【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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04 ショッピング!

 

 

セブルスは双子の誕生日が終わった深夜に眠そうに目を擦る2人を強く抱きしめ、充分過ぎる資金を2人に渡し、またホグワーツへ戻ってしまった。

 

その数日後、ルイスとソフィアはホグワーツ入学許可証を鞄の中にきちんと入れ、お揃いの衣服に身を包み。フルーパウダーを使いダイアゴン横丁へと来ていた。父はもちろん授業があるため来ることが出来ない。もはや2人きりの買い物は慣れたものでわざわざ父に一緒に行ってとねだる事は無かった。

 

 

2人は杖やローブ、制服を買う前にギャンボル・アンド・ジェイプス悪戯専門店へと向かった。ホグワーツへ入学するにあたり、最も必要なものはここで揃うと思っているあたり、2人の性格が垣間見れる事だろう。

 

沢山の商品が陳列する中、2人は新商品入荷!と書かれ派手に点滅するポップに気付くとすぐさま駆け寄りまじまじとその数種類の商品を見た。

 

 

「ヒエビエ爆弾だって!」

「もう一つは…メラメラ爆弾よ!」

「うーん、どっちがいいかなぁ…」

 

 

セブルスから資金を渡されているとはいえ、全てをこの店で使うわけにはいかない。どちらを買おうか──どちらの方が面白いかと悩む2人の後ろから燃えるような赤毛がひょっこりと顔を出した。

 

 

「小さな魔法使いさん達!お困りかい?」

「俺たちのおすすめは…ヒエビエ爆弾さ!」

 

 

2人は驚き同時に振り返る。悪戯っぽい笑顔を見せる赤毛の双子もまたルイスとソフィアのよく似た顔をみて、4人はそれぞれすこし驚いたように顔を見合わせた。

 

 

「もしかして君たちも双子かい?」

「ええ、そうよ!見たところあなた達もそうよね?そうじゃ無ければおかしいわ!」

 

 

ルイスとソフィアは男女の性差はあれ、よく似た顔立ちをしていた。髪色や瞳の色は異なっていたが、それでも楽しげに笑うその表情は瓜二つだ。──マグルのゲーム風にいえば、2Pカラーとでも言えば2人のよく似た顔が伝わるかもしれない。

2人はそっくりで燃えるような赤毛の双子を見た。鏡を写したかのような2人はまさに正統派の双子だと言えるだろう。

 

 

「俺はジョージ・ウィーズリー」

「俺はフレッド・ウィーズリー」

 

 

ジョージとフレッドは交互に名を名乗ると、さっと陳列棚の奥に身を隠し悪戯っぽい笑顔で再び現れた。

 

 

「「さぁ、俺は誰?」」

 

 

両手を広げ、ルイスとソフィアに問いかける。2人は顔を見合わせたが、面白そうにぱっと笑うと明るい表情を見せた。

 

 

「「右がフレッドで左がジョージ!」」

 

 

自信に満ちた声で2人は同時に答えた。

まさか即答されるとは思わず──しかも、その答えは合っていた──フレッドとジョージは歓声を上げ2人の肩をばしばしと叩く。

 

 

「ワォ!すごいね!親ですらたまに間違うのに!」

「どうしてわかったんだい?勘かな?」

「だって、ジョージ…君の鼻の頭に何か汚れがついているんだ!」

 

 

ルイスはくすくすと笑いながらジョージの鼻を指差す、ジョージとフレッドは顔を見合わせ、大袈裟に肩をすくめた。

 

 

「君たちの名前は?」

 

 

ジョージは鼻についた汚れを服の袖で拭いながら2人に問いかける。

こんな双子の兄妹がいれば気付かない筈がない、きっと自分達の弟と同じ新入生だろう。

 

 

「私はソフィア・プリンス」

「僕はルイス・プリンス」

 

 

2人は名を名乗ると、企むように笑いながら陳列棚の後ろに隠れ、少し経ってから姿を現した。

 

 

「「さあ、僕は誰?」」

 

 

先程フレッドとジョージがしたように、2人は悪戯っぽい笑顔で現れると両手を広げ、二人を見上げた。

 

ソフィアとルイスは双子で顔はよく似ているとはいえ、髪の長さが決定的に違う。ソフィアは女児らしく腰までのふわふわとしたややウェーブかかった長髪で、ルイスは品のあるさらりとした短髪だ。流石に間違える人は居ないだろう。フレッドとジョージは顔を見合わせ、それぞれを指差した。

 

 

「君がソフィアで」

「君がルイスだよね?」

「「正解!」」

 

 

至極当たり前の事なのだが、キョトンとしたフレッドとジョージの顔を見るとけらけらと腹を抱えて楽しそうに笑う。

楽しそうなルイスとソフィアを見てジョージとフレッドは2人に揶揄われたのだとわかったが、2人のたしかなユーモアと悪戯心を理解し、同じように楽しそうに笑い2人の肩をがっしりと組んだ。

 

 

「君たちはなかなか愉快な心を持っているようだ!」

「光栄だわ!」

 

 

ジョージに肩を組まれたソフィアは胸を反らせ挑戦的な目で彼を見上げた。幼い少女の小悪魔的微笑に、ジョージはヒュウと口笛を吹いた。

 

 

「君たちの入学が待ちきれないよ!」

「僕も早く行きたいさ!」

 

 

フレッドはルイスの肩を組み、彼の自分とよく似た柔らかそうな赤毛をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。ルイスはきゃっきゃとくすぐったそうに笑ったが嫌がる事は無く、その目を嬉しそうに細めた。

 

暫く4人は共に店内を見て周り、沢山の悪戯の計画を企てていた、来年からきっと更に楽しくなると赤毛の双子は心を踊らせ、ルイスとソフィアも同じように愉快な悪戯心を持つ2人が通うホグワーツに、更に期待が高まった。

 

母親らしき女性に呼ばれ、フレッドとジョージは演技かかった口調で別れを惜し嘆いた。実際もっと2人と話していたかったが、そうすれば母親の雷が落ちることに間違いはない。

 

ルイスとソフィアは双子と別れ、彼らがおすすめしたいくつかの悪戯グッズを購入し、ほくほくとした顔で漸く新年度の準備物を買いに行った。

 

 

 

2人はオリバンダーの店を訪れた。店内には壁に沿って天井まで届くほど高い棚が並び、その棚には折り重なるようにして少々乱雑に杖の箱が収まっていた。天井付近のものは蜘蛛の巣が張られており、長く持ち主が現れていないことが窺える。

この店は紀元前からあり、杖達は何千年もじっと持ち主を待っていた。

 

 

「うわぁー…すっごいね」

「こんなに沢山あるなんて…私の杖はどこかしら…」

 

 

あまりの膨大な杖の量に2人は圧倒され思わず呟く。

 

 

「おやおや…可愛らしい魔法使いさん、…もう杖を買いに来たのかね?」

 

 

来客を告げるベルの音を聞き、棚の向こう側から顔を出したオリバンダーは興味深そうに2人を見つめた。大きな瞳に見られた2人はにっこりと微笑み自慢げに頷いた。

 

 

「うん!僕らもう11歳だからね!」

「杖を買いに来たの!」

「よしよし…じゃあまずお嬢さん、ここへ来なさい…」

 

 

梯子から降りたオリバンダーはメジャーをポケットから出すと軽く投げる、メジャーは1人でに伸び、驚きの顔を見せるソフィアの身体の至る所を計測した。

 

 

「杖腕はどちらかな?」

「右よ!」

 

 

ソフィアは右手を意気揚々と掲げる。オリバンダーは頷き山を作る箱の中から真新しい一つを抜き出すと──山が雪崩を起こしたがオリバンダーは全く気にしていないようだった──そっと蓋を開け中から黒い杖を取り出した。

 

「セストラルの体毛にカシの木、23センチ…癖がなく使いやすい。…さあ振ってみなさい」

 

ソフィアは差し出された杖をそっと掴み、軽く振った。

その瞬間天井付近の棚から杖の箱が押し出されるように音を立てて落下した。驚いているとオリバンダーは直ぐに杖を回収し、新しい杖をすぐにソフィアに握らせる。

 

 

「合ってなかったようじゃな。…サクラの木に、麒麟の角、少し硬い」

 

 

ソフィアは再び杖を振るが、今度は机の上にあった花瓶が爆発し粉々になる。そばに居たルイスは跳び上がり服についた水滴や花瓶のかけらを払った。

杖職人をしていれば家具が壊れる事など日常茶飯事なのか、オリバンダーは少しも砕けた花瓶に目を向ける事なくソフィアの手から杖を受け取るとすぐに新たな杖を探しに店の奥に消えた。

 

 

「…見つかるかしら…」

「…店中の杖を試すって言われたらどうする?」

「うーん…」

 

 

無数にある杖を見渡し、ソフィアは肩をくすめた。

 

 

「…寝袋を持ってこなきゃいけないわね」

 

 

その後、何度も杖を試したが、ソフィアに合う杖は中々見つからない。オリバンダーは目をギラギラと輝かせ何やら不敵な笑みを浮かべながら楽しげに色々な杖を試す。これほど杖選びが難航するのは久方ぶりであり、オリバンダーの胸は躍っていたのだが、何度も杖を振りその度に店の中が破壊されていく状況にソフィアとルイスは些か疲れ──飽きていた。

 

 

「ねぇ…まだかかるかしら?」

 

 

ソフィアは振りすぎて疲れてきた右腕を揉みながらため息を溢す。

 

外はうっすらと暗くなってきているが、まだローブや教科書を購入出来ていない。これはまた別日に出直さなければならないだろう、何しろ、まだこの後にルイスの杖選びも残っているのだ。

 

 

「うーむ…君達は…双子かな?」

「ええ…そうよ、私はソフィア、彼はルイス」

「ふむ…。…そうじゃ!アレを試して見よう」

 

 

暫くオリバンダーはソフィアとルイスを交互に見ていたが、思い出したように手を叩き、床に散らばった杖の箱を掻き分けながら奥へと進む、オリバンダーは棚の奥から他の箱より大きな箱を取り出した。

その箱につく埃を服で払い、オリバンダーは中からそっと杖を取り出す。

 

 

「ルイスと言ったかな、君も隣に来なさい」

「──え?僕も?」

 

 

待ち続けることに疲れたルイスは椅子に座ってぼんやりとしていたため、急に名前を呼ばれたことに驚きながらも直ぐにソフィアの隣に並んだ。

 

 

「さあ…これを持ちなさい」

 

 

オリバンダーは1つの杖をソフィアに渡すと、箱の中から瓜二つの杖をそっと取り出しルイスに差し出す。

 

 

「君は、これじゃ。振ってみなさい、二人、同時に」

 

 

ソフィアとルイスは目を合わせ、そっと同時に杖を振った。

銀色の眩い光線が二人の杖から溢れ、主人との出逢いを喜ぶように二人の周りをキラキラと輝きながら巡った。

 

 

「おお!…なんと…この杖の選択者に生きているうちに会えるとは…」

 

 

オリバンダーは深く感嘆しながら嬉しそうに微笑む。

黒く艶やかな杖を二人は目を輝かせながら見つめた。

 

 

「この杖は…根元から別れ、双子となった杉から作られておる、極めて稀な物じゃ…お嬢さんが持つ杖は双子スギの枝、スナリーガスターの心臓の琴線を芯とする。25センチ、かなり気まぐれ。坊ちゃんの杖は同じ双子スギの枝、スナリーガスターの牙を芯とする。主人のみ忠実。…同じ個体を材料とする兄弟杖はたまにあるが、これは…木材をも同じ、稀有な双子杖なのじゃよ」

「へぇー?僕らにピッタリなわけだ!」

「私たちが双子だってわかっていたらもっと早く見つかったかもしれないわね」

 

 

まじまじと杖を見ながらルイスは嬉しそうに言った。杖まで双子だなんて、最高だとその表情が物語っていた。

 

 

「いやいや…これは双子杖であり、よく似ているが全く真逆の性質を持つ…矛盾を多く孕んだ杖なのじゃ、ただの双子には扱えん。今まで何組もの双子が試したが使えなかったのじゃ」

 

 

オリバンダーの話を聞いても二人はぴんとくるものはなく、首を傾げていたがとりあえず杖が決まった事は喜ばしいことだ。やっと、この店から解放される。

 

二人は杖の代金を払い、まだギリギリ営業時間だったマダム・マルキンの洋服店で制服を購入し家へ戻った。

教科書を買うことは諦め、2人は疲れた表情でソファに座り込む。

 

 

「はぁー…何だかとっても疲れたわ」

「まぁね、フレッドとジョージに出会えたのは嬉しかったけどね!」

「ええ!ホグワーツに行く楽しみがひとつ増えたもの!」

 

 

2人は赤毛の双子を思い出し、顔を見合わせくすくすと笑った。

 

 

 

 

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