【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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402 この姿は誰?

 

 

動揺をなんとか取り繕う事が出来たのはソフィアとハーマイオニーとハリーだけだろう。突如現れた死喰い人──ヤックスリーの強い睨みと苛立ちを一身に受けたロンは目に見えて動揺したが、ロンが変身していた男はそんな態度をしてもおかしくなかったのか、ヤックスリーや周りが気にする様子は無い。

 

 

「魔法ビル管理部に、俺の部屋を何とかしろと言ったのだが、カターモール。まだ雨が降っているぞ?」

 

 

ロンは誰かが何かを言ってくれないかと辺りを見回したが、ソフィア達はロンが変身した相手と自分の姿の人が親しいのかわからず、他の人と同じく無言でエレベーターの扉を見続けた。

 

 

「雨が……あなたの部屋で?それは──それはいけませんね」

「おかしいのか?カターモール、え?」

 

 

ロンは不安を隠すように薄く笑い声を上げたが、ヤックスリーにとってそれは悪手であり不愉快だと顔を顰める。

周りの空気が凍りついたように静まり返る中、エレベーター待ちで並んでいた魔女が二人、列を離れあたふたと何処かへ消えてしまった。

 

 

「い、いいえ。もちろん、そんなことは」

「俺はお前の女房の尋問に、下の階まで降りていくところだ。わかってるのか、カターモール?まったく、下にいて尋問を待つ女房の手を握っているかと思えば、ここにいるとは驚いた。失敗だったと、もう女房を見捨てることにしたわけか?その方が賢明だろう。次は純血と結婚することだな」

 

 

ハーマイオニーが小さく叫んだが、ヤックスリーにジロリと睨まれ、弱々しく咳払いをして顔を背けた。

 

 

「私は──私は──」

 

 

ロンは姿を借りたカターモールがとんでも無い事に巻き込まれているのだと知り、冷や汗をだらだら流しながら口籠る。

おどおどとしたロンの態度に、ヤックスリーは舌打ちをこぼすと獣じみた顔をぐっと近づけロンの耳元で低く囁いた。

 

 

「しかし、万が一俺の女房が穢れた血だと告発されるような事があれば──俺が結婚した女は誰であれ、そういう汚物と間違えられる事があるはずがないが──そういうときに、魔法法執行部の部長に仕事を言いつけられたら、カターモール、俺ならその仕事を優先する。わかったか?」

「はい」

「それなら対処しろ、カターモール。1時間以内に俺の部屋が完全に乾いていなかったら、おまえの女房の血統書は、いまよりもっと深刻な疑いをかけられるようになるぞ」

 

 

縮こまるロンを充分に脅したヤックスリーはハリーに向かって軽く頷き、にたりと嫌な笑いを見せ、さっと別なエレベーターの方に行ってしまった。

 

今の一瞥だけで、ハリーが成りすましている大柄の男がヤックスリーと同じような立場でありカターモールがこのような仕打ちを受けるのを喜ぶべきなのだという事を表していた。──おそらく、死喰い人か、それに近い存在なのだろう。

 

沈黙の中、目の前の格子が開きソフィア達は乗り込んだが、他の誰も乗り込むことはなかった。──まるで、何かに感染するとでも思っているのか引き攣った顔で閉まる扉を見つめるだけだった。

格子ががちゃんと高い音を立て閉まり、ゆっくりとエレベーターが上がり始めるとロンは眉を下げてソフィア達を振り返った。

 

 

「僕、どうしよう。僕が行かなかったら、つまり──カターモールの奥さんは──」

「僕たちも一緒に行くよ、四人は一緒にいるべきだし──」

「とんでもないよ!時間がないんだから、君たちはアンブリッジを探してくれ。僕はヤックスリーの部屋に入って処理する。──だけど、どうやって雨降りを止めればいいんだ?」

「フィニートを試してみて。呪いや呪詛で雨が降ってるのならそれで止まるはずよ」

 

 

ソフィアの助言にロンは頷き「フィニート」忘れないように何度も呟いた。

 

 

「もしフィニートで止まなかったら、大気呪文がおかしくなっているわ。その場合はもっと難しいから、とりあえずの処置としてあの人の持ち物を保護するために防水呪文を試して──」

「もう一回ゆっくり言って──」

 

 

ソフィアの言葉に続けてハーマイオニーが早口で言ったため、ロンは慌てて羽ペンを取ろうと必死にポケットを探った時、エレベーターがガクンと静止し、声だけの案内嬢が無機質な声で告げた。

 

 

「──四階。魔法生物規制管理部でございます。動物課、存在課、霊魂課、小鬼連絡室、害虫相談室はこちらでお降りください」

 

 

その声と共に格子が開き、魔法使いが二人と薄紫色の紙飛行機が数機一緒に入り、紙飛行機はエレベーターの天井ランプの周りをパタパタと飛び回った。

エレベーターに入ってきた一人の男はハリーを見ると、その髭面の顔をくしゃりと歪めて笑いかけた。

ハリーはどきりとして背筋を伸ばすと、曖昧に──これで合っていますようにと願いながら──ニヤリと笑いかえす。

 

 

「おはよう、アルバート」

「──ああ、おはよう」

 

 

入って来た男はちらりとロンとハーマイオニーを見たが、ハーマイオニーは小声で必死に教え込んでいたためにその視線に気が付かない。ソフィアは意味も無く鞄の中を探り、話しかけられないように顔を上げない理由を作った。

誰も自分たちに意識を向けていないとわかると髭面の男はハリーの方に上体を傾け、にやりと笑いこっそりと耳打ちをした。

 

 

「ダーク・クレスウェルか、え?小鬼連絡室の?やるじゃないか、アルバート。今度は私がその地位につくこと間違いなし!」

 

 

男はウィンクをし、ハリーはそれだけで十分でありますようにと願いながら笑顔を返した。男はそれだけで満足そうに含み笑いをするとハリーの背をぽんぽんと叩く。

 

そんな中、再びエレベーターが止まり格子が開いた。

 

 

「二階。魔法法執行部でございます。魔法不適正使用取締局、闇祓い本部、ウィゼンガモット最高裁事務局はこちらでお降りください」

 

 

声だけの案内嬢が告げハーマイオニーがロンを軽く押し、ロンは急いでエレベーターを降り、二人の魔法使いもその後に降りた。格子が閉じる前に振り返ったロンは不安そうな顔をしていたが、ソフィア達が声をかける前に格子が締まり再びエレベーターが動き始める。

 

 

「ああ、大丈夫かしら……」

「ねえ、私やっぱりロンの後を追った方がいいと思うわ。あの人、どうすればいいのかわかって無いと思うし、もしロンが捕まったら全て──」

「一階でございます。魔法大臣、ならびに次官室がございます」

 

 

急ながらハーマイオニーが言葉を全ていい終わる前にエレベーターは止まり格子が開く。

その途端、ソフィアとハーマイオニーとハリーは息を呑んだ。

 

 

金の格子が開いた先には四人の魔法使いがいた。

そのうちの二人は何やら話し込んでいて格子が開いた事にも気づいていなさそうである。

あとの一人は金と黒の豪華なローブを着て長い銀髪を上品に結い上げたジャックであり、もう一人はクリップボードをしっかりと胸元に抱えた短い髪にビードロのリボンを着けたガマガエルのような顔の魔女──アンブリッジだった。

 

 

「ああ、マファルダ!トラバースがあなたをよこしたのよね?」

 

 

ハーマイオニーに気づいたアンブリッジの声は耳につくねっとりと甘い声であり、ハリーは数年前この声が発する不当な罰則に苦しめられた事を思い出しぐっと拳を握った。

呼びかけられたハーマイオニーは上擦った声で「はい」と答え、ぎこちなく頷く。

 

 

「結構。あなたなら十分役に立ってくれるわ。──大臣、これであの問題は解決ですわ。マファルダに記録係をやってもらえるのならすぐにでも始められますわよ」

「そうか。結果はすぐに私に報告するように」

「ええ、勿論ですわ!今日は十人も……その中に魔法省の妻が一人!ここまでとは、魔法省のお膝元で!」

 

 

アンブリッジは興奮と喜びが混じった醜い笑みを浮かべエレベーターに乗り込む。アンブリッジとジャックの会話を聞いていた2人も同じように乗り込み、ハリーとソフィアはどうすればいいのか一瞬悩み、その場にとどまった。

 

 

「マファルダ、私たちは真っ直ぐ下に行きます。必要なものは法廷に全部ありますよ。おはよう、アルバート、アリス。降りるんじゃないの?」

「ああ、勿論だ」

「ええ」

 

 

動かないソフィアとハリーを見て、アンブリッジが片眉を上げ外に出るように促す。2人が自然に見えるようにエレベーターを降りた時、後ろで格子が閉まる音が響いた。ハリーとソフィアがちらりと振り返れば、背の高い魔法使いに挟まれたハーマイオニーの不安そうな顔が、ハーマイオニーの肩の高さにあるアンブリッジのビードロのリボンと共に沈んでいき見えなくなるところだった。

 

 

「アリス。いつもより遅いな。何かあったのかと探しに行くところだった」

「いえ、その──立ち話を少々」

「そうか。ランコーンは何の用で来たんだ?」

「ちょっと話したい人が居る」

 

 

完全にエレベーターの音が遠くに消え、周りに自分たち以外に誰もいない事を確認しハリーは言葉を止めて悩んだ。

ジャックは紛れもなく味方だ。騎士団の情報はどこまで知っているのだろうか?シリウス達はジャックが大臣になった事により連絡を取る事が前よりも難しくなったと言っていた。今、ここには自分たちしかいない。ジャックに魔法省に潜入した理由を話し、アンブリッジからロケットを入手する方が自分たちの計画よりも安全な事なのではないだろうか?

 

 

「話したい人?ランコーン、ここには君と話すべき人なんて──」

 

 

ジャックは訝しげな顔をして自分より大柄なハリーを見上げる。ハリーは悩み、言葉に詰まりちらりとソフィアを見た。

ソフィアは小さく頷き、緊張した面持ちでジャックの袖をきゅっと掴む。ジャックはまさかソフィア(アリス)がそのような事をすると思わなかったのか、驚いた目でパッとソフィアを見た。

 

 

「何──」

「ジャック、ティティは元気かしら?」

 

 

ジャックに盗聴魔法がかけられている可能性を考え、ソフィアは慎重に言葉を選んだ。ジャックは不可解だという表情をしていたがソフィア(アリス)の真剣な眼差しを見て、何か察するところがあったのかハッと息を呑みハリーを鋭い瞳で射抜く。身を縮こまらせた──とはいってもかなり大柄な男のため対して変わっていないが──ハリーが着ているローブをじっと見つめた後、呆気に取られたように苦笑した。

 

 

「……素晴らしいローブだな、ランコーン」

「ありがとう。……少し薬草の匂いが染み付いているけれど」

 

 

ハリーの言葉にジャックは確信を得た表情をした後パチンと顔を手で覆い、大きくため息を吐いた。

ハリーはこれで自分がランコーンではないと伝わったのかと不安だったが、ジャックは低い声で「ついておいで」と二人に言うとふかふかの絨毯が敷かれた廊下をゆっくりと歩きだした。

 

暫く廊下を進めば一際重厚な作りの扉があり、すぐ脇の壁には見事な装飾の名札がかけられていた。『魔法省魔法大臣 ジャック・エドワーズ』と書かれた扉に右手を当てれば、扉の模様が不規則に動きカチリと小さな音が響く。重厚な扉は音もなく滑らかに開き、ジャックはチラリと二人を見て顎で中に入るように促した。

 

 

部屋の中には無数の書類が浮遊し、窓からはたびたび紙飛行機が入り机の上空で停止すると、解けて一枚の紙に戻り四角い箱の中に収まっていた。

棚には数々の本や書類が納められ、魔法大臣の部屋にしては雑然としているのは彼にたくさんの仕事や情報が舞い込んでくるからだろう。

 

黒い革張りのソファが向かい合って並び、ジャックは少し離れた場所にある肘掛け椅子に座る。ソフィアとハリーがソファに座ったのを見てジャックは杖を振り引き出しの奥からバタービール瓶を2本引き出し机の上に置いた。

 

 

「この中でなら話しても問題ない。──本物は?」

「アリスは入り口近くの空き劇場で気絶しているわ。ハリーの姿の……ランコーンは、嘔吐で寝込んでいるはずよ」

「ハリー?まさか──」

 

 

ソフィアが言った途端ジャックは腰を浮かし、驚愕と動揺を見せ「嘘だろう?」と呟いたが、ハリーがポケットの中から特徴的な眼鏡をチラリと見せれば納得したのかまた大きなため息をつき、机に肘を乗せ手のひらで頭を支え項垂れた。

 

 

「よくもまあ、こんな敵陣の中に……他には?騎士団は何人くらい来てるんだ?」

「えっと。あとは、ハーマイオニーとロンだけで、騎士団で僕たちがここにいる事を知っているのはシリウスだけです。ビルとフラーの結婚式の時に襲撃されてから、僕たちはソフィアの家に隠れていて……騎士団は見張られてるから、連絡が取れなくて。魔法省に来たのは、アンブリッジに用があって」

「……アンブリッジ?」

「その──ダンブルドアとの約束で、探し出さなければならない物の一つを、アンブリッジが持っている可能性が高くて……それで、潜入しました」

「……なるほど」

 

 

ハリーは分霊箱という存在については言葉を濁したが、ジャックはハリーの言葉だけで納得すると呆れと称賛が混じったような複雑な顔で小さく笑った。

 

 

「昨日、ハリー・ポッターが目撃されたのはコッツウォルズだったが……それは?」

「シリウスなんだ。シリウスは僕たちが魔法省に潜入するって知ってる。だから──だから、ポリジュース薬で囮になるために、いろんなところで姿を見せて……危険だけど、でも──」

「いや、良い案だ。少なくとも撹乱はできている。……実際、俺を含めみんなハリー・ポッターが魔法省に来るとは想像もしていない。ハリーは独りでイギリス中を逃げ回っていると考えられているんだ。……いや、ハーマイオニー、彼女は両親を含め所在がわからなくなっているからハリーと逃げている可能性もあると考えられているけれどね。今の所ロンは病気だと思われて、ソフィアはしっかりと死亡した事になっている。──それで?俺にできる事はあるか?」

 

 

ソフィアとハリーはジャックが味方についてくれるのならばこれ程嬉しいことはないと身を乗り出しながら早口で今回の計画を話した。計画、と言っても自分たちの誰かがアンブリッジの部屋を探し、誰かがアンブリッジ自身を探すと言うお粗末なものだ。詳細があるわけではなく、行き当たりばったりな計画にジャックは痛む頭を押さえ唸りながら飛び交う書類の鳥をじっと睨みつけた。

 

 

「──それで、今1番危険なのはロンなんです」

「ハーマイオニーはマファルダの姿で、ロンはカターモールという魔法使いの姿をしているわ、今カターモールの奥さんがマグル生まれの尋問にかかっていて……ヤックスリーに雨が降っている部屋をどうにかしろって言われていて、そっちに向かっているの。アンブリッジの事も大切だけれど、カターモールの奥さんを犠牲には出来ないわ。カターモールさんの尋問をどうにかクリアして、それで、アンブリッジを……できれば気絶させて、調べないといけないの」

「それは……難しいな。少なくとも尋問が終わるまで、アンブリッジをこの部屋に呼びつけることはできない。それに……本物達が目を覚まして帰ってくる事もあるだろう。ゆっくり待つ時間はないな……」

 

 

ハリーとソフィアはジャックの言葉に、今更ながら自分たちがあまりに焦って計画を立てすぎたのではないかと不安になり胃の奥が苦しく締め付けられるような感覚に陥った。

顔色の悪い二人を見てジャックは暫く黙り込んでいたが、ふっと優しく労うように笑うと「怪しまれていない今動くしかないな」と呟き立ち上がった。

 

 

「アンブリッジの部屋は無人だ。今のうちにその探しているものがあるか調べるべきだろう。一旦ハリー達は帰って、俺がその物を探してもいいけど──そうする気は無いんだろう?」

 

 

ジャックの言葉にハリーは小さく頷いた。スリザリンのロケットの事はあの場にいた騎士団員ならば知っているが、その居場所がアンブリッジの元にあると知っているのは自分たち以外にリーマスとシリウスだけだ。

分霊箱を探し出し破壊するのはダンブルドアから最後に任された自分の使命だと強く思っているハリーは、そこだけは譲れなかった。

 

ジャックはスクリムジョールが殺害され、自分が魔法大臣に指名されてから騎士団員と全くコンタクトをとっていない。取れるほどの隙も無く、ジャックができる事といえば昔からの伝手を頼り少しでも多くのマグル生まれを外国に逃す事だけだ。しかし、それもわずか数十人を避難させただけで、手のひらからこぼれ落ちてしまう者も少なくはない。

あとは、魔法省にいる騎士団員を陰ながら護るために慎重に情報を操作する事、そんな事しかできず、ハリー達の力になれない歯痒さと苦しさを感じていた。

それでも、ハリーが心に決めた事を無理に暴け出そうとは思わなかった。他の騎士団達──特に、シリウスがハリーの考えに賛同しているのならば、自分は陰ながら彼らを護ることに繋がる行動を起こすしかない。

 

 

「それなら、まずはアンブリッジの部屋を探して、見つからなければ法廷へ向かうしかない。法廷にはアンブリッジとマファルダ──いや、ハーマイオニーか、中身は。──それとヤックスリーと吸魂鬼が複数体いる」

「吸魂鬼?」

「ああ、吸魂鬼でマグル生まれの魔法使い達を脅しているんだ」

 

 

ジャックは扉へ向かい、ハリーとソフィアは一口だけバタービールを飲むとすぐにジャックの後を追いかけた。ジャックの横顔はいつものように気楽そうだったが、その目だけは鋭く扉を睨みつけている。

 

 

「悪いな。俺は──疑われるわけにはいかない、君たちが命をかけて頑張っているのに……力になれることは少ない」

 

 

ぽつりと苦しげに吐かれた言葉に、ソフィアとハリーは勢いよく首を振る。ジャックの立場はわかっていた、もし少しでも疑われたならば、全ての計画が水の泡になってしまう。ヴォルデモートにスパイだと知られたなら、セブルスの身も危険なものになり死喰い人の動向を見張る事も、ホグワーツを護る事も出来なくなるのだ。

 

 

「そんな、十分です」

「ごめんなさい、ジャック……」

「……ロンを見つけ出してヤックスリーの部屋の雨を止める事と、魔法省にいる死喰い人の目を外に向ける事はできる。少しでも君たちの計画が成功するように。──透明マントは?」

「持ってます」

「よし。ソフィアのその姿ならアンブリッジの部屋や法廷へ入っても何も不審がられない。だが、アリスは服従の呪文で操られマグル生まれを憎悪させられているんだ、行動に注意しろ。……ハリーは姿を隠したほうがいいな」

 

 

ソフィアは頷き、ハリーはすぐに大きな黒いローブの内側から透明マントを引っ張り出し自分の体を隠した。

 

 

「ソフィア。──頼むから、俺たちを悲しませないでくれ」

「勿論よ、パパ」

 

 

ソフィアは背伸びをしてジャックの頬にキスをしようと思ったが、自分の姿が別人である事を思い出し、頬のそばに顔を寄せ舌を鳴らすだけに留めた。

ジャックは一瞬複雑そうな何とも言えない表情をしてソフィアの頭をいつもよりぎこちなく撫でると扉に手をかけた。

 

 

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