IS~ドイツの黒き皇帝~改訂版   作:鈴木颯手

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第十七話

 大日本帝国の沿岸部に建設されたIS学園。世界で唯一ISを専門的に扱う学校という事もあり建設当初から注目を集めていた。更にドイツ帝国をはじめ諸外国からの支援金を受け取る代わりに様々な要望を基に建設された為外国人にも居心地のいい場所となった。

 国際IS委員会直轄の学校であり大日本帝国を含めどこの国にも所属しておらず何処の国の介入も受けないとされている。これはドイツ帝国を始めアメリカやイギリス、ドナウ連邦などの国々も正式に承認している為裏側はともかく表面的にはどんな圧力にも屈せず、また圧力を加える事を禁止としていた。

 しかし、そんなものは裏からならどうとでもなるしこれらを守るのも管理するのも人間である。必ず人為的な穴が存在しそこから侵入するなど造作もない事だった。

 それ故に、IS学園という中でも屈指の実力を持つとある女性の下に侵入者がやってきたとしても不思議ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは。更識楯無さん」

「……」

 

 桜が満開の時期を迎える春。IS学園の入学式が終わり期待に胸を膨らませながら明日に備えて誰もが寝静まった深夜。更識楯無は不審な気配に気づきとびおきた。そしてそんな彼女の前にいたのは一人の女性であった。歳は20代後半くらいで豊満な胸を持ちそれを強調するような、それでいて下品とは思わせない露出の多めの服装を纏った女性は妖艶とも取れる笑みを浮かべていた。

 そんな女性の後ろにある窓は開いておりそこから入って来たのだろうという事は直ぐに分かるが鍵をかけていたにも関わらず音を立てずに侵入した女性は明らかにただモノではなかった。それ以前にここは海を埋め立てて造られた人工島にある学校である。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あら? 何か反応くらいしてくれてもいいんじゃない?」

「……生憎だけど私は侵入者と語らう気はないわ。亡国機業(ファントム・タスク)実働部隊”モノクローム・アバター”を率いる幹部、スコール・ミューゼルさん?」

「流石は対暗部の暗部である更識家の現当主と言った所かしら。私の事は知っている様ね」

 

 それはそちらも同じでしょ、と内心では思うもそれを口に出す事はなかった。自らの部屋に侵入し、こうして詳しい事を知っている時点で目的は自分以外にあり得ない。更識楯無は直ぐにでも動けるように警戒する。そんな彼女に対して女性、スコールは笑った。

 

「あらあら、いいのかしら? 貴方にとってはとても大切な事を伝えに来たのに」

「……それは貴方を捕まえてからでも遅くはないんじゃない?」

「それはこれを見て決めるといいわ」

 

 そう言ってスコールが取り出したのは最新型のスマートフォンだった。そして、それを押す射してとある写真を楯無に見せた。それを見た楯無の表情は一瞬で固まった。

 

「ふふ、本当に妹を大事にしているのね。ならこの意味が分かるわよね?」

「……簪ちゃん」

 

 そう、写真に写っていたのは楯無の妹である更識簪だった。肘掛け椅子に座らされ両手をひじ掛け部分に置かれガムテープで縛られている。足も同様に支柱にひざ下から縛られている。本人は意識がないのか目を閉じてぐったりとしているが顔が分かるように後ろから抑えられていた。

 そして何より楯無の心を荒立たせたのは簪以外に写る人たちだ。そこには二人の男が写っており二人とも上半身裸であり下種な笑みを浮かべながら椅子の後ろに立っている。男たちの手は簪の顔を抑えると同時に肩や腕を触っており明らかにこれから何をするのか分かるような写真だった。

 

「っ!!!」

「ふふ、別に私をここで捕まえても構わないわよ。その場合は貴方の大切な妹は二度と戻って来る事は無いわ。その代りに色々な写真がネットに広がる事になるわ。勿論、()()()()()()()もね」

「……貴方の目的はなに?」

 

 楯無は怒りで我を失いそうになるのを堪えながらスコールに尋ねる。それが簪を救うための一番の近道だと信じて。そして話を聞く気になった楯無に笑みを浮かべてスコールは言った。

 

「単純な話よ。貴方は暗部という立場を捨てて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「っ! それは……!」

 

 楯無はスコールの言葉に目を見開き驚いた。大日本帝国からの要請で()()()()にスパイを行おうとしている。それは秘密裏に、それも極力知る人を少なくして行われている。にもかかわらずそれを知っているという事は……。

 

「因みに断わっても構わないわよ。妹が大事じゃないならね」

「……一つ聞かせて頂戴。簪ちゃんをどうやってさらったの?」

 

 妹の簪は基本的に登下校以外では家にいる。暗部の本家と言うだけあって警備は厳しく例え何かあったとしてもすぐに自分に連絡が来るはずである。しかし、実際にはこうしてスコールが現れるまで簪が連れ去られた事に気付かなかった。一瞬あれは偽物なのではないかという事も思い浮かぶがストーカーと言われそうな程簪をよく見ている楯無の目が本物だと言ってくる。

 

「……まさかとは思うけど()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「っ!?」

 

 その言葉だけで楯無は理解する。既に実家は無条件で信頼できる所ではなく亡国機業の息のかかった者が居るような場所に代わってしまっていると。それを理解した瞬間、楯無は自分にいくつもの意図が付けられ、目の前の女の指に繋がっている姿を幻視した。

 

「安心しなさい。貴方がきちんとこちらの指示に従う限り妹は無事だから」

「……」

「何なら働き次第では会わせてあげてもいいわよ?」

「っ!」

 

 自らの最大の弱点を突かれ楯無は腕を握りしめる程力を籠めるがやがて力を抜くと俯き言う。

 

「貴方達のいう事を聞くわ。だから、簪ちゃんに手を出さないで……!」

「……そう、それでいいわ。これからよろしくね? 楯無(お人形)ちゃん?」

 

 楯無の言葉を聞いたスコールは笑みを浮かべ彼女の耳にそっと、言った。

 

 

 

 

 

 数日後、更識楯無は実家の自由国籍を利用して()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それに世界中の人々、特に日本人は明らかにやばい国の国家代表になった事で更識楯無もそう言う思想を持っていたと言われ一気に評判を落とす事になる。それがどこまでは日本政府の計画でどこからが亡国機業の思い描いた内容なのかは分からないが更識楯無は妹を助けるために自らの全てを差し出した事に変わりはなかった。それが妹の為になっていると信じるしか楯無は出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらずだね。おねえちゃん♪」

 

 そんな彼女の発表をとある女性が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()テレビを見て嗤っている事に楯無が気付く事は無かった。

 




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