【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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54 書店にて大喧嘩!

 

 

 

ソフィアがハーマイオニーを見つけ一人でさっさとグリンゴッツへ向かってしまったあと、残された3人は人混みを見渡しウィーズリー家の者を引き続き探していた。

 

 

「あ、ハリー、ルイス。…多分あれじゃないか?」

「どこ?見えない!」

「ルイスは背が低いからなぁ…とは言ってもこの人混みだ気付くかどうか……よし」

 

 

ジャックは杖を掲げ、杖先から数回花火を爆発させた。周りの人たちが音に驚き、ハリー達から離れていく。ざわざわと注目されてしまい、ルイスとハリーは少し恥ずかしさから顔を赤らめた。

 

 

「ハリー!」

 

 

その花火を見たウィーズリ家の者たちが人混みを縫うようにしてハリー達の前に飛び出した。

 

 

「ああ…せいぜい一つ向こうの火格子まで行き過ぎたくらいであればと願っていたんだよ…」

 

 

アーサーがぜいぜいと息を切らせながらも深く安堵の息を吐き、額に光る汗を拭った。

そしてようやくハリーの隣にルイスがいる事に気付き、驚くがそういえば今日会えるかもしれないと言っていた事を思い出した。

 

 

「ルイス!…と言う事は…君は、ジャック・エドワーズか!久しぶりだね!」

「ようやく気付いてくれましたね!卒業以来ですね、久しぶりですアーサー先輩!」

 

 

ジャックはようやく視線があったアーサーに苦笑しながら差し出された手をしっかりと握った。

ハリーとルイスは、二人は友人では無かったとアーサーから聞いていたが、仲が良さそうに見えて不思議そうに顔を合わせた。

 

 

「もう先輩はやめてくれ!敬語もいらんよ!…お互い立場もかわった、そうだろう?」

「俺にとっては先輩は先輩だけど…まぁそういうなら」

「君がハリーを見つけてくれたのかい?本当にありがとう。モリーはもう半狂乱になってね…もうすぐ来ると思うよ」

「モリー先輩が?…あー…俺、彼女苦手なんだよな…」

 

 

ジャックの呟きに、アーサーは少しムッとしながらも──最愛の妻を苦手と言われて喜ぶ人はいないだろう──彼は昔からそうだったと思い出し何も言わなかった。

 

 

「ハリー、どっから出たんだい?」

 

 

ロンの疑問に、ハリーが「ノクターン横丁だよ」と小声で答えたが、フレッドとジョージが大声で歓声を上げた為、アーサーにどこに出たのかバレてしまった。

 

 

「すっげぇ!」

「僕たちそこに行くの、許してもらえたことないよ!」

「あー、まぁ、危険だからね、フレッドとジョージは触っちゃいけないって言われたら、触りたくなっちゃうでしょう?」

 

 

ルイスは苦笑しながらフレッドとジョージを見る。2人は顔を合わせてそんな事ないとぶんぶん首を振って否定をした。

 

 

今度はモリーが片手にハンドバッグを持ち、もう片手にジニーの手をしっかり握りしめて人混みの間を跳ねるように現れた。

 

 

「ああ、ハリー!とんでもない所に行ったんじゃないかと思って……!あなたが助けてくれたんですね!ありがとう…あら、あなたは?」

 

 

モリーはアーサーと話している人がハリーを見つけてくれたのだろうと考え、ハリーの無事を確認してすぐに向き合ったが、その見覚えのある顔に言葉をとめた。

 

 

「あー…ジャックです、お久しぶりですね」

「まぁまぁジャック!?貴方なの!本当にありがとう!元気かしら?貴方は…相変わらず細いわね、ちゃんと食べてるの?髪も!学生の時からずっと伸ばしているわね!切った方がいいってずっと言ってたのに、まだ長いままなのね!」

「あー…モリー、その辺にしておこう。早く買い物を済まさなければ、グリンゴッツに行こう」

 

 

アーサーはモリーの言葉のマシンガンを止め、やんわりとジャックとモリーの間に割って入る。ジャックはあからさまに安堵のため息をついた。昔からモリーはこうして小言を言っていたため、ジャックは彼女を苦手としているのだ。

 

 

「ノクターン横丁の店で誰と会ったと思う?」

 

 

ハリーはグリンゴッツの階段を上がりながらロンに問いかけた。

 

 

「マルフォイと父親なんだ」

「ルシウス・マルフォイは何かを買ったかね?」

 

 

アーサーがハリーの言葉を聞いて厳しい声で問いかける。

 

 

「いいえ、売ってました」

「それじゃ心配になったわけだ。──ああ、ルシウス・マルフォイの尻尾を掴みたいものだ…」

「アーサー、気をつけなさいと。あの家族は厄介よ、無理して火傷しないように」

「何かね、私がルシウス・マルフォイに敵わないとでも?…ところでジャック、ルイス。君たちはどこでハリーを見つけたんだい?」

 

 

ルシウスの話題が出ても黙ったままだったジャックとルイスはその言葉に聞こえないふりをしてわざとらしくハーマイオニーと楽しそうに喋るソフィアを見つけると「ソフィア!」とその名を呼んだ。

 

 

「あ!みんな!」

「ハリー!ロン!久しぶりね!」

「なんと、マグルのお二人がここに!」

 

 

アーサーはハーマイオニーの両親がいることに気付くと直ぐに興味を2人に移し、興奮したように駆け寄りすぐに挨拶をし手を握った。ハーマイオニーの両親はその勢いに少し驚いたが、それでも歓迎されてるらしいとわかると笑って見せた。

 

 

「後でここで会おう!」

 

 

ハリーはそう言うと小鬼に連れられてウィーズリー一家と共に地下の金庫へと向かった。

 

 

「ソフィア、ルイス、こちらは?」

「ああ、俺はジャック・エドワーズ。彼らの育て親だ、君のことはソフィアからよく聞いているよ。…何を知っているかもね」

 

 

ジャックはハーマイオニーにウインクを一つし、悪戯っぽく笑い、ハーマイオニーもまた、ハリーと同じくその笑顔に2人の面影を見た。

 

 

 

暫くしてからハリーとウィーズリー一家が戻ってきて、各自別行動を取ることになった。

 

 

「ねえ、ソフィア、ルイス。一緒に居られないかしら?」

「そうだよ!時間は?どう?」

「んー…ドラコと約束の時間はまだ大丈夫だけど…」

 

ソフィアとルイスはちらりとジャックを見た。

ジャックは時計を見て、そして笑って2人の背中を軽く叩く。

 

 

「俺のことは良い、楽しんでおいで?」

「いいの?わぁ!ありがとう!」

「じゃあさー…」

 

 

2人は同時にジャックに手を出した。

 

 

「「お小遣い、ちょーだい?」」

「…ちゃっかりしてるよ、全く!」

 

 

ジャックは2人に呆れながらも、財布から数枚の金貨を取り出すと2人の手に握らせた。

 

 

「1時間後にみんなフローリシュ・アンド・ブロッツ書店で会いましょう。教科書を買わなくちゃ」

「グレンジャーさん!ジャック!一緒に漏れ鍋で飲まないか?」

「んー…そうだな、ご一緒しても?」

 

 

ジャックと別れたルイスとソフィアは、ハリーとロンとハーマイオニーと曲がりくねった石畳の道を散歩しながら──ジニーはついていきたいと駄々を捏ねたが、モリーに無理矢理制服を見に連れて行かれた──様々な店を見て回った。 

 

 

 

ハリーはみんなに大きなアイスクリームをご馳走し、皆笑顔でぺろぺろ舐めながら楽しい会話をして過ごした。

 

あっという間に約束の1時間がすぎ、少し寂しく思いながらルイスとソフィアはハリー達と別れ、ジャックと共にダイアゴン横丁にあるパブに向かった。ここでドラコと待ち合わせをしていたのだ。

 

店の前で待つドラコとルシウスを見つけ、ソフィアとルイスは駆け寄った。

 

 

「ドラコ!さっきぶりね!」

「ごめん、待たせた?」

「いや、さっき来たところだ。何から買いに行こうか」

「重いものから済ませてしまいなさい。…書店に向かおう」

 

 

ルシウスはそう言うとみんなの返事も待たずにすたすたと書店へと向かう。

今、そこにはハリー達とウィーズリー一家がいる。あまり良い予感はしない、とソフィアとルイスは思ったものの、ルシウスは足早に人混みの中を縫うように進んでいた為慌ててその後を追いかけた。

 

 

「父上は何を急いでるんだ?」

「…息子のドラコにわからないことは、私たちにわからないわ!」

「まぁ、本は先に買った方がいいかもね…今年は同じ人の本を揃えなきゃならないし、大変そうだ」

 

 

書店へ向かうと、大勢の人が集まってなんとか中を覗き込もうと背伸びをしたり、隙間から覗いていた。

ルシウスは少し眉を顰め、店の中に見覚えのある赤毛を見つけると、微かにほくそ笑む。そして手に持った杖で地面を強く突く。

何だと周りが訝しげにルシウスを見たが、相手が誰だかわかるとそそくさと彼に道を開けた。

ドラコはその様子を何か自慢げに胸を張りながらいつもの薄ら笑いを浮かべて、堂々と店の中に入って行った。

 

 

「…ほら、2人も続いて入っちまえ、本はいるからな」

 

 

ジャックにぐいぐいと背を押され、2人はどうあがいてもこの先良いことはない!と思いながらしぶしぶ店の中にはいる。

書店ではハリーが誰かと引き攣った笑顔で写真を何枚も撮っていた。それを入り口近くでドラコは面白く無さそうに見ていたが、にやりと意地の悪い薄ら笑いを浮かべよろめきながら人混みからなんとか這い出したハリーに近づいた。

 

 

「ドラコも、ハリーにちょっかいかけなきゃいいのにね」

「ええ、あれはもう…趣味みたいなものなのかしら」

 

 

2人はそっとドラコの後を追いながらため息をついた。

 

 

 

「良い気分だったろうねぇ?有名人のハリー・ポッター。ちょっと書店に行くのでさえ、一面大見出し記事かい?」

「ほっといてよ!ハリーが望んだ事じゃないわ!」

 

 

ジニーが果敢にもドラコを睨み、噛み付くように声を荒げる。

 

 

「ポッター!ガールフレンドができたじゃないか!」

 

 

ドラコの言葉にジニーは髪色と同じくらい顔を赤く染めた。

 

 

「もう!ドラコ!ジニーはわたしの可愛い可愛い妹なの!揶揄わないでちょうだい!」

 

ソフィアがジニーとドラコの間に立ちはだかり、ぎゅっとジニーを守るように抱きしめた。ドラコはふんと鼻をならしてそっぽを向く。謝るつもりは毛頭も無いらしい。

 

その時ハーマイオニーとロンがロックハートの本をひと山抱え、人混みをかき分けて現れた。再びルイスとソフィアと会えて嬉しそうにした2人だったが、すぐにドラコがいる事に気付くと気分を害したかのように表情を歪める。

 

 

「なんだ、君か。ハリーがここにいるのに驚いたってわけか、え?」

「ウィーズリー、君がこの店にいるのをみてもっと驚いたよ、そんなに沢山買い込んで、君の両親はこれから1ヶ月は飲まず食わずだろうね」

「ドラコ!言っていいことと悪いことがある!」

 

 

ルイスはドラコの肩を掴み強く制したが、ロンは収まらずジニーの鍋の中に本を入れ顔を真っ赤にしながらドラコに掴みかかろうとした。だが、ハリーとハーマイオニーがしっかりとロンの上着を掴みそれを止めた。

 

 

「ロン!何してるんだ?ここはひどいもんだ、はやく外にでよう!」

 

 

アーサーがフレッドとジョージと共に人混みと格闘しながら叫ぶ。ルイスとソフィアは間違いなくそうした方がいいと思いロン達に「早く出て!」と伝えたが、それを阻むようにドラコの隣にルシウスが現れた。

 

 

「これはこれは…アーサー・ウィーズリー」

「ルシウス…」

 

 

なんでこんな所で会わなきゃならないんだと言うように、アーサーは素気なく少しだけ首を傾げて挨拶をした。

 

 

「お役所は忙しいらしいですな。あれだけ何回も抜き打ち調査を──…残業代は当然、払ってもらってるんでしょうな?」

 

 

ルシウスはジニーの大鍋から使い古された本を一冊ひっ掴み、薄ら笑いを浮かべ残念そうに笑った。

 

 

「どうもそうではないらしい。なんと、役所が満足に給料も払わないのでは、わざわざ魔法使いの面汚しになる甲斐がないですねぇ?」

「マルフォイ、魔法使いの面汚しがどういう意味かについて、私たちは意見が違うようだが」

「さようですな」

 

 

ルシウスの薄灰色の目が心配そうに成り行きを見守っているハーマイオニーの両親を捉え、すっと細められた。

 

 

「ウィーズリー…こんな連中と付き合っているようでは…君の家族はもう落ちる所まで落ちたと思っていたんですがねぇ──」

 

 

明らかに蔑みを含んだ声に、アーサーはルシウスに飛びかかるとその背中を本棚に叩きつけた。ルシウスは憎々しげに顔を歪め、手にあたった本を掴みアーサーに投げる。

 

 

「やっつけろ!」

「アーサー!だめ!やめて!」

 

 

フレッドが煽るように言い、モリーは悲鳴を上げた。ハーマイオニーの両親は顔色を青くしてその場から後ずさる。いや、ハーマイオニーの両親だけではなく、人垣が乱闘に巻き込まれては敵わないとばかりに後ずさる。

 

 

「ルシウス!アーサー!お前ら良い大人が何してるんだ恥ずかしい!!」

 

 

ジャックは人垣を掻き分け叫ぶように言うと無理矢理2人の間に割り込み、引き離した。まだ2人はギラギラとお互いを憎々しげに見ていたが、周囲の視線に気づいたアーサーはすこし気まずそうに唇の血を拭った。

 

 

「ルシウス!さっきの言葉を俺にも言えるのか?俺はさっきこの2人と酒を飲んできた所だ!…アーサー!子ども達の目の前で掴み合いはするな!何を言われても無視しろ!」

「──フン、…ほら、チビ、君の本だ。君の父親にしてみればこれが精一杯だろう」

 

 

ルシウスは手に持っていたジニーの古本をジニーに突き出し、そう捨て台詞を言うとドラコに目で合図を送りさっと店から出て行った。

 

 

「…アーサー、ルシウスの事はほっとけ。ほら、子どもたちがびっくりしてるだろう?」

「ああ…そうだな、すまない…ジャック」

 

 

ジャックは深いため息をつき、ルイスとソフィアを見る。

 

 

「どうする?ドラコとルシウスを追いかけるか?」

 

 

ソフィアとルイスは少し悩んだが、おずおずと頷いた。大人同士の取っ組み合いを見たのは初めてであり、その迫力とあまりに強い憎しみのぶつかり合いに圧倒されていた。

いつも、ルシウスは2人には優しかった。だが、誰に対してもそうでない事を知り──勿論、ドラコもそうだが──何故か、酷く悲しく感じた。

 

何故、純血やマグル生まれなんて気にするんだろう。そこに優劣なんて、無いはずなのに。

 

決してルシウスに聞く事は出来ないが、2人はそう、思っていた。

 

 

 

 

ソフィアとルイスはハリー達に別れを告げ、書店から外へ出た。

少し離れた場所で俯き一人で立っているドラコを見つけ、思わず二人は駆け寄る。

 

 

「ドラコ!」

「…ルシウスさんは?」

「父上は、自宅に戻られた。…その、怪我が痛むから…」

 

 

ドラコは少し元気がなさそうに見えた。

流石のドラコも目の前で取っ組み合いの喧嘩をする父を見るのは初めてであり驚き、さらに怪我までしていた事に動揺していた。

 

 

「…ドラコ、どうする?まだ買い物する?」

 

 

ルイスは優しくドラコの手を取り、話しかける。ドラコは少し顔をあげルイスを見て、ふるふると首を振った。

 

 

「…父上の怪我が心配だ…もう、帰るよ…」

「うん、そうした方がいい。また今度一緒に買いに来よう?」

「ドラコ…ルシウスさんにお大事にって伝えてね」

 

 

ソフィアもまた心配そうにドラコの肩をそっと掴み励ました。ルシウスが悪い、自業自得だと心の中では思っていたが、落ち込むドラコに追い討ちをかける事は出来なかった。

 

 

「──よし、じゃあさっさと漏れ鍋の暖炉から戻ろう、早く行かないとまたアーサー達に会ったら…もう喧嘩を止めるのは面倒だ」

 

 

子ども同士の喧嘩でもな、とジャックは付け足し、3人は頷くとすぐに漏れ鍋へと向かい、ドラコはフルーパウダーを使い一人で自宅に戻った。

 

ドラコを見送ったあと、三人はほぼ同時にため息をこぼし、顔を見合わせて苦笑した。

 

 

「ねぇ、ジャックも…掴み合いの喧嘩をしたことってあるの?」 

 

 

ソフィアがジャックに問いかける。誰と、とは言わなくてもジャックにはわかったようで少し困ったように笑いながらも頷いた。

 

 

「ああ、あるさ」

「へえー…大人になってから?」

「んー…ナイショ」

 

 

ジャックは誤魔化すように笑い、フルーパウダーを一掴みすると暖炉の中に投げ入れた。

 

 

「さ、早く帰りな」

「うん、今日はありがとうジャック!またね」

 

 

ソフィアはジャックを抱きしめ頬にキスをするとすぐに緑色の炎の中に飛び込み家の名前を言った。途端に吸い込まれるようにソフィアの姿は消える。

続いて再びフルーパウダーを投げ入れたジャックを、ルイスは優しく抱きしめた。

 

 

「また話を聞かせてね?」

「ああ、またな」

 

 

ルイスは手を振り、すぐに暖炉に飛び込んだ。

 

ジャックは二人が消えた後、しばらく暖炉を見ていたがすぐに姿現しをし、自分もそこから移動した。

 

 

 

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