IS~ドイツの黒き皇帝~改訂版   作:鈴木颯手

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次話より第2勝IS学園編に入ります


第二十話

 その日、世界中に激震が走った。男性はISを動かせない。それはこの9年に渡るIS世界の中で変わらない事実だった。しかし、数日前にそれを覆す出来事が起こった。

 

”大日本帝国にてISを動かした青年現れる!”

 

 それはあっという間に真実として世界中に発信された。世界の人々はその事実に驚き目を疑った。そして同時に歓喜した。女尊男卑という思想が世界中に拡散する原因となったISは女性にしか動かせない。それを覆す事が出来るかもしれないからだ。その青年を皮切りに世界中でISを動かせる男が現れるかもしれない。

 そんな男性の誰もが想像する事を世界中の国々は検査という形で実践した。ISに触れ起動できるか否かを。何百、何千万という男性が期待を胸に検査場に自ら飛び込んだ。

 結果、その青年、織斑一夏以外でISを動かす事が出来た者はいなかった。触れても駄目、乗っても駄目。それが世の男性たちを絶望に落とした。織斑一夏はイレギュラーな存在というだけであり結局ISは女性にしか動かせないという事は変わらなかった。家畜として扱われ、人権をはく奪された男しかいないロシアでは検査そのものが行われる事は無かったが結局現れなかった事を聞き真っ先に「神聖不可侵たるISを野蛮な男が一人とは言え動かせた事実は遺憾でありロシア共和国はその男性の処罰を求める」という発表を行い実際に大日本帝国にたたきつけていた。無論そんな事を大日本帝国が聞く義理はなかったが日本各地で規模を問わずにロシアの発表に賛同する者がデモを起しその対応に日本は追われる事になり更には暗殺や各研究機関からのスカウトを受けるなど織斑一夏の周囲は危険な状況になった事への対処も必要だった。

 結果的に織斑一夏を特待生扱いでIS学園に放り込む事になった。身も蓋もない言い方だがそこに入れておけば少なくとも外部からの干渉は最小限以下で抑えられる。IS学園は本土から少し離れた孤島に存在する。IS学園に入るには定期的に運航しているモノレールか海から渡航するか空から入るしかない。徒歩で行くことは難しく車による強行突破も事実上不可能。海や空からの侵入も周辺海域及び空域は許可なしで入ると警告後に撃墜される。完全に安全という訳ではないが自宅に置いて奥よりは格段に安全と言えた。

 その情報も大日本帝国を通じて各国に流れるがドイツ帝国を始め各国が文句を言う事は無かった。こうなってしまった以上彼にISと関わっていく事になるのは必然である。であるならば安全をある程度確保できてIS関連の勉学を行えるIS学園は打ってつけと言えた。

 そうなると次に始まるのは各国による織斑一夏の引き抜きだ。現状彼が唯一ISを動かせるがだからと言って無価値という訳ではない。可能性だけなら()()()()()()()()()()()()()()()()()。故に織斑一夏に対してハニトラを狙うようになった。ISを動かす大半は10代後半から30歳までの若い女性だ。国の顔という事もありモデル級の美貌を誇る者も少なくない。女尊男卑が広がった世界といえど男性は美人に弱い物である。各国はIS学園に通う者、入学する者に織斑一夏と恋仲になる事を命じた。最悪の場合()()()()()()()()()と。成功した者には孫の代まで続く栄華を約束すると。

 少女たちはその命令にまるで草食動物を狙う肉食動物のような目で命令の遂行を狙うがそう言った者は少数だった。何しろ彼の姉はブリュンヒルデと名高い織斑千冬である。そしてそんな彼女は国家代表を引退後に若手の育成の為に教師としてIS学園にいる。彼女の目が黒いうちは近づく事すら難しいだろう。

 それでも織斑一夏を狙い少女たちは暗躍していく事になるが当の本人はそんな事とは露知らずに姉より渡されたISの専門書を入学までに必死に読んでいた。加えて元来の鈍感という性格も合わさり彼がハニトラにかかる確率は低いだろう。そうでなければ入学から一月以内に何人かの女性を抱き大問題になっていただろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 織斑一夏の情報がドイツ帝国に届いた時、関心は高くも無ければ低くもなかった。

 ISを動かせるという事は凄いと思うがだからと言ってどのような手段を用いても手に入れたいとは思わない。それがドイツ帝国の総意だった。何しろ現状に不満があるわけではない。男性が使えなかったとしても問題ないくらいの人口と国力を持っている。検査結果で男性で動かせる者が他にいないという事もそれを後押しした。

 

「男性がISを使えるようになれば確実にロシアが暴走する」

「それに彼を率いれたとしても扱いに困る。ドイツ系民族どころか白人ですらない彼を我が国で優遇するのは……」

 

 そう言う意見も出てくる程織斑一夏への関心は薄かった。ドイツ帝国は良くも悪くも白人国家である。黄色人種への差別は無い者の壁や溝はあった。ミッテルアフリカの腐敗の原因の一つとも言える人種の壁を乗り越えていきなり彼を優遇する事は難しい。

 

「……という意見が出ている。まぁ、俺としては動向を気にしておきたい相手ではあるがな」

 

 帝国行政府の話し合いに辟易したフリードリヒは自室に戻り今ではおなじみとなった護衛のクロエとラウラにそう話した。テレビを付ければ織斑一夏に関するニュースばかりが流れてきていい加減飽き飽きする。そう言う思いからチャンネルを幾つか回した後に電源を落とした。

 

「IS学園に通うとなると今後はIS関連の職に就くのでしょうか」

「おそらくな。これで関係ない職に就くと言ったら多方面から圧力を受けると思うぞ」

 

 織斑一夏はISを起動させた事で今後の進路は固定された。彼はその生涯を終えるまでISとは切っても切れない関係となっていくだろう。

 

「それはそうとラウラ、IS学園に行ってみないか?」

「私、ですか?」

 

 フリードリヒは突如としてラウラに問いかける。内容はIS学園への入学。明らかに織斑一夏が関係していると思われるが何故自分が、なのかラウラには分からなかった。軍学校を飛び級とは言え卒業し、軍属となっている自分が今更ISを学ぶための学校に入学するメリットが分からず困惑するラウラにフリードリヒは言う。

 

「理由としてはきちんとした学校に通って欲しいという事。織斑一夏を間近で動向を確認できる人物として同年代のお前が最適な事。他の者と大して親しくないから信頼している者に頼みたかった事だ。クロエに頼まないのは嫌がるかなと思ってだ」

「む……」

 

 クロエはフリードリヒの言葉に一瞬頬を膨らませるも彼の言う通り断わっていた可能性が高い為反論はしない。せっかくフリードリヒの傍にいられるようになったのに態々地球の反対側まで向かうなど断固として嫌だった。その点で言えばラウラはフリードリヒも信頼しているし実力も高く優秀だ。同年代故にIS学園に入学する事も不可能ではない。

 ラウラは少し考えてから返答を行った。

 

「分かりました。陛下の頼みというのなら必ず実行して見せます!」

「おう、それにISの操作が上手くいかないって悩んでいただろう? IS学園という様々な国のISが集う場所でなら新たな発見や成長もあるかもしれないからな。何より、お前にはもう少し一般人とのコミュニケーションを学んだ方が良い」

 

 すっかり軍人としての自分に染まってしまったラウラに友人と呼べる存在はほとんどいない。姉のクロエも友人は少ないものの軍学校時代に知り合いをたくさん作り周囲の人々と問題なく接する事が出来ていた為心配はそれほどしていなかった。

 こうしてラウラはIS学園に急遽入学する事となった。あまりにも急すぎたがラウラは特待生としての基準に達していた為今年は偶々一つだけ空いていた特待生枠で入学に成功するのだった。

 




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