【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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63 最低の侮辱!

 

土曜日の朝、ソフィアはハリー達と共にハグリッドの小屋を訪れる約束をしていた。

すっきりと目覚めハーマイオニーと共に談話室に降りると、既にロンが2人の到着を待っていた。その隣にいつもいるハリーがいないことに気づいたソフィアは首をかしげる。

 

 

「ハリーは?」

「多分、競技場だと思う。朝起きたらもう居なかったんだ。他の選手達も居ないみたいだし…」

 

 

ロンが談話室を見渡しながらソフィアに答える。確かに、いつもの休日ならフレッドとジョージが何か魔法で悪戯グッズを作ったりしていたが、彼らの姿も見当たらなかった。

 

 

「なら、朝食を持って競技場に行ってみましょう」

 

 

ハーマイオニーの提案にソフィアとロンは頷いた。

ソフィアは今年クィディッチの選手になりたかったが、残念ながら今年は良い選手が揃っていた為ウッドは新しい選手を補充する気は無さそうだった。

 

 

ソフィア達は大広間でマーマレードトーストやサンドイッチを持ち出し、競技場のスタンドへ訪れた。

もう太陽はあがり、流石にクィディッチの練習をしているかと思ったが、空には誰一人として飛んでいなかった。

 

 

「誰もいないわね」

「あれ?おかしいなぁ…もう終わっちゃったのかな?」

 

 

ロンはキョロキョロと芝生を眺め、選手達が出てくる更衣室の扉をじっと見ていた。するとしばらくして疲れたような表情の選手たちがぞろぞろと現れた。

 

 

「まだ終わってないのかい?」

 

 

選手達の中にハリーを見つけ、ロンは立ち上がるとスタンドから身を乗り出し芝生の上を歩くハリーに声をかけた。

 

 

「まだ、始まってもないんだよ。ウッドが新しい作戦を教えてくれたんだ。…こんな時間までね」

 

 

ハリーは肩をすくめてロンの言葉に答えた。まだ始まってもいないと知ったロン達は顔を見合わせる。新しい作戦を教えるのに何時間もかかるなんて、せっかく練習出来る時間が減り少々効率が悪そうだと思った。

 

ハリーはソフィア達が食べているトーストやサンドイッチを羨ましそうな目で見て空腹の虫が鳴る腹を抑えた。

 

 

「ハリー!ちょっとこっちにきて!」

 

 

ソフィアの声に、ハリーは箒に跨り地面を強く蹴り浮遊する。冷たく心地よい朝の風は、ハリーの半分また寝かけていた思考をはっきりとさせた。──やっぱり、箒に乗り空を飛ぶのは最高だ。

 

 

ソフィアは少し上で止まったハリーに手に持っていたサンドイッチを差し出した。

 

 

「何も食べてないんでしょ?少し食べておいたほうがいいわ」

「わぁ!…ありがとう!」

 

 

箒をしっかり掴んでいたハリーはソフィアに近づくと大きく口を開けた、ソフィアは笑ったまま一口大のサンドイッチをハリーの口に近づけ、食べさせる。ふわふわの食パンと厚焼き卵の美味しさに、ハリーはにっこり微笑みぺろりと唇を舐めた。

 

 

「ハリー、練習頑張ってね!」

「うん、行ってくる!」

 

 

ハリーはもっとソフィアの手からサンドイッチを食べたかったが──何故か、とても美味しく感じたのだ──他の選手達が練習を始めたのを見て、その中に飛び込んでいった。

 

 

ソフィア達はしばらくハリーがフレッドとジョージと全速力で競争をしているのをサンドイッチを食べながらゆっくりと眺めていたが、後ろから近付いてくる足音に誰が来たんだろうと振り返った。

 

 

「──あれ?」

 

 

現れたのはルイスで、片手に本を持ちながらきょとんとロンとハーマイオニーを見た。

 

 

「なんでここに?」

「ルイス、何でって…ハリーの練習を見に来たんだよ」

 

 

ロンが空を物凄い速さで飛び交う赤い光線達を指差した。それを見てようやくルイスは練習しているのがグリフィンドールチームだと気付く。そもそも彼がここに来たのはドラコに見に来て欲しいと強く言われたからであり、クィディッチにあまり興味がない彼は本当なら図書館で過ごしたかった。

 

 

「え?…あれ?本当だ、飛んでるのはグリフィンドールチームだね。スリザリンの練習時間だって聞いてたんだけどなぁ…」

 

 

ルイスはそう呟きながらソフィアの隣に座り、空を舞うハリーを見つけようと暫く上を見ていたが何人もの生徒が飛び交っている中で一人を見つけるのは彼には難しく、諦めたように肩をすくめた。

 

 

「スリザリンの?…なら、何故ドラコと一緒じゃないの?」

 

 

スリザリンチームがクィディッチを練習する様子が見たいのであれば、何故ドラコがこの場に居ないのか、ソフィアは不思議そうに首を傾げる。ルイスは少し困ったようにしながら笑った。

 

 

「ああ…それは──」

「見て!スリザリンの人たちと何か争ってるみたい!」

 

 

ハーマイオニーは大きな声を上げて芝生の上を指差した。緑色の選手用のグリーンカラーのローブを着た選手たちが何やらウッドと言い争いをしていた。

 

 

「ダブルブッキングしちゃったのかしら?」

「そうかも知れないわ…いきましょう!」

 

 

ハーマイオニーはロンと共にすぐに駆け出すと選手達がいるグラウンドへ向かった。残されたルイスとソフィアは顔を見合わせ、またスリザリンとグリフィンドールのいざこざが始まったとため息をこぼす。

 

 

「何故ドラコがここに居ないのか…わかったわ」

 

 

ソフィアは大柄な選手たちに混じって見覚えのある小柄な選手を見つけ、嬉しいような、羨ましいような複雑な声を出した。ドラコの飛行術の上手さは知っている、きっと今年は選手に現れる事だろうとは思っていたが、目の当たりにするとどうしても羨ましくて仕方がなかった。

 

 

ソフィアとルイスは少し遅れてグラウンドに降り立ち、今にも喧嘩が勃発しそうなその集団の中に混じった。

 

 

「どうしたんだい?なんで練習しないんだよ、それになんでコイツがこんなところに…」

「ウィーズリー、僕はスリザリンチームの新しいシーカーだ。僕の父上が、チーム全員に買ってあげた箒を、みんなで賞賛していたところだよ」

 

 

自慢げに七人の選手が手に持っていた箒を掲げる。太陽の光を浴びて輝くそれは、先月発売されたばかりの最新型の箒だった。得意顔のドラコに、ロンは言葉を無くしその箒を見つめた。

一本でもなかなか高額なそれを、たかだか学生のチーム全員に買い与えるなんて、流石潤沢な資金を持つマルフォイ家といえるだろう。

 

 

「…ルシウスさん、凄いわね」

「…まぁ、金は捨てるほどあるだろうからね」

 

 

ソフィアはルイスにだけ聞こえるように囁いた。ルイスは胸を逸らし自分の功績のように自慢するドラコにため息をつきながらそっとドラコの後ろに回った。ドラコがこうしていい気になっている時は大体碌なことにならない。何かあれば直ぐに止めようとルイスは思った。

 

 

「いいだろう?だけど、グリフィンドールチームも資金集めをして新しい箒を買えばいい。クリーンスイープ5号を慈善事業の競売にかければ、博物館が買い取るだろうよ」

 

 

長く使われぼろぼろになっている箒をチラリと見てドラコが言えば、スリザリンの選手達はゲラゲラと腹を抱えて笑い、グリフィンドールの選手達は顔を真っ赤にして彼らを睨んだ。

 

 

「少なくとも、グリフィンドールの選手は、誰一人としてお金で選ばれたりしてないわ。こっちは純粋に才能で選手になったのよ」

 

 

ハーマイオニーがきっぱりとドラコを見て強く言うと、グリフィンドールの選手達はドラコを見てせせら笑う。その瞬間ドラコは顔を怒りから紅潮させ、顔を少し歪め心底見下しながらハーマイオニーを見た。

 

 

「誰もお前の意見なんか求めてない。生まれ損ないの穢れた血め──うっ!?」

 

 

ドラコがそう言い捨てた途端、グリフィンドールの選手達は怒りを爆発させドラコに掴みかかろうとしたが、それよりも早くドラコの側に居たルイスが後ろから足払いをし、バランスを崩したドラコは盛大に後ろにひっくり返り尻を強く打ち付けた。

ハリーはいい気味だと思いながら痛みに顔を歪ませるドラコを見て笑う。

 

 

「な、なにするんだ!?」

「──助けてあげたんだよ。それとも、ソフィアの重い一撃の方が良かった?」

 

 

ルイスは冷ややかな目でドラコを見下ろしながら答えた。

ドラコがルイスから視線を外し、ソフィアを見ると、彼女はハーマイオニーにより後ろから羽交締めにされながらも強くドラコを睨みその顔は怒りで燃えていた。

 

 

「ハーマイオニー!離して!この馬鹿を2.3発殴らせて!」

「駄目よソフィア!あなたの手が痛くなっちゃうわ!」

「マルフォイ!思い知れ!」

 

 

ソフィアと同じくらい怒りを見せていたロンはポケットから杖を取り出すと、未だに地面に座り込んでいるドラコに向かい杖を突きつけた。

途端に轟音が響き、緑色の閃光が杖先からではなく、反対側から噴出しロンを貫いた。衝撃で吹っ飛んだロンは芝生の上で苦しそうに呻く。

 

 

「ロン!ロン!!大丈夫!?」

 

 

ハーマイオニーは慌ててソフィアから手を離すとロンに駆け寄った。

ソフィアはロンの状態を見て一瞬ドラコへの怒りを忘れたが、すぐに思い出すとドラコを冷たい目で見下ろす。

 

 

「──最っ底」

 

 

それだけを吐き捨てるように言うと、ソフィアはロンとハーマイオニーの元に駆け寄った。ロンは顔を真っ青にし、口を押さえながら何度かえずくと口から巨大なナメクジを数匹吐き出した。それを見てスリザリンチームの選手達はまた、ゲラゲラと笑った。

 

ドラコも立ち上がりながら腹を捩らせ笑っていたが、隣にいるルイスの冷たい眼差しに顔を硬らせる。彼らが喧嘩をしたのは数日前だ、折角仲直りをしたのに、また暫く気まずい思いをしなければならないのかとドラコはちらちらとルイスを見た。

 

 

「…君はハーマイオニーを侮辱するけど、一つも授業で勝てるところが無いって気付いてた?それって君らがそのなんとかの血よりも下なんだって言ってるようなものだよ?…ドラコってさ、本当考え無しに口から馬鹿な事をいうよね。ずっと口を閉じてた方がいいと思う。もう筆談でもする?」

 

 

ルイスは馬鹿にしたように言ったが、それでも会話をしてくれる程度の怒りだと分かるとドラコはほっと胸を撫で下ろし──かなりの言葉を吐かれたがこの際反応しない方が賢明だと考え、いつものようにフンとそっぽを向いた。

ルイスに言い返しても勝てない事を、ドラコはわかっていたし、なにより彼はもうルイスと険悪な関係にはなりたくなかった。

 

 

 

 

 

「ハグリッドのところに行こう、1番近いし」

 

ハリーはすぐにまだナメクジを吐き続けるロンを肩に担ぐと立ち上がらせた、ハーマイオニーとソフィアは顔を硬らせながら頷きその後を着いていく。

 

 

「ロン、これにナメクジを吐き出した方がいいわ。…後で拾いにくるのは面倒だもの」

 

 

ソフィアは芝を少しちぎると呪文を唱え杖を振り、銀色のバケツに変える、そのバケツを受け取ったロンはありがとうを言う代わりにまた一つ大きなナメクジを吐き出した。

 

 

 

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