五月雨の奇跡(鬼滅の夢) 作:雪風
ネオン輝く夜の街…今日も沢山のお姉さま、お兄様、おかまさん達がこぞってご出勤している。…色々な顔ぶれを眺めながら〇源エイトの高層ビルに足を進める…
カランカラン
「おはよう」
「 さくらちゃんおはよう」
私の職場はいわゆる「スナック」だ……ホステスとして働き出したのは18の時…高校を卒業して、直ぐにバイトとして、入店したのは、この
「スナックMOMO」
そしてここのオーナー件ママは、私の実の母親である…
長年スナックを経営していて、年頃になった頃、なかなか就職先から内定を貰えなかった私に、暫くバイトで来てくれないか?……それが始まりで現在に至る
来月にはもう25歳になり、そろそろ限界だと思っていた…
何度も辞めたいと話合いをしてきたが、なかやか辞めさせて貰えずに、私の心の中は荒んでいった…
今日はシトシンと五月雨が降っていて、少し肌寒く、風を引いて熱が出たと、一人女の子が休んでいる
今日もママは不機嫌だ…
私を若くで産み、直ぐに離婚…その後私は祖父母に預けられれて、母親とは一緒に暮らしていない…
それもあってか、気を使う仲だ…
───カランカラン
今日は雨の影響もあり客足は良くなくて、早めに閉店した…ママともう一人の女の子は最後に来た常連さんと、帰りにラーメンを食べに行くと言って先に出たので、私は閉店作業をして、一人家路に帰るため、ビルの1階路地裏に、ゴミを出しに下りてきた…
他の店がすでに出していたのか、ゴミは山積みになっていて、傘を持ってそそくさと、その場に置く…その時、
ガサッ
何かが動く音がして、またネズミだな、と思ったのだが、人の手?のような物が目に入る…
酔っ払いが倒れているのか?…恐る恐る奥まで行き覗き見た…
そこにいたのは、膝を抱えて蹲る人…いや、何?この人の格好は…
「あの、大丈夫ですか?」
しゃがみこんで傘をその人の頭上に差す…
次の瞬間ガバッと!と腕を掴まれて、私は息を呑んだっ
「腹が…減ったァ…」
よく見るとまだ少し幼い…家出?私はとりあえずぐったりするその人を起こして、ハンカチで頭を拭く
「何か、食べようか?」
立たせてから気づいた…この人の格好は…
え?…鬼滅の刃のコスプレ?
よく見ると銀白髪で、まさに鬼滅のキャラの
不死川実弥だった…
ずぶ濡れの彼を とりあえず一度店まで連れて上がり、カウンターに座らせる…このままではタクシーに乗せるにしても、嫌がられるだろう…時効は午前1時半…夜のネオン街は出前は当たり前で、勿論朝3時、4時まで開いている…カウンター下から色んなメニューのチラシを取り出し、彼に聞いた
「何食べたい?」
「…なんか 温っけェやつが…いい」
「じゃ、うどんか、蕎麦か……」
「…蕎麦」
メニューを見せると一瞬目を見開いて、なんでも良いと言うので私が適当に選んだ…お腹空いてるみたいだから、肉そばに、かしわおにぎりを二つ頼んであげて、彼にお金を渡す
「出前の人が来たらこれで払って…私はちょっと出てくるから、待てる?」
小さく頷くので、そのまま店を出る
歩いて直ぐの大通りに出ると、24時間営業のディスカウントストアがあり、そこにはちょっとしたスウェットなどが売ってある…とりあえず着替えさせようと、それを購入して、また店まで戻った……
──────
──カランカラン
びっくりしたのかカウンターから振り向くと、また目を見開いて私を見る
「あ、出前きたんだね!良かった、ゆっくり食べて」
ガツガツっと食べながら、目だけで私を警戒して見ている……よっぽどお腹か空いていたのだろう…
だが見れば見るほどあの不死川実弥にそっくりで、今のコスプレイヤーは、本当に凄いなぁと感心した
食べ終わった彼にスウェットを渡して、トイレで着替えるよう言う…
暫くしてトイレから出てきた彼は、一言物申した…
「色々ありがとなァ…俺は不死川実弥…歳は21歳だ。おめェは?」
ん?…不死川実弥?…完全になりきっているのかな?…不思議に思ったが、私も自己紹介をする
「私は葉月 さくら…24歳よ…あー、不死川くんは、どうしてあんな場所に?」
ゆっくり口を開く彼の話は、全く信じられない。どうやら彼は本当にあの不死川実弥のようだ…
腰に刺してある刀を見せられる…
(本物だ…)
「気づいたら、あの場所にいた…一体全体ここは何処だァ?」
私は瞬きを繰り返した
これが事実なら、漫画やドラマでよくある逆トリップと言うやつ…にわかに信じ難い
だが何故か私はすんなりと受け入れた…最近疲れ果てていた私には丁度いい現実逃避になる…
「うち来る?」
一瞬ビクリとした不死川実弥…暫く考えて眉間に皺を寄せた
「…訳が分からねェが、どうしたらいいか自分で判断ができねんだ…すまねェが世話になる」
私はとりあえず自宅に帰ってゆっくり話を聞く事にした
刀を隠して、ビルの1階に下りると呼んでいたタクシーにすぐ乗り込む…
「さくらちゃん、お疲れ様…」
「田辺さんお疲れ様…家までお願いね」
「了解」
いつもの知り合いのタクシーを呼び家路を急いだ…横を見ると、ドアに手を付き目を見開く不死川実弥…車に乗った事がないのだろう…思わずクスっと笑いがでる
マンションに着いてエントランスに入ると、落ち着かない様子で、エレベーターも初めてだからか、やはりキョロキョロと目を泳がしている。なんだかとても不死川実弥は可愛い。私の推しではない。推しは勿論煉獄さんだ…熱烈な…と言うほどではないが、まぁ部屋には少しばかり煉獄さんのフィギュアなんかを置いてある。
玄関を開けて、不死川実弥を中に入れた
「どうぞ」
スウェット姿の不死川実弥は、以外と似合っていて、背が高いからか、やはりかっこいい…傷はあるが思ったほど目立たなく、まつ毛はやはり長い…よく見ると綺麗な顔立ちだった。
マンションは1LDKで、リビングのソファーはリクライニングを倒せばソファーベッドになる仕組みだ…
だが、彼の身長を考えるとギリギリ…いや、足が少し出そう…毛布は予備があるが敷布団はない…
今日は我慢して貰って明日、ニ〇リにでも行くとしよう。
ソファーをベッド仕様にして、寝室のクローゼットから来客用の毛布を出す。
「不死川くん?風呂入って?…あ、使い方分かんないよね?…」
そういって、風呂場に誘導すると、ピタリと足を止めた
「何がどうなってんだァ?ここは何処で、鬼はどこ行ったんだよ?まさか、血鬼術か?」
とりあえず落ち着かせなくちゃ…そりゃあ不安だよね…私はソファーに座らせて話をした
「あの…今から言う事信じれるか分からないけど、事実を話すね?」
私は今が大正じゃなく令和と言う元号だと言う事、鬼はもういないと言う事…おそらく異国の地に来たんじゃないか?と言う事をゆっくり話して聞かせた
NEXT