IS~ドイツの黒き皇帝~改訂版   作:鈴木颯手

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第十二話

「くそっ! 奴らの手がかりすら見つからないな!」

 

 ゲルマニア郊外を捜索している部隊の隊長が声を荒げた。部隊員たちはその言葉に否定も肯定もしなかったが内心では部隊長の様に見つからない事に焦りを感じていた。

 織斑一夏の誘拐の報告から既に一時間は経過している。時刻は昼を過ぎおやつの時間に迫っていた。モンド・グロッソも大盛り上がりを見せておりドイツ帝国のリリー、大日本帝国の織斑千冬、そしてドナウ連邦のアリーシャ・ジョセスターフが対戦相手を圧倒して勝ち上がっていた。織斑千冬は後一回の試合で今日の出番は終わりである。そうなれば織斑一夏が行方不明という事に気付くだろう。そうなる前に何としても見つけ出して保護しなければいけなかった。

 

「隊長! 近くの廃工場で不審な動きがあります!」

「何!? よし、行くぞ!」

 

 そこに、この状況を打開するように一つの報告が上がる。その報告をした()()()()()()()()()()()()()()の案内のもと部隊はその廃工場に近づく。そしてそれを見た部隊長はハルフォーフ准尉の報告通りだと感じた。

 廃工場にもかかわらず人の出入りが確認できている。廃工場の中に通じる足跡に車のタイヤ痕、そして窓から時折見える人影。どう見ても怪しさしか感じなかった。

 部隊長は直ぐに報告を行った。

 

「敵の潜伏場所と思わしき廃工場を確認。現在監視中です」

【確認した。直ぐに部隊を送る。それまでは待つように。だが、何か不足の事態が起こった時は行動せよ。許可をする】

「了解」

 

 本部との通信を終えた部隊長は部下に言った。

 

「俺達はこのまま監視を続ける。入り口を重点的に見張る。ハルフォーフ以下4名はここに残り監視しろ。お前は右、お前は左。俺は反対側だ。もし犯人らしき者達が移動を始めたのなら警告後発砲しろ。ここから逃がすな」

「「「「「了解」」」」」

 

 ハルフォーフ達は小銃の安全装置を解除し銃撃戦になってもいい様に準備をする。部隊長たちは迅速に動き廃工場から見つからないように監視を行った。

 暫くはそのままの状態が続いたが部隊長より増援部隊到着まで後数分と報告が入った瞬間だった。ハルフォーフ達4名が監視していた入り口から男たちが出てきた。もぞもぞと動く黒い布袋を持った男たちに続いて出て来た人物を見てハルフォーフは思わず物陰から出て銃を向けた。

 

「動くな! その袋を離せ!」

「っ!? ドイツ軍だ!」

 

 ハルフォーフの警告に驚いた男たちが懐から拳銃を取り出しつつ物陰に隠れる。それをさせないとハルフォーフは迷わずに発砲する。フルオートで放たれた銃弾はバンの影に隠れようとしていた男を二人打ち抜きその場に倒れさせた。これで残り二人。しかし、そんな彼女に隠れる事に成功した男が拳銃を向ける。

 

「くっ!」

「准尉! 援護します!」

 

 すぐに物陰に隠れるハルフォーフを援護するように残りの3名が発砲を行う。そして運よくその内の一発が男の持っていた拳銃に当たりあらぬ方向に弾いた。

 

「よし!」

「っ! これ以上好き勝手させないよ!」

 

 あっという間に男たちを無力化された事に女性は怒りを露にすると突如光を纏った。そして光が収まるとそこにはISが存在していた。

 

「IS!? アイツ何物だ?」

「あれはウィンターだ! 亡国機業の実行部隊の一人……!」

「へぇ? あたしを知っているのかい」

 

 ハルフォーフの言葉を拾ったのか女性、ウィンターが興味深そうな表情をする。

 

「亡国機業のウィンターと言えば有名ですよ。年端もいかない少年を凌辱し、最後には肉塊になるまでもてあそぶ凶悪犯罪者……!」

「ふん! 野蛮な獣になる前に女を知り死ねたんだ。本望だろう?」

「私にはそう言う考えは理解できませんよ!」

 

 ハルフォーフは発砲するもISの装甲の前に弾かれる。一般兵器では手も足も出ないISに無駄だとはわかっているがこのまま指を咥えている訳にはいかない。そう思っての発砲だったがウィンターは癪に障ったのか武装を展開した。

 

「ったく、鬱陶しいハエどもだ。こいつを連れて逃げる予定だったが変更だ。貴様等を殺して逃げさせてもらおうよ!」

「っ!」

 

 ウィンターは手に持った4連装のロケットランチャーを全弾発射する。携帯用のロケットランチャーだがそれはあくまでI()S()()()()()()()奴である。一般のロケット砲と何ら変わりはない。発射された4発のロケット弾はハルフォーフ達の周辺を吹き飛ばし爆炎と爆風を起した。幸いな事にハルフォーフにあたる事は無かったが爆風までは躱す事が出来ず大きく吹き飛ばされ体中を地面にたたきつけられた。

 

「く、うぅっ!」

「あ? なんだ運よく助かったのかよ」

 

 ハルフォーフがうめき声を上げたのを聞きウィンターは彼女の上までやって来るとマシンガンを展開して銃口を向ける。

 

「あばよ。一瞬で決めてやるよ」

「くっ!」

 

 ハルフォーフは逃げようと体に力を入れるがまるで届いていないように体は動かない。吹き飛ばされた影響で一時的に体が麻痺してしまっていた。とは言えISから逃げられるかと問われれば逃げられ筈がなかった。その気になればISはその気になれば戦闘機並みの速度を出す事が可能なのだ。生身の人間が逃げる事は難しかった。

 

「じゃあな!」

「……!」

 

 そう、ISなら素早く移動が出来る。()()()()()()()()()()()()()()()()ことなど造作もないのだ。

 

「……は?」

 

 真っ先に気付いたのはウィンターだった。ハルフォーフに視線を向けていたはずが気づけば目の前ギリギリを刀が通過している。まるでスローモーションのようにゆっくりと動き、自らが展開するISに触れた瞬間

 

「っ!!???」

 

 すさまじい衝撃と共に吹き飛ぶ。廃工場を突き破り中にある物を破壊しながら視界が幾度となく代わり漸く反対側から廃工場を突き破ったところで止った。慌ててスラスターを噴き態勢を整えると吹き飛ばされた方を見る。ハイパーセンサーも加わり煙の先の様子を一気に打ちしだすとウィンターは戦慄した。

 

「……貴様か。一夏を誘拐したという奴は」

 

 ここに居るはずのない相手。ブリュンヒルデの称号を持ち二連覇を書けて会場で試合を行っているはずの相手にして脅していた女性。

 

「大切な弟に手を出した覚悟は出来ているのだろうな?」

 

 織斑千冬の姿がそこにはあった。

 




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