【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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389 予兆!

 

 

スニッチに書かれていた文字の意味がわからなかったソフィア達は一旦それについて考える事を止め、グリフィンドールの剣について話し合った。

 

 

「ダンブルドアはどうしてハリーに剣を持たせたかったんだろう」

「それに、どうして僕に……ちょっと話してくれなかったんだろう」

 

 

ロンに続きハリーがぽつりと呟く。2年生の時に組分け帽子の中から現れた剣は、それからずっと校長室に飾られていたのだ。

 

 

「剣はあそこにあったんだ。1年間、僕とダンブルドアが話している間、剣はあの校長室の壁にずっとかかっていたんだ!剣を僕にくれるつもりなら、どうしてその時に話してくれなかったんだろう?」

 

 

ハリーは試験を受けているような気がした。答えられるはずの問題を前にしているのに、脳みそは鈍く反応しない。ダンブルドアとの1年間、何度も長い話をしたせいで聞き逃したことがあったのだろうか?スニッチと剣に隠された謎の全てを、ダンブルドアは自分が理解することを期待していたのだろうか?

 

 

「それに、その本だけど。吟遊詩人ビードルの物語。……こんな本、私、聞いたことがないわ!」

 

 

ハーマイオニーは鞄の中から本を取り出し、破けている表紙を撫でながら言う。その言葉にソフィアとロンは驚いてハーマイオニーを見つめた。

 

 

「知らないの?」

「聞いたことがないだって?冗談のつもりか?」

「違うわ!じゃあ、ソフィアとロンは知っているの?」

 

 

心外だというように眉をひそめてハーマイオニーが2人に身を乗り出せば、ロンは困惑しながらチラリとソフィアを見た。

ソフィアは単純に読書家のハーマイオニーがその言葉を一度も見聞きしたことがない事を意外に思い驚いたのだが、彼女の出生を思い出し納得し頷いた。

 

 

「ハーマイオニーはマグル界出身だもの。知らないのも無理はないわね。ビードルの物語は魔法族の子ども達がよく聞く昔話なの」

「ああ、そうか。じゃあ『たくさんの宝の泉』とか『魔法使いとポンポン飛ぶポット』とか『ぺちゃくちゃウサちゃんとぺちゃくちゃ切り株』とかも知らないのか?」

「ぺちゃくちゃ……ふふっ、知らないわ」

 

 

ハーマイオニーは最後の話のタイトルがおかしくてくすくすと笑う。魔法族の子であればどれも一度は聞く話であり、何も特別な話ではない。

 

 

「えーと、マグルでいうイソップ童話とかグリム童話、だったかしら。それに近いと思うわ。ビードルはそんな童話をいくつも書いているの」

「なるほどね。じゃあ……この本は童話の本なのね」

「昔話は全部ビードルから来ているって聞かされてたな。でも、元の話がどんなものなのか僕は知らないな」

「私も知らないわ。そういう物語は語り手や時代によって少しずつ変わっていくものだから」

 

 

ソフィアとロンの説明にハーマイオニーは納得し頷く。マグルの世界にも似た童話は山のようにあり、それは時代や語り手の好みによりアレンジされていくのが普通だろう。ハーマイオニーも、幼い頃に聞いていたシンデレラの話と、グリム童話として書かれているシンデレラの話が全く異なっていて驚いたことがある。

 

 

「でも、ダンブルドアはどうして私にそういう話を読ませたかったのかしら?」

「さあ……何か意味はあると思うわ。ねぇ、私も後で読んでいい?」

「ええ、勿論よ!」

「ありがとう」

 

 

その時、下の階で何かが軋む音が聞こえ、ソフィア達は口を閉ざし扉の方を見た。もう深夜の時間であり、起きている者は誰もいないと思ったが誰かが外の様子を見に行ったのだろうか。

 

 

「そろそろ、私たちも寝なくちゃ」

 

 

ハーマイオニーは欠伸を噛み殺しながらそういうと慎重に鞄の中に本を戻し立ち上がる。

 

 

「明日は寝坊したら困るでしょ」

「そうね」

「まったくだ。──花婿の母親による、残忍な4人連続殺人。となりゃ、結婚式にちょいとケチがつくかもしれないしな」

 

 

ロンの言葉にソフィアとハーマイオニーとハリーは笑ったが、ロンは冗談ではないと言うように真面目な顔をした。流石に殺される事はないが、庭小人のように遠くに投げ飛ばされるくらいはありそうだな、とハリーは笑いながら思った。

 

 

「僕が灯りを消すよ」

 

 

ハーマイオニーとソフィアが出ていくのを待って、ロンはカチリと灯消しライターを鳴らした。

 

 

 

杖先にルーモスで灯りをつけながらソフィアとハーマイオニーは階段を降りる。一度踊り場から身を乗り出しそろりと居間に続く扉を見たが、扉から漏れている光は見えなかった。

 

部屋に戻りジニーの微かな寝息を聞き、ソフィアとハーマイオニーはチラリと顔を見合わせる。

 

 

「……荷物の点検だけ、しておかない?」

 

 

ハーマイオニーの言葉に、ソフィアは頷く。なんとなく、時間が過ぎるにつれて胸が落ち着きなくざわついたのだ。

 

 

「ええ、なんとなく──なんとなくだけど、嫌な予感がするのよ」

「まあ、ソフィアも?……数占い、やってみましょう」

 

 

ハーマイオニーは机の上にあるランプに火を灯し、鞄の中から教科書と羊皮紙、羽ペンを取り出した。

占い学は信じていないハーマイオニーだったが、数秘術を用いて占う数占い学には一定の信頼をおいている。とくに魔法使いが行う数占いは特殊であり、それを習得すると体感的な勘が冴える事が多いのだ。

 

 

すぐにハーマイオニーは複雑な式と幾つかの魔法薬を使い、ぶつぶつと呟きながら計算していたが──式を書き終わり、そこに残された数字を見て大きくため息をついた。

 

 

「やっぱり。明日は色んな意味で変化が起こりやすい日だわ。その日をわざと結婚式に選んだのならいいけど……荷物のチェックは必要ね」

「私、ちょっとキッチンに行って……日持ちする食料を探してくるわ。モリーさんには悪いけど」

「お願いね、気をつけて」

 

 

ソフィアとハーマイオニーは真剣な顔で頷き合い、すぐに行動に移した。

 

 

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