーはそれを聞く事なく飛び込んだのだった。

 

 

「ああ!ソフィア、怪我は?大怪我だったって!」

 

 

ハーマイオニーのあまりの勢いにモリーは苦笑しながら身を引いた。すぐにハーマイオニーはソフィアの頭の上から爪先までを見て怪我が無いか確認し、目を見つめる。ぼんやりとしている様子はなく意識もハッキリとしているようだとわかった後で、ハーマイオニーは強くソフィアを抱きしめた。

 

 

「うっ……」

「あ!ご、ごめんなさい!背中を怪我していたのね!」

 

 

ハーマイオニーは抱きしめた感触でソフィアの背中にガーゼが貼られていることに気づき慌てて身体を離し、顔を顰めるソフィアを申し訳なさそうに見る。ソフィアは痛そうにしていたがそれでも微笑み、「大丈夫。もう治療はしたの」と言った。

 

 

「ハーマイオニーも無事で良かったわ」

「ええ!追跡されて、ちょっと危なかったけど……まぁそれはみんなそうだったと思うわ。生きて会えて本当に良かった……」

「戻ったのは……まだ、私たちだけみたい。ロン達はきっとポートキーの時間に遅れたのね」

 

 

ソフィアの言葉にハーマイオニーは表情をこわばらせ、ぐっと眉を顰める。ただ遅れているだけならいいが──。

その先は言わずともここにいる全員がうっすらと感じている事だった。ジョージとソフィアは無事とはいえなかった。ハーマイオニーは幸運にも怪我一つ負っていないが、彼らも無事だとは限らない。誰かが死ぬ可能性が、ないわけではなく──ソフィア達は、その覚悟もまたしている。

 

 

「──ジョージ!怪我をしたと聞いたが!?」

 

 

先ほどのハーマイオニーのように焦燥感を見せながら飛び込んできたのはアーサーとフレッドだった。2人とも青い顔はしていたが怪我はなくしっかりと自分で立ち歩いていた。

 

 

「アーサー!フレッド!ああ、無事だったのね!」

 

 

モリーは2人の姿を見た途端啜り泣きながらアーサーの胸の中に飛び込んだ。外で合流したリーマス達から「ジョージが怪我を──」というところまで聞き駆け出していたアーサーは額に大粒の汗を光らせ、メガネはずれてしまっている。

モリーを受け止めながら部屋をざっと見たアーサーは居間にある丸椅子に座りひょいと片手を上げたジョージを見て、大きく安堵の息を吐いた。

 

 

「ジョージ……怪我をしたというから、てっきり──」

「左耳を失うかもしれないほどの、酷い怪我だったのよ。出血も多くて……でも、ソフィアが治してくれたの!」

「なんだって?ああ、ありがとう!」

 

 

モリーの言葉を聞き、アーサーは心の底から感謝し詰まったような声で告げる。しかし、ソフィアは──やや気まずそうに暗い目をして、ゆっくりと首を振った。

 

 

「いえ……違うんです。その、あの──ジョージの怪我は……父様が放った魔法が当たって……だから……感謝されるような事は……ないんです」

「あの人が狙ったの?ジョージを?」

 

 

モリーは怪訝な顔で呟く。ソフィアはちらりと辺りを見てこの会話がキングズリーに聞かれることの無い事を確認し──彼はソフィアとセブルスの関係を知らない──項垂れながら首を振った。

 

 

「いいえ、死喰い人の1人が、リーマスを呪おうとしていて……父様はその人を狙ったようでした。でも、死喰い人が急に動きを変えて、魔法が外れて……それで……当たってしまったように、見えました。私はその後すぐ怪我をしたので、それからどうなったのかわかりません……。ごめん、なさい」

「そう……」

 

 

──本当に?

という言葉が喉のすぐそこまで上がり、口から飛び出そうになったがモリーはなんとか飲み込んだ。

セブルスが血相を変えてここに現れ必死にソフィアを治療し、そして──ジョージに薬を置いていった。

 

よく考えれば、セブルスが現れた時、ジョージは既に治療されており、あの一瞬で耳に傷痕があることなんてわからなかったはずだ。事実、夫のアーサーは気付いていない。傷付けた本人でなければ知ることの無い怪我だったのだ。

 

あの薬は、彼なりの贖罪だったのかもしれない。

 

ソフィアも、黙っていればセブルスが行ったのだと知られずに秘密にする事は出来たかもそれない。それでも、自分たちに実直であろうと全てを身内の罪を話してくれている。

 

 

モリーは眉間に寄せていた皺をふっと緩め、優しく微笑むと慈しむようにソフィアの肩を撫でた。

 

 

「謝らないで、あなたが治してくれたのは事実だし、あの人は薬を置いていってくれたわ」

「……モリーさん……」

「さあ。あと戻ってきてないのは……ロンとトンクス、ビルとフラー。マッドアイとマンダンガスね」

 

 

モリーは話題を変えるためにわざとらしく立ち上がり、扉へと向かった。

アーサーは何があったのか何となく理解したが何も言わずに「外の様子を見てくる」とだけ告げ慌ただしく外へ向かう。

ジョージとフレッドは顔を見合わせ、元気なく俯くソフィアの肩をぽんと叩いた。

 

 

「俺、あの薬塗らないでおこうかな」

「えっ。ど、どうして?」

「いや、この傷があればソフィアのパパにちょーっとは強気で話せるだろ?」

「それに、傷を負った男の子になれる!」

「額はともかく、耳は格好がつかないけどな」

「だが、ほら見てみろ。──俺とジョージの見分けがつきやすくなっただろ?」

 

 

フレッドとジョージはソフィアの前に立ち胸をはり、にっこりと悪戯っぽく笑う。

ソフィアはぽかんとしていたが、泣き笑いのような複雑な表情をするとぱっと立ち上がり彼らをまとめて抱きしめた。

 

 

「わお」

「熱烈だな!旦那に殺されるぜ」

「いや、パパかな?」

「もうっ!──ありがとう、ジョージ、フレッド」

 

 

ソフィアの頭越しに視線を合わせたフレッドとジョージは少し照れくさそうに笑いながらソフィアを軽く抱きしめた。

 

 

 

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