【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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382 偽のロケット!

 

 

その日の夕食は数日の中で最も人が集まった。

モリーが昼間に言った通り、リーマス、トンクス、シリウス、キングズリーが見回りと偵察から戻り疲れた顔をし、ワインを飲みつつ真剣な顔をして外の情報交換をしていた。

数分後にはビルとアーサーも仕事から戻り、その中に加わる。世間は相変わらず暗く陰鬱としているが、まだどの記事にもムーディの死や死喰い人の集団脱獄は書かれず、噂にもなっていなかった。

 

 

「新聞には何も書いてないの?」

「何も。日刊預言者新聞は、最近色々な事に口を噤んだままだからね」

 

 

ビルはハリーの疑問に答え、呆れと諦めが混じるため息をこぼす。隣に座っていたフラーは気遣わしそうにビルを見つめ、長いまつ毛に飾られた美しい瞳を潤ませていた。

 

 

「それに、死喰い人から逃れる時に、未成年の僕があれほど魔法を使ったのに、まだ尋問に召喚されないの?」

 

 

ハリーはこっそりと心配していた事を聞いた。数年前は吸魂鬼から逃げるために守護霊魔法を使い、すぐに法律違反だとして尋問に呼ばれた。2度目があれば杖を折った上で退学だと明言されていたが、魔法省からの便りは一切ない。

 

魔法省で勤めているアーサーならば何か知っているかもしれない、とハリーはアーサーを見ながら聞いた。アーサーは赤ワインを一口飲みながら首を振り、「されないさ」と答える。

 

 

「それは……僕にはそうするしか手段がなかったってわかっているから?それともヴォルデモートが僕を襲ったことを、公表されたくないから?」

「後者だろうね。スクリムジョールは例のあの人がこれほど強くなっていることも、アズカバンから集団脱獄があったことも認めたく無いんだよ」

「そうだよね、世間に真実を知らせる必要なんかないもの」

 

 

ハリーは肉を切っていたナイフをぎゅっと握りしめた。右手の甲には傷痕は残っていない。しかし、アンブリッジによりこの甲に刻まれた『僕は嘘を付いてはいけない』の文をハリーは忘れていなかった。

新しい大臣になったところで、何も変わらないのだ。誰もが自分の地位を守るために必死で、真実を公表しない。

 

世間に公表しなければ、それは世間にとって()()では無いのだ。

 

 

「シリウスは何をしていたの?最近見なかったけど……」

「──ん?」

 

 

大きな骨つき肉を手掴みで持ち、噛みちぎっていたシリウスは口の中にある肉をよく噛んだあと、布巾で軽く口を拭き低く笑う。

そのニヒルな笑い方が、どこか学生時代に見た笑顔に近いような気がしてハリーは目を瞬かせた。去年から──いや、無実が言い渡され、外を自由に歩けるようになってから、シリウスはエネルギーに満ち若返っているようだった。

隣に座るリーマスと比べると──失礼かもしれないが──同級生だとは誰も思わないだろう。

 

 

「家に行っていたんだ。マンダンガスが隠れる事ができる場所なんて、限られている」

「見つかったの!?」

「いや、居なかった。マンダンガスは変わらず行方不明だ。もし奴がヴォルデモートに見つかったなら……命欲しさに俺たちを裏切る可能性がある、早めに捕まえないとな……」

 

 

シリウスの言葉に真剣な顔でキングズリー達が頷いた。マンダンガスは、今のところ裏切ってはいないのだろう。ただ怖気付き逃げ出しただけだ。しかし、そのあと死喰い人に捕えられ拷問を受けてしまえば、元騎士団本部の居場所だけでなく、ここにハリーがいるという事も知られてしまう恐れがあった。

 

ハリーはその事を考え、やはり分霊箱の事は広めるべきじゃ無いのだと再度強く思った。

もし、モリーが捕まり……ジニーやジョージ、フレッドが拷問を受けたならば──きっと、モリーはハリーが分霊箱を探していると言ってしまうだろう。

 

 

「魔法省には対抗しようという人はいないの?」

 

 

憤慨するロンに、アーサーは「勿論いるとも」とはっきりと伝えた。

 

 

「しかし、誰もが怯えている。次は自分が消される番じゃないか、自分の子ども達が襲われるんじゃないか、とね。嫌な噂も飛び交っている。たとえば、ホグワーツのマグル学の教授の辞任にしたって、信じていないのはおそらく私だけではない。もう何週間も彼女は姿を消したままだ。一方、スクリムジョールは一日中大臣室に篭りきりだ。何か対策を考えていると望みたいところだがね」

 

 

ソフィアは行方不明となっている教師、チャリティ・バーベッジの事を思い、沈痛な顔で空になった皿を睨みつけた。

マグル学の授業を受けている間はバーベッジからたくさんのことを教わった。マグルの歴史や、常識、そして進化を続ける機械のことまで──彼女はマグル界にとても詳しい優秀な魔女だった。

バーベッジがマグル生まれかどうか、ソフィアは知らないが、死喰い人達の手により攫われたのだとすれば『マグル学』の教師だったからだろう。バーベッジはマグル学の授業で、何度も魔法族とマグル族の交わりを推奨していた。友として、恋人として、同じ星に生まれた種なのだから友達にだって家族にだってなれると、そうバーベッジは伝えていた。それがヴォルデモートの不興を買ったのだろう。

 

 

「……ジャックは、スクリムジョール大臣とも交流があるの?」

「ああ──そうだね、ジャックは魔法省のさまざまなところで沢山の貸しを作り、交友がある。スクリムジョールが闇祓い局局長だった時から、交流があると聞いているよ」

「……そう……ジャックは無事なの?」 

 

 

ソフィアの何気ない問いかけに、アーサーは一瞬動揺したがすぐに取り繕うためにメガネを外し布巾で拭きながら一呼吸分置いた。

その僅かな沈黙でジャックが危険な立場なのだと理解したソフィアは、机の下でぐっと手を握る。

 

 

「それは──」

「ここがヴォルデモートにバレていないってことは、ジャックはヴォルデモートにとって十分な働きをしていないはず。まだ、疑われているのよね?」

「……ジャックは──そうだな、話しておいた方がいいだろう」

 

 

アーサーは眼鏡を掛け直し、厳しい表情で頷く。ジャックの立場を知っているものは、ちらりと視線を交わしあっていたがソフィアはじっとアーサーを見ていたため気がつかなかった。

 

 

「ジャックは、あちらからしてみれば騎士団をスパイするために送り込まれていた。ジャックは今まで当たり障りのない──しかし重要な──情報を流し、不信感を抱かせないためにもハリー救出作戦の日程を伝えた。しかし、ヴォルデモートがそれだけで満足するとは到底思わない。ヴォルデモートはハリーがどこに隠れているかまで知りたいはずだからね。

それを言うことはできない。しかしヴォルデモートに裏切りがバレるわけにもいかない……ジャックは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。という事になっている」

 

 

アーサーが話した内容は、ほとんどソフィアの予想通りだった。

つまり、あの作戦は隠された三つ目の秘密の計画が存在したのだ。

ハリーを救出するため、ジャックとセブルスの信用を上げるため、そして、騎士団員を護るための複雑な思考が絡み合った計画だった。

 

 

「そうよね、ジャックは騎士団に疑われて、自分だけが救出作戦の全貌を聞かされなかった。ハリーを連れ出す時に8人のハリー・ポッターの作戦や、十二軒も隠れ家の候補がある事なんて知らない。日付を流した事により、自分が騎士団へのスパイだとバレたらしい。──そう言わなければ、ジャックは逆に裏切りがバレてしまうもの。ハリーの居場所を知らない理由は他には考えられないわ。私たちを危険な目に遭わせないためにも、私たちから距離を取るしかないのね」

「……その通りだよ。勿論、我々にはヴォルデモートに勘付かれないだろう安全な秘密の伝達手段がある。しかし頻繁に使うことは難しい。直近の連絡によると、ジャックは今は死喰い人として魔法省に潜入しているようだ」

「そう……そうなの。うん、無事なら……いいの」

 

 

ソフィアは肩に入っていた力を抜くと、ぬるくなった紅茶を一口飲んだ。

騎士団として、死喰い人の中に潜入するために──以前はダンブルドアが秘密の守人となっていたために隠れ家の場所を伝えることはできなかった。しかし、今その魔法はここにはかかっていない。

ソフィアはそこまで考えた時、何故シリウスがグリモールド・プレイスに数日かけて調査しに行ったのかがわかった気がした。

ただマンダンガスを探すためならば、行ってすぐ帰る事もできただろう。数日かけたのは、すでにジャックとセブルスにより旧騎士団本部の居場所を知った死喰い人やヴォルデモートが居ることを警戒していたのか。

 

それはソフィアの想像でしかなかったが、もしそれが真実ならば──言ってくれたほうが良かった、と思う。

今でも騎士団員にとって、ソフィア達はまだ護るべき子どもなのだ。それは率直に嬉しい事ではあるが──全ての情報を、彼らの優しさゆえに共有できないのは、つきりと胸が痛んだ。

 

──仕方がないわ。私は、騎士団の関係者なだけでメンバーでは無いんだもの。

 

 

ソフィアは静かに自身に言い聞かせる。

一瞬話が途切れたところで、モリーが空になった皿を魔法で片付け、アップルパイと新しい紅茶を出した。

 

アップルパイを人数分切り分け、それぞれの皿に移したあとモリーはアーサーの隣に座り「ところで」と何気なさを装い話を切り出す。ハリーは直感的にモリーが何を言い出すのかを悟った。

 

 

「ハリーから、話があるようだけど?」

 

 

席に着いていた全員の目がハリーを見る。

少しの居心地の悪さを感じながら食べかけていたアップルパイを皿の上に置き、ハリーはごくりと生唾を飲んだ。

 

 

「うん。聞いて欲しい。──僕たちは、ビルとフラーの結婚式後にここを出ようと考えているんだ」

 

 

ハリーがダンブルドアから何か使命を受けている。それは皆が知っている事であり、止めたい気持ちは強いが──誰も何も言わずにハリーの次に続く言葉を待った。

 

 

「ダンブルドアに託された事を、僕はしなければならない。その事は──詳しくは、言えません」

「そんな!きっとダンブルドアはあなたから騎士団メンバーに伝えられる事を望んで──」

「モリー」

 

 

モリーは勢いよく立ち上がり、ハリーに詰め寄ろうとしたがそれを止めたのはアーサーだった。「でも、あなた」と渋るモリーに「判断するのは全て聞いてからだ」とアーサーが静かに言えば、モリーは言葉を詰まらせ渋々と椅子に座る。その表情は不満げであり、どこか──怯えているようにも見えた。きっと、この後ハリーから告げられる言葉を聞きたい気持ちと、聞きたく無い気持ちがせめぎ合っているのだろう。

 

 

「もし、ダンブルドアが騎士団の人に言って欲しいなら、僕にそう伝えた筈です。その時間は十分にあった。でも、そうしなかったのは……多分、騎士団の人に動いてほしくなかったんだと思うんです」

 

 

ダンブルドアはセブルスに自分を殺すように頼んでいた。予期せぬ死ではなく、予め決められていた死ならばその間に騎士団に話す時間は十分にあった筈であり、考えないようにしていた違和感を面と向かって示されてしまい、リーマス達は険しい表情で黙り込んだ。

彼らも薄々気づいていたのだ。ダンブルドアは故意に自分達に何も言うことなく死んだのだと。

 

 

「ヴォルデモートを殺すのは騎士団の悲願で、絶対にしなきゃならない事だ。──だけど、もし全員がとある使命に動き行動すれば、きっとヴォルデモートは気づいてしまう。もし、命の危機に瀕した時にその秘密を打ち明けたなら生かしてやると言われたら?」

「そんなもの、喜んで命を差し出すさ。俺たちはその覚悟がある」

 

 

シリウスは一蹴し、むしろハリーが自分達の覚悟をそこまで軽く見ているのかと苛つき机の上を指で叩いた。誰もが苦い表情で頷いたが──ハリーは臆する事なく「どうかな」とはっきりと告げる。

 

 

「もし、大切な人が人質に取られていたら?」

 

 

その言葉に、モリーは黙り込んだ。自分も騎士団の一員だ、夫のアーサーや息子のビルも。しかし、もし──彼らや他の子どもたちが人質に取られたなら、自分は彼らを見殺しにする事はできない。

リーマスとトンクスは互いに愛し合い、己がしなければならない事もわかっている。その時がくれば互いに犠牲となる道を選ぼう、と話し合った時もあった。だが、ハリーの言葉を簡単に否定することはできなかった。

 

 

「きっと、人質に取られていても秘密を守る人はいると思います。でも、秘密を共有する人が多くなればなるほど……ヴォルデモートに気付かれてしまう可能性が高くなる。騎士団が何かに向かって行動していると知られてはならない。だから、僕は──どんな使命を受けたのかは、言えません。ヴォルデモートから逃げていると見せかけて、僕だけが自由に動き回っても不審がられないんだ。──騎士団の人たちには、それは難しいと思う」

 

 

ハリーのキッパリとした言葉に、モリーはがっくりと項垂れ顔を手で覆った。泣かせてしまったのかと思うと胸が痛むが、それでもこれは後々のことを考えるとモリーにとってはいい筈だ。──たとえ、ロンを巻き込んでいたとしても。

 

 

「でも、全てを秘密にするのは……僕に着いてきてくれるソフィアとハーマイオニーとロンを大切に思う人のためにならないんじゃ無いかって、そう思うんです」

「……君のことも、大切に思ってるよハリー」

 

 

シリウスは低い声で笑いながら伝える。ハリーの考えがわかり、先ほどまでの苛立ちはおさまっていた。

きっと、ジェームズなら──それでも自分達の覚悟を信じ打ち明けただろう。一瞬その考えが頭をよぎったが、彼はジェームズではない。彼の息子であり勇気を受け継いではいるが、優しい少年なのだと、シリウスは理解できるようになっていた。

シリウスのその言葉だけでハリーは心の底から温かなものが溢れ自分の力になるのを感じる。きっとシリウスが1番渋るだろうと思っていたが、想像よりも話はスムーズに行きそうだ。

 

 

「ありがとうシリウス。……僕は──ヴォルデモートを殺すために、ある物を探さなきゃならないんです」

「物?……魔術書か?」

 

 

ヴォルデモートを殺す。そのために今は忘れられた魔法が書かれている稀有な魔術書でも探しに行くのかとリーマスは首を傾げる。

 

 

「それは──どこにあるのかも、わかって無いんです」

「何?そんな──どこにあるのかもわからないものを探しに行くのかい?」

 

 

リーマスは怪訝な顔をした。

リーマスだけではなく、シリウスや他の大人たちも「無謀だ」と表情でハリーに伝える。

 

 

「僕は、去年の間ダンブルドアの個人授業を受けていました。それで、ヴォルデモートの過去を知った。──何を探し出せばいいのかは、わかってるんです。僕は、それを探す旅に出ます。勿論危険なことも理解しています。それで……R・A・Bという人に心当たりはありませんか?僕が探している物は、偽物とすり替えられていて、本物はその人が持っている可能性があって……」

 

 

ハリーが唯一今知っている手がかりはそのイニシャルだけだ。分霊箱の存在を知るその人が手に入れたスリザリンのロケット。その所在は全くわからない。本物をその人が破壊してくれたならいいが、破壊出来ない場合はそのロケットも、探し出さねばならない。

 

 

「R・A・B?」

 

 

その言葉に皆は難しい顔をした。

ぶつぶつと呟き、記憶を呼び起こしてみるがその名前に見当がつかない。良い反応がない事に、ハリーは僅かに動揺し落胆した。分霊箱を探し出した人だ、きっとヴォルデモートを倒そうとしている騎士団員に違いないと思っていたが、彼らの反応を見る限りその希望は薄いのだろう。

 

 

「R・A・B……いや、まさかな」

 

 

皆と同じように悩んでいたシリウスは、ぽつりと呟き首を振る。ハリーが探しているのはヴォルデモートを殺すために必要な重要な物だ。そんなものを、アイツが持っているわけがない。そう考えたがハリーはシリウスの呟きを聞き逃さず、少しでも何か手掛かりがあればいい、と前のめりになって「シリウス、誰か思い当たった?」と聞いた。

 

 

「あー……レギュラス・アークタルス・ブラック。俺の馬鹿な弟君さ」

「シリウスの、弟?」

 

 

嘲りと軽蔑が滲む声でシリウスは久しぶりに弟の名を口にした。ハリーは数年前に見たブラック家の家系図を思い浮かべ、そういえばそんな名前の人がいたような気がする、となんとか思い出す。

 

 

「ああ、言ったことあるだろ?俺の弟は学生の時から死喰い人だった。ヴォルデモートの熱狂的なファンでね。丁寧にヴォルデモートや死喰い人が行った事件が書かれている記事をスクラップしていたよ。尤も、怖気付いて逃げ出そうとして殺されたが」

「そっか……じゃあ、違うかな。僕が探しているその人は、ヴォルデモートを倒そうとしていたから」

「──違うわ!」

 

 

ソフィアとハーマイオニーは同時に叫び立ち上がった。いきなりの大声に誰もが跳び上がり驚いてソフィアとハーマイオニーを見たが、2人は目を見開きながら互いを呆然と見つめ合う。その視線は、その瞳の奥に答えを見つけだそうとしているようであった。

 

 

「本当に?怖気付いて逃げ出そうとしたの?」

「いいえ、ヴォルデモートの記事をスクラップするくらいよ、今更ヴォルデモートの行いに怖気付くわけがないわ」

「でも、何か決定的な事が起こって、裏切る事に決めた──」

「そうよ。レギュラス・ブラックは死喰い人だった。ヴォルデモートに近づくことが出来た、その中であの秘密を知ってしまったとしたら?」

「それに関わる事が──彼にとって許せない事だった。だから、ヴォルデモートを倒したいと──ハリー!」

「な、なに?」

 

 

呆然と言葉を交わしていたソフィアは、ぱっとハリーを見ると「あれを出して!見せるの!」と強く叫び手を差し出す。まだ、状況が飲み込めないハリーは無意識のうちに偽のロケットを入れているポケットに手を触れ──それを見たソフィアはハリーに飛びつき、ポケットの中からロケットを取り出し、ハーマイオニーは机の上に置いてあるアップルパイや皿や紅茶を魔法でキッチンまで吹っ飛ばした。

 

ソフィアとハーマイオニーのいきなりの行動に呆気に取られている彼らを置き去りにし、ソフィアは叫ぶ。

 

 

「これを見て!──私たちが探しているものの代わりに、これがあったの。シリウス、このロケットに見覚えはない?」

 

 

ソフィアが力強く机の上に置いたのは、くすんだ金色のロケットだった。

シリウスは唖然としてそのロケットに視線を下ろし──そして、目を見開く。

 

 

「これ、は──ブラック家のものだ」

 

 

掠れた声でシリウスは呟いた。

 

 

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