【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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69 女子トイレで待ち合わせ!

 

 

魔法史の授業が終わり、生徒達は今ビンズから聞いた秘密の部屋について色々話し合っていた。勿論、ソフィア達も同じように廊下を歩きながら声を顰めて話し合う。

 

 

「秘密の部屋があるって、ソフィアとハーマイオニーは本当にそう思う?」

 

 

ロンが問いかけ、2人は顔を見合わせた。

 

 

「私、あれから色々考えてたんだけど…ダンブルドア先生はミセス・ノリスの石化を治せなかったわ。ただの呪いならきっとダンブルドア先生は解呪出来るでしょう?それが出来ないのなら…きっと、人間の魔法じゃなくて…その秘密の部屋の怪物なんじゃないかって」

 

 

ソフィアはちらりとハーマイオニーを見る。ハーマイオニーもソフィアと同じように考えていたのか不安げにしていたが、少し頷いた。

 

 

「この騒ぎを起こした人が…継承者なのは間違い無いと思うわ。だって、文字を書くのは怪物ではなく、人間でしょう?」

 

 

ソフィアがそう言った時、4人は丁度あの事件が起きた廊下の端に出た。素早く辺りを見渡したが、あの夜のように自分達以外には誰も居ない。壁にはフィルチがどうやっても消す事が出来なかった文字がいまだに鮮やかに残っていた。

 

 

「ちょっと調べてみよう」

 

 

ハリーは鞄をロンに渡すと四つん這いになって何か手掛かりは無いかと探し初めた。ソフィア達は顔を見合わせたが、ハリーと同じように地面を注意深く見渡した。

 

 

「焼け焦げた跡がある!ほら、あっちも…こっちにも!」

「なんでこんな所に…ちょっと変ね」

 

 

ソフィアはハリーの側にしゃがみ込むと黒くなった跡を少し指でなぞった。黒い煤がソフィアの白い指先を汚した。

 

 

「ねえ、こっち来てみて!…変だわ…」

 

 

ハーマイオニーの声にハリーとソフィアは彼女が調べる文字のすぐ脇にある窓に近付いた。ハーマイオニーが指差す一番上の窓ガラスには、大勢の小さな蜘蛛がガラスの僅かな裂け目から外へ逃げ出そうと争うようにして這い出していた。

 

 

「蜘蛛があんなふうに行動するのを見たことがある?」

「無いわ」

「ううん。…ねぇ、ロンは?……ロン?」

 

 

ロンの声が聞こえずハリーは後ろを振り向いた。すぐ側に居るだろうと思ったが、ロンはずっと遠くで立ちすくみ、顔を引き攣らせ今にも蜘蛛のように逃げ出したいのをなんとか堪えているようだった。

 

 

「どうしたの?」

「僕──蜘蛛が──好きじゃない」

 

 

ロンはその名前を言うのも恐ろしいというように息も絶え絶えに細く伝えた。

 

 

「まぁ、知らなかったわ。蜘蛛なんて魔法薬で何回も使ったじゃない」

「死んだやつなら構わないんだ、あいつらの動きが嫌なんだ」

 

 

ロンはなるべく窓を見ないように目を細めながら恐々つぶやいた。ハーマイオニーとソフィアは思わずくすくすと笑ってしまい、ロンは嫌そうに顔を歪める。

 

 

「何がおかしいんだよ」

「ごめんなさい、違うの。…ルイスと同じだなって思っただけよ、ルイスも死んでる蜘蛛は大丈夫だけど…生きている蜘蛛を見ると発狂するの。私が昔ちょっとした悪戯で…ルイスが読んでいた本の文字を全て蜘蛛に変えてしまったの、本から無数の蜘蛛が這い出て彼の服に──」

「ああ!!もう!!想像したじゃないか!君、酷すぎるよ!」

 

 

ロンは叫び、それ以上は聞きたくないと耳を抑えた。恨めしそうな顔でソフィアを睨み「信じられない」と呟く。

 

 

「僕は三つのときに、フレッドのおもちゃの箒の柄を折っちゃったんだ。あいつったら…僕のテディ・ベアを馬鹿でかい大蜘蛛に変えたんだ!考えてみろよ、嫌だぜ?ぬいぐるみを抱いている時に急に足がニョキニョキ生えてきて…そして…」

 

 

自分で言いながら当時のことを思い出してしまったのか、ロンは口を閉ざし身震いをした。ハーマイオニーは蜘蛛を怖がるロンがおかしくて仕方がなく、笑いをなんとか堪えようとしたが口先は引き攣るようにぴくぴくと動いていた。

 

 

「ねえ、床の水溜まりのこと覚えてる?あれ、どこから来た水だろうね、もう誰かが拭き取っちゃったみたいだけど」

「この辺りだったな」

 

 

ロンは蜘蛛から離れられる話題にすぐに飛びつき、フィルチの椅子から数歩離れた床を指差した。

 

 

「このドアのところだった」

 

 

ソフィアとハーマイオニーはそのドアの先に何があるのかを知っていた為、何故この辺りに水溜まりが出来たのかを察した。

ロンは扉を開けようとしたが急に手を引っ込め、狼狽しながら困ったようにハリーを見た。

 

 

「どうしたの?」

「ここは入れない、女子トイレだ」

「ロン、大丈夫よ。ここは女子トイレだけど…マートルが居るの、誰も居ないわ。入ってみましょう」

 

 

ソフィアは居心地悪そうに扉の前でもじもじとするロンの横を通り、扉に貼ってある故障中の張り紙を気にすることなく扉を開けた。

 

そのトイレは、おそらくこのホグワーツの中で最も陰気で憂鬱なトイレだろう。鏡はヒビだらけで所々欠けている。微かに無事な部分には水垢がつきくすんでいて人の顔を映すことはない。

床は濡れていて空気までどこか湿っぽく、燭台の中で燃え尽きそうな短い蝋燭が鈍く辺りを照らしていた。床や個室の扉は引っ掻き傷がついている。

 

ソフィアは迷う事なく一番奥の個室まで歩いていくと、明るい声でマートルに声をかけた。

 

 

「マートル!久しぶりね、元気かしら?」

「ソフィア…」

 

 

マートルはトイレの水槽の上でふわふわと浮かび顎のニキビを弄っていたが、ソフィアが来たとわかると少し嬉しそうにしたものの、ソフィアの後ろからハリーとロンが顔を出したのを見るとぐっと眉間に皺を寄せ、胡散臭そうに2人を見た。

 

 

「ここは女子トイレよ。この人たち女じゃないわ」

「ええ、そうね。私が連れてきたの。だって彼らはマートルの事をよく知らないでしょう?紹介しようと思って」

 

 

ソフィアの言葉にマートルはじろじろとハリーとロンを見た。そのあまり歓迎されてないような目に、2人は曖昧に笑って見せた。

 

 

「ソフィア、何か見なかったか聞いてみて?」

 

 

後ろからハーマイオニーがこっそりと耳打ちをすると、マートルは鋭い目でハーマイオニーを睨むみ、すっとソフィアとハーマイオニーの前に立った。

 

 

「何をこそこそしてるの?」

「なんでもないわ、私ちょっと聞きたい事が──」

「私の陰口を言うのはやめてちょうだい!、私は確かに死んでるけど、感情はちゃんとあるのよ!」

 

 

マートルが涙声になり、言葉を詰まらせる。ハーマイオニーは彼女の前で耳打ちするべきじゃ無かったと悔やんだがもうすでにマートルの涙の堤防は決壊していた。

 

 

「マートル?ああ、ほら泣かないで…私たちは陰口を言ってなんかいないわ」

 

 

ソフィアは優しくマートルに言うと、その硬く握り震える手の上に自分の手を重ねる。あまりに優しいソフィアの言葉と眼差しに、ハリー達は驚愕しこっそり視線を合わせた。

 

 

「ソフィア!」

 

 

マートルはがばっとソフィアに抱きついた。その瞬間ソフィアは身体の中に冷水が通ったかのような寒気を感じ体をブルリと震わせる。──触れる事は出来ない、マートルもソフィアに抱きつくようにしているだけだ。

ソフィアは寒さに凍えながらも優しく彼女の背中に手を回し、撫でるように動かした。

 

 

「私の生きてる人生って、この学校で、悲惨そのものだった!今度はみんなが、死んだ私の人生を台無しにしにくるのよ!」

「大丈夫よ、マートル。もしそんな人がいたわ私が懲らしめてやるわ!…ねえ、マートル?ハロウィーンの日に…この先の扉で何か見なかったかしら?この先で猫が襲われて…」

 

 

マートルはソフィアからふわりと離れると、すんすんと鼻を啜りながら首を振った。

 

 

「そんなこと、気にしてられなかったわ。…あの日…ソフィアと別れた後でまたピーブズがやってきて、酷い事を言ったもんだから、私ここに入り込んで自殺しようと思ったの。そしたら──急に思い出したの、当然だけど…私…私…」

 

 

一度止まりかけていた涙がまた溢れ、マートルは言葉を詰まらせる。その先の言葉にピンと来たロンは言い淀むマートルに助け舟を出した。──少なくとも、ロンはそのつもりで悪意は無かった。

 

 

「もう死んでた」

 

 

マートルは悲痛な啜り泣きと共に空中に飛び上がると真っ逆さまに便器に飛び込んだ。

辺りに水飛沫を浴びせ、マートルは姿を消したがくぐもった啜り泣きが聞こえてくる方向からしてトイレのパイプの何処かでじっとしているようだ。

 

ソフィアはため息と共に振り返るとロンをジロリと見た。

 

 

「…ロン、言葉には気をつけて。せっかく機嫌が戻ってきてたのに…」

「ソフィア…君の交友関係はスリザリンだけじゃなくゴーストまで対象なのかい?」

 

 

ロンは信じられないものを見るような少し引いた目でソフィアを見ていた。ソフィアはそんな目をしなくとも、と思ったが、どうやらハリーとハーマイオニーも同じ気持ちだったようで困惑した目でソフィアを見ていた。

 

 

「はぁ…もうマートルとは話せないわ、出ましょう」

 

 

ソフィアがため息と共にハリー達を促し、女子トイレから廊下へと出て行った。

しかし、不運にも女子トイレから出るところをパーシーに見られてしまい「ロン!」と大きな叫びと共に衝撃を受けたと言う恐怖の顔をしながら大股で近づいて来た。

盛大に怒られたが、それを面白く思わないロンがパーシーに噛み付くように言い返し、2人の語尾は強まり叫ぶように言い争う。

ハリーとハーマイオニーとソフィアは口を挟む事ができず、言い合う2人をただ見ていた。

 

結局、パーシーはロンに五点の減点を告げ、怒ったまま大股で歩き去った。

 

 

 

その夜、ソフィア達は出来るだけパーシーから離れた談話室で宿題に取り組んでいた。しかしロンはパーシーが視界の端にちらりと映るたびに機嫌を損ねて、宿題どころじゃ無かったのかパタンと教科書を閉じた。

それを見てハーマイオニーも同じように教科書を閉じる。彼女が早く教科書を閉じるなんて初めての事で、ハリーとソフィアは顔を見合わせた。

 

 

「だけど、一体何者かしら?出来損ないのスクイブや、マグル出身の子をホグワーツから追い出したいと願っているのは誰?」

 

 

ハーマイオニーは答えを求めるかのようにソフィア達の顔を見渡す。

ロンは嫌そうな顔をしたまま、わざとらしく咳を一つこぼし頭を捻ってみせた。

 

 

「それでは考えてみましょう。我々の知ってる人の中で、マグル生まれは屑だ、と思ってるやつは誰でしょう」

 

 

ロンはハーマイオニーを見た後に、ソフィアをちらりと見た。ソフィアは一瞬きょとんとしたが、その言葉が誰を指してるのか分かると眉を顰める。

 

 

「まさか、ドラコの事を言ってるの?」

「勿論さ!あいつの言った事を聞いただろう?──次はお前たちだぞ、穢れた血め!──って、しっかりしろよ。友達だからって目が曇ってるんじゃないのか?」

「それは無いと思うわ。もしドラコが本当に継承者なら…普通自分が疑われるような発言はしないはずよ。もし次に生徒を襲うつもりなら…アズカバン行きは免れないわ!」

 

 

ソフィアはあんまりのロンの言葉に憤慨して言うが、ロンは全く気にせず、わかってないなぁとばかりにため息をついた。

 

 

「あいつの家族を見てくれよ。あの家系は全部スリザリン出身だ。あいつ、それをいつも自慢している。あいつならスリザリンの末裔だっておかしくない。あいつの父親もどこからどう見ても悪人だよ」

 

 

ハリーは教科書を閉じてロンの意見に賛成を示した。ソフィアはまた勝手な思い込みをしているのかと呆れて何も言えなかった。去年それで痛い目に会ったのを、もう忘れてしまったのだろうか。

 

 

「あいつらなら、何世紀も秘密の部屋の鍵を預かっていたかもしれない。親から子へ代々伝えて…」

「そうね、その可能性はあると思うわ」

「ハーマイオニーまで!」

 

 

ハーマイオニーは慎重に言ったが、また今年も同じ事を繰り返すのかとソフィアは少し三人に失望したような表情を見せた。それを見て慌ててハーマイオニーは首を振り、ソフィアを見る。

 

 

「あくまで、可能性よ!ソフィアはどう思うの?」

「私はドラコでは無いと思うわ。確かに…まぁ…なくは無いけど、もしスリザリンの末裔なら、それこそ自慢しそうじゃない?しないって事は、違うのよ。

──それに、ハリー?ロン?あなたたち、去年勝手な思い込みで痛い目に遭ったのをもう忘れたの?あなた達が犯人だと思っていたのは誰?そして、結局黒幕は誰だったの?」

 

 

厳しい目で諭すように言われたハリーとロンは口を噤んだ。たしかに、言われてみれば去年はスネイプが犯人だと決めつけていたせいでクィレルが犯人だとは微塵も思わなかった、その可能性を強く訴えていたソフィアの言葉を無視し、酷い目にあったのだ。

 

 

「私は…まだ証拠も何も無いけれど、去年と同じでこのホグワーツに昔から居る人ではないと思う。また…例のあの人絡みだとしても…不思議じゃないわ。だから…今年から新しくホグワーツに来た人が怪しいと思うの」

「まさか!ロックハート先生だって言うの!?」

 

 

今度はハーマイオニーが憤慨する番だった。ハリーとロンもあんな教師に出来るのかと訝しみ首を捻る。ソフィアは首を振り、ハーマイオニーをじっと見ながら呟いた。

 

 

「わからないわ、あの人はあまりにも…それっぽくないのは確かよ。けれど…去年はそれで、クィレルが皆を欺いていたでしょう?また彼も…同じように無害なふりをしている可能性は…捨てきれないわ。ロックハートじゃなくても…私たちが想像もしない他の誰かかもしれない。…だから、この人だと決めつけるのは良く無いとおもうの」

 

 

ソフィアはそう言うと、もう言いたい事は言い切ったというように口を閉ざし3人を見た。ハリー達は顔を見合わせ、ソフィアの話もわからなくは無い、と小さく唸る。

 

 

「だけど…手がかりが全く無いのは確かだから…可能性を手当たり次第潰していくのは、いいかもしれないわね」

 

 

3人があまりにも無言のため、ソフィアは少し考えながら呟く。ドラコではないと、早めに彼らの目を醒す為にも、何とかしてドラコの疑念を晴らさねばならない。

 

 

「だけど…どうやって?」

 

 

ハリーの顔が曇った、ドラコにしろ、ロックハートにしろ、その2人をどうやって調べればいいのか彼にはその手段が全く分からなかった。

 

 

「方法が無いことは、ないわ。勿論難しいの、それに危険だわ。とっても。学校の規則を五十は破ることになるわ」

 

 

ハーマイオニーは考えながら話し、声を一層顰め、4人にだけ微かに聞き取れる音量で言った。

 

 

「…何をするつもりなの?」

「何をやらなければならないかと言うとね、まずマルフォイを調べる為に…スリザリンの談話室に入り込んで、マルフォイに正体を気づかれずに、いくつか質問するのよ」

「だけど、不可能だよ。…ルイスに頼んだ方が良いんじゃない?ルイスになら話してるかも」

 

 

ハリーがそんな事は不可能だと力なくいい、ルイスを引き合いに出した。ルイスは最もドラコと仲の良い生徒だ、きっと彼には秘密を話しているかもしれない。そう思ったが、ハーマイオニーは静かに首を振った。

 

 

「駄目よ。ルイスを巻き込むのは良くないと思うわ。…ルイスはかなり優秀で…去年も少しの情報からクィレルに辿り着いて…眠らされたでしょう?…今年は、眠るだけで済まないかもしれないわ…」

 

 

ハーマイオニーが少しソフィアをチラリと見て心配を滲ませた声で言った。

確かに、ルイスはスリザリンでドラコの親友だ。彼はもう全てを知っているかもしれないが、もし、何も知らなかったらこの事件に巻き込む事になる。そうなれば、また危険な目に遭うかもしれない。

ソフィアもハーマイオニーの言葉に頷いた。

 

 

「そうね…今回、ルイスには内緒にしましょう」

「だけど…スリザリンの談話室に入って質問するなんて無謀だよ」

「いいえ、そんな事はないわ。ポリジュース薬が少し必要なだけよ」

「ええっ!?ハーマイオニー、まさか…!」

 

 

ハーマイオニーの言葉の意味と、隠された計画がわかったのはその薬が何なのかを知っているソフィアだけだった。

ハリーとロンは同時に「なにそれ?」と聞いた。

 

 

「自分以外の誰かに変身できる薬なの。私たち四人でスリザリンの生徒に変身するの。誰も私たちの正体を知らない…マルフォイは多分、なんでも教えてくれるわ!」

「…ええ…?でも、それなら…ルイスもその話を聞いてるだろうし…結局、巻き込む事になるんじゃあ…」

「他に何か方法があるの?」

 

 

ソフィアは思わず呟いたが、ハーマイオニーはぎろりとソフィアを睨んだ。ソフィアは肩をすくめながら、ちらりと不安げにしているハリーとロンを見る。彼らはもしその薬を飲んで変身が戻らず永久に別の誰かのままだったら、と想像していたが、ソフィアの不安は別のところにあった。

 

 

「でも、材料はどうやって手に入れるの?それに、あれは…調合も複雑よ?」

「ソフィア、作り方知ってるの?」

「ええ、家に…本があって、読んだことがあるもの。…けど、今持ってきてないし、細かいところまで覚えてないわ」

 

 

父の書棚には様々な本があり、その中にポリジュース薬の作り方が載っている最も強力な薬の本があった。ソフィアは何度かそれを読んだ事があるが、興味津々に読み耽ったルイスとは違い、内容全てを覚えては居なかった。

ハーマイオニーはソフィアの父が誰かを知っている為に、納得したように頷いたが、内容を覚えていないのは残念だと思い、深く考え込んだ。

 

 

「作り方が書いてある本は、きっと図書館の禁書の棚にあると思うわ」

「でも、薬を作るつもりはないけれど、そんな本が読みたいって言ったら、そりゃ変だって思われるだろう?」

「多分、理論的な興味だけなんだって思い込ませれば…もしかしたらうまくいくかも」

 

 

自分で言いながら、ハーマイオニーの声にいつものような自信は込められていなかった。ロンは大きく呆れたようにため息をつく。

 

 

「何言ってるんだが、先生だってそんなに甘くないぜ?──でも、騙されるとしたら、よっぽど鈍い先生だな」

 

 

その言葉にハリーとハーマイオニーとソフィアは顔を見合わせた。

三人と──そして自分で言いながら心当たりがあった──ロンはちょうど同じ人のことを考えていた。

 

 

「ちょうどいいかもしれないわ。もしなんの躊躇いもなく禁書の閲覧許可のサインをくれるのなら、彼は黒幕では無いでしょ?」

 

 

ハーマイオニーは誰の名前も言わなかったが、言わずとも四人が思い浮かべていた人は同じであり、ソフィア達は頷いた。

 

 

 

 

 

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