【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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56 ついに2年目の始まり!

 

 

9月1日。

2人は去年と同じく沢山の荷物をカートに乗せキングズ・クロス駅に来ていた。去年との違いといえば、2人とも同級生の中で最も小柄だったのは今でも変わらないが、5センチは身長が伸びた事だろう。まだローブの袖は余ってはいるが、去年ほどでは無い。

 

ソフィアとルイスは直ぐに9と4分の3番線へと向かい、懐かしいホグワーツ特急に目を細めながらこっそりと荷物に浮遊魔法をかけて車輌の中へ運んだ。去年は時間ギリギリに着いてしまい、空いているコンパートメントを見つける事に苦労した為、今回は時間に余裕を持って早くから駅を訪れていた。

空いているコンパートメントはすぐに見つかり、2人は鞄からお菓子を出すと食べながら窓の外で家族と別れを惜しむ生徒達を見る。見知った顔が現れたらすぐに声をかけよう、二人はそう思っていた。

 

 

暫く窓を見ていたソフィアは、その中に両親と別れを惜しむハーマイオニーを見つけた。思わず窓を開け身を乗り出し気付いてもらおうと手を上げたが、声をかけるのは、やめた。

 

 

「声、かけないの?」

「…ええ、ご両親との別れを邪魔したくないわ」

 

 

一年に2回ほどしか家に帰られないのだ、それにハーマイオニーの両親はマグルで魔法界の事を知らない。去年は大変なことに巻き込まれたし、きっと色々不安に思い、別れはかなり辛いだろう。

 

ソフィアは座席に座り直し、何度も両親と抱き着き、笑いながらも少し寂しそうなハーマイオニーの横顔を見ていた。 

ルイスは目を細め、ソフィアの優しさに微笑み同じように席に座った。

 

 

 

ハーマイオニーが手を振って両親と離れ、汽車に乗り込んだのを確認し、ソフィアはコンパートメントの扉に向かうとすぐに開け、乗り口の方を見た。

ソフィアは重そうに荷物をあげるハーマイオニーに近づき、上から大きな鞄を引っ張る。

ハーマイオニーは突然鞄が引かれ驚いた顔をしていたが、それがソフィアだとわかるとにっこりと笑った。

 

 

「ハーマイオニー!あと少し持ち上げて!」

「僕も手伝うよ」

「ありがとう2人とも!」

 

 

ルイスもすぐに駆け寄ると、同じように上から大きな鞄を引っ張った。3人は額に滲んだ汗を拭き、笑いながら再会を喜びルイスとソフィアがいたコンパートメントに向かう。

 

 

「2人とも、この前あった以来ね、パパとママが来年は家に遊びに来て欲しいって言っていたわ」

「是非!マグルのお家かぁ…楽しみだわ!」

「マグルの世界では、機械で食器を洗うってきいたよ?本当?お皿とか、割れない?」

「本当よ、それに割れないわ」

 

 

一般的なマグルの生活を知らない2人は、ハーマイオニーが話す色々なことに驚き目を輝かせた。手紙をフクロウを使わず、ポストに入れ郵便配達の人が配る、と知った時には思わず口を手で押さえ怖々と聞いた。

 

 

「それって…手紙を勝手に見られたり、無くなっちゃったりしないの?」

「ポスト?って何?そんなとこに入れて大丈夫なの?変な名前だけど…生き物なの?噛まない?」

「もう!大丈夫よ、手紙は勝手に読まれないし、ポストは噛んだりしないわ!ただの回収箱のようなものよ!」

 

 

神妙な2人の様子に、ハーマイオニーは楽しそうに笑った。

マグルの世界の話や、夏休みに何をして過ごしたか等色々話しているとあっという間に時は過ぎ、大きな汽笛と共に汽車はゆっくりと動き出す。3人は一度会話を止め、窓から見送りに来た人達に向かって手を振った。

 

 

「ハリーとロンはどこに居るのかしらね?」

 

 

ハーマイオニーはふと呟いた。一緒にホグワーツまでの時間を過ごしたい気持ちもあったが、広い列車の中を探しに行くのは大変で、それに2人を見つけたとしてもこの狭いコンパートメントに5人は入らないだとう、と無理に探しに行こうとは思わなかった。

 

 

「2人は一緒じゃないかな?多分、ロンの家から直接来てるだろうし」

「ハーマイオニーはジニーを知ってるかしら?ダイアゴン横丁で少し会ったわよね?ロンの妹なんだけど、すっごく可愛いの!」

「ああ、あの子ね!知ってるわ、結構…お兄さん達があんななのに…大人しい子だわ!礼儀正しいし」

 

 

ハーマイオニーは感心したように頷くが、ソフィアとルイスは顔を見合わせた。2人の知っているジニーは中々にお転婆で、兄達と大声で言い争い時には手まで出していた。…いや、確かに出会ったばかりの頃は大人しかったが、きっとかなりの人見知りなのかも知れない。数時間しか会っていないハーマイオニーはまだそれを知らないのだろう。

 

 

「きっと、駅に着いたら会えるわよ」

 

 

ソフィアの言葉に、ルイスとハーマイオニーは頷き、現れた車内販売員から数種類のお菓子を購入し、皆で少しずつ分け合って食べた。ーーちなみに、百味ビーンズを買おうとしたソフィアを必死に2人が止めたのは言うまでも無い。

 

 

だが、プラットホームでは会えるだろうと言うソフィアの予想は大きく外れ、ロンとハリーは汽車が止まりホグワーツへのプラットホームに着いてもその姿を見つける事はできなかった。

この人混みだから仕方がないわ、大広間では流石に会えるでしょう。というハーマイオニーの予想も見事に外れる事となる。

 

 

沢山の蝋燭が照らす煌びやかな大広間でハーマイオニーとソフィアはグリフィンドールの座席に座り、ハリーとロンを探したが全く見つからなかった。どこにいるんだろうと思っているうちに新入生の組み分けが開始され、そして遅れてハリーとロンが到着する事もなく、新学期の歓迎会が始まった。

 

数々の豪勢な料理を見ても、ハーマイオニーとソフィアは喜ぶ事なく不安げにあたりを見渡していた。

 

 

「いないわね…まさか、遅刻したのかしら?」

「でも…他のウィーズリー家の人たちはちゃんと来ているわ…どうしたのかしら…」

「うーん…まぁ乗り逃しても、直ぐに先生達が気付いて迎えに行ってるんじゃない?」

「…それもそうね」

 

 

分からない事を幾ら考えても仕方がない、心配なのは勿論だが、きっと今日の夜か遅くても明日の朝には会えるだろうと2人は考え直し沢山の料理に手を伸ばした。

 

 

「ただね、ハーマイオニー、気付いてる?」

「…?何?」

 

 

ソフィアは教師達が座る上座で、一つ空席がある場所を視線で伝えた。ハーマイオニーはソフィアが訴える視線の先を目で追い、ソフィアの言いたい事に気付いたのか深くため息を付き額を抑えた。

 

セブルス・スネイプ教授がその席に居ないだけではない。他の先生達も険しい顔でこそこそと囁き合っていた。フリットウィックは手に夕刊予言者新聞を持ち、椅子の上で立ちながら他の先生達にとある記事を見せている。

 

 

「きっと、迎えに行ってるのね。…父様が行くということは、あまり良いことじゃないと思うわ」

 

 

ソフィアはハーマイオニーにだけ聞こえるように小声で囁いた。

 

 

「ああ…あの2人はどうやってここまで来たのかしら!」

「私達の想像もつかない事なのは、たしかね」

 

 

ソフィアは肩をすくめ、ハーマイオニーは「新学期そうそう!」と憤ったまま目の前のチキンレッグに八つ当たりするように齧り付いた。

 

 

 

歓迎会が中盤に差し掛かると、夕刊予言者新聞を購読している生徒達から噂がひそひそと伝わってきた。──どうやら、マグルが空飛ぶ車を見て、それがキングズ・クロス駅から目撃されているらしい、きっと、今いないハリー・ポッターとロン・ウィーズリーだ。

 

 

「ワォ!──流石2人ね、私達の予想を大いに覆してくれるわ!」

「全く!何を考えているの!?ありえないわ!」

 

 

楽しそうに笑うソフィアだったが、ハーマイオニーは相変わらずトラブルを引き起こす彼らに憤った。

 

 

今年は去年のように立ち入り禁止区域の説明もなく、ダンブルドアの少しおかしな言葉で歓迎会が締め括られたことにソフィアは安心した。どうやら今年は、まだ平穏な一年を過ごせそうだった。

 

 

 

 

 

 

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