【完結】スネイプ家の双子   作:八重歯

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99 新任教師代理!

ホグワーツから継承者の脅威が去った後。ホグワーツは以前のような明るさと賑やかさを取り戻した。夜通し続いた祝宴の二日後、まだ興奮が冷めやらぬ生徒たちは大広間で蘇生された生徒を囲み、がやがやと楽しげに朝食をとるために空の皿に料理が並ぶのを待っていた。

 

 

 

ダンブルドアは彼のいつも座っている椅子から静かに立ち上がると、小さなベルを打ち鳴らした。途端に生徒たちは静まり返り、ダンブルドアを見つめる。

 

 

「ーーさて、朝食が始まる前にひとつ皆にお知らせがある。…後1ヶ月じゃが、臨時で闇の魔術に対する防衛術の授業を受け持つ教師が漸く見つかった」

 

 

落胆する騒めきと、授業の再開を喜ぶ歓声がーー後者は少なかったがーー大広間に広がった。ハリーとロンは折角授業の一つが無くなり好きに過ごせると思ったのに、と残念そうに口を尖らせていた。ソフィアはせめて少しでもマシな授業をしてくれる先生だといい、とダンブルドアの言葉の続きを待つ。よく考えれば、碌な授業を2年も受けていないのだ。

 

 

 

「紹介しよう。ーー彼を知っている人もおるかもしれんな」

 

 

ダンブルドアは、ソフィアとルイスを見ると茶目っ気たっぷりに笑う。2人はスリザリンとグリフィンドールの机から視線を合わせると、首を傾げた。

 

 

「ーージャック・エドワーズ先生じゃ」

 

 

ダンブルドアが大広間の扉に向かい手を広げる。ソフィアとルイスは思わず立ち上がり、後ろを振り向いた。

 

生徒も皆、一様にぱっと後ろを振り向き新しい教師がどんな人間なのかと首を長くしてその扉の先を見た。

 

開かれた扉の先には眩しそうに目を細め、美しい長い銀髪を肩の上あたりで緩く結ぶ長身の男が立っていた。

大広間を見渡し、生徒達の視線に微かに微笑み答えるその顔は美しく、確かな大人の余裕と色気に何人もの女生徒が黄色い声を上げた。

 

 

「「ジャック!?」」

 

 

ジャックはルイスとソフィアの驚愕の声に悪戯っぽく笑いーーまた、黄色い声があがるーー堂々と生徒達の間を通り、上座まで向かうとダンブルドアの隣に立ちくるりと振り返った。ふわり、と銀髪が遅れて揺れた。

想像もしていなかった人の登場に、ルイスとソフィアは興奮したように頬を赤く染め、椅子に座り直すとキラキラと輝いた目でジャックを見つめた。

 

 

「残り1ヶ月じゃが、それまでに来年度に備えた授業を行ってくれるとの事じゃ。彼はホグワーツ在籍中、とても優秀な生徒の1人じゃった」

「ジャック・エドワーズだ。ーーみんな、短い間だけど、よろしく」

 

 

優しく微笑むジャックに、生徒たちは歓声を上げ大きな拍手を送った。どうやら、ロックハートよりはまともそうだと皆が思った。

ダンブルドアは生徒たちの拍手が静まるのを待ち、大きく頷くと手を打ち鳴らし机の上に沢山のいつもより豪華な料理を出現させた。

 

わっと歓声があがり、生徒達は早速沢山の料理に舌鼓を打ちながらジャックはどんな先生だろうかと教師達の席に座ったジャックを興味津々で見ていた。

 

 

「ソフィア!あの人って…」

 

 

ハリーがジャックを見て、こっそりソフィアは耳打ちをする。ソフィアはにっこりと笑い、頷いた。

 

 

「ええ、私たちの育て親よ!あの人は、とても素晴らしい人なの!…ああ、授業が楽しみだわ!」

 

 

ソフィアは嬉しそうにスコーンに苺ジャムを塗りながら待ち切れないと楽しげに答えた。

丁度この日の1時間目が闇の魔術に対する防衛術の授業だ、彼はどんな授業をしてくれるのだろうか。胸を期待でいっぱいにしているソフィアの横で、ネビルが「うぅ…」と呻き少し恐々とソフィアの肩を叩いた。

 

 

「でも…あの人、スネイプ先生と仲良さそうだよ…」

 

 

ジャックはセブルスの隣に座ると直ぐにぱっと笑顔を見せセブルスを軽く抱きしめた。セブルスは嫌そうにジャックを押し退けたが、それを目撃した大多数の生徒がどよめいた。

ジャックは気にする事なく明るく笑い、にこにこと笑顔で何かを話しかけているようだった。セブルスはいつもの気難しそうな顔をしているが、嫌悪感は浮かんでは居ないように見えた。

 

 

「知らなかったわ」

 

ソフィアは息を吐くように嘘をつき、ちぎったスコーンを口の中に放り込んだ。

 

 

 

ソフィアがハリー達と共に闇の魔術に対する防衛術の教室へ向かい、勢いよくその扉を開けると、教壇で授業の準備をしていたジャックはぱっと振り返り表情を輝かせた。

ソフィアはすぐにジャックの元へ駆け寄り、久しぶりに会えた育て親のその胸にぎゅっと抱きついた。

 

 

「ソフィア!久しぶり、今はーー元気そうだな」

「ええ!もう何があったかは聞いたのよね?」

「勿論。君達はなかなかスリリングな一年を過ごしたようだね?」

 

 

ジャックはソフィアの後ろからついてきたハリー達を見ると意味ありげに微笑み、ハリーとロンとハーマイオニーはなんとも言えず誤魔化すように笑った。きっと無茶な事をして怒られると思ったが、ジャックはソフィアを離すとニコニコとした笑顔のまま彼らを讃えるように優しく順に頭をぽんぽんと叩いた。

 

 

「学生のうちは多少の無茶を経験しておくといいさ!怪我の治りが早いのはーー学生のうちだけだ、他の人にない経験はいつか必ず君たちの力になるだろう」

 

 

思っても見ない言葉に、ハリー達は撫でられた感触が残る頭に触れながら頬を染めてはにかんだ。

 

 

「そうだ!なぁ、森にアクロマンチュラが居るんだろう?アラゴグ、だったかな?ーーハグリッド、俺が学生の時にそんな素晴らしい友のことを秘密にしていただなんて…!ここにいるうちに一眼みたいよ」

「ええ、私もそう思うわ!」

「どれだけふわふわで大きいんだろうな?きっと寝心地は最高だろう!」

 

 

楽しげに大蜘蛛の話をするソフィアとジャックを見て、ハリーとロンは顔を引き攣らせた。間違いない、ソフィアの歪んだ価値観はこの人の教育の賜物なのだろう。

 

 

他のグリフィンドール生ががやがやと教室に入って来たのと、授業開始を告げるベルが響いたのは同時だった。

 

 

「ーーおっと、お喋りはまた後でなソフィア。ーー君達もいつでもおいで」

 

 

ソフィア達は頷き、ぱたぱたと走りながら席に着いた。

 

ジャックは席についた幼い生徒達を優しい眼差しで見渡した。

ジャックは子どもが好きだった。ーー好きでなければ、ただの慈善活動で孤児院なんて経営出来ないだろうーー彼らの純粋無垢な心が大人に成長していく様を近くで眺めるのも、楽しげなその高い声も、そして少しの物事で心を揺らす感受性の豊かさもーー子どもだけではない、ジャックは人間全てを愛していた。

 

 

「さてーー始まる前に少し自己紹介をしようか。ジャック・エドワーズだ、俺の事はジャック、と気軽に呼んでくれ。正規の教師じゃないからな。もしかしたら、俺の事を知っている生徒も少しはいるかも知れない、魔法界で孤児院を経営していてね。ーーソフィアは俺の子どもの1人だ」

 

 

ジャックはにっこりと微笑み、ソフィアを見た。急に名前を呼ばれたソフィアは頬を僅かに赤らめ手を小さく振った。

 

 

「勿論、子どもだといって君たちと区別する事は無いから安心して。臨時とはいえこの時間の間は教師だから、その辺の分別はついているよ。ーーちなみに、俺がセブルス・スネイプ先生と仲良くしているのを見て不安に思った生徒もいたようだね?」

 

 

ジャックは次にネビルをチラリと見た。ネビルは顔を硬らせ、前の席に座る生徒に隠れようと必死に身体を縮こまらせた。

 

 

「俺はスリザリン生だったからな、まぁ、セブルスとはそこそこ交流があってね。だがーー誰かさんのように大人気なく差別しないから安心して」

 

 

ジャックが声を顰めて悪戯っぽくウインクをこぼし、セブルスの事を暗喩すれば、生徒たちは顔を見合わせくすくすと笑った。

「さて、」とジャックは仕切り直し、杖を振ると教室の奥に並べていた籠と教壇の上にある羊皮紙、そして小さな袋を浮遊させ生徒たちの前に一つずつ配った。

黒いベールがかけられた籠はがたがたと揺れ生徒たちは身を出来るだけ引いて遠目でそれを不安そうに見た。キーキーという、小さな鳴き声が籠から響く。

 

 

「今年はーー今年も、碌な授業じゃ無かったんだってな。とりあえず…はじめはコイツの対処について学ぶ。ーー君達は対処法を教わらず、途中で放り投げられていたんだろ?」

 

 

杖を一振りすると、ベールがサッとはずれ、その中が顕になった。籠の中には歯を剥き出しにして此処から早く出たいと激しく訴えるピクシー小妖精がいた。

苦い記憶が生徒たちの脳裏に蘇り、シャンデリアに吊るされたネビルは顔を引き攣らせるとベールを手繰り寄せその後ろから恐々とピクシーを見た。

 

 

「大丈夫、ちゃんと対処すれば…可愛いものさ、ちょっと煩いけど。気が滅入っている時にーー彼らの悪戯はなかなかに愉快で便利だしね。…配ったプリントを見てくれるかな?ピクシーの生態が詳しく書いてあるから。そこに書いてあるようにーー」

 

 

ジャックは生徒たちを安心させるためにゆっくり教室内を歩き、対処法を伝えた。そしてぴたりとネビルの隣で足を止めると、「ネビル」と名前を呼ぶ。

 

 

「は、はい」

「そんなに固くならないで。さあ、立って机にある袋を手に持って?ーー開けてごらん?」

 

 

ネビルは恐々と震える手で袋を掴み、紐を引っ張り結び目をといた。中には小さなクッキーが数枚ちょこんと入っていて、ネビルはどんな恐ろしい物が入っているのかと思って目を細めていたが、現れた物を見るときょとんと目を瞬かせた。

 

 

「クッキー?」

「そうだ。ーー君のおやつじゃないよ?シェーマス?」

 

 

舌舐めずりをして袋の包みを開けていたシェーマスにジャックが言えば、周りから吹き出すような笑いが響く。シェーマスはぺろりと舌を出して誤魔化した。

 

 

「そうーープリントにあるように、ピクシーは甘いものに目がない。ほら、必死に手を伸ばしてるだろう?今から籠を開けるから、ネビルはそのクッキーを少し遠くに投げるーーピクシーが夢中になってクッキーを食べ出したら、後ろからーークロンガッド(丸まれ)と唱えて」

「で、でも僕ーー魔法はそんなに得意じゃ…」

 

 

クッキーを投げるまでは簡単そうだったが、その次の魔法にネビルは不安げに眉を下げた。事実、ネビルは一度で魔法を成功させたことは無い。また酷い目にあうのかと身体が恐怖に震えた。

 

 

「んー…」

 

 

ジャックは少し悩むように顎を撫でる。その悩む仕草はルイスがよくする仕草に似ているとハリーは思った。

 

 

「ネビル、丸いもの、と言ったら何を思い浮かべるかな?」

「え?ーーえーっと…思い出し玉…」

 

 

その答えに何人かがくすくすと笑い、ネビルは頬を赤く染めて俯いたが、ジャックは「素晴らしい!」とネビルを褒め優しく肩を叩いた。

 

 

「あれかー。綺麗な丸い球だな。…うん。じゃあその丸い球を強く想像してごらん。頭の中に丸いイメージを強く思い浮かべて、クロンガッド(丸まれ)と唱える」

「で、でも…」

「大丈夫、失敗してもピクシーは君を襲わないさ。俺は前任よりは優れた魔法使いだからな。ーーさあ、開けるよ」

 

 

ごくり、とネビルは固唾を飲み意を結したように小さく頷きクッキーを指先で摘んだ。ピクシーは今にも飛び掛かりそうな程細い両腕を必死に伸ばしクッキーをぎらぎらとした目で見つめた。

 

 

「3、2、1ーー!」

「ーーう、うわぁっ!」

 

 

ジャックが籠の扉を開けると、ネビルが悲鳴を上げながら高くクッキーを放り投げそれにピクシーは勢いよく飛びついた。うまく空中でキャッチすると嬉しそうにピクシーはそのクッキーに夢中になって齧り付く。

 

 

「さあ、ネビル丸いイメージだ。ーー今だ!」

「ク、ーークロンガッド(丸まれ)!」

 

 

悲鳴の混じる声でネビルはピクシーに杖を向けた。途端ピクシーはクッキーをしっかりと掴んだままきゅっと身体を丸め、ボールのようになると床に落ちて跳ね返りころころと転がった。ーーピクシーはそれでもクッキーを貪るのをやめない。

 

 

わぁっ!と歓声がと拍手が沸き起こり、ネビルは燃えるように顔を赤くすると、目をかがやかせた。ーー魔法を、一度で成功させた。

 

 

「せ、成功した…!」

「凄いネビル!よくやったね!グリフィンドールに5点!」

 

 

ジャックは床に転がるピクシー玉を掴むと、感激のあまりなんの声も出せないネビルの手にそれを持たせた。

 

 

「ほら、君が1人で成功させたんだ。ーー不安にならなくていい、君は優れた魔法使いになるよ」

「っ…う、…ぅう…」

 

 

ネビルの目に大きな涙が溢れ、頬を伝う。常に自信がない、きっと自分は魔法使いよりもスクイブに近いのだと思い込んでいたネビルはあまりに優しい言葉に泣きじゃくりながら、掌の上にある成功の証を強くにぎりしめた。

 

 

「クッキーひとつ余ったね、食べていいよ?そうすれば涙も止まるだろう」

 

 

ジャックは優しくネビルを座らせると、生徒たちを見渡した。すぐに自分達もやってみたいといううずうずと目を輝かせる彼らに、嬉しそうに目を細めジャックは笑う。ーーこの目の輝きは、子どもにしか見られない、特別でかけがえのないものだ。

 

 

「さて、ここで一つ教師として忠告しておく。さっきの魔法は人に向かって使うのはやめておいた方がいい。相手がどれだけ憎くてもね」

 

 

真面目に低く呟くジャックの声に、しん、と教室内が静まった。生徒たちを見回しながらジャックは「どうしてだと思う?」と問いかける。その問いかけに最も早く手を掲げたのはハーマイオニーだった。

 

 

「ハーマイオニー、言ってごらん?」

「はい。クロンガッド(丸ませ魔法)は対象物を丸めます。…つまり、人間に使うと…体全体の骨が折れます」

「正解!グリフィンドールに5点!…そうなんだ、まぁあの魔法は対象物が大きい程に成功率は下がるから、人間にかけるのは難しい。ーーけれど、成功した時…相手にかなりの苦痛を与える事が出来る。ピクシーは体が柔らかいから丸められても気にしてないけど。ーー闇の魔術ではない、一見するとただ便利な魔法も使い方次第では変わってしまう。それをしっかりと覚えておくように」

 

 

ジャックの説明に教室内に重々しい沈黙が落ちた。

彼らは人間がピクシーのように丸まった様子を想像し、身を震わせた。たしかに、間違いなく激痛だ。それも球体に近ければ近いほど身体は悲鳴を上げる事だろう。自分達が使っている魔法は闇の魔術では無いが、それでも使い方一つで危険になりうる、その事実を彼らは初めて知った。

 

不安そうな顔をする生徒たちに、ジャックは真剣な表情を緩めると「まああの魔法は靴下を丸めるには最適な魔法さ」と茶目っ気たっぷりに伝え、教室内の緊張と不安を緩めた。

 

 

「さあ、君たちもやり方はわかったね?ーーじゃあやってみようか。強く球のイメージを心に描いて、もし不安なら…籠を開ける前にピクシーにクッキーを渡せばいい、扉が開いてもピクシーは逃げ出さないだろうから。さあ、杖と、クッキーの用意をしてーー」

 

 

 

ハリー達はこれほど楽しく充実した授業を受けたことがなかった。

ジャックは完全なピクシー玉に変えることが出来たハーマイオニーとソフィアに5ずつ加点し、すこし羽が飛び出ていたハリーや他の生徒達にも3点を与えた。

 

 

ほぼ全員の生徒が加点されるなか、ロンだけは杖が折れうまく魔法が使えずつまらなさそうにピクシーの暴れる籠を突いた。

 

 

「ロン、どうしたんだ?」

「ジャック先生…その、僕の杖がこんな状態で…」

 

 

ロンは無理矢理テープで繋がれている杖を差し出した。初めて見た杖の惨劇に、ジャックは苦笑いをこぼす、これではどんな初歩的な魔法も使えないだろう。

 

 

「じゃあ、俺の杖を貸すよ」

「ーーえっ?でも…」

 

 

杖は一本一本で性格や使いやすさが異なる、ロンは杖も兄弟のお下がりだった。だからこそ、うまく魔法が使えないのだが、ロンはそれを知らなかった。ただ、杖を他人に気軽に貸すことは、考えられないのだと魔法族の者なら皆知っている。周りにいた生徒達も少し、ざわめいた。杖とはそれ程魔法使いにとって重要なものなのだ。

 

 

「大丈夫、俺の杖はーー人が大好きな浮気性なんだ。誰にでもその力を発揮してくれるさ」

 

 

ジャックは黒く艶やかな杖をロンの手に押し付け、やってみなさいと促した。久しぶりに掴んだまともな杖の感覚に、ロンは少し緊張しながら頷く。

さっと籠を開き、ピクシーに向かってクッキーを投げ入れ、すぐに呪文を唱えた。

 

 

クロンガッド(丸まれ)!」

 

 

ピクシーはきゅっと小さく鳴き声を上げながら完璧なピクシー玉へと変わった。ロンは久しぶりにまともに魔法が成功し、「うわぁ!」と歓声を上げる。

 

 

「綺麗な玉になったね、ロンに5点!…君は新しい杖を買ってもらったほうがいいかもしれないね」

「…うん…相談してみます」

 

 

ロンは手のひらでコロコロとピクシー玉を転がし、この綺麗な玉に本当に自分がしたのか、信じられず夢心地に呟いた。

 

 

終業のベルが鳴ると、ジャックは杖を振り籠やピクシー達を消すと教壇の前で振り返り、教室を見渡しながら、少しだけ首を傾げ心配そうに聞いた。

 

 

「初めての授業ーーどうだった?」

 

 

グリフィンドール生達は顔を見合わせ、すぐに口々に「最高でした!」と叫び、ソフィアの拍手につられて皆が割れるような拍手を送った。ジャックは照れたように笑い頬を掻くと、恭しく頭を下げた。

 

 

 

 

 

夕食の大広間では、ジャックの授業について誰もが口を揃えて称賛し、まだ授業を受けた事のない生徒はその評判に、早く授業を受けてみたいと期待した。

 

ジャックは誰に対しても優しく、ユーモアに溢れた人物であり、直ぐに生徒達に好意的に受け入れられ、夕食が終わるとすぐにわっと人集りが出来た、その中にスリザリン生も混じっていたのだから、彼の人柄が垣間見れるだろう。

 

 

「ジャック先生って、本当に素晴らしい人だわ!」

 

 

ハーマイオニーは羨望の眼差しで生徒達に囲まれたジャックを見る。ソフィアは育て親が褒められる事が自分の事のように嬉しく、自慢げに胸を逸らした。

 

 

「そうなの!私たちも沢山の事を教わったわ!」

「1ヶ月しかいないなんて、残念だわ…」

「1ヶ月と言わずずーっといてほしいよ!今日みたいな授業なら大歓迎さ!」

 

 

ロンは大きな肉を食べながら頷いた。

楽しいだけではない、自信のない生徒には安心させるために静かに、だが優しく寄り添う、そんなジャックを見たからこそ、強くここに残ってほしいと思った。ネビルはまだ今日の授業が忘れられないのか、もうピクシー玉は手のひらには無いが、ぼんやりと手を見つめては思い出したかのように嬉しそうにはにかんでいた。

 

 

「全く!誰かさんにジャック先生の爪を煎じて飲ませたいよ!」

 

 

ロンはチラリと教師席に座るセブルスを見て吐き捨てた。  

 

 

 

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