【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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70 間抜け?それとも策士?

 

 

その日の闇の魔術に対する防衛術の授業では、ロックハートが上機嫌でハリーに狼男の役をやらせ、どのように果敢に自分が立ち向かい、狼男を退け、尚且つ人狼を人間に戻したのかドラマティックに高々と披露した。

 

ピクシー小妖精の一件から、ロックハートは魔法生物を持ち込むことをやめ、このように自分が行った偉業を再現して過ごしていた。だがその回数が重なるにつれ、ロックハートの嘘が露呈している事にソフィアを含めた一部の生徒は気付いていた。

今回の話でもそうだが、人狼を人間に戻す魔法は存在しない。もし彼の言う通り人狼を戻す事が出来たのなら、それこそロックハートは今頃世界的な偉大な魔法使いの1人になっていただろう。

 

 

ソフィアは終業後、ロンとハリーと共に教室の一番後ろでハーマイオニーがロックハートに閲覧禁止書籍の許可証を受け取るのを待ちながらそう考えていた。

 

 

もし、ロックハートが黒幕なら流石にこの行動を不審に思うだろう、だが、ロックハートはハーマイオニーが何を借りるかも確認せず直ぐにサインをすると輝くほどの笑顔をハーマイオニーに向けていた。

 

サインを受け取ったハーマイオニーはもたもたとしながらそれを丸めしっかりカバンの中に入れ、すぐにソフィアとロンと──少し遅れてハリーと共に──教室から出て行った。

 

 

「信じられないよ。僕たちがなんの本を借りるのか、見もしなかったよ」

 

 

ハリーがサインを確認しながら呆然と呟く、まさかここまで上手くいくとは思わなかった、他にも沢山言い訳を用意していたハーマイオニーは、あっさりと貰えたサインに安心し、気を良くしたようにソフィアを見る。

 

 

「これで、ロックハート先生の疑いは晴れたわね?」

「うーん…まぁ、そうね、普通本くらいは確認するもの…黒幕なら、闇の生物についての本を借りられるかもしれないと思うはずよ。…知られたら困ると思うし」

 

 

ソフィアも、あまりに簡単にサインをした時の様子を考え複雑そうな顔で頷いた。

と言う事は、いま可能性があるのはドラコしかない。結局、ポリジュース薬を作るハメになるのだ。

 

 

四人は急いで図書館へ行き、司書から最も強力な薬、と書かれた大きな本を受け取った。司書は怪しんだものの、許可証が本物な以上、職務を全うするほか無くむっつりとした表情で本を渡した。

 

 

どこでこの本を読むか、そう考えた時に、やはりマートルのトイレが一番適任だと言うハーマイオニーの意見が採用された。ロンは最後まで嫌そうにしていたが、それ以外で人が絶対に来ないと確証できる部屋を皆知らなかったのだ。

 

ソフィアは花束を持つ少女の部屋を一瞬思い浮かべたが、あの部屋には父が残した本がある、もし何かの拍子に親子だとばれてしまうことを恐れ、言い出さなかった。

 

マートルはトイレが使われる事を嫌がり喚いていたが、なんとかソフィアが宥め、個室の一角を使う許可が降り、四人はほっと胸を撫で下ろす。

 

 

「…あったわ、これよ!」

 

 

大事そうに本を開き、ページを捲っていたハーマイオニーは小さな声で興奮したように囁いた。ポリジュース薬、と記されたページには複雑な手順と珍しい材料が書かれていたが、ハリーはそれよりも挿絵の表情がとても痛そうだったのが気掛かりだった。

 

 

「こんなに複雑な魔法薬は初めてよ…クサガゲロウ、ヒル、満月草、ニワヤナギ…これは生徒用の材料棚にあるから、簡単に取れるわね…うわっ!二角獣の角の粉末…毒ツルヘビの皮…これ何処で手に入れたらいいかわからないわ…」

 

 

ぶつぶつと材料を見ていたハーマイオニーは顔を顰めながら独り言のように呟いた。それを覗き見ていたソフィアは、おずおずと手を上げる。

 

 

「それ、確かどっちも…スネイプ先生の研究室の…先生個人の棚にあったわ。何度も罰則を受けてるから…間違いないわよ」

「なら良かったわ!注文するときっと高額でしょうし、怪しまれるもの。…それと、変身したい相手の一部…」

「なんだって?変身したい相手の一部って、僕クラッブの足の爪なんか入ってたら絶対飲まないからね」

「ロン…別に髪の毛でいいじゃない、足の爪なんて…私だって絶対嫌よ」

 

 

嫌そうに顔を歪めたロンに、ソフィアは呆れながら言った、流石に足の爪は、誰のものでも摂取したいとは思わない。

 

 

「ハーマイオニー、どんなに色々盗まなきゃいけないか、わかってる?僕、絶対うまくいかないような気がする…」

 

 

ハリーは変身したい相手の一部よりも、セブルスの研究室から材料を盗み出す方が困難な事に思えた、バレたら罰則だけでは済まない。きっと退校を強く進言するだろうスネイプの嘲笑うかのような表情を思い浮かべ、不安げに首をすくめた。

 

 

「そう、2人とも怖気付いて、やめるって言うなら結構よ!私は規則を破りたくはない。わかってるでしょう?だけどマグル生まれの者を脅迫するなんて…魔法薬を密造するよりもっと悪い事だと思うの。でも、2人がマルフォイがやってる事かどうかはっきりさせたく無いのなら、この本はすぐに返してくるわ!」

 

 

あまりに2人の前向きではない言葉に、ハーマイオニーは頬を赤くして目を吊り上げ本を強くて閉じる。ロンとハリーは慌てて首を振り、嫌々ながらも降参するように頷いた。

 

 

「わかった!やるよ、けど足の爪だけは勘弁してくれ」

「でも、造るのにどれくらいかかるの?」

「材料が全て揃うのを考えたら…1ヶ月くらいかかるんじゃ無いかしら?確か1日では調合できなかったはずよ」

 

 

ソフィアはポリジュース薬の作り方を思い出しながらハリーの疑問に答えたが、ロンにとってはあまりに長く途方もない時間に感じたのだろう、驚きながら叫んだ。

 

 

「1ヶ月も!?マルフォイはその間にマグル生まれの半分は襲っちゃうよ!──あーでも、それが今のところこれがベストだね、うん」

 

 

しかし、ハーマイオニーの目が怒りでまた吊り上がってきたのを見ると慌てて付け足した。ロンとハリーは魔法薬学は苦手であり、ハーマイオニーやソフィアのような知識は勿論ない。薬を調合するのに1ヶ月かかるなんて良くある事で、中には調合に半年を有する物もあるのだが、きっとそれを知ると言葉を無くすだろう。

 

 

とりあえずポリジュース薬の作り方と材料がわかった所で、ハーマイオニーは本を閉じカバンの中に大切に仕舞い込んだ。

女子トイレから出るときはまた誰かに──パーシーに──見つかって注意されてはたまらない、とソフィアとハーマイオニーがそっと外の廊下を覗き込み、誰も居ないことを確かめてから静かに素早く彼らは寮へ戻った。

 

 

 

 

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