【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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51 夏休み!2

 

 

楽しい夏休みも後半に差し掛かっていた。また今年もセブルスは早くホグワーツに戻ってしまうのかと思ったが、やはり去年は特例だったらしく、今年はいつも通り新年度の一週間前までは自宅で過ごす予定だと2人に告げた。勿論、二人は両手を上げて喜んだ。

 

 

ルイスとソフィアはセブルスの監視の元、難しい魔法書に目を通しいろいろな魔法を試していた。本来、未成年は魔法を使うとその魔力の匂いで魔法省にバレてしまう、だが、魔法省が感じ取れるのは、魔法がどの場所でいつ使われたか、だけであり、誰が使ったか、まではわからないのだ。

──つまり、大人がいる場所で2人が魔法を使ってもバレることはない。そして、もちろんそれは違法なのだが、セブルスは一切止めるつもりはなかった。危険のない魔法なら早めに学んでおいて損はない。そう、セブルスは考えている。それは特にこの魔法界においては珍しいものでもなく、法の網目を潜り、子どもに魔法をこっそり教える大人は実は、かなり多いのだ。

 

 

ヴァンタス(吹き飛べ)!」

「うわっ!やめてよソフィア!教科書が飛んでいったじゃないか!」

「…あら、ごめんなさいね?羊皮紙を狙ったんだけど…」

 

 

ソフィアは憤慨するルイスにぺろりと舌を出して謝る。ルイスは怒りながらも教科書をアクシオで引き寄せ、ついた埃を払った。

 

 

「ソフィアは魔力の調節が苦手のようだな」

「父様…そうなの、何回か練習すれば使えるんだけど…」

 

側で見ていたセブルスは、少し顎に手を当てて考える。成功させたいという思いが強すぎるのかも知れない、繊細な魔力操作が必要な変身術は上手くいくため、何故他の呪文が失敗するのか不思議だった。

 

 

「…一度、言葉に出さずやってみなさい」

「え?無言呪文って事?うーん…やってみるわ」

 

ソフィアは机の上にある羊皮紙に狙いを定めた。

 

 

──ヴァンタス(吹き飛べ)

 

 

心の中で呪文を唱え杖を振る、すると羊皮紙は勢いよく壁に向かって吹き飛んだ。

 

 

「出来たわ!ちゃんと羊皮紙に当たったわ!」

「…、…」

 

 

ソフィアは興奮したように羊皮紙の元に駆け寄ったが、無言呪文は高度な魔法だ、まさか一度で成功させるとは思わず、セブルスは些か驚愕しソフィアを見る。

 

 

「えー!僕もやってみたい!」

 

 

面白そう!とばかりにルイスも杖を持つとキョロキョロと見渡し、机の上に羽ペンをそっと置いた。

そして、狙いを定めて杖を振るう。

 

 

──エンゴージオ(肥大せよ)

 

 

羽ペンはぶるぶる震えたかと思うと、一気に二倍ほどの大きさに変わった。

ルイスもまた歓声を上げ、その羽ペンを掴むと誇らしげにセブルスの前に持ってきた。

 

 

「見てみて!僕も成功したよ!」

 

 

セブルスは、信じ難い目で二人を見た。

一瞬で二人はセブルスが喜んでいなさそうだと思い、不安に眉を下げた。

 

 

「…二人とも、…稀に見る才能だ、私は二人を誇りに思う」

 

 

セブルスが感嘆しながら言うと、ソフィアとルイスはぱっと明るい笑顔を取り戻し嬉しそうに笑った。

 

実際、二人の魔法の才能はかなり秀でている。無言呪文をまだ二年生にもなっていない子どもが使えるなんて、だれが想像しただろうか。だが、確か2人の母も早くから無言呪文を習得していたと思い出した。あまり、その技を公言するような人ではなかったが。

間違いなく、母の…アリッサの魔力センスを2人は受け継いでいる。それがセブルスにとってどれほど誇らしく、嬉しい事なのか、ソフィアとルイスにはまだ分からなかった。

 

 

「あとは、ソフィアは魔法史と薬草学。ルイスは魔法史と、変身術をしっかり学ぶように」

「…えー」

「うーん…」

 

 

セブルスの言葉に、2人は曖昧に返事をした。

2人とも退屈な魔法史の授業は仮眠の時間だと思っているところがあるため、あまりテストの点数は良くなかった。

 

 

「将来のための選択肢は多いに越したことはない、学びは無駄にならないと、私は思うが?」

「はぁーい父様せんせー」

「父様せんせーわっかりましたぁー」

「……ほう?」

 

 

2人のからかいを含んだ言葉に、セブルスは眉を寄せ目を細める。ソフィアとルイスは顔を見合わせると怒られる前にさっさとその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

夜、今日はルイスが料理を作り──簡単なものだったが、セブルスもソフィアも文句は言わなかった──夕食を済ませ、ソファの上でそれぞれ本を読みながらゆっくりとした時間を過ごす。

この家には壁一面に本があり、この家に住む者は皆なかなかの読書家だった。双子が唯一静かになるのは、本を読んでいる時だけだ。

 

 

──コツコツ

 

 

「あら、こんな時間に手紙だわ…あー…エロールね…また迷子になったの?」

 

 

ソフィアが窓を開け、よろよろとしたフクロウのエロールを優しく手で撫でた。ウィーズリー家のフクロウはもうあまり飛べないのか、手紙を届けるのは遅く、よく迷子になっていた。

 

 

「ロンからだわ……、…まぁ!ハリーを連れ出したんですって!」

「え?ハリーを?なんでまた…」

 

 

ルイスはその言葉に読んでいた本から顔を上げ直ぐにソフィアの隣に並び手紙を横から見た。

セブルスもまたあまり休み中は聞きたくなかった名前に訝しげに顔をあげ手紙を読む2人を見る。

 

ハリー・ポッターは従兄弟の家で暮らさなければならない、それは、あの家には強い守りがあるからだ、だがそれを知っているのはほんの一握りだけであり、セブルスは今年も何か彼らが厄介ごとを引き起こすような嫌な予感に久しぶりに眉間に皺を寄せた。

 

 

「…へー!ロンの家で新学期まで過ごすんだ!それは楽しいだろうなぁ」

「また今度遊びに行こうか!」

「そうね!そうしましょう、手紙にもぜひおいでって書いてあるし…父様、いってもいい?」

「…、…ああ」

 

 

本音を言うと、あまり行かせたくは無かったが、ここで否定すると今までは良かったのに何でと詰問が飛んでくるのは目に見えているため、渋々頷いた。

 

 

「…父様って、ハリーの事嫌いよね、どうして?」

「グリフィンドール生の中でもハリーだけ特別だよね、なんで?」

 

 

しかし、そのセブルスの微妙な変化に気がつかないソフィアとルイスではない。

そっとセブルスに近付き、2人は両隣に座るとセブルスの身体に身を寄せながら彼の表情を覗き込むように見上げた。

セブルスはむっつりとした表情をしたまま黙り込んでしまった。

 

 

「…父様ってルシウスさんの後輩なのよね?」

「…そうだが?」

「もしかして、ハリーのご両親と同じ時期にホグワーツに通っていたとか?」

 

 

ぴくり、とセブルスの眉が少し動いたのを見てソフィアとルイスは顔を見合わせた。

 

 

「年代的にはそうでもおかしくないものね…」

「…ハリーはお父さん似てるらしいから、えーと…名前なんだっけなぁ…ジェフ…ジェームズ!ジェームズ・ポッターと何かあったの?」

 

 

自分の子どもの口からこの世で──たとえ死んだとしても──最も憎い相手の名前が出て来るとは思わず、セブルスは厳しい目でルイスを見下ろす。その目に込められた怒りに、ルイスは肩をすくめた。

 

 

「まあ!そうだとしたら父様?あまりに子どもっぽすぎるわ!」

「…ほう?外出許可はいらないようだな」

「もう!父様!」

 

 

ソフィアとルイスは、ジェームズ・ポッターと父の間に何があったのか、なぜ息子のハリーをそれほど憎むのかを知らなかったがこれ以上怒らせると本当に外出許可が取り消されてしまうと口を黙み、ソフィアはつまらなさそうな顔でセブルスの脚の上に寝そべった。

 

 

 

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