【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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38 賢者の石!

 

 

新学期が始まった。

久しぶりにハーマイオニーと再会し、ソフィアは喜びぎゅっとハーマイオニーを抱きしめた。

 

グリフィンドールの談話室でハーマイオニーにクリスマス休暇中何があったかを話し、三度も夜中に抜け出したのにニコラス・フラメルについては一向に進展が無かった事を知ると悔しそうに足を叩いた。

 

 

「ニコラス・フラメル…実は、わたしその名前に見覚えがあるの…でもどこで見たか…うーん…思い出せないわ…」

「ソフィアも?僕もどこかで見たんたけど、思い出せないんだ!」

「ハリー!ソフィア!なんとかして思い出して!」

 

 

ハーマイオニーの必死な声に、2人は小さく頷く。

新学期が始まり、彼らは何度も図書室でニコラス・フラメルの名前を探したが全く見つからず、諦めかけていた。そもそもどの分野に秀でている人かもわからない、この図書室には何万もの本があり、たった1人を探し出すことは無謀な事に思えた。

 

ダメ元でソフィアとルイスは花束を持つ少女の部屋にある本棚を探して見たが、そこにもニコラス・フラメルの名前はなかった。

 

 

ハリーがクィディッチの練習をしている間、ソフィアは談話室でハーマイオニーとロンのチェスの対決を見ていた。ロンのチェスの腕前はなかなかのもので、今のところハーマイオニーもソフィアも、ルイスでさえロンに勝つことは出来なかった。

 

 

「あら、ハリーお帰りなさい。…はい、タオル」

 

 

外が横殴りの雨だったため、きっとびしょ濡れで帰ってくるだろうというソフィアの予想は辺り、ハリーの黒髪からは水滴が滴っていた。ふかふかのタオルを手渡せば、ハリーは硬い表情のままそれを受け取る。

 

 

「ありがとう…」

「どうしたの?」

「それが…」

 

 

ハリーは頭を拭きながらロンの隣に座り、声を顰めてセブルスが次のクィディッチの審判をする事になったと4人に告げた。

 

 

「先生が?…先生って、クィディッチのルール知ってるのかしら」

 

 

ソフィアは驚き思わず呟いた。

父がクィディッチに詳しいだなんて、聞いたことが無い。むしろ、箒に乗っている所も見た事がなかった。

 

 

「試合に出ちゃだめよ!」

「足を折ったってことにすればいいんだ…いっそ本当に折っちまえ!」

「出来ないよ!シーカーの補欠は居ないんだ、僕が出ないとグリフィンドールはプレイ出来なくなってしまう…」

 

 

項垂れるハリーに、三人は顔を見合わせ気遣うように肩を叩いた。

 

 

「ねえハリー?でも、先生…スネイプ先生も、他の先生達が見ている前で…そんなに酷いことはしないと思うわ」

「そうかなぁ…そうだと良いけど…」

 

 

ソフィアは疲れたように微笑むハリーを見て何も言えなくなってしまう。

この中で父の無実を信じているのは自分一人だけだ、きっと何を言おうと彼らは納得しないだろう。

それこそ、自分が娘だと明かさないかぎりは。そう、思ったもののソフィアはその秘密だけは彼らに伝えられなかった。

 

ソフィアはもう、ハリー達のことを心からの友人だと思い、秘密がバレてしまい退学し、離れ離れになるなんて嫌だった。…考えられなかった。

 

 

その時、ネビルが談話室に倒れ込んできた。どうやら両足がぴったりとくっついているようで、何度も倒れたのだろう、身体中白い埃と汚れがついていた。

 

そんなネビルを見て皆が吹き出し笑ったが、ソフィアとハーマイオニーはすぐにネビルに駆け寄った。

 

 

フィニート・インカンターテム(呪文よ 終われ)!」

スコージファイ(清めよ)…ネビル、大丈夫?」

 

 

ハーマイオニーがネビルにかかっている呪文を解き、ソフィアが汚れを清めるとネビルは2人にお礼を言ってよろよろと立ち上がる。

ハーマイオニーは震えるネビルを気遣いながら、そっとハリーとロンの所まで連れて行った。

 

 

「どうしたの?」

「マルフォイが…図書館の隣りで会ったんだ…誰かに呪文を試してみたいって…ルイスも、居なくて…」

「まぁ!マクゴナガル先生のところに行きなさいよ!マルフォイがやったって報告するのよ!」

 

 

ハーマイオニーはドラコの行いにいきりたつが、ネビルは顔色を悪くしたまま首を振った。

 

 

「これ以上面倒は嫌だ」

「ネビル、マルフォイに立ち向かわなきゃダメだよ。あいつは平気でみんなを馬鹿にしてる。だからといって屈服してヤツをつけ上がらせていいってもんじゃない」

「先生に言いたく無いのなら…ルイスに相談しに行く?きっと、ルイスはドラコの行いを叱ってくれるわ」

 

 

ロンとソフィアの言葉にも、ネビルは首を振る、誰とも目をあわせず、じっと自分の膝の上に握る白い手を見つめていた。

 

 

「僕が勇気がなくてグリフィンドールにふさわしくないなんて、言わなくってもわかってるよ。…マルフォイがそう言ってたから」

 

ネビルは今にも泣きそうに声を詰まらせながら小さな声で呟く、ハリーはポケットから一つ残っていたカエルチョコを取り出し、ネビルに手渡すと優しく語りかけた。

 

 

「マルフォイが束になったって君には及ばないよ。組み分け帽子に選ばれて君はグリフィンドールに入ったんだろう?マルフォイはどうだい?スリザリンさ!」

 

 

ハリーは腐れスリザリン、と言おうと思ったが、ルイスもスリザリンだと思い出しその言葉を飲み込んだ。

ネビルはカエルチョコの包みを開け、微かに微笑んだ。ハリーの励ましに、少し元気が出たようで、ハリー達はほっと安堵の息をつく。

 

 

「ハリー、ありがとう…僕、もう寝るよ…カードあげる。集めてるんだろう?」

 

 

ネビルは手から逃げ出そうとするカエルチョコを口の中に押し込みながら、背中を丸めとぼとぼと部屋へ戻った。

ハリーはその悲しげな背中を見送り、渡された有名魔法使いカードを眺めた。

 

 

「またダンブルドアだ…僕が初めて見たカード…」

「…ダンブルドア?……、…ああっ!!ハリー!そうよ!その裏をみて!」

 

 

ソフィアが急に興奮したような叫び声をあげ、ハリーはその裏の説明文を読む。

ハリーは息を呑んだ。そうだ、どこで見たのか思い出した。この説明文の中で見たんだ!

 

 

「見つけたぞ!フラメルを見つけた!どっかで見たことあるって言ったよね?ほら、みて…」

 

 

ハリーはソフィアと同じく興奮しながらその裏の説明文を読み上げ、皆の顔を見渡した。

ハーマイオニーは興奮し跳び上がり、「ちょっと待ってて!」というと女子寮の階段を駆け上がっていったが、すぐにハーマイオニーは巨大な本を抱えて矢のように戻ってきた。

 

 

「この本で探してみようなんて思いつきもしなかったわ!ちょっと軽い読書をしようと思って、随分前に図書館から借りたの」

「軽い?」 

 

 

あまりに巨大で分厚い本だったが、ハーマイオニーにとっては軽い読書なのかとロンは信じられないような目でハーマイオニーを見つめる。

 

 

「これだわ!これよ!──ニコラス・フラメルは、我々の知る限り、賢者の石の創造に成功した唯一の者!」

「何、それ?」

 

 

ハリーとロンは賢者の石が何か分からず、顔を見合わせ首を傾げる。

 

 

「賢者の石はね、金属を黄金に変えられたり…命の水、っていう飲めば不老不死になれる水を生成する事が出来るのよ」

 

 

ソフィアは声を顰め、ハーマイオニーが開いたページを指しながら2人に説明した。

ハーマイオニーはソフィアが知っていた事に満足そうに何度も頷く。

 

 

「あの犬は賢者の石を守ってるに違いないわ!フラメルがダンブルドアに保管してくれって頼んだのよ。だって2人は友達だし、フラメルは誰かが狙っているって知っていたのね。だからグリンゴッツから石を移して欲しかったんだわ!」

 

 

ハーマイオニーは自分の仮説に自信があるようで、三人を見渡しながら伝える、ハリーとロンはそうだと頷いたが、ソフィアは怪訝な目でハーマイオニーを見た。

 

 

「どうしてグリンゴッツが出てくるの?」

「ああ…ソフィアには言ってなかったっけ?グリンゴッツに侵入者があったんだ、その前の日に…ハグリッドがその侵入された保管庫から何かを引き取っていたんだ、それが多分、その石なんだよ!」

「…待って!じゃあ、スネイプ先生が、それを盗もうとしたって思ってるの?」

「当たり前だろ?それ以外に何があるって言うんだい?」

 

 

当然の事のようにロンが言い、ハリーとハーマイオニーも頷く、だが、ソフィアはどうしてもそんな事をしたとは思えなかった。確かに、今年の夏季休暇は忙しそうにしていた、だがそれはこの石をホグワーツに保管するための準備をしていたのではないだろうか?まさか、彼らの言う通り盗みに入る算段をしていた?──まさか──そんな──。

 

 

「そんな…、そんな事、しないわ。私は…クィレルがしたと思う」

「ああ…ソフィアはそっち派だったわね」

 

 

ハーマイオニーは至極残念そうな声で呟く。その声には早く現実を見て意見を変えてほしいという願いが込められていた。

 

 

「まぁ、この前ルイスが言ったように…ごくわずかな可能性があるなら色々な方向で物事を見たほうがいいもの」

「…ねぇ、グリンゴッツに侵入者が来たのはいつだったの?」

「えーと…僕の誕生日の二日後だから、8月2日だったと思うよ。…賢者の石…金を作る石、死なないようにする石!スネイプが狙うのも無理はないよ!誰だって欲しいもの!」

 

 

ソフィアはハリーの返答を聞いて、眉を寄せたまま強く握られた自分の手を見つめていた。

いつもは新年度がはじまる一週間前までは家で過ごしていたが、今年は準備に忙しいといい、7月の終わりと共にホグワーツに帰ってしまったのだ。

まさか、本当に?賢者の石を取るための準備て忙しかった?いや、そんなわけがない、父様を信じないでどうする。

 

 

ソフィアは一人首を振り、もやもやとしたどうしようもない気持ちを必死に抑え込んだ。

 

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